小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

在来6000を作りたい。その5(屋上編)

2020年10月08日 15時51分26秒 | 相模鉄道

いきなりですが模型は無事に完成しました。
製作の進展を随時Twitterで載せていましたが、文字数の関係もあるので
同じ画像(一部新規画像も交えつつ)で詳しく補足していきます。
今日は屋上を中心に振り返ってみたいと思います。


2020-06

製品は冷改車なので、クーラーの取り付け穴埋め込みや脇のランボードを削除してから
配管工作に取り掛かりました。

母線は例によってφ0.4のアルミパイプを用いました。
以前にも書いたかもしれませんが、ボークスで買える
アルビオンアロイ製です。
空気配管はφ0.2の真鍮線です。
意外と高さのある脚に載っているので、トレジャーの配管止めを使いました。
割ピンと台座が一体になったエッチングパーツで、
板材ゆえ台座のボリュームがやや物足りないものの作業性抜群のおすすめパーツです。



配管のレイアウトは各種資料を基に概ね正確なものになったと思います。
今回の時代設定(新塗装化直後=S49年)ならばほとんど原型ですが、
後年(S50年代以降?)空気配管が1本増設されていたり個体差も
多々見受けられ、製作にあたっては車番と時代をよく研究する必要がありそうです。

妻面は母線の下に空気配管が潜り込むので、柔軟性に優れたリード線で固定しています。


2020-08
パンタ周りには思いのほか時間がかかり、1か月半ほど後の様子。
理由としては
1.ヒューズと避雷器の製作に四苦八苦したこと
2.パンタ脇のランボードも修正を要し、一度引いた配管を外す必要があったこと
3.パンタ台の構成に検討を要したこと
が主なところです。
1と3については後述しますので、ランボードについて。

当初はモールドを活かそうと考えていたのですが、資料が集まるにつれて
厚みのあるタイプと、薄くてゲタを履いたタイプの2種類存在することがわかりました。
モールドはどちらに見立てても中途半端な厚みなので、削って付け直すことにしました。
画像はゲタを履いたタイプで、脚のみ接着した図。
塗り残しが出にくいこの状態で塗装し、仕上げ段階でt0.2の洋白帯材による歩み板を
載せる工法にしました。
脚はGM国電101系キットのランボードを幅を詰めて薄くスライスしたものですが、
厚すぎなければ何でもいいと思います。歩み板が水平に乗るよう頭を平らに均しておきます。


雨樋とランボードの間隔の寸法に切り出し、脚の間隔をシャーペンで記したステッカーを
治具として用いつつ、脚を接着している図。
屋根のような曲面上に罫書くのが苦手なので多用している工法です。
当然のことながらステッカーを貼ってない側からごく少量の流し込みタイプで仮止めをして、
ステッカーを剥がした後に全体へ流し込みタイプをしみ込ませて本固定とします。


いきなりですが歩み板を載せた完成後の様子。
ゲタ履きタイプは歩み板がベンチレーター等と似た明るいグレーで塗り分けられていた模様です。


厚みがあるタイプはGMのランボードの幅をやや詰めて使用しました。
深い屋根Rに対応できるよう傾斜がきつめなので、これもカッターで調整してあります。


完成後の様子。
こちらのタイプは屋根と同じ絶縁材が貼られているのか、周囲と同じ色だったようです。

なお、このランボードの仕様差は概ねS39年製造分を境に変更されているようで、
初期タイプがゲタ履き、後期タイプが厚みのあるタイプです。
今回のプロトタイプはモハ6014(S38製)+サハ6614(S42製)+モハ6114(S41製)+クハ6514(S38製)という
編成で、各種資料よりS38製造の6014はゲタ履きタイプ、S41製造の6114は厚みのあるタイプ
なのが確認できています。
色々資料を見ると少なくともS40製造の6112は既にこのタイプに切り替わっていましたが、
正確な切り替え時期は今後も要研究といったところです。


パンタ台はレール方向に長いタイプだったようです。
使うパーツにはずいぶん迷いましたが、最終的にボナのP-132(パンタ台座B)と
P-137(AU712クーラー台座103系用:プラ切削パーツ)を組み合わせて作りました。
P-132はおそらく京王2010あたりの4本足で浮いているパンタ台を再現するパーツですが、
試しに足を曲げてみたところ強度的にかなり心許なく、微量のハンダを流して補強する
作戦もうまくいかなかったので、上面のみ使うことにしました。
台座は屋根板のRに密着させるうえで好適なものを探した結果、
手持ちのP-137(よくたまたま持っていたなと)が好適だった次第です。

AU712クーラー台座にはP-141(113系用)もありますが、切り出す向きの都合で
サイズが合わないため、この用途には103系用が適しています。
パンタ台も屋根布とは色が違うので、予め別塗りした後、配管の色差し等がすべて終わってから取り付けました。


ヒューズと避雷器が今回の工作上最も苦労したところです。
ご覧の通り下に配管を通すために高く持ち上げられており、華奢な脚を再現する必要があります。
とはいえ触った途端に壊れるようでは困るので、強度を考慮すると自ずと金属素材が
前提となり、今回はKSモデルのt0.15mm幅0.4mmの洋白帯材を材料にしました。

ご覧の通り、脚と台座、脚と屋根板はφ0.2mmの真鍮線によるピンを通して固定してあり、
一定の取付強度を確保しました。
ピンには予めハンダメッキをしておき、脚と、碍子に見立てた割ピン(輪っか状のもの)
を通した状態でコテをあててハンダを溶かして固着させたのち、プラ材で組み立てた
ヒューズ本体を差し込み固定+瞬着補強しました。
脚と屋根板を貫通させるピンの頭にはカラー瞬着パテを盛り、
表面張力で丸まった様子がボルトの頭に見えるよう工夫しました。

避雷器は種車のものに、前述の要領で碍子表現を加えた上で流用しました。


脚の材料となる洋白帯材は、
ハンダで数本分を仮止めしてからまとめて折り曲げガイド彫り、ポンチ打ち、穴あけを行いました。


幅0.4mmにφ0.25mmなので数字の上では0.15mm余裕がありますが、
幅の中心に開けることを考えると片側あたり0.075mmしか余裕がない事になり、ボツの嵐。
6月半ばから7月いっぱいの間、ずっと改良してはやり直しの繰り返しでした。
個人的な感覚からすると、最初の画像のようにたくさんまとめすぎると
曲げの精度が怪しくなりがちで、2~4本程度にとどめたほうが結果的には早く終わりました。

穴開け後はハンダゴテを軽く当てると仮止めしたハンダが溶けて
勝手に分解してくれます。


ヒューズに入るV字状の部材はこのようにプラ材でかさ上げしてあります。

この画像を撮った段階では脚とヒューズ本体を瞬着で芋付けしていましたが、
さすがに強度的に無理があり、前述したピンを貫通させる構造に変更しました。


クハ6514の誘導無線アンテナ(送信側)は、KATOの京急2100用を使いました。
プラ材で台座を設けて穴を開けておき、車体塗装後に取り付けています。
受信側は今回のプロトタイプと種車製品で向きが逆だったので、
プラ材とランナー引き伸ばし線で自作して交換しました。

配管は母線よりやや細いφ0.3のアルミパイプで、中から出てくる細い線は
インフィニモデルのφ0.1真鍮線です。送信側アンテナへの引き込みは
二手に分かれるよう根本を半田で固めてあります。


受信側は単なる筒状ではなく長円状なので、カラー瞬着パテで適宜整形してあります。


ベンチレータはガーランド型を真四角にしたような独特の形状で、
当初より3Dモデリングを前提に考えていました。
すっかり広まったデザインスパークで設計→DMMの出力サービスを
利用したものです。
レール方向に延びる4本の足に載った形状なので、はじめは
そのまま出力しましたが、ベンチレータ本体の積層痕に
ペーパー掛けする際に邪魔なことと、そもそも強度的に
無理があり折損が相次いだことから、これはボツにしました。


脚が収まる凹みをベンチレータ本体に設けておき、
脚自体はエバグリのプラ材で別添えする構造に落ち着きました。

重厚感アップと、上からグレーを塗っても通風孔の凹みに
影が残ることを期待してウルトラモードの黒着色で出力したものですが、
積層痕がやや目立ち、結果的にこれも使用しませんでした。


設計はそのままにエクストリームモードで出力したものが決定版になりました。
ただし、ご存知のようにエクストリームモードは先日サービスが終了してしまっており、
多少多めに出力はしておいたものの、今後は要検討となりそうです。

エクストリームモードでも積層痕は出ますので、
#400→#600→#1000の順でウェーブのスティック紙やすり(ソフトタイプ)を当て、
各部のエッジを崩さないよう注意しながら平滑に仕上げていきました。


なお、ランボードの形態差と同じくらいのタイミングでベンチレータにも形態差が生まれています。
真四角なタイプは初期型に多く用いられ、今回はS38製の先頭車2両がこれに当たります。
後期型は一般的なガラベンに2本の足を生やしたような見た目で、
通風孔のディテールを揃えるためにこれも3Dモデリングにて用意しました。
後期型のみで構成された編成を作るなら市販のガラベン加工でもいいかもしれません。


未だに3D出力品の洗浄ノウハウが未確立ながら、あるお店から教わった
ガイアのレジンウォッシュによる洗浄で今のところ不都合なく上塗りできています。

脚はエバグリのt0.25×幅0.5のプラ帯材を短く切ったもので、クレオスの紫キャップを
流し込んだのち、隠れる部分に微量の液状瞬着を流して固めてあります。


1基あたり8コを延々と繰り返します...
後期型(1基あたり4コ)を交えた編成にして良かった...

塗装編につづく。

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