小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

赤い青電をつくる その1

2024年05月28日 22時20分21秒 | 京成電鉄
あけましておめでとうございます(?)
2024年最初のブログ更新です。
Xにも書いていたとおり、工作初めは京阪5000だったのですが、
以下に示す通り1月末に偶然イエロートレインの京成210(※)キットを入手し、
以後黙々とこれを作り続けた半年となりました。
備忘録も兼ねて一度記事にまとめてみたいと思います。
いえ、むしろ備忘録がメインかもしれません…

※正確にはクハ2000・2100・モハ210となりますが、以下、便宜上210と総称します。


2023.01
個人的な思い入れを長々と綴れるのがブログの良いところ。
というわけで、キット入手の前段階の話からはじめたいと思います。
コトの起こりはイチカワさんが2016年に作られた210をブログで拝見したこと。
リアルタイムでは読んでいなくて、何かのきっかけで検索して行き着いた記憶がありますが、
ともあれモデルアイコンのキットを使って美しく仕上げられた青電は2灯化されたおかげで
やたらつるんとしたオデコがえも言われず愛らしく、ぼくも作ってみたい!となったわけ。

タヴァサやらamazonやらで同キットをかき集めつつ、210を作るのに必要な切り継ぎパーツが欲しい旨、
Xでつぶやいたところ、相互フォローさせていただいている方からパーツ他仕掛品一式をお譲りいただきました。
この画像にあるのはその仕掛品で、これをもとに復活青電の編成を1本・新規にクハ2008を含む編成を1本作る気で居たのですが、
2022年に着工していた新京成250を先に進めることにしてひとまず大事に保管していました。


2024.01
時は流れて今年1月の或る深夜のこと。
いつものように仕事から帰宅して遅い夕食を済ませ、やれやれとXを開くと
確かハボフさんのポストだったと思いますが、クルクル(※中古屋の名前)でイエローの210キットを見かけたとの情報。

前述のとおり210はアイコンのキットで作るつもりでしたが、
エッチング抜きのサッシが魅力のイエローキットも是非作ってみたい、とは思い続けていました。
かつて、同じくイエローの3500を発表させていただいた京成電車完全ガイドの巻末にあった組立見本の写真が強く印象に残っていたのです。
というわけで、欲しい。是が非でも欲しい…
具体的にどこのクルクルかまでは書いていませんでしたが、調べてみるとそもそも相模原と秋葉原の2店舗の模様。
ハボフさん…たぶん相模原に通い詰めてはいらっしゃらないのではないか…と自ずと秋葉原店と推測し、
翌日、午後出勤なのを幸いなことに開店時間目掛けて秋葉原店へ突撃することにしました。

翌朝。
もしもなかったらないでご縁がなかったと諦めるまでだ…などといろいろ考えながら
末広町駅から歩いてたどり着いたクルクル秋葉原店。
店頭のガラスケースを眺めると…あったーー!!
内心、プレミア価格だったらどうしようとも思っていたのでほぼ定価なことに安堵しつつ
とはいえ冷静に、一応中身の点検をさせてもらうよう依頼し、問題ないことを確認して
やれ嬉しやと購入した次第。
調べてみると2008年のJNMAで発売されたキットなので、気付けばずいぶん昔のキットということになります。
いまさらになっての入手はほぼ諦めていましたが、長生きしてみるものだと思います(?)


2024.02
ちょうど箱組まで済んだ京阪5000は妻面の資料不足にぶつかっていたこともあり、
念願の京成210に着工してみました。
まず先頭車を眺めていてやんわりおぼえた違和感は
どうやら最前部の客窓が800mm相当になっていることに起因するようです。
厳密にはクハ2008(左)はスケール通りで、2109(右)のほうは700mmが本来の寸法みたいです。
乗務員扉~客扉間の寸法は合っているので、単純に窓の幅を100mm分狭めればよい模様。


というわけで、狭めた。
この時点ではキットのロスト前面を使うつもりでいたので、ハンダ付けで組み立てる都合上
窓埋めにプラを使うことは考えませんでした。
また、後々サッシを裏貼りする都合上なるべく車体と同じ板厚のほうが望ましいので、
上の画像にも写っている折り曲げ車体の余白部分を小さく切って整形→裏から少量のハンダを流して固定しました。
当然裏表ともヤスリスティックで平滑に均し、窓隅のRは丸ヤスリで整えてあります。


窓幅が変わることでサッシの手当ても必要になりますが、幸い幅狭貫通路の部分の妻窓が700mm幅です。
しかも若干余分に入っており、保護棒さえ付ければ流用できそうとわかりました。
他のサッシと保護棒の質感が揃うよう、材料をいろいろ検討したところ
トレジャーの103-1200用手すりの乗務員扉脇用をカットするといい感じだったので、
これを裏から半田付けしてあります。

余談ながらサッシ下段などにハンダが流れるとキサゲが面倒でした(右の2枚)
そこで、たまたまその頃いんばいとさんのブログで目にしたテクニック
(ハンダが流れて欲しくないところをマッキーで塗りつぶしておく)を用いたところ面白いくらい綺麗に固定できました。
固定後は当然マッキーのインクは落としますが、これはツールクリーナーを使えば一発です。


続いて前面です。
深いオデコの感じが割と好みなんですが、ディテールという面ではあちこち実車と違う模様です。
ロストゆえ大規模に切った貼ったするのも気が進まず…最終的にアイコンのキットから前面だけ
流用して、それも納得がゆくまで徹底的に加工してみることとしました。
アイコンのキットベースでも作るつもりなのだから、ここはイエローの味付けを活かしてみても
良いのでは…とも思いましたが、いまできる最高の210を作りたいとの思いが勝りました。


アイコンの前面は2000と2100の違いも作り分けているので、ベースも使い分けました。
外板から一段凹んでHゴムが付く様子は再現できているものの、Hゴム自体の凸は控えめで
色差しの時てこずることが懸念されます。
イチカワさんの真似ではめ込みガラス化することも検討しましたが、
ワイパー基部の兼ね合いも検討した結果、元のHゴムを削り拡げ→t0.5で一旦埋め込み→t0.1で
Hゴムを再構築→真ん中をくり貫いて完成という工法を採りました。


幸い必要数に対し多めの前面があったので、
上手くいかなかったらはめ込みガラス工法に転換しよう…との安心感のもと
わりと強気で工作できました。
窓下の凹みの具合、貫通扉脇の手すり位置、アンチクライマ―など2008と2109で違う部分も最大限作り分けました。


アンチクライマ―はモールドがやや乱れていることもあり、
イエローのモハ200や新京成の余剰パーツを流用するつもりでしたが、
意外と精度を出すのが難しかったため元のモールドを最大限整形するに留めました。

角型尾灯はおそらく3500あたりと同じ汎用品ですが、意外と良いパーツがありません。
前作の新京成553編成もこのパーツですが、迷った末イエローのロスト製角型尾灯でお茶を濁してました。
ただ、仕上がってみるとやはり雰囲気が若干違うのは否めず…
今回の210ではじんじゃーさんの東急8500を参考にトレジャーの角型尾灯のリムを使ってみました。
やや小さめのサイズ感とリムのエッジ、それから小さなヒンジが再現できるのがミソです。

このパーツ、使ってみるとわかりますが説明書通りに折り畳んで用いるのは至難の業です。
従って表面側のみを切り取って使い、厚みを出すのはプラ材に委ねました。
今回は後退角がある箇所に付くためGMの国電101キットのランボードを用い、
Mr.セメントSPを塗布してプラが柔らかくなったところに洋白のリムを圧着してあります。
仕上げ段階で薄く削いだレンズを添えれば案外それっぽくなりそうですが、
急行灯を光らせたい場合には使えない手法ですね。
相鉄2100~新6000~5100~7000あたりも同じ尾灯ですが、マジ悩ましいです。


2024.03
車体と前面が寸法的にマッチするのは事前に確認済みなので、
さながら木に竹を接ぐかのような工作は案外スムーズに進みました。
乗務員扉の前はプラ角棒を挟んで調整するとほぼスケール通りになるみたいです。
唯一、オデコは高さが合いませんがここは裾に合わせて固定してしまいます。


段差をポリパテで埋めた図。
プラ板積層ブロックで調整する手もありましたが、なんとなーーーーく
本当になんとなーーーくアイコンのプラ前面の材質とタミヤのプラ板の材質の
マッチングに一抹の不安(継ぎ目がひけてくるとか)があったので、珍しくパテを使った次第。
キッチンのキット説明書でよく推奨されているポリパテ、じつは初めて使いましたが
食いつき・切削性とも◎で上々でした。削り粉のにおいがすごいのでゴミ袋の上で削ることをおすすめします。
あと、これは盛り方の問題かもしれませんが意外とス穴が目立つので、
新京成のときお世話になった"薄めたベーシックパテ"で埋めてあります。


前面を裾合わせで固定したのは、オデコのこんもり感こそがチャームポイントだと思うため。
ご覧の通りアイコンのオリジナル状態よりだいぶ頭が丸くなりました。かわいい。


さくさくと箱組みを進めていきます。


2008(左)もおでこをこんもりさせますが、2109よりは左右のRがきつく前後のRが緩くなるよう調整しました。


こんな感じです。
前から見ると2008のほうが丸いですが、斜め~横から見ると案外平べったいのですね。
そっくりさんに整形されてますが、そもそもルーツがまるで違うのでいろんなところに差がありますね。


2008だけ車高が低く見える写真が多いので、模型でも差を付けてあります。
床面高さは実際に50mm低いようですが、写真によっては車体裾が揃って見えるものもあります。
一番目に付くのは雨樋の高さが揃わないところなので、それを強調してみたというところですね。


前後しますが、床板とその固定はこうなっています。
キットの説明書では鉄コレの床板を流用することになっていますが、
これだと凹の字型の断面形状ゆえロングシートが奥まってしまうので、新京成250と同様自作しました。
新京成のときは様々な理由からt0.5を貼り合わせましたが、やはり剛性不足が否めず
平面性に難あり(前後方向に反りがち)だったので、今回はt1.2の一枚板としました。

車体側は側板裏側にt0.5を裏打ちし(ゴム系で仮止め後瞬着で本固定すると位置決めしやすい)、
エバグリの1.0厚×2.0幅の角棒でリブを設けました。
このリブによってボディ左右方向の剛性が大幅にアップするほか、ロングシートの取付台座(蹴込板)にもなります。
客扉の部分はリブを途切れさせたほうがリアルですが、床板を支えるうえでは
通しのほうが強度的に良いのは想像に難くなく、結局そのままです。
余談ながらこのあたりの思想はTMS893号(2016-6)の東武7800から大きな影響を受けています。
モデルワムのキットを用いた16番の作品ながら、その考えかたは他スケールにも応用が効くように感じました。

台車の固定については新京成553編成と同じ構成です。


動力は新京成に続いてGMのコアレスモーター動力を使うので、
こんな感じで受けを作ってあります。
新京成の時はクロポの専用アダプターを用いましたが、構造上
動力を脱着するときに車体を少し拡げる必要があるのですね。
妻板のコーナーとかが割れてこないか割とヒヤヒヤしたので、
今回は動力にボディを被せるだけで良い構造にしました。


車体内寸と動力外寸の差は2mm=片側をt1.0で裏打ちすればよいように思いますが、
接着剤の厚みや工作上の誤差でギチギチになる未来が見えたので、
t0.5とt0.3を貼り合わせたところ良好な結果となりました。

車体裾はTMS980(2023-9)掲載のクモヤ440/740を参考に外貼り・内張り・裏打ちの段差を
黒瞬着で埋めて平滑に仕上げてあります。
主たる目的は車体裾からの塗膜剥がれ防止でしたが、実際に仕上げてみると
市販のプラ一体成型ボディのようなカッチリ感のある見た目となる美観向上効果も大きいようです。


クハ2109のKS110台車について検討中の図。
GMのKS116Cをコイルバネにするのが近道なように思える一方、なんとなく寸詰まりで腰高なのが気になる。
鉄コレのTS104は細かなディテールは異なるけど、どっしりした感じと肉抜き穴が良い感じ。
ブレーキシリンダーを流用したいFS103を並べてにらめっこしましたが、まだ答えは出ていません。


クハ2008のFS28はアイコンのキットから流用、モハのFS365はGMのFS345で決まりです。
前者はちょっと腰が低すぎる気もするのだけど、好みなので良いかなと。
むしろ軟質プラでないことによる軸受け部分の削れを心配したほうが良い?


パンタ台はブロックを積み重ねたような印象なので、綺麗なエッジが出るよう自作しました。
上段はt0.5プラ板ですが、下段は屋根RにフィットするようボナのP141(AU712台座113系用)を加工したものを用いました。
パンタはTOMIXのPT42FN2です。


配管は例によってキットのエッチング抜きのパーツは使わず、
φ0.3のアルミパイプを敷設しました。
パンタ台とランボードに挟まれたスペースに収める都合上、
配管止めは母線用ではなく空気配管用(トレジャーの配管止め2)を用い、
穴をφ0.2→φ0.3に拡大してあります。

また、車体コーナーを仕上げる過程で妻板と屋根の間の丸み不足が気になったので、
枕木方向の雨樋を一旦削り、しっかり丸みを付けて削った後プラペーパーで再生しています。


ランボードはキットのパーツだと若干格好が悪い(新京成250参照)ので、
歩み板のみを使用し脚はトレジャーの東急7200手すりに置き換えました。
完全な等間隔でないところがミソで、精度を出すために以下のような方法で製作しました。


まず歩み板がランナーに付いた状態で脚の位置にハンダメッキします。
ご覧のように位置決めが容易な状態です。


続いて手すりにフラックスを塗布し、ピンセットで摘まみながらコテで加熱すると
さっきメッキしたハンダがジュッと溶けて手すりが固定されます。
治具を用いずフリーハンドで手すりを摘まんでいるので傾きに注意が必要ですが、
そのことを除けば案外簡単でした。


地味なところではカプラーを使い分けています。
実車はTc+Mのユニットを背中合わせに連結しており、TcとMの間は半永久連結器(模型では密連で代用)、
MとMの間は密自連(TOMIXの24系用=JC6387)なので、簡単ですが差を表現したわけです。


TNカプラーは台車との干渉を避ける都合上やや車端に寄せて付けてあります。
したがって連結面間がやや広めとなりますが、実車もここは通常より間隔が開いており幌の台座が目立ちます。
模型では0.5mmプラ角棒を枠状に組んで簡単に表現してありますが、実車はかなり厚みがあります。
幌は幅広がクロポの私鉄用、幅狭がトレジャーの私鉄用幅狭タイプです。
後者にはφ0.4アルミパイプに割ピンを刺した幌吊りを付けてあります。


乗務員扉脇の手すりは、クハ2109がボナのP646(富井電鉄2000=京王2010用)です。


クハ2008はタヴァサのPN443(クモハ52用手すり)です。
やや丸みが足りませんが、この時代の大栄車両製によく見られるやや頼りない手すりで、
新京成300などにも応用できると思います。


そんなこんなで塗装直前の図。
一部手すりは外してあります。


ブラスクリーン→クレンザーで軽く研磨→中性洗剤で脱脂ののち、フィニッシャーズのプライマーで下地処理を行いました。
続いて、下地の確認と発色用にナスカのピンクサフを吹いてあります。
余談ながらプラ前面にフィニッシャーズプライマーを用いると若干表面を侵すようで、
一部表面に小さなしわが寄りました(修正済みですが)
できれば手すりのみ筆塗りし、吹付するならあまり厚塗りしないほうが良さそうです。


車体肉厚部分の仕上がりはこんな感じ。
エッチングキット組み立てって感じがしないカッチリ感が良きです。
余談ですが前面と車体のつなぎ目はこんな風に補強してあります。


恒例の参考図書たち。
あれ、ぼく神奈川県民だよね…?ってなるくらい京成の本ばっか読んでる数か月です。

左から順に
1.私鉄の車両 京成電鉄(保育社/復刻版はネコパブリッシング)
安定の私鉄の車両シリーズ。
この巻はクハ2008とモハ219(?)の形式写真が載っているのほか、
金町線での俯瞰写真もあり資料性抜群です。

2.カラーブックス 京成(保育社)
これまた安定の資料。
すごくコンパクトだけど、どの鉄道の巻も著者がその電鉄本社の方
だったりして情報密度が高いです。
この巻では赤電への衣替え直後の2104編成や、モノクロながらモハ211の真横からの写真が資料性大です。

3.私鉄ハンドブック 京成(山と渓谷社)
廣田尚敬先生によるセンスの良いカラー写真を楽しんで
当時の情景を味わうのが一番の醍醐味ですが、
なかなかどうして模型作りの資料としても有用な写真が多い気がする。
この巻ならばクハ2008の正面(但し腰部が隠れてる)とモハ212の形式写真(カラー)と
クハ2100の連結妻コーナーの丸みが判る写真、それから数枚のインテリア写真がとても参考になります。
真横からの台車の写真もある。
ほとんどがカラー写真なので塗装や仕上げの資料性も大です。


1.ピクトリアル京成特集 No.787(2007-3)
この電車の資料としてはクハ2109(1976年=青電当時)の写真と、
特修後一番の晴れ舞台?八千代台→東中山での区間特急に関するコラムが見どころです。
ただ、それ以上に高度成長期~オイルショック後の本職の方による回想記事が
一番の見どころで、文中の見出しにもあるように戦後の大手私鉄において
稀に見る"満身創痍の時代"をうかがううえで貴重な資料だと思います。
今回作ろうとしているファイヤーオレンジ塗りは、まさにその時代の姿ですね。

2.ピクトリアル京成特集 No.632(1997-1)
同じく210の資料としてはクハ2008最晩年の形式写真と、更新直後のモハ211の形式写真がポイントです。
また、京成の車両全体に関する体系的な解説が充実しているのでつぶさに読み込んでみると面白いです。
クハ2100のオデコは名鉄3850の影響が及んでいるなど…

3.ピクトリアル京成特集No.486(1987-10)
ちょうど実車の廃車が始まったばかりの時代なので、京成特集の中では一番210の写真が多いです。
トップを切って廃車となったクハ2008編成の最晩年の姿を眺められます。
冬の時代から徐々に脱し始める頃で、これまた読み物としても面白い号です。


これらは野暮な解説などもはや不要でしょう。
この時代の京成・新京成を作る上であらゆる面で参考になる第一級の資料です。
常に工作机の横に携えておきたい。


1.鉄道模型趣味No.785(2008-9)
まずは表紙にもある16番の京成3000が工作上のお手本になりますが、
地味なところでは2008年…すなわち今回製作している210キットが発売されたJNMAのリポート記事に
同キットの完成見本がカラーで載っています。
ガレージキットは完成した姿をイメージできないまま製作をすすめるケースがありがちなので、
こうした完成見本を眺めるのはモチベーションを上げるうえでとても役立ちます。

2.私鉄電車のアルバム2A(高性能車の夜明け)
クハ2008と2105の形式写真があります。
特に2008の横がちの写真はあまり多くなく、貴重な存在といえます。
モハ210は3B(大量輸送時代の到来)に掲載されており、経歴の違いが反映されているのも面白いところ。

3.とれいんNo.420(2009-12)
青電全盛期のクハ2008の正面がちの写真と、
モハ218(216?)の連結面の写真があります。
特に後者は広幅貫通路側…すなわち半永久連結器側の様子をうかがえる珍しいアングルです。


お次はたぶん塗装編です。
つづく…
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2023年を回想しよう

2023年12月29日 20時34分25秒 | 雑記
今日から冬休み、というかたも多いのではないでしょうか。
ぼくは相変わらず盆暮れ正月関係ない人なので、きょうが年内最後のお休みです。
というわけで、恒例の1年を振り返るお時間です。


9月竣工:新京成250形(イエロートレイン)
未完成:小田急2300形(ボナファイデプロダクト)
今年の竣工両数はなんと4両!2015年の2両に次ぐ少なさとなりました。
ほんとは小田急を滑り込みで竣工させる予定でしたが、膨大な数のベンチレータのバリ取りに
気が進まず、焦らず年越しさせることにしました。


昨年末の記事に載せた画像。
1年かけて上記のところまで…もうちょっとがんばりたかったなあ。


前回記事で触れたとおり、初めて台枠を作り込んでみました。
感想としては、作っているときは楽しいのだけど全体のバランスとしてはもう少し控えめでも良いかも、といったところ。
特に今回はHゴムの色差しに若干の甘さがあり、無機質で然るべき箇所が無機質に仕上げられないのなら
むやみな細密化は控えたほうがまとまりが良く見えそうだ、とは感じました。
もう少し試行錯誤が必要なようです。

とはいえホワイトメタルの床下機器をぎっしり吊るして車内にこれまたホワイトメタルのロングシートを載せたので、
1両1両が阪急P6さながらの重量感で、ぼくとしては綺麗にできた塗装と相まってけっこうご満悦です。
次は1100と126を混ぜた6連を作ろうと思っています。


およそ同期とは思えぬ電車の並び。
極端に小さいドア窓が往年の激しい通勤ラッシュをしのばせます。


これまた同期とは思えぬ電車たちの並び。
こっちはあと1年少々で吸収合併するとのことで、西の泉北ともども私鉄マニアには
大きな時代の節目といった感がありますね。


おばきゅう、行先に途中駅を貼りがち。


Twitterにも書いていたように2023年は2300形の配管敷設からスタートしましたが、
2月くらいに窓サッシを紛失して一旦新京成を先行させた経緯があります。
結局年内に片付かなかったので、工作初めもまた2300でスタートすることになりそうですが、
アイボリーの塗膜の厚みや色差しのヘロヘロ加減など早くも幾つか不満が出てきており
もしかするともう一度追い抜かれてしまうかもしれません。

以下、買ったものの話。

GM 小田急1000形更新車(1091×10)

首をながーーーくして待っていたのでこれはうれしかった。
マニア受けの良さそうな1095や1096ではなく純正10連を出してきてくれたのもうれしい。
未更新ともども4062×10と同クオリティで仕上げる予定です。


気が付けばインペリアルブルーの小田急が増えてきました。
いい色だと思いますが、もともとロイヤルブルーだった形式はやっぱりロイヤルのほうがいい。
今後2000形をやる時はロイヤルブルーにしたいですね。


GM 小田急百貨店40周年記念電車(8054×4)

パーフェクトな8000形を作るにはどうするか問題が片付いていない中、導入するか迷いましたが、
自分で塗れない柄なのでお手軽に楽しむ用で買いました。
東急の"T"や相鉄の"S"に比べて小田急の"O"はデザインしにくそう(CIマークを見比べてもわかる)ですが、
このカラーはドアに輪っかを被せるというセンスの良さでまとまりの良さを見せています。

模型は方向幕が光る仕様になっていますが、付属のステッカーが光漏れしがち・
作例のように鳳のステッカーを貼っても今一歩といった雰囲気で、リアルな雰囲気を楽しむには工夫が要りそう。


小田急百貨店にまつわる電車2題。
電鉄会社のビジネスモデルに、また沿線住民の暮らしに百貨店が存在感を見せていた時代がしのばれます。

かっこいいお買い物電車の製作は20年来の夢ですが、そろそろいい歳になってきて
このまま夢で終わりそうな気配なので来年は何とかしたい所存。
ハセガワの艶消しゴールドフィニッシュを買ってあるので、あわよくば金帯はこやつで片付けられないかと
考えているのですが、果たして…


ポポンデッタ 相鉄20000系

何年か前に出た時は買わなかったのですが、なくなってから少し後悔したので
再生産を機に1本買いました。気が付けばあっという間に一大勢力を築き、
8連口の21000系と合わせて令和の相鉄の顔となった感があります。
模型はマイクロの9000リニューアル車がマジョーラ塗装を頑張っていたのとは対照的に
濃紺単色仕上げですが、実車のアイデンティティを別にすればこっちのほうがリアルかも。
ちょっとドア窓が細いような気もするけど、それ以上にドア周囲の肉厚感がちゃんと
再現されているので文句はありません。
昭和の相鉄をひととおり揃えたらこれも手を入れようと思っています。

それにしても、大和市桜森の電留線に東横線や埼京線が憩うようになるとはすごい時代だ。


TOMIX 205系埼京線

205系はGM完成品が好きっていう大山信者ゆえ当初は買うつもりがなかったのですが、
ドア窓の大きい後期型が大山から出るのは絶望的なうえ、前面の印象把握が改良されたことに
後押しされて買ってしまいました。晩年よく見られた少し青緑っぽくなってる前面帯が
再現されているのも良い。


※右端はGM完成品の武蔵野線を改造中のやつです。

ちゃっかり京阪神緩行の安い中古を押さえてあったりするのですが、
こうして見比べると前面窓~ブラックフェイス部分の天地バランスが若干変わっている。
ワイパーのモールドもダブルアームになっている。
昨年の72系全金車の時も書いたけど、こういう地味~~~な改良がちゃんとできてるのがすごい。
過去製品との整合性っていうジレンマは出ちゃうけど、ぼくはどんどん改良してほしいほうだな。


側面のスタイルとしては後期型のほうが均整がとれている感があるよねえ。
一方、模型の作り(ドア枠とかの感じ)はGMの彫りが深い感じがすごく好きなので、
この出来栄えで後期型が出て欲しかった…。


MGの表現。TOMIXの場合。


KATO 211系
元来私鉄電車・通勤電車メインでやっているので、中距離電車は付属編成だけで我慢!が
ぼくの中での不文律だったのですが…平屋サロの壮麗さにやられて15両編成、買っちまいました。
とはいえやっぱKATOの作るSUS車は美しく、満足感の高い製品です。
実車の好き嫌いもさることながら、模型としての出来栄えが良いことをきっかけに
買ってしまうことってありません?
欲を言えば乗務員扉裾の取っ手は省略~ユーザーがトレジャーのインレタで適宜対応、だったらなお最高だった。


これこれ。
ダブルデッカー全盛期に幼少期を過ごした割に、ダブルデッカーがあまり好きではないので
SUS車体にボルスタレス台車を履きながら、国鉄感がむんむんするこの雰囲気が好きです。


MGの表現。KATOの場合。


鉄道コレクション 名古屋市交100形

これも実車が大好きで待望の製品化でした。
丸っこくてシンプルな顔立ちにつるんとしたオデコ、屋根含めて鮮やかな菜種色。
さながらヒヨコのようで、輸送機械と言えども愛嬌のかたまりといった雰囲気です。
よくぞ出してくれました。うれしい。


サイズは違えど、ボディマウント構造や窓割りは同じ日立生まれの相鉄5000と瓜二つ。
模型の相鉄は2次車ですが、1次車ならばdD4D4D1という配置なので名市交と全く同じです。
高性能電車黎明期を代表するこれらの電車たちを、細密感よりは綺麗な塗装仕上げ優先でばちっと仕上げたいですねえ。


マイクロエース 西武 52席の至福
これまた模型の出来栄えに惹かれて年始のIMON創業祭で買ったもの。
テーブルランプが光るのが楽しい。
TwitterでまむめもNさんという、観光列車のインテリアをものすごい密度で作り込まれる方がいらっしゃるのですが、
あんな風に仕上げてみたいなあとぼんやり考えています。往年の車両を細密に仕上げるのとは違う楽しみがあるはず。


マイクロエース 西武E31
これは模型工作さながらの実車が好きで買いました。
jtrainのvol.73(2019春)で当時の関係者による座談会が掲載されていますが、
「なにかに使えるかも」で台車を買っておくエピソードが愉快ですね。
模型はひときわ小さいのですが、ちゃんと走るのがすごい。


同誌によれば重連でセメント列車を牽いたこともあったとか。へええーーー


電車と電機、同期の並び。
2019年の3000系以来ご無沙汰の西武電車、来年はそろそろかっこいい101系を作りたいところです。


今年うちに来たキットたち(の一部)
標準軌率が高めな気がしますが、これは狭軌で作りたいのは大体すでに積んであるという事実の裏返しでもあります。


鉄道模型趣味 No.977(2023-06)

昨年コンペに出した相鉄7000を掲載していただきました。
昨年末の記事にも書いたように、自分としては心残りな箇所が多々あるのですが、
現物以上に美しく撮ってもらっています。特にジオラマ写真は4両でとことこ行くさまがなかなか絵になっており、
もはや7連化計画は立ち消えになろうとしています。


鉄道模型趣味 No.984(2024-01)

相鉄と同時に出品した京浜急行1000も年内最後の発売号で掲載と相成りました。
こっちはあまり凝ったことをやっていませんが、キットの精度の良さに助けられて
それなりにそれっぽく見えている。
気が付けばあとは都営を作れば関東の大手・準大手私鉄は網羅できそうなところまで来ました。
次は関西に行くのか、関東を深掘りするのかはぼくにもわかりません。

・ ・ ・

ともあれ、2023年が終わろうとしています。
ご多聞に漏れず様々なことがあり、白髪が増えて猛烈なジジイ化の進行に困惑する一幕もありましたが、
4年ぶりのJNMA参加を筆頭に、今年もまた楽しい時間を味わうことができました。
自分なりにちょっと行き詰まりを感じていたり、いろいろな作品を拝見する中で、今までとは少し違う味付けのものを
作ってみたくなっているので、来年にはやや目先の変わったものをお目にかけるかもしれません。
気付けば28年目に突入するNゲージライフも、曲がり角を迎えているようです。

本年も、ありがとうございました。
良いお年をお迎えくださいませ。


来年は16番、やるのだろうか…
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開運号の生まれ変わりを作ろう その2

2023年11月14日 01時30分42秒 | 新京成電鉄

2023.09 竣工

Twitter(現X)でツイートしていたとおり、9月に竣工しました。
製作過程を随時アップしていましたが、文字数の制約もあったので
ブログで今一度振り返ってみたいと思います。
読者諸兄にもご経験があるかもしれませんが、こうして書いておくと
後で備忘録的に役に立つことがあります。


2023.02
前回記事を書いたのが2月下旬。
オデコの継ぎ目をパテで最終処理している工程でした。
その後仕上がり具合をチェックするために車体全体にフィニッシャーズのプライマーを吹付後、
ナスカ(ガイアノーツ)のピンクサフを塗布しました。


一気に実車のフォルムがイメージしやすくなってモチベーションがアップしますが、
この段階ではまだオデコにうっすら継ぎ目が見えます。
Twitterで何の気なしにぼやいたところ、関西の凄腕モデラー・マンディ氏より「タミヤパテを
流し込み系接着剤で溶いて使う」というアイデアを教えてもらいました。
早速久しぶりにタミヤのベーシックパテを買ってきて、タミヤセメント緑キャップで
ベチャベチャする程度に薄めて塗り込んだところ…


※ペーパー掛け・ピンクサフ再塗装後

おおーーーっ
綺麗に継ぎ目が消えました!
瞬着と比べて柔らかく、粉っぽく削れるのが功を奏した感じ。
実をいうとフィニッシャーズの緑パテなど新しい製品も試してみていたのですが、
思いがけず普遍的な方法であっさり解決しました。
勉強になりました。


2023.04

継ぎ目が片付いたところでディテール工作に入りました。
車掌台側の窓上には手すりがありますが、実車と見比べて位置が高いように感じたので
元の穴をランナー引き延ばし線で埋め込み、わずかに下へずらして再度穿孔しました。
幌はイエロートレインのMP-816(通常の私鉄タイプより左右の耳が低い位置にある)で、
幌吊りはφ0.3アルミパイプにφ0.6の筒を被せたモノ、フックは割ピン、台座はトレジャーの幌吊りパーツ付属の
エッチング板だったと思います。

乗務員扉脇の手すりはキット状態だと東急製の251編成に準じた位置に穴がありますが、
大栄製の553編成は手すりが一回り小さいため、上記手すりと同じ方法で位置を修正しました。
乗務員扉上の水切りはランナー引き延ばし線です。


加工前の手すり穴の様子。
この段階まで気付きませんでした。
よく観察することの重要さを痛感した次第。


モハ253と254の間は幅狭貫通路となっています。
貫通扉が付く254にも手すりを付けてしまいましたが、
その後見た資料の情報を総合すると、恐らく実車はこの面には手すりが付かないのが正解だと思います。


パンタ周りは資料が乏しかったため、キットの説明図を参考に主要な配管を付けるに留めました。
おそらく本来、車体中心線上に鉤外し線が走るはずですが、今回は省略しました。
いつもどおり配管はφ0.4のアルミパイプ、配管止めはトレジャーのエッチングパーツです。
モハ253(254)そのものの屋上写真は入手できませんでしたが、同じ大栄製で
年代が近いモハ200の屋上資料を見る限り四角い配管押さえを使っていたようなので、大きな相違はないと思います。
ランボードはキット付属の洋白エッチングパーツですが、干渉する箇所の配管押さえを
削り忘れたまま配管を固定してしまい、止む無くランボード側に切り欠きを設けて対処しました。


角度を変えてもう一枚。
仕上げ段階で判明しましたが、パンタへの引き込み部はリード線を差すなどして
一回り細くしたほうがよりリアルかと思われます。


パンタ台は前述のモハ200を見ると段の無いブロック状のタイプだったので、
ボナのP-147(旧型国電用)を用いました。
ベンチレータ台座はトレジャーのTTP222-03で、グロベンにTOMIXのPB104を使う前提としました。
近年、GMのEVOシリーズ103系やα-modelの111系用などグロベンの決定版的パーツが多々
揃ったので、自分なりに新京成の資料と比較してみましたが、天地方向の厚み的に
やはりPB104が最適との結論に至った記憶があります。


ベンチレータを仮載せした様子。
この後がまた長いのですが、ひとまず完成形がイメージできるようになってきて俄然やる気が出てきました。
いかにも私鉄タイプといった雰囲気の車体に国電を彷彿させるグロベンの取り合わせが、
なんとなく阪神R車を連想させます。
その前後の車両と比べてとかく安物扱いされがちな存在ですが、ぼくは機能美を感じて好きなスタイルです。


GMのコアレスモータ動力を使うと決めていたので、
専用のアダプタを取り付けておきました。


2023.05
いよいよ本塗装に着手しました。
オデコを整形する過程で削れてしまった雨樋の一部を黒瞬着で再生したため、
ここをマスキングしたくない=屋根を先塗りしてからキャンディピンクを塗るイレギュラーな順番としました。
グロベン台座は位置決めの作業性と、求められる強度を勘案した結果
ゴム系で接着してあるので、テープで持っていかれないように屋根中央部はコピー用紙を併用してマスキングしました。
グロベンを載せた機能美も良いですが、京成3000原型のモニター屋根を彷彿させる姿も
なかなか美しい…と思った作業中のひとこまです。



キャンディピンクは先に200形を製作されていたta-koさんに倣って
Mr.の318番(レドーム)と59番(オレンジ)を95%:5%で調合しました。
ただ、練りながら微調整をしたので、実際にはオレンジ7%くらいになってるかも。
当然のことながらタッチアップに備えて多めに調合し、カラの瓶に詰めてあります。



マルーンはキット説明書にあるMr.の100番(マルーン)が品切れだったので、
81番(赤2号)とガンダムカラー22番(レッド)を2:1で調合しました。
ベテランマニア諸兄には様々な意見があると思いますが、
まあ新京成以外の電車には見えないのでは、と自画自賛。
実車は、写真によってはキャンディピンクもマルーンもグッと明るくした雰囲気の
写りかたをしているのもあり、あれはあれで愛らしさがあって良いなーと思います。


光の当て方を変えてもう一枚。
幌は実車に倣って正面と内側を車体同様の塗り分け、外側を暗い色で塗りました。
厳密には外側は腰板と同じマルーンだったようですが、キャンディピンクの地色に
マルーンの幌がえも言われずドギツイ感じに見えたこと、比較的早期に汚れて
茶~灰色系の色合いに変化して見えたため、模型としての見栄えを考慮して
赤みのあるダークグレーにアレンジした次第。
上面の布の余りは昨年製作の相鉄7000同様にアルミ箔によるもので、
全体的にはまあまあそれらしくなったのではないか、とこれまた自画自賛。


前後しますが、屋根のグレーは車体中心線上を中心に僅かに明るいグレーをまぶしてあります。
これはイエロートレインのキット組み立て見本によくあるグラデーション塗装を施した作風に
憧れて試みたものです。
屋根は曲面=雨の水気などは雨樋寄りに流れるのでは…=車体外周寄りのほうが
屋根布が黒ずむのでは…との仮説に基づいて塗ってみましたが、いざ仕上がってみると
なんとなく中途半端な感じになってしまいました。
イエローの見本はいずれも結構コントラストを強めにとったグラデーション塗装の感がありますが、
あれくらい濃淡をつけたほうが見栄えがするのだな…と学びました。


パンタ周り。
配管は模型的には塗り分けたほうが見栄えがするのですが、
前述の200形の屋上資料を見る限り、屋根布とさほど色の差がないように見えたので
今回は塗り分けませんでした。

ヒューズボックスはトレジャーのTTP124-Gで、前回記事の最後に触れた
RMライブラリの写真を見る限り、わりとそのままの形なのではないかと。
リード線を用いた引込部はいつもヨレヨレになりがちなので、今回は時間をかけて丁寧に取り組みました。
パンタはTOMIXのPT4212-Sそのままですが、おそらく京成電車同様に黒だったと思われるため
いさみやの黒プライマーで仕上げてあります。


避雷器はペア―ハンズのNP-053ですが、
構造上取付には一考を要し、取付穴を開けた洋白帯板をパンタ台座裏側に固定しています。
余談ながら、クロポの小田急FMキットにも同じ形態の避雷器が含まれています。


553編成の見どころの一つ、妻面の様子。
ご覧の通り縦樋とごつい昇降ステップが特徴です。
縦樋はキットに洋白エッチングのパーツが入っていますが、実車は丸管なので
コの字状の留め具のみ活用して本体はφ0.4アルミパイプから製作しました。
塗り分けの都合上、塗装後の取り付けと決めていたので本来側面の雨樋から
スムーズにつながる部分はヤットコで平らに潰してごまかしてあります。

昇降ステップはボナの103系用のうち、モハ102のユニットサッシ横に用いるパーツを
流用しており、予めコの字型に曲げてから塗装して、仕上げ段階で車体に植えました。
もともと沢山使うようなパーツではないので、ボナのパーツにも少ししか入っていません。
従って、このために103系用手すりをたくさん買い込むことになってしまい、
今後は非ユニットサッシの103系をたくさん増備する必要がありそうです。

幌は広いほうがイエロートレインのMP-859、狭いほうがモデルアイコンの京成青電キットのパーツです。
後者は本来前面と同じMP-816を使いたかったのですが、手持ちの在庫が足りず
イエローでも品切れ中とのことだったので代用した次第。
前面の説明でも触れましたが、一般の私鉄用と比べて左右の耳が低い位置に付いています。


つぶらな瞳の一灯ライトはぜひともレンズをキラリと輝かせたいところです。
今回は市販のプラ丸棒をドリルでざぐってすり鉢状とし、そこへミラーフィニッシュを
綿棒で押し付けたチップを予めライトの中に接着し、0.5mm程度の厚みにスライスしたレンズを
上から被せる構造としてあります。
アクリル挽き物のレンズは表面が曇っているので、予め光沢クリアを塗布するのはいつも通りです。

行先表示板はt0.2のプラ板を車体と同じマルーンに塗ったものです。
行先別の白い図形と「高根公団」「五香」の文字は自家発注インレタによるものですが、
さいきんジオマトからそのものずばりのステッカーが出ていると知り、
さっそく入手したところ数段リアルな出来栄えなので、今後はそっちを使おうと思います。

ともあれ、今回はインレタを転写した板を段になるよう工夫して車体に接着し、
虫ピンで突っついた穴にKATOのフィーダーをバラしたリード線を通して「めくり」のリングっぽく見せています。
このあたりは数年前に製作したKDK3500と同じ手法です。


2023.06

さて、車体がある程度できてきたところで足回りに手を付けました。
というか、本来はもっと早い段階で手を付けるところですが、床板の構造を決めあぐねていてこの段階になってしまったというのが
実際のところです。
前回記事で触れたとおり、t1.0の床板がはまる高さで床板止めのアングル材を半田付けしてあるため、
自ずとt1.0を前提に構造を検討しました。
市販のプラキットの床板を思い出すとt1.0は割と控えめな厚みで、強度不足による反りが懸念されます。
一方で広幅貫通路から覗いたときに謎のハイデッカーにならずに済むメリットもあります。
これらの長所短所を良い塩梅で解決すべく、t0.5×2枚を貼り合わせる構造として
ウエイト(厚みが薄く目立たない鉄コレ用)とTNカプラー取り付け部のみ欠き取りを設けることにしました。


こんな感じ。
言うまでもなくウエイトは少しでも厚みを目立たなくして貫通路からの眺めを良くすること、
TNは少しでも高い位置に付けることで妻板裾と胴受けの隙間(ここの隙間には案外興ざめする)を目立たなくすることが狙いです。
この手の薄板の貼り合わせに溶剤系接着剤を用いると変形が懸念されるので、今回は瞬着を用いました。
説明が下手で恐縮ですが、多少反っても目立ちにくいようTNカプラーの位置を高めに設定し、
かつ反りが起きづらい接着手段を用いたということです。


車体を被せるとこんな風に。


TN・台車の固定に使ったパーツたち。
言うまでもなくビスがTN用で、取り付け部は適宜プラ棒で高さを稼いでから用いています(2つ・3つ上の画像参照)
ワッシャーは今回の場合、1mm厚が最適との結論に至りました。
いずれもimonで容易に入手できます。


床板の構造が決まったところで、床下機器の製作を始めました。
Twitterでモハシ21003さんから貴重な写真を見せていただくことができたので、
かなり綿密に検討できたかと思います。
結果としてボナの旧型国電用をメインに、適宜モリタのパーツや自作パーツを織り交ぜました。
この画像はクハ用の機器のうち、ブレーキシリンダ・梃子以外のもので、
左下のエアタンクのみモリタのパーツ、他がボナのエアタンクセットより、
一番小さいタンクのみプラ丸棒の加工です。
適宜φ0.2でドレンコックを、手すりパーツでガードを追加しています。
ガードの奥行き不足が気になりますが、数を考えると仕方がないかなと…。
CPはボナのAK-3のうち外枠が直線のタイプ、MGは同社のDM-39で、これらは実車同様の型番と思われます。
接地スイッチらしきものはボナ、謎の2連の箱はプラ材加工です。
後者はφ0.4真鍮線を軸に、割ピンとプラ板をミルフィーユ状に重ねて碍子の表現としました。


AK-3CPにはφ0.4真鍮線とランナー引き延ばし線で吸気口を追加してあります。
ボナの16番用パーツでは再現されているのを見て加工した次第です。
同社の説明書では国電等の多数派を考慮して斜めに付けるよう指示がなされている一方、
新京成の写真を見ると垂直だったので当然実車に倣っています。
また、この写真の段階では2基の吸気口の直径が不揃いですが、この後手直しして揃えました。
枕木方向の連結板は強度を考慮して省略しました。


RMライブラリー261(京成100・126)に100形の床下機器配置図面が掲載されており、
中梁やブレーキ梃子の枕木方向の寸法が確認できたため、エバグリのNo.263(2.5mmチャンネル材)で
中梁を製作しました。但し、コの字型断面の左右があまりにも薄く強度不足に感じられたので、t0.25の帯材を添えてあります。


出来ている機器を仮取り付けしてみた図。
空気ダメの根本がちょっとごついかな…


その後、Twitterを通して京成旧型車のブレーキシリンダ周りの資料を拝見できたため、
本格的に構造の検討を始めました。
形そのものは国電用と似ていますが、京成~新京成ではやや車体中心線寄りに奥まって
取り付けられていること・車体幅が狭いことも相まってかブレーキ梃子の枕木方向の寸法がやや小さいことがわかりました。
そのため、ボナのパーツはシリンダのみ使うこととし、梃子は昨年GMから発売された
プラ製の旧国用床下機器セットに含まれるもの(何故かボナのより一回り小ぶりで好都合)を使いました。
このブレーキ梃子は取り付け強度が不足しがちなので、取り付け足にφ0.2のピンを通して補強してあります。

梃子から台車へ延びるブレーキロッドはφ0.4の真鍮パイプです。
パイプを用いたのは、梃子パーツの厚み的にφ0.4の取り付け穴が開けられないためで、
中にφ0.2のピアノ線を通して梃子に差し込む構造としてあります。
台車側は割ピンで保持してロッドがある程度の高さに保てるようにしました。
φ0.4の真鍮パイプに硬いピアノ線を通してあるので、一番懸念されるロッドが歪む事故はおそらく心配ないと思われます。

横梁はエバグリの0.75×0.75角棒です。


空気配管はφ0.4真鍮線を半田付けで組み立ててあります。
締切コックはボナの割ピンを引っ掛けたのち、U型の先端部分を90°曲げて再現したものです。


半田付けにあたっては、こんな風に車両ケースの不要ウレタンを使うと楽でした。
余談ながら宗吾のモハ200保存車と今回の新京成553編成では配管のつながり方に幾らか差異があるようです。


2023.07
クハの床下機器配置が概ね終わった図。
クハ553に付く大きな箱(バッテリー?)はGMのクハ103用機器を加工しました。

うしろのモハ254もブレーキシリンダ・梃子の取り付けが済んでいますが、
やはりこの順番で機器を並べていったほうが断然作業しやすいなと思いました。


並び順が変わりますが、モハ254の床下機器も並べ終わった図。
多少推測が混じりますが、大きくは間違っていないと思います。


ヒューズがちょっとしたこだわりポイントで、
各種市販品の中でずば抜けて仕上がりの良いモリタのホワイトメタルパーツ(No.249)を使っています。
左右にリード線でケーブルを追加してもう気分は最高。これだけでご飯3杯いけるね。
ご存じのとおり数年前に廃業された同社はこの後触れるインテリア系のパーツを含め
名作揃いであり、まだチャンスがあるのなら一部パーツを引き継いでいるトレジャーからの
再販を強く希望したいところです。

この時点では主制御器はGMの古い金型の機器(カスタムキットに入っているやつ)を加工したものを付けています。


その後、甘いディテールやサイズ感が気に入らなくなり、
プラ材で自作することにしました。
ただし実車の主制御器の正確な形がわからなかったため、一部200形を参考にまとめてあります。
アークシュートは目の字型だったようなので、GMの小田急8000用断流器から切り出して接着しました。
帯金のリベットはやや大げさながら黒瞬着を虫ピンで盛ってみました。
あまり目立ちませんが一応台座を噛ませて吊ってあり、根元には割ピンを用いて碍子を表現してあります。


裏側。
たぶん大きくは実車と相違ない…はず。


もうひとつの大物、主抵抗器。
これこそ、モリタの名作No.247 主抵抗器Aを使いたかった!
いまでもググると画像が見られますが、脚が抜けていること、表面・裏面ともディテールがあること、
そのディテールの塩梅が絶妙なこと、サイズ感、ホワイトメタルのムク故のウェイト効果…
今からでも是非再販を望みたいNo.1パーツです。

今回は探し回りましたがどうしても手に入らなかったので、GMの旧型国電用床下セットのものを
2つ使って最中合わせにしました。
ただ、いま作るのに既存のモリタパーツを大きく下回る水準で仕上げるのは許せなかったので、
プラ棒で台座を噛ませて吊ってあります。


裏側。
たぶん底面はこんな風にフラットではなく、表面と裏面の板厚が張り出しているのが本来だと思う。
モリタのパーツはそこもできている。欲しい。


一方、GM製を使うメリットもあり…
当然ながら同社のコアレスモータ動力には厚み調整なしで使えます。
ブレーキシリンダも動力車のみGM製としてあります。


2023.08
床下の塗装が済んだ図。
先頭台車の排障器は銀河の西武用(かつて売っていたエッチングVer.)を加工したアームに
洋白帯材を曲げた本体を半田付けしたものです。
ただし、この形態になったのはATS受電器らしきモノが取り付けられた'74年以降と思われ
今回目指していた'73年のデビュー当初には開運号時代と同じ形態のものだったようです。
地味~にいろんなところに変化がある車です。


本来台車枠の端梁から生えているアームは、台車のカプラーポケット根本に固定してあります。
本当は端梁も再現したかったのですが、U型に湾曲した梁を均一かつ大量に製作する手段が思い浮かばず…
車輪踏面を隠す上で必須なブレーキの引き棒を表現するに留めました。

なお、触れていませんでしたが前面幌の下部左右には謎の蛇腹状の部品が見て取れるため、
GMのプラ幌を小さく刻んで接着してあります。
省略してしまっても良かったのですが、イエローのロスト製幌はここに取り付け足があり
微妙な隙間を隠すのに絶好の位置関係だったので取り付けたというわけ。
幌と同じくそれなりに汚れていたようなので、車体より一段暗めのマルーンで塗り分けてあります。


台車はいさみやの黒プライマーで下地処理ののち、主に上~正面からのみグレーを砂吹きして
わざと影を残すいつもの手法(ヒナくん由来の手法)で仕上げてあります。
ただし、バネ周りは影を強調するためにスミ入れもしてあります。
また、今回は初めてブレーキシューまわりに軽---く茶色系のウェザリングをかけてみました。
雑な工作をウェザリングでごまかすのが嫌いなので避けてきましたが、
昨年のTMSコンペで特選に輝いたクモヤ740/440を見て、きちんとした工作に適切なウェザリングを
するのは作品をひとつレベルアップさせると思ったので挑戦してみた次第。
一応この向きで汚れるのでは…と考えながら吹いてみましたが、
まだまだ勉強不足なようです。

前回記事で触れたRMライブラリに掲載されているデビュー当初の写真を見ると、
軸箱の斜め上あたりに白で丸数字がレタリングされているのが確認できます。
恐らく軸箱にナンバーを振る意図のものと思われ、1~8まであったのではないかと邪推しますが
模型では称呼順位表記を流用して1,2,1,2…でごまかしてあります。

アルミサッシはキットの洋白エッチングパーツを用いました。
いつものようにモデルカステンのクラシックシルバーとMr.のGX-1(クールホワイト)を調合したアルミ色です。
今回初めての試みとして、サッシ下端の防水ゴムを表現してみました。
これはかつて、TMS785号(2008-9)で16番の京成初代3000の作例で再現されているのを見て以来やってみたかった部分で、
今回はハセガワの艶消し黒フィニッシュをサッシのエッジギリギリに貼って、
これが僅かに見える高さでサッシを固定しました。
プラのはめ込みガラスならば隙間でそれっぽく見える部分…などと思ってきましたが、
いざやってみるとやはりひと味ちがう仕上がりとなり、満足しています。


角度を変えてもう一枚。


ダミーカプラー周りはプラの厚板でユニット化し、車体側に取り付けてあります。
床板にカプラーを直付けする場合に比べて胴受と車体の隙間ができづらいのが利点で、
近年我が家では標準工法となっています。
胴受はKATOのキハ82用、カプラーはKATOの叡電きらら用(真鍮線で若干の追加工作)で、
いずれも#600→#800→#1000でパーティングラインを消してあります。
ジャンパ栓はKATOのキハ58用、エアホースは阿波座のロストパーツです。


角度を変えてもう一枚。
実車に詳しいひとはとっくにお気づきかと思いますが、
台車のホイールベースが実車より短い都合でオーバーハングが長めです。
従って台車から車端にかけてややスカスカしがちなのですが、DT11だと
いかんせん立派すぎる足回りになってしまい…やむを得なかったかなと思っています。

なお、台車のブレーキ引き棒はこれまで丸線を用いてきましたが、
実車は恐らく角型断面と思われるため今回は洋白帯材を用いました。
取付はできれば穴開け・差し込みとしたいので、φ0.2のピアノ線を半田付けして
台車の穴に差し込んであります。


インテリアはあまり写真を撮れていないのですが、残っている記録をもとに少し触れたいと思います。

まずロングシートは今回モリタのホワイトメタルパーツとしました。
当初はモデルアイコンの青電キットからプラパーツを流用するつもりでしたが、
袖仕切りパイプの形状が異なる(553編成は800形と同じ)ので
敢えてキットの貴重なパーツを使う意味が薄いこと、
少しでも重心を下げるうえでホワイトメタルのほうが好都合なことから今回の選択となりました。

同社のロングシートはNo.212(標準タイプ=画像手前)とNo.213(Lタイプ=とても長い=画像奥)がありますが、
今回は車端部にNo.212、ドア間にNo.213をカットしたものとしました。
プラ棒をクリーム色に塗った蹴込板を車体裏側のアングルに載せ、その上にこのロングシートを載せる構造とし、
蹴込板とサッシ下部の二か所にゴム系を塗布して取付強度も確保しています。
(※蹴込板がわかる写真は追ってアップします)


キャブインテリアはさすがに資料が少なかったので、
ほぼ800形を参考に作ってあります。
RMライブラリによれば800形に準じた配置…との説明もあり、大きくは違わないものと思います。
ブレーキハンドルは謎のひらめきでアルミパイプを活用して差し込み式にしましたが、
どちらが先頭になっても良いように両先頭ともハンドルが差さっています。


塗装した図。
あんまり綺麗に塗れなかったな…
一応窓からよく見える壁のスイッチ類は頑張って揃うように貼りました。
ハセガワの艶消し黒フィニッシュです。


運客仕切りはt0.5プラ板の2枚重ね。
何作作ってもまだまだだな…と思う部分です。もっと丁寧にできるはず。
ここも800形を参考にまとめました。色々見比べた結果、たぶん京成電車同様に
運転台側だけ淡緑、ほかがクリーム色だと思ったので塗り分けました。
アルミの押し縁はジュラルミンフィニッシュで表現しました。


~~~というわけで竣工しました。
長くなったので竣工後の各部画像はまた改めて。
Twitterには既にアップしているのでよかったらご覧ください(9月のツイートです)
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帝都のステンプラカー 竣工編

2023年04月04日 22時31分33秒 | 京王帝都
前回の記事

振り返れば2017年秋に着工したのが事の始まりでした。
製作記書くのをさぼっていたのでいきなり完結ですw
竣工して2年以上経過しますが、今更ながら振り返ってみたいと思います。

・・・


まずは竣工した姿を。
ベースとした製品が識別灯が光る仕様だったので、それを活かしました。
前照灯は消灯、識別灯は点灯…な往年の私鉄電車感が良き良き。


時計の針をぐっと巻き戻して2021年初頭。
久々に引っ張り出してきてベース製品の前面を一通り改良した図。
見ての通り前面窓の枠が出っ張るようにプラ材で加工するいつもの加工に
ボナのガラス(鉄コレ上毛700用)をはめ込んでニヤニヤしてました。


でも、なにかが違う…と思っていた矢先、
ふとした閃きで中古の鉄コレ上毛を入手、寸法を測ってみるとまあなんとかなりそう。


ということで前面だけ鉄コレに挿げ替えることに。
この時点で車体本体は塗装剥離してあり、妻面の裾改良~配管等のフルメニューをこなした後
全塗装する予定でした。
ただ、蕨の3000系自体側面窓がやや大きく見えるなどプロポーションに若干の疑問があり、
全力で加工する意欲が萎えてきたこともあり、前回記事の最後で触れたピンク色編成を
塗り直さずに前面だけ挿げ替える簡易工法に切り替えることにしました。


ベージュ編成加工の車体は後日またなんとかするとして()
ピンク編成用に新しく前面を用意しました。
標識灯や手すり類はモールドを僅かに残した状態で穴を開け、
その後ペーパー掛けをすると位置決めしやすく仕上がりもきれいです。


銀は最後、が塗装のセオリーですが、
実車はステンレス構体にFRPマスクを"被せる"構造であることから
塗装もその順序に倣うこととしました。
今回のように塗り分け線にもともとモールドの段差がある場合はそこまで
気にしなくてもよさそうですが、フィルム帯の貼り付けなどは
帯色を先塗りしてマスキングするとテープの厚み分銀が反射して
帯部が凹面なのを目立たせてしまうため、できる限り後塗りorインレタで済ませるようにしています。
銀の上からマスキングする場合は一旦光沢クリアを被せてからテープを貼っています。
銀はステンレスシルバーです。


FRPマスクを塗った図。
Mr.カラーの323+64をGX-1で薄くした色です。


前面のほうがわずかに小さいので、車体側の断面にはステンレスシルバーを吹いてあります。
前面の固定はゴム系接着剤ですが、引っ張るような力を加えなければまあ大丈夫かなと。
ガラスは前述の通りボナ。いい感じに反射してくれてニヤー


角度を変えるとまあまあ継ぎ目が目立つ。
かなり意見の分かれそうなまとめ方ではある。


改めて正面から。
前照灯はボナの私鉄用薄型、尾灯はモールド中央に穴開け+適当なレンズ、識別灯はトレジャーのTTP904-01Bです。
前照灯はリムが出っ張り過ぎないように穴の周囲を若干ざぐって凹ませましたが、あんまり綺麗にできなかったな。

種別板は台座もろともジオマトの2700形用を流用、台座の断面を調合した紺で塗りつぶしたのち、
ジュラルミンフィニッシュを切ったもので押さえ金具を再現しました。
隷書体が印象的な方向幕はホワイトフィニッシュに自家発注インレタを転写しました。
GMキットのステッカーだとたぶんサイズが小さすぎるゆえの策ですが、
わりとメジャーな車種の割にどこからもステッカーが出てないのが意外でした。


クハ3772 急行灯点灯ver.
腰板左右の補強板はミラーフィニッシュを貼り付けて表現しました。


クハ3722 急行灯点灯ver.
今回はデビュー当初がプロトタイプなので、当然初代クハ3722です。


そんなわけで吉祥寺方2両は神泉駅のドアカット告知ステッカーを貼ってあります。

東急8500とかもそうですが、この手のTS台車の排障器は取り付け時の糊しろに苦労します。
今回は排障器本体を洋白パーツの切れ端から自作し、
台車集電板の軸受端部を平らに削って半田付けしましたが、強度的には微妙な感じ。
今後もしやるなら、台車枠側に薄く溝を作って接着+補強ピンを通そうかなと。


ドアステッカーはくろま屋の私鉄用です。
車番はやっぱり使えるものがないので自家発注インレタをジュラルミンフィニッシュに転写して
元の車番を覆うように貼り重ねてあります。


側面はプレート状なので貼り重ねですが、
妻面は元の車番をカッターの刃先でこそげ落としてから直に転写しています。
ご覧の通り、裾の欠き取り修正は一切していない手抜き仕様です。


配管も一切手を加えず、申し訳程度にスミ入れで立体感アップを図った。


ヒューズボックスだけはカッコ悪いので自作品に置き換え。
エバグリのプラ材で適宜加工して、蓋の押さえ金具をミラーフィニッシュで再現、
プレートは艶消し黒フィニッシュの貼付けによります。
トレジャーからロストパーツが出ているタイプのヒューズですが、
所要数が3コのため余りが出そうなのと、その余りも使い道がなさそうなので
コストダウンを企図して自作した次第。


手抜き+コストダウン仕様ながら、京王の見せ場である黄色い手掛けはちゃんとやった。
高さが揃うようにしたのと、裏側から低粘度接着剤を流したのがポイント(セメダインのハイグレード模型用タイプを使用しました)
幌もちゃんと塗った。
パーフェクトではないけど雑に見えないように…というのはある程度達成できたと思う。


話は床下へ。
渋谷方クハ3772のCPは製品だとHS-20ですが、
調べたところ今回のプロトタイプはデビュー当初C-1000だったようなので
モリタのホワイトメタルパーツに替えました。
同社は数年前に廃業されましたが、トレジャータウンブランドで
同じパーツが継続販売されています。


5連の真ん中に位置することや、金型の種類を減らすためか動力車がデハ3072に設定されています。
ただ、同車は床下機器が少なくダイキャストブロックが目立つのでトレーラー化し、
となりのデハ3022を動力車にしました。


HB-2000型CPはバルブの向きが2種類あることから、
実車と同じ向きになる京王6000のジャンク中間車を用意して流用しました。



インテリアパーツからは室内灯ホルダーを撤去し、
床面をGM4番、シートを26番+微量の青で調合して塗装しました。


~~とまあ、こんな感じで低カロリー仕様にて完成しました。


実車に思い入れのある向きには甚だ中途半端に映りそうな出来栄えですが、
こんな風に在京私鉄電車の並びに加えると一気に彩りが増してうれしくなってくる。
そうそうぼくがやりたいのはこういうことなんだよーーーーっていうワクワク感。

ちなみにこの並び、編成単位での最終増備車が昭和61~63年ごろと意外なほど遅くまで生産されてた方々です。


井の頭線3世代計画。
実は旧1000の前面はミガキまで終わっているw
昨年、タヴァサの店頭にこのキットを仕上げた作例が展示されてましたね。
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元ロマンスカーのABFMを作ろう その1

2023年02月22日 22時10分37秒 | 小田急2200系列
新京成と同じく仕掛りの小田急2300も製作記を書いてみたいと思います。
こちらは実車にまつわる説明は世に溢れているので製作に至る流れだけ。
元はと言えば学生時代の2008年頃、ボナからキットが出たのが始まりだったと思います。
2300形だから23000円?みたいな価格設定で当然手が出るはずもなく
今はなき新宿京王百貨店の鉄道模型売場(ポポンに非ず)に並ぶこの2300形の
特製完成品の出来栄えに目を見張ることしかできませんでした。

時は流れて社会人になって少ししたころ、お給料でなにか記念になるものを買っておこうと思って
これまた今はなき横浜のGMストアーで、かつて憧れた2300のキットを注文したのが今につながってきます。
それから早くも10年以上の月日が流れてしまいましたが、製作自体は2015年頃から始めており、
顔にサフを吹いて磨くところまでは終わっていました。


2021.07
久々に出してきた図。
前面パーツはホワイトメタル製ですが、特徴的な2灯ライトケースの形がやや崩れており
これはいろいろ整形した後の様子です。
ついでに手すりの穴も微妙に位置がおかしかったので、直した気がします。
純正エッチングパーツだと破損したときの補充に不安があるので、
我が家の標準品であるボナのP-089を使えるよう調整してあります。


かっこいい。


たまに取り出しては前面を眺めていたわけですが、
ある時ふと、貫通扉周囲に不揃いな溝があって気になったので
サフを筆で塗り込んで目立たなくしておきました(写真は修整前)


車体とのマッチングを見る。
大体綺麗にはまりそうです。


2022.02
またしばらく間が開いて、ようやく4両箱組した図。
4両全車が細部に差異を持ちますが、少なくとも前面に関しては
ジャンパ栓の有無以外のバリエーションはないようです。
(※厳密には連結器上の切り欠きのみ若干の差異あり→再現してあります)


箱組み当時に並行製作していた上田交通5000と。
このあと新京成→大雄山→相鉄7000と手を付けていたのでずっと放置していますが、
息抜きにまた並行して作業しようかと思わされる良いお顔。


2022.12
また1年くらい間が開いて、乗務員扉脇の手すり穴を開けている図。
乗務員扉の位置が前面に寄っているデハ2301と2303はメタル前面に
穴を開ける必要がありますが、位置が揃わないと見苦しいので
ご覧のように方眼マステを活用してみました。


配管を敷設し始めた図。
この時点ではいつもどおりトレジャーの配管止めを使っているのですが、
実車に比べてごつい印象だったので、結局この後外しています。


数日後改めて配管を曲げ、割ピンで固定した図。
台座を介さず屋根板に直接配管が載っているさまはあまりかっこよくありませんが、
実車の印象はこのほうが近い気がする…。
空気配管はキットのエッチングパーツを用いました。


デハ2301(右)と2303ではこのように配管の位置が逆になります。


パンタは碍子周りの雰囲気が近いTOMIXのPG-16にしました。
パンタ台はボルトが目立たない独特の形なので、ボナのP-145を加工してあります。
余談ながら実車は3扉改造後の昭和40年代前半に雨どいを改修したと思われ、
それと前後して避雷器移設(車体中央部→パンタ台枠に取付)と配管パターンの変更が生じている模様です。
皮肉にもデビュー当初から各種改造前までのほうが資料が潤沢にあり、
晩年は避雷器跡のアース線が辛うじて確認できる以外まったく手がかりなしなのがつらいところ…。


足回りには、以前製作した2200系列と同様に鉄コレを用いるため、
これに合わせた床板止めを用意しました。
なるだけシンプルな構造で精度を保つべく、エバグリの1×2mm角材を縦に2本並べて接着し、
これを側板裾に合わせて接着した後、上辺にご覧のような床板ストッパーを固定してあります。
車体に角材を接着する際には、当然車体裏の瞬着のはみ出しなどを全て平滑に仕上げつつ
双方の接着面を#400で荒らしてからゴム系接着剤で圧着し、強度に配慮してあります。


床板は裾から3.5mmのところでご覧のようにカットしました。
これでちょうどいい車高となります。


床板をセットした図。
肉厚のある鉄コレボディに合わせた床板なので、薄い真鍮車体だとスペーサーが必要というわけですね
(2300形そのものの車幅が広いこともありますが)


今のところここまで。
実際には酸洗いまでして塗装準備まではできているのですが、
なんとこの期に及んでサッシを一部紛失…というかマジで脚が生えてどっか歩いて行ったとしか思えない事象に
直面して製作がストップしているのです。
探せども探せどもマジで見つからないので製造元にパーツ頒布を依頼しており、
進展があるまで足踏みとなりそうです…とほほ。

その他、近況。

2023.01
今回も渋谷IMONの作品展を見てきました。
ハボフさんの明治の列車と並走する拙作相鉄7000系です。


ヒナくんの仙石線と並走する拙作京浜急行1000形です。


今回最高峰の特選となったKE70HF氏のクモヤ440です。
確か雨樋と屋根板の間の隙間埋めてる。
こういう基本工作がパーフェクトなのマジ尊敬します。


今月発売のTMSでさっそく製作記が掲載されたクモハ84。かっこいいですねえ。
作者の方とお会いしたことはありませんが、遥か昔のGMリアルモデルコンベンションで
ハイクオリティな阪神ジェットカーを作っておられた方なのは存じ上げており、
久々に拝見した作品は当時の作風そのままに一切の破たんがありません。
今年はこのレベルに近づけるようにがんばろうと思いました。


2023.01 角筈にて

別の日だけど久々にモデラーズサミットを開催した時の図。
らっきょさんの京浜急行デハ420と小田急2200です。
京浜のオデコは鉄コレから持ってきてるんですって。
プラ積層の削り出しはやってみると案外だるいので、へええー良い事聞いちゃった!!って感じです。
ぼくが1作作る間に10作くらい仕上げてそうな速度感なので、今年はどれほどの往年の私鉄電車に
触れられるのか楽しみです。


トリはツダヌマさんの京阪1700!
思わずうあーーーこれずっと見てみたかったんですよおおおおって年甲斐もなくはしゃぎました。
ナンバーが独特の表記方法をしている登場初期の姿ですね。まだ大阪市内に併用軌道があったんだっけ?
鉄コレ初期の自由形をベースにされたとのことですが、完成形はどこからどう見ても京阪でマジあっぱれです。
こういう工作もできるようになりたいですね。
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