知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するかどうかの判断手法

2007-03-08 06:19:20 | Weblog
事件番号 平成18(行ケ)10045
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年02月26日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 三村量一

『上記の記載によれば,訂正事項ロに係る「荷台用コロ(26)に下面を接触させ而も荷台下面に設けたガイド(20a)の側面を側面ガイドコロ(26b)に接触させ」は,荷台20の前後方向移動を円滑に達成するための構成であり,「レール21を挟む上下四つのキャリッジ用コロ(24)と左右方向のぶれを防止する側面ガイドコロ(24a)を有し…レール(21)を周回するチェーン(22)の両端部を固着したところのキャリッジ(23)」は,荷台20を移動させるための構成であり,「噛合範囲を大きくする遊び鎖車(29)を有する駆動鎖車(28)に噛合う」は,動力の伝達をより確実なものとする構成であるものと認められる。訂正事項ニ及びホも,訂正内容としては訂正事項ロと同様である。
訂正事項ロ,ニ,ホのいずれも,本件特許発明1及び2の効果を奏するための「荷台を水平姿勢を維持したまま下降させる」との技術事項を実施するに際しての使用態様を具体化したものであって,付加された構成要件に多少の技術的意義は認められるにしても,本件特許発明1及び2の目的に沿ったものであり,発明の目的や作用効果を異にするような新たな構成を付加したものということはできない。上記によれば,訂正事項ロ,ニ,ホについては,特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものということはできない。』