小田急中心の模型のブログ

Nゲージで私鉄電車を楽しむブログです。
旧小田急中心の模型のページ(2003~2014)の製作記も再掲載しています。

"すいてつ"をつくる

2021年12月01日 21時57分36秒 | 関西私鉄

2014年 水間観音駅にて クハ553保存車

のっけから暗い写真で恐縮ですが…
長らくやりそうでやらなかった関西モノのトップは
阪急でも阪神でも御堂筋線でもなく水間鉄道になりました。
Twitterにちょこちょこアップしていた製作の様子を、例によって製作記にまとめてみます。

この写真を撮った折に貝塚~水間観音を往復したことこそあれど、
およそ縁遠い地域の小電鉄をやることになったきっかけは
20数年前に地元の図書館で眺めた児童向け書籍。
詳しいことは忘れましたが古めかしい車体におよそ似合わぬトリコロール風の
塗装を纏った旧型車が田園風景を行く写真が脳裏にこびりついており、
この手の"旧車の厚化粧"が大好きなワタシはいつかモノにしてやろうと思ってきました。

5年前に鉄コレで南海1201が出てようやく製作を企てるに至りましたが、
最大のネックは上記の厚化粧カラーに変わった際に側面へ貼付されたMizumaのロゴ。
そもそも走行写真ばかりで正確な書体が掴めなかったうえ、市販インレタなど
望むべくもなく、インレタを自家発注するノウハウもない…とあって
いつしか製作構想そのものを忘れ去っていきました。


流れを変えてくれたのはTMS950号(2021-3)に掲載の香椎線マヤ検編成の記事。
"Inkscape"なるフリーソフトでインレタの原稿を作ったとの説明があり、
まず手法面で大きなヒントを得られました。
加えて、折よくMizumaロゴ部分をクローズアップで捉えた写真を見つけたため、
あとは手を動かすのみとなり、無事インレタを発注した図が上の画像です。

写真を見る限り実車のロゴは鈍い銀色の塗料で塗ったような質感だったようなので、
明るめのグレーで色指定して発注してみました。


実車については詳しく解説したサイトが幾つかあるのでそちらを見るのが早いと思いますが、
大まかに4種類の形態があったようです。

1.二段窓で車体が短い(モハ501,502)
2.二段窓で車体が長い(モハ508等)
3.二段窓で腰板が狭い(サハ581,582)
4.一段窓(モハ503,モハ507,クハ553等)

鉄コレはおそらく2のグループになるようですが、
両運・片運の違いや、両運から片運に改造された車、はたまた蛍光灯の交流化に伴う電装解除等で
両数の割にたいへん複雑なのが特徴で、2両ないしは3両編成に1~4の各形態がごちゃ混ぜなのが
標準だった模様です。
となると気になるのが鉄コレと、鉄コレでカバーできない形態の車(キッチンのエッチングキット)を
混成した場合の統一感で、いっそのことキッチンで統一してしまったほうが話が早いのでは…?と思った次第。

種車の縛りがなくなると選択肢は俄然広がり、我らがOERのHB車を彷彿させる無骨なサイドビューが
印象的な一段下降窓のグループ(戦時中製造)も難なくラインナップに加えられます。
水間観音駅で実車を観察した縁もあり、クハ553と、一段窓では唯一の両運車であるモハ503を
先行して製作し、後々旧塗装の他形態も順次加えていこう…という製作計画が固まりました。

走行写真を見ると大体二段窓と一段窓は混結しているケースがほとんどで、
RMライブラリーによればある程度固定編成のように使用されていたようですが、
比較的晩年の写真の中にモハ503+クハ553で使用されている様子が確認できましたので、
状況に応じて多少の組み換えはあったようです。


2021年5月ごろ

内張りを固定し終わった図。
かつてキッチンのキットを組んだ際にははんだ付けで組み立てていましたが、
今回はこの手の電車の名人である市川氏の作例に倣って試験的に耐衝撃瞬着で組んでみました。
今回は側窓サッシを別塗りする関係で外板の窓柱がしばらく極細の状態となる(熱による歪みがこわい)ことも理由の一つです。

プロトタイプとする最晩年には、乗務員扉がやや窓の小さいものに交換されていましたので、
組み立て前にプラペーパーで適宜埋めておきました。



水間モハ501形の前面貫通扉は窓下に2つ凹みがあるのが標準パターンのようですが、
モハ503の非パンタ側は妻面用を流用した?のか凹みが1つだけなので、
作例でも妻面用の扉を切り出して挿げ替えてあります。
クハ553もキットの形と比較して若干の差異が認められたので、適宜加工しました。

画像はトレジャーの私鉄旧型用幌枠を仮付けした様子ですが、
俄然実車の無骨さがよみがえってうれしくなってきます。


2021年夏ごろ

キットに入っているホワイトメタルのオデコは使わず、
t1.5のプラ板を2枚重ねたブロックから削り出します。
このブログをご覧の諸兄には釈迦に説法かと思いますが、
プラ板同士の接着にタミヤセメントは使わず、耐衝撃瞬着を用いるのがミソです
(溶剤系だと削ったときにヒケてくることがあるため)


2021年11月

オデコの削り出しが億劫でしばらく放置していましたが、
いつまでも進まないのでとりあえず荒削り。
カッターで大まかに削った後、粗めのスティック紙やすりで形を整えます。
実車は横から見ると意外とこんもり感がなく、やや平たい(鋭い)印象もあるので
それも意識しつつ削り込みました。



続いて車体コーナー部のR付け。
この手の作業がずいぶんご無沙汰だったこともあり(言い訳)、
要領を掴むのに苦労してしまいましたが、とりあえず丸みがつきました。
シル・ヘッダーが少し削れてしまうので、アルミ箔ステッカーでマスキングした後
黒瞬着で復活させます(営団5000系車体コーナー部と同じ工法



ランボードの取り付け穴は不要なのでプラ板で裏打ちしたあと
黒瞬着で埋め込みました。
製作開始から半年以上経って、ようやくディテール工作に移れそうです…
というのが今日までの進捗です。


あまりにも殺風景な記事なので、冒頭の写真を撮ったときの資料をおまけで添えたいと思います。
当時、かつて眺めた児童書の写真こそ印象に残れど、水鉄を訪れた主目的は元TKK7000だったので
せっかく来たから撮っておこ—程度の感覚で押さえた写真で、若干見にくい点はご容赦ください。

画像のクハ553は確か元モハ510で、'80年代半ばに車内蛍光灯の交流化に伴うMG設置のため
電装解除された経緯を持つ車だったと思います(但し保存車はMGを撤去してる風?)


よく見ると車軸に歯車が残っています。


床下機器全体像。


前面側台車後ろ。


車体中央部。


妻面側台車の前。


クハながら、パンタが残っています。
国電のPS13とは似て非なる横型碍子・幅広の大型パンタです。
これはどうしても再現したくて"いろいろ製作所"のパンタを買ってあります。

今回は晩年のアイボリー地に赤・青の細帯を締めたカラーにしますが、
保存車のツートンカラーもかの有名な宮下氏の"地鉄電車"を彷彿させる味わいがあってとても魅力的です。
今回2両を仕上げたら、次はこのカラーも作りたいと思っています。


東急7000が若く見える、すごい世界…


リニューアルされてるけど、味わい深い上屋。


駅舎のなかはこんな感じでした。


言うだけだし言うだけだけど、
水間風のミニレイアウトとかできたら楽しそう。
でも、この駅舎をちゃんとやるにはポイントtoポイントの配線にする必要があるかも!?
コメント
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