小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

足柄平野のいずっぱこ。その1

2022年04月07日 00時03分25秒 | 地方私鉄
※雑談多め。斜め読み推奨。


2019.11 小田原にて(2019年末の記事より)

5社が交わる交通の要衝・小田原において、大雄山線は比較的影の薄い存在と言えるかもしれません。
とはいえ伊豆"箱根"鉄道という名前のとおり、東の近江鉄道とでも言いたい西武系中小私鉄の一角を担う路線であり、
緑町付近の半径100mカーブに由来してか全列車が自社発注電車で賄われる不思議な魅力を持った路線でもあります。

かねてよりじっくり訪れてみたいと思っていたのがコロナ禍で延び延びになっていましたが、
小雨ちらつく3月の寒い一日にようやく訪問が叶いましたので、そのあたりのはなしから始めたいと思います。
話の流れとしては訪問をきっかけに模型が欲しくなり…というのが綺麗なのですが、
実際には模型が作りたくなったのが先で、自分の住む県で実車が現役ならば見に行かない手はない…というのが本当の所です。


2022.03 小田原にて

大雄山線は5000系全7本(鋼製車1、SUS車6)で運用されていますが、もちろん常に全編成が走っているわけではなく
大雄山の車庫でやすんでいたり、東海道線三島経由で駿豆線大場工場へ検査入場していたりします。
すなわち、今回のお目当てである鋼製車がうごいているかは訪れてみないとわからないわけですが、
お出かけを画策していた日の朝、布団の中で「大雄山線」でリアルタイム検索してみると
偶々同好の士が同線を訪れて鋼製車を見かけたとの写真をアップしているではありませんか。

近いとはいえ頻繁に訪れる余裕もないので、千載一遇のチャンスととらえて
雨の予報も厭わず一路小田原に向かい、期待どおりのご対面を果たしたのが上の写真です。
いかにも昭和50年代らしいマスクと、車齢38年ながら大事に使われてる様子がうかがえる状態の良さが印象的です。
電車は所詮モノとはいえ過酷な運用に耐えるクタクタ・ぼろぼろな車両は見ていてつらくなるし、
手入れが行き届いた車両は見ていて和むものです。
大雄山線は路線が短いこと、あまり速度を出さないこともあり車両たちから受ける印象ものんびりムード。
小田原でとなりを忙しなく行き交うJRのE231・233がモーレツに働くエリートサラリーマンならば
こちらはマイペースにわが道をゆくのんびりやさんといった雰囲気で、
すぐぼろぼろになるぼくにはそれもまた、癒しを感じる理由のひとつなのかもしれません。


2021年春ごろ

さて、模型の話です。
実は去年のいまごろ、あまぎのキットを買いました。
もともと関心のあった電車でしたが、あるときたまたま同社ホームページの組み立て見本を目にして
ディテール一辺倒の工作とは一線を画したモノづくりも面白いかもしれない…と思ったのです。
ご存じの方も多いと思いますが同社の組み立て見本は抜群に美しい塗装が印象的で、
ディテールや時代考証に凝り固まった頭には多くのヒントを与えてくれる存在です。

とはいえ、です。
組み立て見本は美しいものの箱を開けて前面パーツを眺めてみるとHゴムモールドは甘く
窓そのものの輪郭も左右で対照になっていないような…。
おおらかに楽しみたいと思って買ったキットですが、
そのまま組み立てても完成後に気に入らなくなるのは必至に思えました。
結局、サフで肌を整えつつ窓周りを納得いくまで修整した様子が上の画像です。
裾のステップは塗り分け線との位置関係が微妙なので、まだ手を付けていません。


続いて車体本体。
こっちはこのデッサンをもともと承知でした。
ただ、製作にあたって実車の写真を集めるにつれてどんどん実車が好きになり、
いつもの悪い癖で可能な限り実車のとおりに作り込みたい欲が…。

仮にちゃんとやるとすると
・乗務員扉周りの作り替え
・客扉窓の左右削り拡げ
・車体裾を帯材で継ぎ足し
・妻面は全面的に自作

あたりが必要と思われ、果たしてこの車体でそれをやるのが妥当か迷いが生じました。


2022.03

そもそも実車は戸袋窓や裾絞りのない、至って単純な車体形状であり
結局ごらんのとおりプラ板自作でまとめてはどうか、という結論に至りました。
但し前面は複雑な形状をしていることから無理をせずあまぎの前面を流用しました。
うるさいことをいえば全体的に丸みが強すぎる感がありますが、
技量以上の追及をして頓挫するよりは確実にカタチになるほうを選んだわけです。

罫書き~窓抜き工程はうっかり写真を撮り漏れたので、
仕掛りの上毛デハ181を参考程度に載せておきます。
読者諸兄には釈迦に説法と存じますが、側板は縦に並べてまとめて罫書きをおこないます。
窓抜きは隅Rをドリル刃で開ける工法が一般的ですが、これはドリルの位置決めが非常にシビアな一面もあります。
なので、今回はR部分を斜めに抜き(今回の客窓なら八角形に抜く)、丸ヤスリでRをつける工法を採りました。


前後しますが、車体外板はタミヤのt0.3プラ板を用いました。
ドア周りの肉厚具合がちょうどよいためですが、薄板なので後述のような補強をしっかり行い、
板というよりはブロックのようになった厚い部材を箱状に組み上げるイメージで製作しました。

客扉は一般的な押さえ金窓より窓の天地が小さいように感じていましたが、
実車を測ってNゲージ寸法に換算するとトレジャーの国電用がぴったり寸法だったので、これを用いました。


本来トレジャーの扉パーツはプラ車体をドアの形にくり貫いてはめ込む用途のものなので、
今回のような薄板で自作した側板への使用には若干の工夫を要しました。
具体的には車体の肉厚がないので裏から貼る構造にする必要があり、
外板の開口部は扉パーツの外寸よりわずかに小さくなるようにしました
(但し結果的には実車の寸法からするとほぼスケール通りの開口寸法です)

これで扉が開口部から抜け落ちる心配はありませんが、ノリシロが非常に少なくなるため
固定にも一計を案じました。
まずは、ごらんのように扉の裏側にt0.2のプラペーパーを貼りました。
外板にはt0.5で裏打ちを行ってあるので、これと厚みが揃うようにしたわけです。


その上にプラ角材を接着することで、補強・床板支持・扉保持の3つの役割を担わせました。
側板・妻板間の接着にあたってもプラ角材を効果的に活かすよう努めましたが、
側板上部は屋根板リブとの干渉を懸念してごらんのような構造にしてあります。


前面~屋根はホワイトメタルとプラの継ぎ目ができるので、
強度を考えて前面側のノリシロは活かしました。
屋根板への切り欠きは、先にかるく輪郭をスジボリし、
カッターの刃先を寝かせて薄く削いでいくと簡単につくれます。


プラキットの組み立てとおなじように、L字→口字の順で組み立ててゆきます。


屋根板を固定して、箱になりました。
今回はGMの国電201系用の屋根を短く切って使いました。
前述のとおり側板はt0.5で裏打ちしてありますが、これを屋根裏のリブにぴったり沿うように
接着すると概ねスケール通りの車幅になります。
若干屋根左右が余りますので、適宜やすりをかけて寸法調整→肩Rを整えておきます。


気が付けばGMの201系が大好きな人みたいになってるw
バルクで屋根板を買い集めるよりもIMONとかでキット丸ごと買っちゃったほうが
塩ビシートや床下機器も手に入ってお得…という理由からです。
ボナの営団5000、国電103-1500、301系…とGM201系の屋根を用いる対象はたくさんあります。


さくさく形にして3両箱組み完了の図。
きのうTwitterにも書いたけど、都会の電車好き好きマンやってると編成が長くてしんどいのね。
今回の大雄山線は短編成をじっくり作り込みしたい!という欲求の発露でもあるのです。


ドア周りはこんな感じで。
まだ若干整形不足なので追々仕上げていきます。
抜いた断面をごく軽く面取りして実車みたいな丸みを付けてあげたいなと考え中…。

窓枠は案外出っ張りが小さいので、インレタを自家発注して仕上げようと思っています。


床板は実車登場時の文献によればキーストンプレートを用いたとのことなので、
エバグリの波板にマイクロエースのジャンク床板から切り出したボルスタをはめ込みました。

車体側の床板支持部材は乗務員室仕切りの位置で切り、艤装段階でここにぴったりはまり込む
仕切り板を取り付けるつもりです。強度を保ちつつ垂直に付くかなという期待。


台車はマイクロエースのFS372を使います。
西武3000系を作った時に
配管無しの妻ガラス欲しさにジャンクの中間車を何両か買っておいたので、そこから流用しました。


軸距を考えて動力は鉄コレ用で。
車体側もそれに合わせて高さ調整の爪を付けてあります。
トレジャーの動力すっきりキットでモーターやウエイトを隠してやろうと計画中です。


うまく撮れませんでしたが、編成にしたらちゃんと車高は揃いました。よきよき。


ディテールがない状態で車体コーナー部の継ぎ目をガシガシ仕上げました。
いつものようにウェーブのヤスリスティック(ソフトタイプ)で#400→#600→#1000まで使いました。
車体にかなりの強度がある事、ディテールがまだない事から遠慮会釈なくヤスリ掛けができ、
車体の平面や角はわりとしっかり出せたのではないかと思います。

その後雨樋をt0.2プラペーパーの細切り・縦樋をエバグリのt0.25×0.5プラ帯材で再現しました。
注意が必要なのは前面上部を枕木方向に走る雨樋で、これは前面と屋根の継ぎ目だと後ろすぎます。
実車をよく見るとオデコの奥行きはさほど長くないので、メタル前面の上に瞬着で固定しました。


妻板の様子。
実車は両先頭車がもともと貫通扉を付けていたので向かって左に戸袋窓・右に二段窓、
中間車は左右とも二段窓です。
前述のあまぎキットは全妻板が左右とも二段窓になっており、貫通扉と妻窓のバランスにも
疑問があったので自作に踏み切る大きなきっかけになりました。

妻面は縦樋と幌枠に挟まれる格好になるので、インレタによるHゴム表現はやや転写しづらいことが予想され、
定石通りプラペーパーによる凸表現としました。
幌枠は正確な形状で表現するのが難しかったので、トレジャーの新型国電用を貼り合わせずに用いました。
下で実車の写真を挙げますが、貫通路両脇の手すりが強度を保って表現できるのがミソです。
幌と渡り板もトレジャーの新型国電用です。私鉄電車は750mm幅の貫通路がよくあり
国電用を用いると僅かに大きいジレンマがつきものですが、今回の伊豆箱根は実車も800mm幅であり好都合でした。


車内から眺めた妻面(中間車から大雄山方Mcをのぞむ)
見えづらいですが、貫通路左右の車内側のほか、その奥にも左右に手すりが付いています。


車外から眺めた妻面戸袋窓。
今回はデビュー当時を再現するので、西武2000のような金押さえ窓の貫通扉が付きます。


車外から眺めた二段窓。
西武新101のような、窓周囲のテーパーが印象的です。
わかりづらいですが今回の作例でもこのテーパーを再現してあります。


雨樋は僅かに屋根肩Rに載っていますが、西武101ほどではなく、雨どいが外板表面より出っ張っています。


大雄山線は俯瞰できるポイントが少なく、大雄山駅横のショッピングセンター?を除けば
和田河原~富士フイルム前にある歩道橋が唯一と思われます。
ただし、大雄山行きの場合ちょうど加速していくポイントにあたり、ぶれてしまいました。


なので、折り返しは歩道橋反対側から。
前述のとおり、オデコの奥行きは案外薄いことがわかります。
また、全体的に案外四角いこと・前面裾のステップは後退角とは関係なく植わってることもわかります。

※公道から撮影。通行には充分配慮し、邪魔にならないタイミング・場所から撮影しています。


西武系だなあと感じるポイント。
東洋電機でなく、工進精工所のパンタなのですね。


SUS車のうち、後期グループは側面にLED表示器が付いていますが、ビード端部の処理が面白い。
丸っこく処理されてることが多いですが、これは切りっぱなしで、開いた穴ぼこに線材みたいなのが差し込んである。


2018.11 河内長野にて
すきまフェチだから、南海電車のNANKAIロゴプレートを思い出した。
こっちもコルゲートの凹凸に詰め物がしてあります。


和田河原駅周辺は小さな水路がたくさんあって趣のある情景を作り出しています。


ところによっては2017年建植といった新しい架線柱も見られますが、
相模沼田駅構内はこんな古めかしいのが残っています。


構内踏切も現役。
味わい深いミニ路線ののんびりやさんをじっくり作り込んでいきます。

つづく
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