事件番号 平成21(行ケ)10105
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年11月30日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明
(ア) すなわち,原告は,引用発明において,外観検査装置で取得された画像は,自動判定のために装置内部で使用される手段にすぎず,不良診断装置に送られる検査結果ではないから,引用発明において,目視検査工程に検査画像を送ることについての示唆はないと主張する。
確かに,引用発明においては,外観検査装置で取り込まれた画像は,不良診断装置に送られることはない。しかし,引用発明は,前記第2,3(2)アのとおりであり,目視検査場所である不良診断装置とX線式外観検査装置及び光学式外観検査装置が,ローカルエリアネットワークを介して接続されており,このことは,データのネットワークによる転送が当業者にとって周知であり,送信されるデータに画像データも含まれることを考慮するすると,画像のネットワークによる転送を当業者に示唆するものと解され,これを妨げるものとは認められない。したがって,原告の上記主張は,採用することはできない。
・・・
(エ) 原告は,自動検査装置で取り込んだ画像を不良診断装置での目視検査に流用することは,自動検査と目視検査が役割分担のもとで互いに補完し合うことにより検査の効率化を図るという引用発明の目的と整合しないと主張する。
甲3の記載(【0004】ないし【0007】)によれば,引用発明は,
①プリント板ユニットの実装検査を行う場合,一方式の自動検査装置では全検査項目を検査することは困難であり,真の不良の10倍以上の不良判定(誤判定)をするため,検査装置の不良判定箇所を再度目視で確認し,障害診断を行う必要があること,
②検査装置のテストデータ作成には,工数・品質の面で問題があったことという課題を解決するために発明されたもので,光学式およびX線式の異なる検査装置と,不良箇所を確認・判断する不良診断装置と,得られたデータを一括して管理するサーバとを組み合わせることによって,プリント板ユニット外観検査の合理化および効率化を図るとともに,プリント板ユニットの品質向上を実現できるようにした,プリント板ユニット外観検査システムを提供すること
を目的とするものである。
そうすると,引用発明において,仮に自動検査装置で取り込んだ画像を不良診断装置での目視検査に流用したとしても,引用発明の目的は達成することができ,そのような流用が,引用発明の目的と整合しないとはいえない。したがって,原告の上記主張は,採用することはできない。
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年11月30日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明
(ア) すなわち,原告は,引用発明において,外観検査装置で取得された画像は,自動判定のために装置内部で使用される手段にすぎず,不良診断装置に送られる検査結果ではないから,引用発明において,目視検査工程に検査画像を送ることについての示唆はないと主張する。
確かに,引用発明においては,外観検査装置で取り込まれた画像は,不良診断装置に送られることはない。しかし,引用発明は,前記第2,3(2)アのとおりであり,目視検査場所である不良診断装置とX線式外観検査装置及び光学式外観検査装置が,ローカルエリアネットワークを介して接続されており,このことは,データのネットワークによる転送が当業者にとって周知であり,送信されるデータに画像データも含まれることを考慮するすると,画像のネットワークによる転送を当業者に示唆するものと解され,これを妨げるものとは認められない。したがって,原告の上記主張は,採用することはできない。
・・・
(エ) 原告は,自動検査装置で取り込んだ画像を不良診断装置での目視検査に流用することは,自動検査と目視検査が役割分担のもとで互いに補完し合うことにより検査の効率化を図るという引用発明の目的と整合しないと主張する。
甲3の記載(【0004】ないし【0007】)によれば,引用発明は,
①プリント板ユニットの実装検査を行う場合,一方式の自動検査装置では全検査項目を検査することは困難であり,真の不良の10倍以上の不良判定(誤判定)をするため,検査装置の不良判定箇所を再度目視で確認し,障害診断を行う必要があること,
②検査装置のテストデータ作成には,工数・品質の面で問題があったことという課題を解決するために発明されたもので,光学式およびX線式の異なる検査装置と,不良箇所を確認・判断する不良診断装置と,得られたデータを一括して管理するサーバとを組み合わせることによって,プリント板ユニット外観検査の合理化および効率化を図るとともに,プリント板ユニットの品質向上を実現できるようにした,プリント板ユニット外観検査システムを提供すること
を目的とするものである。
そうすると,引用発明において,仮に自動検査装置で取り込んだ画像を不良診断装置での目視検査に流用したとしても,引用発明の目的は達成することができ,そのような流用が,引用発明の目的と整合しないとはいえない。したがって,原告の上記主張は,採用することはできない。