のら猫の三文小説

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純子の挑戦 No.17

2013-01-03 00:06:44 | 純子の挑戦

日本は、満州事変から、戦争への道を進んでいった。




軍部に強い安倍鉄鋼は儲かっていた。商会も盛んに活動していた。紡績も製薬も順調だった。化学は飛躍的に大きくなっていた。 



先代の次平の家は、次平が咲恵と結婚して住んでいた。ただ次平も軍医として出征した後は、咲恵は郊外の家にいっていた。
純子自身には、窮屈な時代だったので、紡績や商会は週に1回程度顔を出すだけになり、化学へ出ている事も週数回になった。郊外の屋敷で人に会ったりしている事が多かった。



病院でも、妙子は心臓の外傷性疾患には、麻酔により、手術できるようになり、心臓外科と言う言葉も生まれていた。しかし戦争が激しくなるにつれて、中断していった。 



純子は、ほとんど会社には出なくなり、郊外の家にいるようになった。色々な人が訪問していた。林の中をよく散歩していた。実験農場だったが、単に農場になり、収穫された農作物を地代代わりにくれていたのだ、食料が豊富だった。純子は子ども、孫たちと暮らしていた。幸之助が先に亡くなった。私は多くの人を見送ったが、弟まで先立たれるとは思わなかったと言っていた。物資がなくなり、仕事もなくなった安倍グループは、製薬会社の旧薬草園やこの家の農園や純子の新しく買った土地を耕作していた。 



純子は、子どもや孫たちに見守られ、静かにこの家で死んだ。




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