入り日とふ真っ赤な涅槃浮かべたる海沖合に島影沈む 暁 耀(ぎょう よう)
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涅槃寂静の涅槃がどんな色をしているのか、知らない。海の沖合に沈んでいく入り日の色のように真っ赤にしているかも知れない。
涅槃はニルバーナである。大般涅槃の寂静、寂滅である。大きな大きな安らぎである。滅度とも呼ばれる。
海は真っ赤な涅槃を浮かべているので、島々が大きな安らぎを覚えて、その真下に沈んで行く。そういう風景が広がっている。
釈迦牟尼世尊は涅槃に入られた。入定された。世尊のみならず、みな誰人も、一人残らず死んで行くが、死んだら涅槃に入って行くのである。大安定を得ていくのである。そしてその次ぎの段階に移行する。
島々も、その島影も、これに洩れない。