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あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

よく分かる(?)シリーズ 収賄罪について(その1)

2007年12月06日 23時46分05秒 | よく分かる(?)シリーズ
 守屋前事務次官夫妻が収賄罪で逮捕されました。
 ところで,収賄罪というと「賄賂もらったからでしょう。」という認識は多いかと思いますが,「ところで賄賂ってどういうもの?」とか「賄賂もらっただけで同じ罪になるの」,さらには「公務員じゃないのに賄賂の罪で捕まるの?」などいろいろな疑問をもつ人もいるのではないでしょうか。
 そこで,今回は久々のよく分かる(?)シリーズにおいて,収賄罪の概要について説明したいと思います。ただし,中にはいくつか考え方が分かれているものがありますので,ここでは概要の説明という観点から,難しい考え方の違いは特に触れず,基本的には判例の考え方で説明していきたいと思います。

1 収賄罪って何
  公務員が,その職務について,賄賂をもらうことをいいます。
  ただし,賄賂をもらうという方法にもいろいろな脱法行為があったことなどから,実はかなり罪の種類があります。とりあえず,次のとおりです。
(1) 単純収賄罪
  公務員が職務についてとにかく賄賂をもらうことです。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「いつもお世話になってます。これからもよろしくね。」といって渡された現金を受け取る行為があげられます。
(2) 受託収賄罪
  公務員が,その職務について賄賂をもらうのですが,その際に請託を受けた場合に適用されます。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「今度の道路工事,是非とも我が社にお願いします。」といって渡された現金を「よしゃ,分かった」といって受け取る行為があげられます。
(3) 事前収賄罪
  今は公務員でないものに対し,公務員になった暁にはよろしく頼むといって渡された賄賂をもらうことを言います。
  たとえば,市長候補者に対し,道路工事業者が,「市長に当選した暁には,我が社が道路工事を独占できるようにお願いします。」といって渡された現金を,「よっしゃ,任せておけ」といって受け取り,その後晴れて市長に当選した場合があげられます。
(4) 第三者収賄罪
  公務員が,その職務に関して,請託を受けて賄賂をもらうが,直接本人がもらわないで第三者に与えるようにした場合をいいます。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「今度の道路工事,是非とも我が社にお願いします。」といって渡された現金を「よしゃ,分かった。だけど自分が直接もらうとやばいので,私の妻に渡してくれ。」といって事情がよく分からない妻がそれを受け取る行為があげられます。
(5) 加重収賄罪
  公務員が,その職務に関して,請託を受けて賄賂をもらい,そのあげくに不正行為をして,または相当な行為をしなかった場合をいいます。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「今度の道路工事,是非とも我が社にお願いします。」といって渡された現金を「よしゃ,分かった」といって受け取り,そのあげくに入札結果を偽装して,その業者が落札したようにしむけた行為があげられます。
(6) 事後収賄罪
  かつて公務員であったものが,在職中に請託を受けて不正行為をしていた場合において,退職後に賄賂をもらった場合をいいます。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「今度の道路工事,是非とも我が社にお願いします。」といわれて,その通り入札結果を偽装して,その業者が落札したようにしむけた行為を行い,退職後にその業者から「いやあ,助かりました。ありがとうございます。」といって渡された現金をもらう行為があげられます。
(7) あっせん収賄罪
  公務員が,請託を受けて賄賂をもらい,他の公務員に対して不正行為をするなどのあっせんをした場合をいいます。
  例えば,土木課の職員に対し,道路工事業者が,「実は,税金が高いので,安くなるように税務課にお願いできないかなあ。」と依頼し,その依頼を受けて土木課職員が,税務課職員に対し,「あの道路工事業者の税金,安くしてあげてよ」と仲介に入る行為をいいます。

2 賄賂って何?
  賄賂とは,金銭に限らず,不正の報酬としての一切の利益をいいます。したがって,現金はもちろんのこと,およそ人の需要や欲望を満たす利益であれば何でも賄賂となります。
  例えば,旅行券,芝居チケットはもちろん,飲食やゴルフ接待,さらには風俗店の接待や一般女性を情交目的で紹介するなども賄賂になります。
  ここで問題となってくるのが,「謝礼」と「賄賂」の境界線です。
  我が国では,伝統的には冠婚葬祭時にいくらか包むという風習があります。これがすべて賄賂となるのかどうか争いがあるところです。
  これについては,「社会通例上相当と認められる範囲では賄賂にならない」といわれています。
  例えば,公立学校の先生が何人かの生徒に対して授業外に補習授業を実施し,その親が先生に対して謝礼として数万円の商品券を渡した場合,これは社会的に相当といえるために賄賂にならないとしています(ただし,教育委員会の方針ではこのような行為もよろしくないといっていますが,それは別の話です。)。

長くなりそうなので,続きは次回に

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よく分かる(?)シリーズ ブルドックvsスティール対決東京地裁決定

2007年07月01日 00時59分58秒 | よく分かる(?)シリーズ
ブルドック社が企業防衛策として講じた新株予約権発行は違法であり無効であるとしてスティール社が新株予約権無効確認の仮処分申立てについて,東京地裁は「ブルドック社の対応は相当である」として申立てを却下する決定をしました。
スティール社は東京高裁に抗告しました。

東京地裁、総会決議経た防衛策の合理性認める(ロイター) - goo ニュース

判断した裁判長はライブドア事件と同じ

この決定,ライブドア事件と非常に似ているため,裁判所がどのように判断するのか非常に注目を集めましたが,結果的にはブルドック社に軍配をあげました。
しかし,今回の決定は,ライブドア事件の際にライブドアの主張を認容した時と同じ裁判官が裁判長として担当しました。したがって,一見すると真逆の判断をしているようですが,実は今回の判断はしっかりと筋が通っています。そこで,今回はこの決定や周辺事情について解説したいと思います。

1 今回の決定の超要旨
(1) 株主平等原則に反するのでは?

  スティール社にもお金を渡しているので,対価はある。よって,株主みんなに同じ利益がいっているため,不平等とはいえない。
(2) 株主予約権発行は明らかに買収対策ではないか?
  買収対策の必要性の判断は株主が行うべきである。今回,株主の特別決議で「OK牧場」と言ったので,問題はない。ただし,株主がOK牧場といったから無条件に許されるというものではなく,株主に情報を提供して正しい判断をさせること,株主に不利益になるような場合は認められないこともある。

2 ライブドア事件との比較(私見)
(1) 株主平等原則の点

  ニッポン放送は,フジサンケイグループだけに株式の第三者割り当てを実施しようとしたため,株主たるライブドアにはそれに対応する利益を交付しませんでした。だから,ライブドアは不公平に扱われたため,株主平等原則に反するといえます。
  一方,今回は,スティール社には現金で対価を支払っているため,一応株主に全員に同じだけの利益がいっていることになります。だから,「みんな平等」といえると判断したと思われます。
  おそらく,高裁では「株と現金とでは価値は本当に同一か」という点が争点になると思われます。
(2) 新株予約権に経済的対価がない点
  まず前提として,ライブドア事件時には今の会社法が施行されていなかっため,企業防衛策としての新株予約権(新株引受権)は明文化されていませんでした。この点が,判断として変わる点にはなります。
  その上で,ニッポン放送はあくまでも取締役会での決議であったこと(もちろん,当時の商法では問題のない手続)に対し,今回は取締役会の決議をさらに株主総会の決議でお墨付きをもらいました。そういう点では,「株主の意向を確認した」といえるため,裁判所としては尊重に値すると判断したと思われます。
  ただし,株主総会が万能とは言っておりません。この点は,新旧会社法を通じて「株式とは本来は会社の資本金の問題である」という考え方をとっており,安易な保身目的の新株は認めないよ,という裁判所の強い姿勢が出ているといえます。ここは,ライブドア事件の思想は受け継いでいるといえるでしょう。
  したがって,高裁では,「はたして本当に株主に不利益はないのか」という点が争点になると思われます。

3 今後の行方
  高裁の判断は全く検討付きませんが,仮にブルドック社が勝てば,事実上スティール社のTOBは失敗で終わることになるでしょう。
  一方,仮にスティール社が逆転勝利したとしても,株主総会では80%の株主が買収反対の意向を示している以上,TOBに応じるとは思えず,やはり結果的にTOBは失敗に終わる可能性が高いと思われます。
  どちらにしても,スティール社にはかなり不利な状況にあるといえます。

4 他の企業への影響
  「株主総会の特別決議」をいかに得られるかという点を考えるようになるでしょう。
  ただし,繰り返しますが,裁判所は決して「株主総会の決議が万能」とは言っておりません。この点を誤解した企業があったとすれば,そこはとんだしっぺ返しを食らうでしょう。
  究極の防衛策は,いつも主張しているとおり,「企業業績に見合う株価の維持」にあります。

以上です。果たして,高裁はどう判断するでしょうか。注目です。

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よく分かる(?)シリーズ 特別養子縁組制度について

2007年04月12日 23時29分56秒 | よく分かる(?)シリーズ
タレントの向井亜紀さんが,代理母によって産まれた子供をアメリカで育てると記者会見をしていましたが,その会見の中で,最高裁決定で指摘された特別養子縁組制度についても言及していました。
向井さんの場合は,どうやらこの適用も難しいといわれたようですが,そもそも「特別養子って何」「普通養子と何が違うの」などが分からない方も多いかと思います。
そこで,今回は特別養子縁組制度について,簡単に説明したいと思います。

1 特別養子縁組制度とは?
  簡単に言うと,「養子を自分の子供として育てる」制度です。
  もちろん,普通養子だって自分の子供として育てている場合が多いです。ただ,大きな違いは,「特別養子の場合は,実親との関係を完全に遮断する」という点にあります。
  つまり,法律的にも実子となるのが特別養子なのです。

2 ところで,なぜこの制度ができたの?
  社会的ニーズがあったからです。
  特に,次のような事件が社会的影響を与え,法改正が実現したといわれています。
  ある産婦人科が,不妊に悩む夫婦の治療を行う一方で,堕胎したいという人が来たことから,堕胎したい人にそのまま子供を産ませて,その子供を不妊に悩む夫婦の嫡出子として届け出ればよいのではと考え,それぞれ説得して実行に出てしまいました。およそ20数組はそのような事例があったようです。
  当然,これは違法行為なので,略式起訴されましたが,この医師は家庭の平和を守るため,最後までその20数組の素性は一切明かさず罰金刑に処せられました。
  しかし,この医師がやったことは果たして本当にけしからんことだったのか,ということが議論となり,これを厳格な要件の元で行うのであればむしろ世の中の人のためになるのではないかという意見が出てきたとから,特別養子制度が検討されるきっかけとなったのです。

3 普通養子とは外見上の違いはあるか?
  普通養子の場合,戸籍には養父母の氏名と実父母の氏名両方が記載されています。ところが,特別養子の場合は実親との関係を断ち切るため,養父母の名前しか記載されません。しかも,記載は「父,母」と実親と同じ状態になります。
  したがって,戸籍をぱっと見た限りでは実子なのか特別養子なのかはよく分からない状態になるのです。

4 普通養子とは法律上の違いは何かあるのか?
  普通養子の場合,実親との関係が残ります。従って,養父母が亡くなったら相続権があるのはもちろんのこと,実親が亡くなっても相続権は残ります。一方で,実親に対する扶養義務などもあります。
  一方,特別養子の場合は,実親との関係を断ち切るため,実親が亡くなっても相続権は発生しませんし,逆に扶養義務も一切ありません。
  近親婚制限は残るものの,それ以外については,実親とは完全に赤の他人になります。

5 普通養子との手続き上の違いは何か?
  普通養子の場合,自分より年下であれば何歳の人でも養子にできます。極端な話,100歳の養親が90歳の人を養子にするっていうのもありです。そして,基本的には市役所に縁組届をすれば足ります。また,離縁も簡単にできます。ただし,未成年者を養子にする場合は,家庭裁判所の許可が必要となります。
  一方,特別養子の場合は,養子は6歳未満が原則(例外として養育実績がある場合は8歳未満でも可)となります。これは,「自分の子」として育てる以上,子供側も「この人が実の親」と思わない必要があること,世間の人がはたらか見ても「親子」と分かるようにする必要があることなどから,幼い子供に限定しているのです。また,養親は両親そろっていること(結婚していること)が必要となります。外見上「親子」である必要があるからです。そして,この手続は必ず家庭裁判所の許可が必要となります。さらに,勝手に離縁することはできません。
  家庭裁判所では,特別養子の申立てがあった場合,この養親が実親になるのにふさわしい人か,養子をしっかりと育てる能力があるのかどうかをチェックします。具体的には,6か月以上試験的に養育してみて,その間の動向を裁判所が観察します。
  この違いも,「実親との関係の有無」と「養親が本当の親としてふさわしい人か」という観点によるものです。

6 特別養子はどういう場合に利用されるの?
  以上の制度を踏まえると,特別養子を利用する場面とは,「とにかく実の子として育てたい」という場合になります。例えば,不妊に悩む夫婦などがその典型例といえるでしょう。
  具体的には,いわゆる「里子」に出された子供を自分の子供として育てたい,という方が養親になる場合が多いです。
  一方,未婚の母(ドラマ「14歳の母」のような人が典型例かも)で子供を産んだはいいがとても自分じゃ育てられない,という場合に特別養子に出す場合が多いです。
  もっというと,今問題となっている「赤ちゃんポスト」に遺棄された子供は,今後おそらくこの制度を使って来ると思われます。

7 ところで向井さんの場合,何が問題となるの?

  以上が通常の特別養子の事例です。
  ところが,向井さんの場合,若干話が複雑となります。
(1) 子供の親が誰か
  外国人の子供を特別養子にすることも別に否定されません。したがって,一見すると,向井さんの場合も子供にアメリカ国籍を取得させてから特別養子を申請すればよいようにも見えます。
  ところが,ネバダ州の判決で「子供の親は向井さん夫妻」と出ています。つまり,アメリカで子供の出生証明書を申請すると,「親は向井さん夫妻」と書かれてしまいます。すなわち,書類上は「自分の子供を特別養子にする」という申請になってしまいます。
  よって,これでは特別養子にはならない,と裁判所は判断する可能性があるのです。
(2) 契約上の問題
  仮に,ネバダ州がもう少し融通聞かせて,「親は代理母の人」と証明してくれたとします。
  すると,特別養子の場合,家庭裁判所は実親の同意(特に子供と縁切って良いか)を求めます。
  代理母の場合,そこは既に契約しているので問題はないように見えます。ところが,契約の中身に「代理母とは出産後は一切手続き上の迷惑をかけない」という条項があります。
  すなわち,この同意を取る行為や,裁判所からの許可決定書の送付行為自体が,代理母にとっては「迷惑行為」とみなされ,これが契約違反につながる可能性があるのです。
  契約社会アメリカならではの問題点といえるでしょう。

  もちろん,同意不要の例外もあるのですが,代理母の存在が明らかで,契約は別にすると代理母の意向確認が可能であるという状況からすれば,同意不要の例外に該当するかどうかはかなり難しいと言えるでしょう。

以上ざーっと特別養子制度について説明しました。
そもそも,普通養子自体も実はなじみがありませんが,特別養子となるともっとなじみがないといえるでしょう。
ただ,家族関係が希薄化する一方,不妊に悩む夫婦が増えてきている現状からすると,今後はこの制度の利用がもっと増えるかもしれませんね。

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よく分かる(?)シリーズ 国民投票法

2007年03月28日 01時32分36秒 | よく分かる(?)シリーズ
安倍首相が,「今国会で国民投票法を成立させる」と宣言したことから,にわかに活気だってきました。そして,憲法改正賛成派,反対派との間のバトルもだんだん激しいものになってきました。

国民投票法、与党修正案を衆院に提出(朝日新聞) - goo ニュース

一方で,「そもそもこの法律って何?」「どんな内容なの?」「中身が報じられないから善し悪しが分からない」等という疑問などをお持ちの方も多いかと思います。
そこで,今回は,国民投票法案について,かいつまんで説明したいと思います。
ただし,自民党案,民主党案及びそれぞれの修正案が提出されており,ここ数日でいろいろな動きがあることから,ここでは自民党案を基準に説明しますが,一部修正案や民主党案との違いの部分については,その都度適時していきたいと思います。
なお,正式な法案などについては,「憲法調査会」のHPを参照してください。
また,憲法改正の流れなどについては,私の過去の記事「よく分かる(?)シリーズ憲法改正」を参照してください。

1 そもそもこの法律は何か
  憲法を改正するためには,衆参それぞれの議会において総議員の3分の2以上の賛成により発議します。そして,それに基づいて,国民投票によりその過半数が賛成すれば,初めて憲法改正が可能であると憲法上定められてします(96条)。
  ところが,今までは,その国民投票のための法律が存在しなかったため,事実上憲法改正ができない状態にありました。
  そこで,この法律により,国民投票のための手続を定めることとなったのです。これにより,憲法改正の手続が行えるようになります。

2 この法律の内容は何か
  簡単に言ってしまえば,「誰が投票できるか」「どのように投票するか」「過半数の判断など投票が有効か無効かは誰がどのように決めるのか」「どのような形で改正案を周知するのか」「投票に向けての運動は誰がどこまででき,また何が禁止されているのか」「投票が間違っていた場合の救済策はどうするのか」などが規定されています。
  以下,具体的に見ていきます。

3 誰が投票できるか
  当初は20歳以上(選挙と同じ)となっていましたが,民主党案を踏まえて,18歳以上とすることになりそうです。
  ただし,公職選挙法や民法と絡むことから,この辺について更なる調整作業が発生する見込みです。
  ちなみに,反対意見としては,「国民投票は有権者としての究極の意見表明の場なので,選挙権の年齢と別になるのはおかしい」というものがあります。

4 どのように投票するか
  基本的には選挙と同じです。ただし,次の点が選挙とは違いがあります。
 (1) 投票は改正案をまとめて「賛成」「反対」を答える
 (2) 投票では,まるばつ(与党案),まるか白紙(民主党案),賛成反対のいずれかに丸をつける(修正案)となる見込みです。

  いずれにしても,二者択一となります。
  ちなみに,反対意見としては,「一括してイエス,ノーを聞くことは,ある項目には賛成だが,ある項目には反対という者の意見が反映されず,憲法違反だ」「国民の意見を問う以上,国民からの自由意見の記載も認めるべきだ」などがあります。

5 過半数の判断など投票が有効か無効かは誰がどのように決めるのか
  選挙と同じく,開票結果を踏まえて選挙管理委員会が発表します。そこで,賛成票が過半数となれば,憲法改正案は承認されたとなります。
  そこで,過半数の定義が問題となっています
  現在の案では,「有効投票数の内,賛成に投じた票が過半数」とされています。一方,民主党案は,当初「投票総数の内,賛成に投じた票が過半数」としていました。すなわち,民主党案の方が過半数のハードルが高かったと言うことになります。ただし,民主党も,与党案で妥協する見込みです。
  さらに,今回の法案では,「最低投票率制度」は採用しませんでした。すなわち,投票率が極端に少なかった場合でも,有効となるとしています。
  ちなみに,これらの反対意見として,「過半数は有権者全員を基準にしてその過半数とするべきである」や「最低投票率制度を導入しなければ,低い投票率でも憲法改正が可能となり,国民の総意によるとは言えないのではないか」などがあります。

6 どのような形で改正案を周知するのか
  国民投票に向けての周知は,憲法改正広報協議会が行います。これは,国会議員により構成されるもので,委員会同様,取得議席数に応じて割り振られます。
  また,この協議会が,説明会や広報原稿を作成しますが,この説明会や原稿には,賛成意見及び反対意見を中立公正に扱うこととなります。
  ちなみに,これらの反対意見として,「取得議席数比率による協議会では,実質3分の2以上が賛成者により占められることになり,果たして本当に中立公正な広報活動が行えるのか疑問である」などがあります。

7 投票に向けての運動は誰がどこまででき,また何が禁止されているのか
 (1) 国民投票の運動は,誰でも自由にできます。ただし,次の者はできません。
  ア 投票管理者や選挙管理委員会関係者
  イ 裁判官,検察官,警察官(ただし,民主党案では運動可能としており,現在調整中)
  ウ 公務員,教員(ただし,民主党案では除外していたが,どうやら修正案では原則禁止としつつ,罰則は設けないという形になりそうである)
 (2) 政党は,議席数の比率に応じた時間,無料でNHKで宣伝活動を行うことができます。
 (3) 次の事項は禁止,違反となります。
  ア 国民投票7日前からテレビなどを用いての宣伝活動
  イ 組織ぐるみでの買収活動(民主党案は組合つぶしと主張してこの行為を違反としない)
  ウ 公務員による投票妨害
  エ その他の投票妨害活動
 (4) ちなみに,これらの反対意見は次のとおりです。
  ア 公務員は憲法改正の利害関係が大きいだけに,国民投票活動の制限はおかしいのではないか。
  イ 政党の無料放送が議席に応じて時間が異なるとなれば,実質的には3分の2以上が賛成である以上,反対意見の放送が全体の3分の1以下となってしまい,公平性に欠けるのではないか。
  ウ 誰でもお金を出せばテレビなどメディアを使っての宣伝活動ができるとなると,資金のあるものは手広く意見広告をまくことが可能となり,結果として「お金のある者の意見」が勝つという結果にならないか。
  エ 組織活動(労働組合など)による国民投票運動を萎縮させることにならないか。


8 投票が間違っていた場合の救済策はどうするのか
国民投票の手続に違反があった場合,公務員の投票活動運動や投票妨害活動により多数の人が自由な意思による投票を妨げられた場合,賛成又は反対の投票数について誤りがあってそれが結果に重大な影響を及ぼす場合は,高裁に対し投票無効の訴えを提起することができます。
  ただし,濫訴による事務遅滞の防止を図るため,この訴えを提起しても,憲法改正の手続は判決が確定するまでは止まりません。
  そして,訴訟の結果,無効と判断された場合は,改めて再投票又は更正決定をすることができます。
  ちなみに,これらの反対意見として,「単純な数え間違えが発覚した場合でも,現在の選挙のような再集計の申立や投票用紙の確認を認めないで一律訴訟とするのは,負担が大きすぎるのではないか」というものがあります。

以上です。これらの制度及び反対意見を踏まえて,今後の議論を真剣に見守り,検討していくことが大事です。
ちなみに,4月5日に国会において公聴会が開かれます。興味のある方は,3月30日までに意見申出もできるようなので,検討してみてはいかがでしょうか(詳細はこちらをご覧ください)。

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よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その4)

2007年02月03日 01時28分27秒 | よく分かる(?)シリーズ
今回は,問題点を中心に説明します。

第4 現行刑事裁判の問題点
 1 当事者に被害者がいない

   以上のとおり,裁判の当事者は「検察官VS被告人」です。これは,刑罰権は国家のみにあるということを根拠しています。
   一方で,長年にわたり,被害者が裁判からないがしろにされてきたという点が問題となってきていました。
   近年では,徐々に被害者も裁判に参加できるような制度になってきましたが,それでもあくまでも被害者は「第三者」にすぎないのです。
 2 時間がかかる
   以上のような手続きを取りますので,争いがあればそれだけ時間がかかるということは制度上仕方がないことです。
   しかし,それでも少しでも短時間で済むようにするため,最近では,「公判前整理手続き」を導入し,裁判の前に争点を整理して証拠調べを最小限にするような手続が加わりました。
   ただし,起訴状一本主義や予断排除の原則は維持されますので,公判前整理手続きで行えるのは,あくまでも「こんな方針で,こんな証人がいる」という程度のことしかできません。
 3 弁護人の姑息な戦術
   ここも非難が集まります。確かにやりすぎな場合もありますが,一方ではえん罪防止のために必要な制度もあることから,一律に批判することは難しいと言えるでしょう。
 4 分かり難い
   裁判員制度が導入されると,ここが確実に問題になります。
   まず,用語が難しいです。また,手続きも簡単そうで難しいです。
   例えば,「未必の故意」。なんだか分かりますか?。作家の曽根綾子さんは,この言葉を聞いたとき,「あら,刑法も粋だわね」とビックリされたそうですが,実は「密室の恋」と勘違いしていた,なんていうエピソードがあります。
   これは,宿題にしますね!
   いずれにしても,難しい手続や用語を改善しなければ,裁判員も「日本語で裁判やってください」と言いたくなってしまうかもしれませんね。

以上長々と説明しましたが,刑事裁判は,このような仕組みや流れで進んでいるんだ,っていうことを少しでも理解できれば幸いです。
たしかに一部まどろこしい制度もありますが,この辺は「冤罪防止」という目的がある,という前提で見てみたらよろしいでしょう。
その上で,裁判員制度が始まったらどうなるのかとか,被害者家族が裁判に参加することの問題点などについての議論について考えてみるとよいかと思います。

よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その1)
よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その2)
よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その3)

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よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その3)

2007年02月03日 01時22分28秒 | よく分かる(?)シリーズ
さあ,いよいよ裁判の始まりです。
ここでは,ノーマルケースについて説明します。実際は,いろんな枝葉がありますが,それを言い出すと本になっちゃうので,そこは省略します。

第3 裁判の流れ
 1 人定質問

   裁判官が被告人の本籍,住所,氏名,年齢,職業を聞きます。
 2 起訴状朗読
   検察官が起訴状を読み上げます。
   起訴状は多くがA4用紙1枚程度のシンプルなものです。記載内容も単純です。これは,前述のとおり「予断を与えないため」に,最低限しか記載されていません。
   例えば,殺人事件の場合はこんな感じです。
   「被告人は,平成19年1月1日午前2時50分頃,東京都千代田区丸の内1丁目2番3号の路上で,江頭太郎(当50年)に対し,刃渡り15センチの文化包丁を用いて,殺意を持って同人の左胸に刺し,同日午前3時42分に同人を死亡させたものである。
 3 黙秘権告知
   裁判官が,被告人に対し,黙秘権を告知します。これは,憲法上の要請なので,告知がない裁判は,違法とされます。
 4 罪状認否
   裁判官が,被告人に対し,起訴状事実の有無について尋ねます。
   新聞でよくでる「最初の被告人の発言」は,この罪状認否の部分です。
   多くの場合,「そのとおり」と児玉清さんのように答える被告人がほとんどですが,否認事件,すなわち争う事件の場合は,ここで様々な主張をします。
   いわば,最初のドラマがここにあります。
   また,被告人が認否した後に,弁護人がさらに意見を補足します。
 5 冒頭陳述
   検察官が,証拠によって立証する事実を述べます。ここでは,起訴状の事実をかなり詳細に説明します。場合によっては,冒頭陳述だけで数時間かかるなんていう超大作の場合すらあります。
   ここが,新聞やテレビでよく紹介される部分です。おそらく,一般の人が裁判を傍聴していると,この冒頭陳述を聞いて初めて「事件の全体像」が見えてくることになります。いうなれば,「週刊誌に書かれた情報」がここに初めて現れてくるのです。
 6 証拠の認否
   検察官が証拠を提示し,それに対し,弁護人が同意するか否か返答します。
   ここでいう証拠の多くは,警察や検察庁が作った「調書」です。
   細かい理論は省略しますが,日本の裁判では,本来は「調書」に証拠能力を認めていません。つまり,調書に出てきた人は,必ず証人尋問をしなければならないのです。ところが,それでは裁判がなかなか進まなくなるため,特に争いのない事案については,すべての証拠に同意して,調書を証拠として扱います。そして,一気に裁判は終局に向かいます。
   一方,否認事件では,ここで多くの証拠を不同意として,原則どおり「証人尋問」が始まります。
 7 証拠調べ
   検察官が証拠の内容について説明します。
   証拠には甲号証と乙号証の2種類があります。甲号証が客観的な証拠類(被害届や目撃者の証言,実況見分調書など),乙号証が被告人自身に関する証拠(被告人供述調書,前科リストなど)になります。
   そして,取調べ順序は,必ず甲号証から始めます。
   なぜでしょうか?これも地味ながら憲法上の要請があるからです。
   憲法では,自白のみでは有罪にできないという規定があるため,まず被告人の自白の前に客観的な証拠で固めなければならないということになるのです。
   すなわち,客観的な証拠で周りを固めた上で,さらに「ほーら,客観的な証拠に即した自白を被告人もしているでしょう」という形で立証することで,初めて有罪認定ができるのです。
   逆に言うと,ここで被告人が否認していたとしても,客観的な証拠があれば当然有罪にできますし,被告人が自白していたとしても,客観的な証拠が全くない場合は,被告人は無罪となります。
   「死体なき殺人」が,立証が難しいというのは,こういう点にもあるのです。
   もちろん,弁護人側も証拠を提出することができますが,弁護人側の証拠には甲乙は付きません。
 8 証人尋問
   争いのない事件の場合は,弁護人が情状証人として,被告人の両親や家族などを呼ぶことがあります。そこで,「しっかり監督します。もう二度と馬鹿なまねはさせません」などと証言し,できるだけ涙を誘おうと頑張ります。
   一方,争いのある事件の場合は,検察官が立証証人を呼び,弁護人が反対尋問を行うという,まさしく「法廷ドラマ」になります。もちろん,逆に弁護人がアリバイ証人を呼び,検察官が反対尋問で崩していく,という場合も多くあります。
   裁判の山場ですし,検察官と弁護人の腕の見せ所になります。
   おそらく,裁判員制度でも,これが有罪無罪を判断する要になると思われます。
   ちなみに,証人は,証言に際して宣誓を行うため,嘘を付いたら偽証罪に問われる場合があります。
 9 被告人質問
   証拠調べが終わった段階で,被告人に対し質問を行います。
   被告人質問では,証人のような宣誓は行いません。なぜなら,黙秘権があること,また被告人はとかく嘘を付くということを踏まえてのことです。
10 論告求刑
   検察官が,最後の締めを行います。
   ここで,いわゆる「被告人を懲役*年に処するのを相当と思慮します。」などという求刑を行います。
   ちなみに,ここで誤解する方が多いのですが,求刑はあくまでも検察官が一方的に言っているものに過ぎないため,裁判所は求刑には全く拘束されません。したがって,求刑が懲役3年であっても,裁判所の判決は,法令の範囲内の刑であれば,1年でも10年でも,極端死刑でも構わないのです。
   従って,求刑とは「単なる目安」に過ぎません。
11 最終弁論
   弁護人と被告人が,最後に言いたいことをまとめて主張します。
   多くの事件では,「ごめんなさい。反省してます。もうしません。」程度のことを言い,弁護人も「今回だけは執行猶予で許してちょんまげ」ぐらいのことを言うにとどまります。
   ただ,否認事件の場合は,ここで最後のプレゼンを行います。検察官の立証がずさんであること,被告人のアリバイは完璧であること,証人の証言は矛盾が多いなど,自分が無罪であることについて主張していくのです。
   これで裁判は終了します。
12 判決
   被告人に対し,口頭で判決を告知します。
   ただし,大きな事件の場合は,事前に判決書を作成し,朗読する場合がありますが,通常の事件では,判決書は後で作成する場合が多いです。
   そして,14日以内に控訴しなければ裁判は確定する,っていうことになります。

ちょっと長くなりましたが,これが裁判の流れです。実際は,ここにいろんな手続が関与してきます。
とりあえず,今回はこの程度で。

よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その1)
よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その2)
よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その4)

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よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その2)

2007年02月03日 01時08分43秒 | よく分かる(?)シリーズ
今回は,裁判が始まるまでの流れです。

第2 刑事裁判が開かれるまで
 1 裁判の請求を誰がするか

   原則として,検察官しか請求ができません。逆に言うと,被害者が直接裁判所に「こいつを懲役刑にしてくれ」と訴えても,当然受け付けられません。
   検察官が「起訴状」という書類を書いてそれを裁判所に提出します。
   ちなみに,裁判所は,最初はこの起訴状しかもらいません。いわゆる「証拠資料等」は一切もらいません。これを「起訴状一本主義」と呼んでいます。
 2 なぜ起訴状一本主義か

   「え,最初から証拠書類読んでおいた方が,裁判早く進のに」と思う方も多いかと思いますが,ここが日本の刑事裁判の大きなポイントなのです。
   裁判所は,「えん罪を防止する」ために,余計な情報を裁判官は一切持たず,裁判の中で出てきた事実や証拠だけで裁判を勧めていく必要があります。そのためには,最初の基礎の段階で証拠書類まで読んでしまうと,「ああ,こいつ犯罪やったなあ」という予断を持って裁判を勧めてしまう可能性が高くなってしまいます。このような予断を防ぐために,起訴状以外は一切もらわない,という決まりとなっています。
   検察官は,あくまでも裁判の一方当事者に過ぎないため,反対当事者である被告人の話や証拠をみることなく,検察官だけの証拠をみるのはフェアーではない,という発想です。
 3 起訴状送達
   被告人に対し,起訴状を送ります。通常は警察に留置されているため,警察に送り,そこから被告人に渡されます。
   この際,弁護人を自分で選ぶかそれとも国選弁護人にするかという意見も同時に聞き,その回答を裁判所に送ります。
 4 召喚状送達
   裁判の期日が決まったら,裁判所の出頭日を書いた召喚状を送ります。
   そして,裁判当日に裁判所に来ることになります。

さて,次回から,いよいよ裁判が始まります。

よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その1)
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よく分かる(?)シリーズ 刑事裁判の仕組み(その1)

2007年02月03日 01時03分41秒 | よく分かる(?)シリーズ
法制審の答申案の中に,刑事裁判手続に犯罪被害者も参加できるような制度を導入する旨含まれていることが報じられており,「犯罪被害者の権利拡大を図る」などとコメントされています。
一方で,裁判員制度については,約8割の国民が参加に消極的である旨の世論調査結果も報じられています。
さらに,連日のように,刑事裁判に関するニュースにおいて「今日の法廷で,**被告は**をした」等と報じられています。
一方で,「そもそも刑事裁判ってどういう仕組みなんだろう」「どういう流れで進んでいくんだろう」「何で検察官の求刑がそのまま判決にならないんだろう」などという疑問をお持ちの方も多いかと思います。
そこで,今回は刑事裁判の仕組みや流れについて説明したいと思います。
なお,刑事裁判制度の大前提にあるのは,「えん罪防止」という観点です。したがって,被告人の権利が厚く保障されている背景については,私の過去のシリーズ(「被疑者,被告人の権利について」と 「逮捕勾留について」)をご覧ください。

第1 そもそも論
 1 刑事裁判って何?

   刑事裁判とは,犯罪者を刑務所送りにするための裁判です。刑事裁判では,犯罪を犯した容疑者のことを「被告人」と呼びます。
   そして,「こんな犯罪をしたんだ。けしからん奴だ」と追求するのが,「検察官」です。
   刑事裁判では,検察官vs被告人の対決,ということになります。
 2 被告人に弁護士が付くのはなぜ?
   ところで,被告人には弁護士(刑事裁判では「弁護人」と呼びます)がつきますが,それはなぜでしょうか。
   それは,「検察官は法律のプロである。ところが被告人は法律の素人であるため,まともに戦えない。そこで,検察官とまともに戦えるために,法律のプロである弁護士を付ける」というものです。
   また,被告人は警察に逮捕されているため,自由に活動ができません。証拠集めや証人の用意,さらには被害者との示談交渉なども必要となります。そのための代理人として弁護人は必須なのです。
   いわば「朝青龍と戦うためには,自分じゃ勝てないから千代大海を雇って戦ってもらう」ようなものなのです(かなり強引な例えかな?)。
 3 国選弁護人って何?
   お金がない被告人に対し,国が弁護人を付ける制度です。刑事裁判の多くは,この国選弁護人になります。
   これは,お金のあるなしで刑事裁判の結果が変わってしまうということを防ぐためのもので,憲法上認められた権利です。いわば,格差社会対策とも言えるでしょう。
   ただし,判決の際に,被告人にこの費用の負担を命じることができますので,全部が全部タダで済むとは限りません。
 4 誰が裁判をやるの?
   裁判官です。じゃなくて,どこの裁判所がやるのか,ということです。
   多くの事件は,地方裁判所が第1審となります。そして,通常は裁判官1人で裁判をしますが,重大事件(殺人など)の場合は,裁判官3人で審理します(これを「合議事件」といいます。)。
   一方,軽微な事件(窃盗など)については,簡易裁判所が第1審となり,裁判官1人で裁判をします。
   第1審の判決で不服があった場合は,地裁簡裁問わず,第2審は高等裁判所になり,裁判官3人で裁判をします。高裁の判決に不服があれば,最後の砦の最高裁で裁判をします。ここでは,5人の裁判官で審理しますが,場合によっては15人の大法廷で審理する場合もあります(ただし,刑事裁判ではほとんど大法廷は開かない。)。

長くなるので,次回に続きます。

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よく分かる(?)シリーズ 離婚と子供の戸籍

2007年01月17日 23時57分41秒 | よく分かる(?)シリーズ
滋賀県で,離婚した両親がDV被害を避けるために戸籍の届けをしていなかった女子高生に対し,パスポートの申請を不受理としたとする報道がありました。
この措置についても様々な賛否両論ありますが,そもそも「離婚したら子供の戸籍がどうなるか」などについて意外と知らない方の方が多いのではないでしょうか。また,「制度がおかしい」という批判も多々寄せられていますが,何がどうだからおかしいのか,または正しいのかという点も,そもそもの制度自体を理解しなければ正しく判断できないのではないかと思います。
そこで,今回は,離婚した場合の戸籍について,特に子供の関係を中心に説明し,あわせてその前提たる民法の規定についても説明したいと思います。

前提
夫:田中太郎,妻:田中花子(旧姓鈴木),子供:田中かなた(5歳),とする。


第1 離婚した場合の戸籍関係
 1 まず,結婚している今の戸籍には夫,妻,子3人が記載されています。

 2 この2人が離婚した場合,親権に関係なく次の戸籍になります。
  (1) 田中太郎とかなたの2人(田中花子は×で抹消される。いわゆる「バツ1」の語源はここにあります。)
  (2) 鈴木花子1人(ただし,離婚して3か月以内の場合は,届け出によって「田中花子」として戸籍に残せます。

 3 離婚の際に未成年者がいる場合,必ず親権者をどちらにするか決めなければなりません(これが決まらない場合は,離婚届が受理されませんので,結局家裁の離婚調停または離婚訴訟をしなければなりません。)。

 4 仮に親権者を妻(鈴木花子)と指定した場合でも,2のとおり子供の戸籍は夫の戸籍(正確には婚姻の際に氏を変えなかった方の戸籍なので,この前提では妻の鈴木さんが結婚して夫の田中を名乗るようになったので,夫である田中の戸籍ということになります。決して,男女で区別しているわけではありませんので,ここは注意しましょう。)の戸籍に残ったままです。
   でも,親権を取った花子さんは,子供も自分と同じ戸籍にしたいと考える場合が多いでしょう。
   この場合,家裁で「子の氏の変更許可」をもらう必要があります。そして,その許可証を添えて入籍届けをすれば,「鈴木花子,鈴木かなた」の2人の戸籍ができあがります(この場合,同時に元夫の戸籍から,「田中かなた」が×で抹消されます。)
 以上が,離婚に伴う戸籍の動きの一般論です。

第2 イレギュラーケース
 次に,親子関係が面倒になる事例について説明します。
 1 通常の場合(原則)
   結婚して子供が生まれれば,夫婦の戸籍に子供が記載されます。この例では,田中太郎と田中花子戸籍に子供のかなたが記載されます。
   このような子供を,夫婦間の子供であると推測されることから「推定の及ぶ嫡出子」といいます。具体的には,結婚して200日以降に産まれた子と,離婚後300日以内に産まれた子をいいます。
   ぶっちゃけていえば,「まともな夫婦生活を行っていた場合に産まれるであろう期間内」というわけです。

 2 いわゆる「不倫の子」の問題
   嫡出子の問題はいくつかありますが,ここではテーマを絞って説明します。具体的には不倫の子の扱いです。
   この事例として,田中花子さんが実は佐藤工事さんと不倫をしていたとします。そして,佐藤工事さんの子供を産んだとします(子供の名前を「三郎」とします。)。
   さあ,ここからはどろどろの話となります。産まれたのがいつか,でややこしい話満載となります。
  (1) 離婚して300日以降に産まれた場合
    鈴木花子1人の戸籍に鈴木三郎が記載されます。この場合,三郎の母欄には「鈴木花子」と記載されますが,父欄は空欄となります。
    では,実の父の佐藤工事さんはどうすればよいでしょう。
    佐藤さんは,「認知」をすればよいのです。そうすれば,父親欄に「佐藤工事」と記載されます。
    ただし,三郎の戸籍も氏もこれだけは変わりません。すなわち,佐藤さんが認知しても,子供は「鈴木三郎」のままで,戸籍も鈴木花子戸籍に残ったままです。

  (2) 婚姻中に産まれちゃった場合と離婚後300日以内に産まれた場合
    これがもめ事の種です。
    結論から言えば,「田中太郎」戸籍に子供が記載されます。すなわち,「田中三郎」となってしまいます。しかも,三郎の父欄には「田中太郎」と記載されてしまうのです。なぜ,このような制度になっているかというと,「子供の父親がどっちなのか」という混乱をなくすため,離婚後300日以内であれば,前夫との間で性関係があれば生まれるであろう期間であるから」と説明しています。
    これは,佐藤工事さんも,田中花子さんも,そして当の子供たる三郎さんもたまったもんではありません。なにしろ,実の父と違う名前が書かれているわけですから。
    では,これを打ち消すにはどうすればよいでしょうか。
    実は,「田中太郎」さんが,「嫡出否認の訴え」を家庭裁判所に起こすしかないのです。また,産まれてから1年以内にやらなければなりません。しかも,この訴えは,父からしかできず,真実を知っている母や子からはできません。
    したがって,離婚でもめてしまった場合などで,父の協力が得られなかった場合,子供の父親を消してしまうことができないのです。

  (3) 実務的な回避方法
    これが,いわゆる「法の穴」と呼ばれている部分でして,今回のパスポート問題でも,結局出生届を出すと夫の戸籍に乗ってしまうので非常に困る,というものだったのです。民法学者の多くも,「弾力的運用を可能にする」という法改正を指摘しています。
    ただ,現状の回避策として,子供の方から「親子関係不存在確認」の訴えを起こすというものがあります。既に破綻していることが明確である場合は,この訴えを起こすことが可能と解釈しています。この例では,三郎さんの親権者たる花子さんが,三郎さんを代理して,太郎さんに対して訴えを提起することになります。
    ただし,問題として,「基本的には相手の協力が必要である」ことと,「DV案件等で住所が知られたくない場合や顔を合わせたくない場合」については,この制度の使用は難しいという点が上げられます。

  (4) 補足説明
    以上は,分かりやすく「不倫の子」という形で説明しました。
    不倫の子というと,「そんなけしからん奴を保護する必要はない」と思ってしまい,厳しい制度でもいいだろうという感覚にもなってしまうと思います。
    ただ,実際には,同じような事例は不倫でだけ起こるものではなく,「離婚を前提にして長期間別居しているが,夫がなかなか離婚に応じてもらえず,一方で妻の再婚予定相手と同居中に子供ができた」などという事例の場合にも発生しうることであるため,必ずしも直ちに「反倫理的である」ともいいがたい場合がある,ということはご理解ください。

 3 嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴えについて
   これらについては,通常の裁判とは若干意味合いが異なります。
   まず,家庭裁判所に対し,これらの「審判」の申立てをします。イメージとしては,「相手との話し合い」になります。したがって,お互いある程度合意していること,顔を合わせても問題ないことが前提となります。
   ちなみに,この審判では,実際に親子関係がないかどうかなどについて,DNA鑑定を行う場合があります。
   そして,このような合意ができない場合は,この審判はできないということになり,今度は家庭裁判所に対し,これらの「訴訟」を提起します。これは,裁判と同じですから,相手の協力が得られなくても,ある程度は判決という形で対応できます。でも,手間暇は当然かかります。
   これらの手続を行わない限り,先ほどのとおり戸籍の届け出ができないか,元夫の戸籍に届けざるを得ないということになります。

第3 問題点のまとめ
 1 離婚後300日までの間に生まれた子供は,前の夫婦関係の子供と推定されてしまうこと。

   親子関係の混乱回避には必要な制度ですが,果たして300日も必要なのか,議論があります。
 2 嫡出否認の手続が父(夫)しかできないこと。
   父側の協力がなければ,子供の関係が不安定になってしまうおそれがあることから,母や子からの訴えを認めるべきではないかとの指摘がされています。
 3 DV等により住所を隠したい場合の対応が難しいこと。
   暴力を逃れるために住所を隠したくても,訴え提起の場合には自分の住所を提示せざるを得ない場合が多く,隠れきれない場合があることが指摘されています。
 
以上になります。やはり,親子関係等という問題は,契約等で適当にやるというわけにはいかず,法律的にがっちりと固めなければいけないことから,かなり複雑な制度となっている,ということだけでもここでご理解頂ければと思います。

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よく分かる(?)シリーズ 国歌国旗掲揚判決について

2006年09月23日 13時06分07秒 | よく分かる(?)シリーズ
東京都教育委員会が,都立高校等のイベント時に国歌斉唱,国旗掲揚を強制するのは憲法違反だとして教職員らが訴えた裁判で,東京地裁は原告らの主張をほぼ認め,国旗に対し起立することや国歌斉唱の義務がないことの確認と1人当たり3万円の損害賠償を認める判決を下しました。
当然ながら,石原しんちゃんは即刻控訴しました。

国旗国歌強制は違憲 東京地裁が判決 (共同通信) - goo ニュース

この問題,マスコミの間でも賛否分かれていますし,ネット界でも賛否両論あります。全体的には,この判決を疑問視する人の方が多いような気がします。
国歌国旗問題は,多分に各人の思想に基づくものがあるため,おそらくその賛否も思想に基づくものであろうと思います。
そこで,久々の「よく分かる(?)シリーズ」として,ここではあえて「法律学的だけ」に絞って,判決の評価そして見たいと思います。
なお,判決文の斜め読みだけですので,当事者間の主張立証とは違う部分があるかもしれない点はご承知おきください。
(判決文全文はこちらを参照してください。)

第1 東京地裁の判決文概要
1 事案の超概要

  都立高校で国歌斉唱と国旗掲揚を義務づける通達を東京都が発出したが,それに反対する教員らが通達に従う義務がないことと及び精神的苦痛を受けたとして損害賠償請求したというもの。
2 判決
  原告らの主張どおり(東京都ほぼ全面敗訴)
3 争点
(1) まだ処分受けてないのに通達に従わないことを裁判所は認めて良いか(これはかなりテクニカルな話なのでなかなか説明が難しいものです)
(2) 教員に国歌斉唱義務があるか。そもそも通達や職務命令は違法か,適法か。
(3) 教員に精神的苦痛があったか。

4 裁判所の判断(超概要意訳付き)
(1) 本当は何か不利益処分受けてから初めて裁判所に「助けてください」というのが筋なのだが,今放置しておくと今後必ず処分されて取り返しがつかなくなるであろうことが見込まれるときは,裁判所は事前に「はい,消えた」ということができる。
  今回の場合,放置しておくとこれまでの東京都教育委員会の処分例から原告らは処分される可能性が高いため,裁判所は事前に助けることにした。
(2)ア 国歌国旗については,その考え方が確立しておらず賛否両論ある。したがって,それを「いやだ」という人に「やれ」というのは,思想良心の自由に反することになる。
  ただし,思想良心の自由も無制限に許されるのではなく,一定の制約を受けることは許される。そこで,教員という立場にある者が通達や職務命令でこのような制約を受けるか考えてみよう。
イ 通達の根拠は学習指導要領にあるが,学習指導要領は法律ではないが,一定の法規範性(大綱)はあるといえる。ただし,不当な支配や一方的な押しつけになる場合は,法規としての性格はない。そして,国歌国旗部分は各学校の判断に委ねている。(筆者注:この解釈がこの判決で重要な点となる)
  とすると,学習指導要領では,とても国歌斉唱を教職員に強制していると解釈することはできない。
ウ で,この通達も学習指導要領と同じく一定の規範が認められるが,国歌国旗条項は各学校の裁量が入る余地がなく一義的である。また,国歌斉唱や国旗掲揚の義務は,思想の一方的押しつけであり,もはや通達としての域を超えたものである。
エ よって,この通達は憲法19条の思想良心の自由を侵害するものであるため,教員がこの通達を守る義務はない。
オ 校長の職務命令については,教員はそれに従う義務があるが,明らかに不当な命令の場合は無視できるというのが過去の判例である。
  でもって,校長からの国歌斉唱等の職務命令については,そもそも通達に従う義務がない以上,教員に拒否権がある。だから,従わなくてもOK牧場。
カ よって,教員に国歌斉唱等の義務を課する行為は違法なので,教員にそのような義務はない。
(3) 違法な通達や職務命令で苦しんだので,精神的慰謝料として3万円だね。

以上が東京地裁の判決文の超ウルトラ要約版でした。

第2 解説と私見(法的部分のみ)
1 まず,大前提として,裁判では「当事者が主張したことだけが資料になる」という大原則があります。したがって,一部コメンテーターのいう「裁判所の身勝手な価値判断」というのは必ずしも妥当な見解とはいえません。裁判所は「どちらかの主張した価値判断が妥当か判断した」だけです。
  したがって,もしこのコメンテーター批判を正しく言い直すなら「裁判所が採用した方の価値判断はすこぶる勝手なもので,裁判所に見る目がない」という形になるでしょう。
2 今回の判決では「日の丸や国歌の歴史的背景」と「現在の国民の受け止め方」が実は背景思想として大きくとらえられており,この解釈によって19条違反の有無を判断したことになります。
  ところが,判決文をみると,東京都側は,必ずしも歴史的背景や現在のとらえ方などについて十分な反論をして来なかった感じが見受けられます。いわゆる「通り一遍的な主張」で流したのかな,という印象を持ちました。
  この主張立証の弱さが東京都敗訴の一因ではないか推測されます。
  よって,この敗訴は,「東京都の作戦ミス」の臭いがしてきます。
  ただし,裁判所側も,この点が重要争点であるとして釈明していなかったとしたら,裁判所側の訴訟指揮の弱さという可能性も出てきます。
  いずれにしても,控訴審では,まず「歴史背景」や「国民感情」についての攻防が大きな争点になってくるでしょう。
3 通達については,裁判所の解釈は学習指導要領を解釈し,そこから通達に下がるという比較的ベーシックな解釈論を展開してきています。
  ただ,この認定に当たっては,「都議会の質疑」を相当資料として用いています。そして,都議会での教育長の答弁が意外とボディーブローのように効いてきています。
  高裁では,この都議会答弁をどう料理するか,あるいはまるっきり無視するのか,その辺の扱いも地味ながら興味深いです。
  もっというと,様々な議会答弁,法的拘束力がないことから結構場当たり的な答弁でごまかしている地方議会も多いのではないかと思います。しかし,このように訴訟で使われる場合もあるわけですから,特に執行部サイドは答弁も慎重にね,っていういうところでしょうか。
4 繰り返しですが,今回の東京都の敗訴原因,可能性としては「東京都訟務担当」のプレゼンミスのが大きかったのではないかと思われます。
  都知事としては,裁判官の批判をする暇があったら,まず自分の足元を固め直すことが先決でしょう。
5 高裁で争われると思われる事項は主に次の点になると思われます。
(1) 国歌斉唱等を強制することが本当に思想良心の自由を侵害するか。
(2) 教員にはどの程度までの制約が可能なのか。
(3) 通達の法的拘束力について
(4) 通達に法的拘束力がない場合でも,学校長の職務命令に従うべき内容となるか。

  これらの周辺事情として,歴史事情や議会答弁等の事実認定を見直すことになるでしょう。
  結論はもちろん分かりません。

 以上が今回の判決の概要及びその補足になります。今後の議論の参考にしていただければ幸いです。

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