小田原周辺のマイナースポットや些細な出来事を少しずつ
小田原の端々



昨年の東日本大震災以降、ニュースなどで耳にする事の多くなった東京大学地震研究所は地震学、火山学の中心的な研究機関で国内各地に様々な観測施設がある。この小田原にも地震予知のための地殻変動の観測施設があると知り先日探索に出かけた。東京大学地震研究所のある論文によると、小田原市国府津地内には地震予知のための小田原観測坑井が設置されている。論文内に小田原観測坑井の所在番地は無かったが、鳴沢の滝近くとの記載があったので国府津の鳴沢公園前から探索を開始。鳴沢公園横を流れる鳴沢沿いを上流方面へ。沢と名前がついているが、水量は少なく滴る程度。鳴沢沿いの道路をしばらく進むとマンション前で道が二手に分かれる。右手を進むと鳴沢の滝方面へ。左手は鳴沢の滝上部へ農道が続く。左手の道を進む。急な農道を5分ほど上ると鳴沢の滝の上部横に出る。実は、以前鳴沢の滝を訪れた際に、観測坑井らしき施設があったのを覚えていたので、迷わずに鳴沢の滝上部へ。農道の脇道の少し先にフェンスが設置されている。フェンスの奥には何かコンクリートの物置のようなものが見える。敷地内は立ち入りは禁止のため入口フェンスからズームで撮影。観測施設らしき建物はさらにフェンスで囲まれておりプレートが取り付けられている。プレートにズームすると「東京大学地震研究所 小田原観測坑井」の文字。やはりここが東京大学地震研究所の小田原観測坑井だった。資料によると、この小田原観測坑井は昭和45年前後に設置されたようで、観測用の井戸が地下50mにわたり掘られている。資料には観測施設内に巻上塔もあるように記載されていたが、巻上塔らしきものは確認出来なかった。一通り小田原観測坑井の写真を撮影した後、鳴沢の滝にも立ち寄る。先ほどのマンション前の分岐までもどり右手の道を進む。マンション前の分岐から3分ほどで鳴沢の滝に到着。相変わらず水量も少なく滝というより崖といった感じ。この地に東京大学地震研究所の観測施設が設置された理由は論文の内容を抜粋すると「日本海溝・伊豆マリアナ海溝の接合点にはじまる相模トラフが相模湾を斜断して上陸する地点にあたる。1923 年の関東大地震はこのトラフに沿う相模湾底の右ずれ逆断層によるものであった。(中略)この断層の動きを直接とらえようとすれば,陸上では現在の場所を欠くことができないのである。このような見地から同地方一帯を調査した結果,国府津駅北西1 ㎞の鳴沢滝附近に適当な観測地を見出すことができた。(中略)この場所は新第三紀層砂岩が基盤として露出しており観測にも施工にも極めて好条件が得られた。」とのこと。小田原観測坑井で異常な地殻変動が観測されないことを願いつつ、鳴沢の滝を後にした。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )