どれ、弟を見舞って来よう。車輪の大きい27cmの自転車を駆って。帰りの坂道を計算に入れれば、往復2時間半~3時間、或いはそれ以上をみておかねばなるまい。へたばって休憩を幾度か入れることもあり得る。どうかな、台風の余塵はすっかりおさまったやら。雨が降り出してくることはないか。濡れてもいいように着替えをリュックに詰めておこう。いまのところ照りつける日差しはない。
旅先の宮崎神宮で病気平癒健康回復のお守り札を買って来たから、これを届けるとしよう。弟はでも、れっきとした浄土真宗得度者。そういうものに頼らないでも得心をしていると言うかも知れない。旅に出たことは内緒にしておいた。旅に出られる兄を羨むかもしれないと思って。まあいい。これも白状をしよう。我が家の上品な無花果を食べさせてやりたいが、彼は術後も日ごとの糖分調整をしているから、こっそりというわけにもいくまい。