小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

在来6000を作りたい。塗装編

2020年10月10日 13時08分09秒 | 相模鉄道

2020-08

パンタ周りを仕上げて塗装に取り掛かったのが8月の半ばくらいでした。
ここからも苦難の道が...。
まずは表面状態の確認と発色用下地を兼ねて、いつものように
Mr.カラーのGX-1(クールホワイト)を軽く吹き付け。
車体のコーナー等は事前に仕上がりを確認していたので、大きな修正は不要でしたが、
コーナー整形にあたって削った雨樋端部の溢れ留めは塗装直前にプラ材で付け直したので
若干修正を要しました。


ジャンパ栓はランナーに付いたままウレタンに差し込んで塗ると楽です。
後ろに見えるのはヒューズ固定用のピン。先端の丸いかたまりがカラー瞬着パテです。


続いて若草色を。
下記のような史実は踏まえつつ、模型としての見栄えや好みも反映して
Mr.カラーの26(ダックエッググリーン)と64(ルマングリーン)を6:1で調合しました。
恐らく新塗装化当時のイメージよりは少し鮮やかめです。

実車は様々な資料を総合するとS56年に東急で更新したモハ6008以降、
塗料が変更(フタル酸樹脂→ポリウレタン樹脂?)された際にやや色調が鮮やかに変わった模様で、
客扉を金押さえ窓のタイプへ交換したことでドアだけ鮮やかになっている様子なども記録されています(S61年保育社刊 私鉄の車両20など)
変更前の若草色はかなり淡い色合いで、マイクロエースや鉄コレの製品塗装よりは白っぽいです。
個人的な印象としてはカツミの完成品(6000・新6000)が塗装変更当初の淡い色調に近いように見えます。


続いて独特なオデコ周りも含めてマスキングしていきますが、
結果から言うと塗り分け線がスッキリせず、一旦塗装を剥がして塗り直した際には違う方法で
マスキングしました。
最初に試みたのはタミヤのマスキングテープを使い、彫刻刀でRを切り出す方法。
これはこれで悪くなかったですが、やや面倒でした。


一旦塗り上がった図。
しばらくタッチアップを繰り返したのですが、裾のオレンジに見て取れるように塗り分け線が
スッキリせず、側灯周りに塗り分け線の乱れもあったので潔くすべて塗り直しました。

なお、塗料は幕板がGM13番(緑2号)をストレートに、裾がGM3番(黄かん色)+Mr.カラー79(シャインレッド)で
調合したもので、これは塗り直しの際も踏襲しました。
人によっては深緑・橙ともにもう少し黄色味があっても良いと感じると思いますが、
実車の塗料変更前の写真に時折見られるややコントラストがキツメの印象を再現すべく上記のようなセレクトとなりました。
A君の相鉄とB君の相鉄は色が違って当然...といったところでしょうか。
そもそも若草色の相鉄を作る人が複数居るのか疑問ですがw


二度目は作業性の向上を図ってマスキングテープ貼り付け用の治具を作りました。


こんな感じで使います。
最初に治具の上辺に合わせて左に見える小さなテープ片を貼り、
そこに隙間なくテープを貼り合わせます。これで高さが決まるので、あとは
治具を添えながら左から右へ密着させていく手順です。
もっといい方法があるとは思いますが、少なくともテープを引っ張りながら貼るよりは格段に
ラクに高さが揃いました。
などとドヤ顔で申しておりますが、過去のとれいん誌で敏腕モデラー氏が書いていたアイデアの真似っこです。

前後しますが塗り分けに使うテープもGMの古いエコノミーキットに入っている
アルミ箔素材ステッカーとしました。中学生の昔から多用しているアイデアながら、
徐々にフィルムステッカーに押されて珍しくなってきており、代わりの方法が必要になってきました。

そのままだと当然糊が強すぎるので、綺麗なカッターマットに2~3回貼って剥がしてを繰り返し
粘着を弱めてから使いました。


一回目でラインが乱れがちだった側灯周りはそもそも台座が厚すぎたのも一因と考え、
薄く削り込みました。
それによってこの程度の切れ込みでテープを追従させられるようになりました。

クツズリもやや出っ張り過ぎ(さながら晩年のOER中型車のごとく)なので、薄く削り込みました。
塗り直しは中々気が滅入るものですが、転んでもタダでは起きぬ...とばかりに当初見送った
加工をこの機会にやってみた次第です。


オデコの塗り分けも一計を案じ、近いRの印刷がされたステッカーを用いれば楽ができる...という
ことで物色した結果、営団8000の前面表示幕に白羽の矢が立ちました。


フリーハンドで切り出すのはリスキーなので、瞬着硬化スプレーのフタを治具にしてカットしました。
一度目に塗った時もこのフタを使って切っていました。
画像では撮影のためわざとずらしていますが、当然印刷の輪郭に合わせてフタを添えます。


左右の急行灯の縁を目安に幅を決め、端部のRはマスキングゾルを塗布→フリーハンドでカットしました。
彫刻刀でテープをカットする方法とどちらが良いかは微妙なところですが、
体感的にはゾルのほうが楽に感じました。
当然100%仕上がりが揃うことはあり得ないので、
最終的にタッチアップで印象を整えることになりました。

今回は時間や環境の制約からあきらめましたが、
Twitterで市販のシール紙にパターンを印刷しては...とのアドバイスをもらいましたので、
今後はもう少し楽をしようと思います。



塗り直し。
塗り分け線はスッキリしましたが、今度はオデコの深緑が浅すぎて違和感。
Rがおかしいというよりは、そもそものテープ位置が高すぎた。
仕方がないので泣きながらも慎重にタッチアップして印象を整えました。


オデコの修正も済ませ、今度こそ塗りあがり。
遠回りにはなりましたが、一回目より格段に塗り分け線がスッキリしました。
塗り直してよかった...!


なお、このあとの仕上げは無我夢中でほとんど記録に残せませんでした。
机の上の散らかり具合を晒すことでその混沌ぶりをお伝えしたいと思います。


それでも作るキャブインテリア。
ブレーキハンドルが太すぎてロールケーキのようです。
計器類は以前白を色差ししていましたが、今回はドリルでさらってみました。
プラ材の白が出るので案外それっぽいのでは感。ここへ更に白を差せばより完璧か。

次は完成編...の予定。
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在来6000を作りたい。その5(屋上編)

2020年10月08日 15時51分26秒 | 相模鉄道

いきなりですが模型は無事に完成しました。
製作の進展を随時Twitterで載せていましたが、文字数の関係もあるので
同じ画像(一部新規画像も交えつつ)で詳しく補足していきます。
今日は屋上を中心に振り返ってみたいと思います。


2020-06

製品は冷改車なので、クーラーの取り付け穴埋め込みや脇のランボードを削除してから
配管工作に取り掛かりました。

母線は例によってφ0.4のアルミパイプを用いました。
以前にも書いたかもしれませんが、ボークスで買える
アルビオンアロイ製です。
空気配管はφ0.2の真鍮線です。
意外と高さのある脚に載っているので、トレジャーの配管止めを使いました。
割ピンと台座が一体になったエッチングパーツで、
板材ゆえ台座のボリュームがやや物足りないものの作業性抜群のおすすめパーツです。



配管のレイアウトは各種資料を基に概ね正確なものになったと思います。
今回の時代設定(新塗装化直後=S49年)ならばほとんど原型ですが、
後年(S50年代以降?)空気配管が1本増設されていたり個体差も
多々見受けられ、製作にあたっては車番と時代をよく研究する必要がありそうです。

妻面は母線の下に空気配管が潜り込むので、柔軟性に優れたリード線で固定しています。


2020-08
パンタ周りには思いのほか時間がかかり、1か月半ほど後の様子。
理由としては
1.ヒューズと避雷器の製作に四苦八苦したこと
2.パンタ脇のランボードも修正を要し、一度引いた配管を外す必要があったこと
3.パンタ台の構成に検討を要したこと
が主なところです。
1と3については後述しますので、ランボードについて。

当初はモールドを活かそうと考えていたのですが、資料が集まるにつれて
厚みのあるタイプと、薄くてゲタを履いたタイプの2種類存在することがわかりました。
モールドはどちらに見立てても中途半端な厚みなので、削って付け直すことにしました。
画像はゲタを履いたタイプで、脚のみ接着した図。
塗り残しが出にくいこの状態で塗装し、仕上げ段階でt0.2の洋白帯材による歩み板を
載せる工法にしました。
脚はGM国電101系キットのランボードを幅を詰めて薄くスライスしたものですが、
厚すぎなければ何でもいいと思います。歩み板が水平に乗るよう頭を平らに均しておきます。


雨樋とランボードの間隔の寸法に切り出し、脚の間隔をシャーペンで記したステッカーを
治具として用いつつ、脚を接着している図。
屋根のような曲面上に罫書くのが苦手なので多用している工法です。
当然のことながらステッカーを貼ってない側からごく少量の流し込みタイプで仮止めをして、
ステッカーを剥がした後に全体へ流し込みタイプをしみ込ませて本固定とします。


いきなりですが歩み板を載せた完成後の様子。
ゲタ履きタイプは歩み板がベンチレーター等と似た明るいグレーで塗り分けられていた模様です。


厚みがあるタイプはGMのランボードの幅をやや詰めて使用しました。
深い屋根Rに対応できるよう傾斜がきつめなので、これもカッターで調整してあります。


完成後の様子。
こちらのタイプは屋根と同じ絶縁材が貼られているのか、周囲と同じ色だったようです。

なお、このランボードの仕様差は概ねS39年製造分を境に変更されているようで、
初期タイプがゲタ履き、後期タイプが厚みのあるタイプです。
今回のプロトタイプはモハ6014(S38製)+サハ6614(S42製)+モハ6114(S41製)+クハ6514(S38製)という
編成で、各種資料よりS38製造の6014はゲタ履きタイプ、S41製造の6114は厚みのあるタイプ
なのが確認できています。
色々資料を見ると少なくともS40製造の6112は既にこのタイプに切り替わっていましたが、
正確な切り替え時期は今後も要研究といったところです。


パンタ台はレール方向に長いタイプだったようです。
使うパーツにはずいぶん迷いましたが、最終的にボナのP-132(パンタ台座B)と
P-137(AU712クーラー台座103系用:プラ切削パーツ)を組み合わせて作りました。
P-132はおそらく京王2010あたりの4本足で浮いているパンタ台を再現するパーツですが、
試しに足を曲げてみたところ強度的にかなり心許なく、微量のハンダを流して補強する
作戦もうまくいかなかったので、上面のみ使うことにしました。
台座は屋根板のRに密着させるうえで好適なものを探した結果、
手持ちのP-137(よくたまたま持っていたなと)が好適だった次第です。

AU712クーラー台座にはP-141(113系用)もありますが、切り出す向きの都合で
サイズが合わないため、この用途には103系用が適しています。
パンタ台も屋根布とは色が違うので、予め別塗りした後、配管の色差し等がすべて終わってから取り付けました。


ヒューズと避雷器が今回の工作上最も苦労したところです。
ご覧の通り下に配管を通すために高く持ち上げられており、華奢な脚を再現する必要があります。
とはいえ触った途端に壊れるようでは困るので、強度を考慮すると自ずと金属素材が
前提となり、今回はKSモデルのt0.15mm幅0.4mmの洋白帯材を材料にしました。

ご覧の通り、脚と台座、脚と屋根板はφ0.2mmの真鍮線によるピンを通して固定してあり、
一定の取付強度を確保しました。
ピンには予めハンダメッキをしておき、脚と、碍子に見立てた割ピン(輪っか状のもの)
を通した状態でコテをあててハンダを溶かして固着させたのち、プラ材で組み立てた
ヒューズ本体を差し込み固定+瞬着補強しました。
脚と屋根板を貫通させるピンの頭にはカラー瞬着パテを盛り、
表面張力で丸まった様子がボルトの頭に見えるよう工夫しました。

避雷器は種車のものに、前述の要領で碍子表現を加えた上で流用しました。


脚の材料となる洋白帯材は、
ハンダで数本分を仮止めしてからまとめて折り曲げガイド彫り、ポンチ打ち、穴あけを行いました。


幅0.4mmにφ0.25mmなので数字の上では0.15mm余裕がありますが、
幅の中心に開けることを考えると片側あたり0.075mmしか余裕がない事になり、ボツの嵐。
6月半ばから7月いっぱいの間、ずっと改良してはやり直しの繰り返しでした。
個人的な感覚からすると、最初の画像のようにたくさんまとめすぎると
曲げの精度が怪しくなりがちで、2~4本程度にとどめたほうが結果的には早く終わりました。

穴開け後はハンダゴテを軽く当てると仮止めしたハンダが溶けて
勝手に分解してくれます。


ヒューズに入るV字状の部材はこのようにプラ材でかさ上げしてあります。

この画像を撮った段階では脚とヒューズ本体を瞬着で芋付けしていましたが、
さすがに強度的に無理があり、前述したピンを貫通させる構造に変更しました。


クハ6514の誘導無線アンテナ(送信側)は、KATOの京急2100用を使いました。
プラ材で台座を設けて穴を開けておき、車体塗装後に取り付けています。
受信側は今回のプロトタイプと種車製品で向きが逆だったので、
プラ材とランナー引き伸ばし線で自作して交換しました。

配管は母線よりやや細いφ0.3のアルミパイプで、中から出てくる細い線は
インフィニモデルのφ0.1真鍮線です。送信側アンテナへの引き込みは
二手に分かれるよう根本を半田で固めてあります。


受信側は単なる筒状ではなく長円状なので、カラー瞬着パテで適宜整形してあります。


ベンチレータはガーランド型を真四角にしたような独特の形状で、
当初より3Dモデリングを前提に考えていました。
すっかり広まったデザインスパークで設計→DMMの出力サービスを
利用したものです。
レール方向に延びる4本の足に載った形状なので、はじめは
そのまま出力しましたが、ベンチレータ本体の積層痕に
ペーパー掛けする際に邪魔なことと、そもそも強度的に
無理があり折損が相次いだことから、これはボツにしました。


脚が収まる凹みをベンチレータ本体に設けておき、
脚自体はエバグリのプラ材で別添えする構造に落ち着きました。

重厚感アップと、上からグレーを塗っても通風孔の凹みに
影が残ることを期待してウルトラモードの黒着色で出力したものですが、
積層痕がやや目立ち、結果的にこれも使用しませんでした。


設計はそのままにエクストリームモードで出力したものが決定版になりました。
ただし、ご存知のようにエクストリームモードは先日サービスが終了してしまっており、
多少多めに出力はしておいたものの、今後は要検討となりそうです。

エクストリームモードでも積層痕は出ますので、
#400→#600→#1000の順でウェーブのスティック紙やすり(ソフトタイプ)を当て、
各部のエッジを崩さないよう注意しながら平滑に仕上げていきました。


なお、ランボードの形態差と同じくらいのタイミングでベンチレータにも形態差が生まれています。
真四角なタイプは初期型に多く用いられ、今回はS38製の先頭車2両がこれに当たります。
後期型は一般的なガラベンに2本の足を生やしたような見た目で、
通風孔のディテールを揃えるためにこれも3Dモデリングにて用意しました。
後期型のみで構成された編成を作るなら市販のガラベン加工でもいいかもしれません。


未だに3D出力品の洗浄ノウハウが未確立ながら、あるお店から教わった
ガイアのレジンウォッシュによる洗浄で今のところ不都合なく上塗りできています。

脚はエバグリのt0.25×幅0.5のプラ帯材を短く切ったもので、クレオスの紫キャップを
流し込んだのち、隠れる部分に微量の液状瞬着を流して固めてあります。


1基あたり8コを延々と繰り返します...
後期型(1基あたり4コ)を交えた編成にして良かった...

塗装編につづく。
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