のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1091

2017-03-26 00:21:07 | 新しい子猫たち 

正人は決して急がない。高圧的に話を進めるような事はしない。もう一つの大きな銀行の頭取となった時でも、役員連中に任せる事にしていた、正人の長所は、人が有能かどうかが判る、本能的とも云える嗅覚があったと云う事だろう。

もう一つの大きな銀行は、実質的にこの国を支配してきたと云う自負が強かった。それがまさかの経営危機を呼んだ。香奈が香奈ファイナンシャルとしての救済に乗り出したのは、積極的と云うよりも、経済界 政界からの強い要請があったからであった。ただ実質的な債務そのものはそんなに大きくはなかった。まさかと云うか油断が原因であった。中国がもう一つの大きな銀行の経営に強い関心を示し、中国に対抗できる人物として 香奈が引っ張り出された

香奈は正人を名代として送り込んだ、香奈は正人を銀行業務に詳しいとは全く思わず 単に正人には人を見る目がある筈と思っていて、それが香奈の見込み通り 正しかったと云う事になった

正人は 、誇り高き もう一つの大きな銀行の役員を刺激しないように、自分は金融の初心者として下手に出た事もあった、

前頭取と正人は、この経営危機以来の長い付き合いでもあった、前頭取が政則相手に難儀していた事も知っていた。正人も政則相手に楽に付き合えるのは香奈くらいと知っていた。香奈の旦那の徹や香奈の弟の勝と云えども、政則は表面的には従うが、心から平伏しているのではない事は徹も勝も肝心の政則も知っていた。大蔵省、財務省の伝説となっている徹や今や世界の機械メーカーとなっている機械を技術で支えた、勝でさえ、政則は表面的にしか従わない。

今の頭取に任せるのはあまりにも大変な相手と前頭取が思っていた事も知っていた。現頭取に政則対応を任す時期は、前頭取の判断に全面的に任せる事にした。



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