のら猫の三文小説

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純子の挑戦 No.16

2013-01-02 00:35:45 | 純子の挑戦



製薬の社長室での会話
 


幸之助「知子、姉さんがほとんど出社しなくなった紡績は、大丈夫かい。うまくいってるのか。」

知子「順調だよ、でも本当は、もっと利益は上がると思うけど、洋次郎さんはわざと利益出さないようにしてると思うほどだよ。お姉さんが直接やっている時も厳しかったけど、自由な雰囲気もあった。お姉さんは不良や規格外の気持ちも分かる人だから。洋次郎さんは、純粋でいい人でしょう。今は、何というか、心が洗われる会社になった。製造も必要な人に絶対数人多く配置し、細々とみんなの面倒みるの。総務は社員の世話もするのよ。奥さんや旦那さんの誕生日に、まだ珍しいケーキを配り、早く返す会社なのよ。

洋次郎さんは、真弓さんを愛して、私の宝物といつも言ってる。人もそうだと思っているのよ。それに困った時相談にのるし、お金も貸す。営業の人も原価みせて商売しているのかと思うほどだよ。なんというか折り目正しい会社。適切な利潤しか取らない。社員の人も心込めてつくるから、品物もいい。いいものを適切な値段で売る。それがあの会社の看板になった。会社は社員とその家庭を愛し、社員も会社を愛している。会社も社員も世の中に役になりたいと考えているよ。もう教科書みたいな会社になった。」

幸之助「まあ姉さんもお前も不良だからね。どんな良いこといってもそれなりに対応しているけど、洋次郎くんは、本当にいい人だから、不良は住みにくいだろうね。でも人には、有能だが少し礼儀知らずとか、規格外はずれって言う人もいるだろう。」

知子「私は多分息できなくなるよ。品行方正の人たちの集団だよ、紡績は。でも少しは融通が欲しいとお姉さんも思ってるけど、お姉さんは、純粋な人には弱いの。している事は正しいから。仕方ないから、化学部門を紡績から出資させた形にして、お姉さんが資本を追加して、規格外の優秀な人集めて安倍化学という新しい会社を作った。繊維も少しやっている。商会も少し出資している。ここの製薬も少し出資した。仕事を組んでいた会社も将来性を評価して出資するようになり、大きくなっていった。
紡績は息苦しいと思う人はここに来ている。ここは自由だよ。不良集団だからといって、勤務時間も自由にして、いつ来てもいいのよ。もちろん深夜は除くけど。服装も自由と言うかだらしないというか。営業も外でる時に少しましな服装する程度の自由な会社をつくったの。なんでも自由に考えて良いの。

幸之助「極端だね。足して二で割ればいいのけど、まとめられるのは姉さん位か。そうか、両方とも姉さんの挑戦だよ。化学は、みんなで考えろ。紡績は洋次郎くんに託した。僕はそう思う。化学みたいな会社は、程度の差あれ、又出てくるよ。しかし紡績は難しいだからお金を預けて、洋次郎君に託したんだよ。

知子「考えすぎじゃないの。」

幸之助「会社は、多分商会のような会社が増えていくと思う。だから商会をそのような形にした。紡績は姉さんがやっていれば、化学と紡績を併せたような会社もできるだろう。しかしみんないずれ死ぬ。そうすれば、夢を託す人に合わせて会社を分けた。そうは思わないか?」

知子「そう言えばそうかも知れない。」

幸之助「ここはどうするかをお前が考えていく事になるよ。母さんは現実的に考えていた。僕も知子も母さんが手本だろ。姉さんは、夢を現実に変えてきた。僕は現実的に少しずつ対応していく。僕はそれしか出来ないし、それ以外の事はやる積もりもない。母さんは姉さんを高く評価していた。お前が、姉さんの挑戦をよく見て考えて欲しい。母さんがお前を役員にした理由が、ようやく分かった。」

知子「兄さんが断って、私になったのでしょう。」、

幸之助「母さんは、僕を知ってるよ。僕の行動を。僕は断るだろうが、声をかけておく必要はある。今の僕でもそうしたと思う。お前は、化学と紡績をよく見て考え欲しい。」、

知子「よく考えてみるよ。今は、類は友を呼んでね。真面目な人は紡績に、少しワルで自由が欲しい人は化学に集まるの。

幸之助「鉄鋼はどうなの。」

知子「少しはましね。それに鉄は景気良くなった。洋一さんが少し真面目になっているけど、鉄造さんや鉄二郎さんは相変わらずだけど、他から来てる人を含めて、洋一さんがまとめ役になってる。洋一さんは才能ある人で技術も判る人だから、少しつづ会社を変えてきている。真面目な人も増えてる。真面目といっても紡績では息できないほどだけど。」

幸之助「商会は?」

知子あそこは、いくつかの会社の集合体という会社なの。一つの会社なのに、競合製品売っている部門もある程よ。姉さんも扱っている製品知らない事多いと言ってるよ。貿易の人なんか、平気で競争相手の貿易会社に納入する。姉さんも週1日か2日出てくるだけだし。会社としては、販売チャンネルを持ちたい会社が出資したいと云ってくるし、資本金も増やしている。我々の出資比率も下がっているでしょう。本当にみんなの会社になった。姉さんは辞めたいといっても、ここまで大きくした人の責任ですから、姉さんは死ぬまで会長をやって貰いますと言われているの。」

幸之助「そんな会社が増えていくのだろうね。」

知子「化学はね。面白いよ。雑談とも夢とも分からない話もしてるし、ちゃんとした話もするしね。妙子さんも役員になってね。血管を繊維でつくれないかと血液はどうかと言ったりしてね。研究の人も真剣に話したりしてるの。

幸之助「それ面白いよ。まあ直ぐじゃ無理だと思うけど。製薬会社として出資増やして、ここの研究か開発の人も役員にしてもらおう。姉さんに共同研究を申し込んでみる。」 


化学と製薬は結びつきを強めた!




幸之助「姉さん、化学にもう少し出資させてよ。知子以外にうちの研究部門の責任者を役員にしてよ。それと製薬会社と医療用製品の共同研究しようよ」、

純子「いいけど、化学としても製薬に出資させてよ。私だけじゃなしに研究の人だすよ。共同研究もいいよ。功一郎さんにも声かけてみよう。でも化学は自由な人多いから、私も制御できないよ。」、

幸之助「それでいいんだよ。どこが作ってもいいよ。でも製品として販売するのは、基本的に製薬会社にしておくれよ。

純子「それくらいね、お前の所の弁護士と化学の弁護士で話させよう。」

幸之助「姉さん、この家は昔のままだね。うまく改築したものだ。ここは広いから、洋次郎君たちも十分住めるね。」

純子「付け足した所もあるんだよ。結局改築といってもちょっと補修しただけでね。同じような家をもう一軒つけたようなものだよ。洋次郎も途中から一緒にくると言ったからね。みんな来ても大丈夫なようにね。次平先生の家にあるものみんな持ってきた。整理できないものは蔵に入れたよ。でも昔の農場により広いと思わない。こんなに広かったかい。」

幸之助「来る時に聞いたけど、製薬の子会社で種苗会社が借りていたけど、広くしたいので、付近を買い取っていた。でももっと大きいのが、欲しいと言ってる。大きな場所も見付けたそうだ、姉さん付け足した所を買い取ってあげてよ。数年間は準備期間で欲しいそうだ。

純子「それは構わないよ。庭でもしたいけど、こんな時代だからね。種苗会社も忙しいだろう。当分貸してあげるよ。」 



医療用製品としては、手術用の糸から、医療用のチューブ等などの医療に必要な道具を作り始め、功一の後を引き継いだ功一郎がしている機械会社とも協力しながら、医療用の繊維そして化学用品そして医療用機械を作り出すようになった。

特殊な機械であったので、製造は化学が総括的に指示して、販売は多くが製薬が担当し、一部は化学も売るようになっていった。


そして化学は色々な事業部門が、自由に考えて行動していた。純子はそんな会社にしていた。

多くの会社と技術提携したり、共同に仕事を進めていた。純子はそんな空気が好きだったので、総括的な管理を行うようになっていった。役員会は自由討議のような場所になり、研究からも複数の役員を出し、研究や技術出身の人も多く、一部の報告や承認事項の他は、みんな自由に討議していた。肩書きをつけて、人を呼ぶ事は少なく、自由な気風の会社になっていた。それだけに暴走を危惧した純子は法務部門を充実して、内部の管理も行っていたが、普通の自由な討議には影響なかった。 



純子は子どもたちを呼んで、話をした。

純子「洋一、ここは広々としているだろう。家も広くしたしね。お前も引っ越してこないか。」

洋一「鉄鋼は、福岡にも工場があってね。駅に近い方が便利なんだけど、考えてみるよ。」

純子「ところで、化学の事で相談したいの。」

妙子「あの会社面白いわ。幸之助おじさんも良くきてるし。洋次郎のおかげだわ。」

洋次郎「私は何もしてませんよ。あそこは、お母さんが新しく作った会社です。」

妙子「お前が真面目すぎて、息できない不良たちをお母さんが集めたの。程度問題よ、真面目も。」

純子「洋次郎、もう少し、広い心で接してあげてね。真弓さんも無理する事ないのよ。もっと自由に、ゆったりとね。」

真弓「そんな事すると、私怖いのです。それに洋次郎さんといる時は身も心ものんびりしています。それで十分です。」

妙子「これだもんね。でも少しは、息抜かないと。」

純子「お前は抜きすぎだけど、真弓さん自信もって、洋次郎と一緒に、のんびり歩くのよ。 化学は、多くの会社から出資を受けているけど、私の名義も結構あるのよ。妙子が一番詳しいから、私の名義の半分は妙子に、そして四分の一ずつ、真弓さんと京子さんにするよ。私個人で、様々な会社に出資しているけど、今は、ほとんどお金は入ってこないよ。適当に子どもたちに割り振っておくよ。」

洋一「京子、俺のせいだよ。俺が信用されてないから。」

妙子「京子さん、洋一のあそこ囓ればいいの。他で使えないように。」

京子「大丈夫ですか?」

妙子「囓り方おしえるわ。京子さんの使いたい時だけ使えればいいように。」

洋一「京子、本気でしないで。」

京子「どうも若い芸者と。」

真弓「強く吸っても、尿道こたえますよ。特に先端部分、翌日痛いですよ。」

妙子「疑わしい時は、歯形つければいいのよ。多分数日間出し入れ出来ないよ。」

京子「今度やってみます。」

洋一「京子、本気にしないで、俺そんな事してないから。」

純子「京子さんとちゃんとやる事だよ。あっと云う間に出来なくなよ。」

洋一「ここはひろい農園もある。あれもここのもの。」

純子「そうだよ、昔からついていたけど、種苗会社が買いましていた。付け足した分も買っておいた。食えなくなったたら、ここがあるよ。鉄平お祖父さんはそう考えたのかもしれないね。」と冗談を言った。
 




真弓「お義母さん、前から気になっていたんですが、このお酒は、お純と言いますが、他では売ってないですね。美味しいのに。何かお義母さんと関係あるんですか?」

純子「鉄平お祖父さんが、ここの屋敷を作ったときに、近くに小さい醸造元があって、とても美味しいので、いつも買っていたの。何かお金が必要になって、売ろうとしていた。お祖父さんが、必要な金額より多い金額を預けたの。今まで通り、そのままお酒を造って貰って欲しいと言って。醸造元も、少しずつお金を返してくれた。毎年新酒できたら、送ってくれた。お祖父さんは、そのお金がある程度の金額になったら、もう返さなくていいと言ったけど、その醸造元の人は、新しい蔵を作って、鉄平蔵と名付けたいといってきた。私が可愛がって貰っていた時だから、新しい蔵をお純蔵として、お金関係なしに良い酒を造って欲しいといって、毎年お金を渡していた。出来たお酒に、お純と名付け、少量作っていた。でも家だけじゃ飲めないから、東京近くの料理屋でも出していたの。私は、あまり料理屋には行かないのは、お純下さいと言う声がするでしょう。私が飲まれるみたいで行きにくいのよ。名前替えてと言ったのに、みんな気に入ってると替えてくれないの。」

洋一「俺もこの酒好きだよ。美味しいし、お純くれと言うの気持ちいいよ。商会や化学の連中もよく料理屋いってるよ。」

純子「もうどうでもいいけどね。」

真弓「そうだったんですか。」

妙子「その話、少しだけ聞いた事ある。」

純子「いつもお金はいらないと言われるけど、今は、私が払っているの。みんなの家にもお酒届いているでしょう。」





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