相模湾に面し漁港のある小田原では当たり前のように新鮮な地魚がスーパーや魚屋さんに並んでいる。その地魚の多くは深夜から朝方にかけての時間に定置網で漁獲されている。仕事の関係で今までに何度か定置網漁の様子を見る機会があり、漁師さんの働く姿を目の当たりにすると地魚に対するありがたみをその都度再認識している。小田原漁港に水揚げされる地魚の大半は米神と石橋に設置されている定置網で漁獲されるもの。その定置網漁に向かう漁船は午前2時前後に小田原漁港を出港する。冬場だと日出の前の一番冷え込む時間帯。雨が降っていたり時化ているとかなり過酷な状況での漁になる。小田原漁港から10分ほどで米神の定置網に到着。漁場に着いて驚くのがカモメの多さ。とにかく船のまわりはカモメだらけで鳴き声がとてもうるさい。米神と石橋の定置網は2隻の漁船で行われていて漁場に着くと30分くらいかけて網をしぼっていく。網がしぼられると2隻の距離が近くなり網の中には多くの魚が泳いでいるのが見えるようになる。それをクレーンに取り付けた網で次々とすくい上げていく。値のつく石鯛などは活魚用の水槽に入れられ、イワシやアジなどは氷を張った魚倉へと入れられる。おおよそ2時間で漁を終えて午前4時前後に小田原漁港へと戻る。戻ると休憩する間もなく魚の選別作業が始める。魚倉から大きなホースで吸い上げて選別用のレーンへ魚を送る。水揚げされた魚は魚種や大きさ別に発泡スチロールに入れられ競り場へと運ばれていく。競りも順番があって、不利な順番の日は、せっかくの魚が安く買い叩かれてしまうことがあるようだ。日の出前の午前5時すぎから競りが始まる。普通の生活をしていると就寝している時間帯に漁獲から競りまで多くの人が働いているおかげで、年中新鮮な地魚を食べることが出来る。豊かな海の幸とそこで働く人々に感謝するばかり。
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