のら猫の三文小説

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純子の挑戦 No.15

2013-01-01 00:00:05 | 純子の挑戦

妙子と宏も話していた。
「お義母さんは凄い人だ。今回の相続は、洋一くんの説教が目的か。」、
妙子「そんな気もしてたの。洋一がお母さん避けてるの、おかしいと思っていたの。でも私は、病院は半々と思っていたけど。でも共同名義なら一緒か。」
「妙子は自分の娘だからじゃないの。」
妙子「お母さんは、そんな甘い人じゃないわ。むしろ真弓さんへの配慮よ。」
「そうかな。」
妙子「私とお母さんは、同類よ。ゆくゆくは子ども達を見て、お互いに考えろと言うことなの。さあくだらない話は終わり。今晩も頑張ろう。」

洋次郎と真弓も話していた。
洋次郎「私で紡績会社大丈夫かな。才はないのに不安だ。」
真弓「才はなくてもいいの。人の話聞けと言われているでしょう。私は子ども達への代理で受け取ればいいって。」
洋次郎「お母さんが、私を評価している理由なんだと思う?」
真弓「純粋な所?」
洋次郎「それは真弓さんだよ。真弓さんを愛して、真弓さんと一緒になる事ができた。愛しつづければ道は開けると言われた。私の宝物は、真弓さんだよ。」
真弓「私の宝物は洋次郎さんの子どもたち。私は洋次郎さんのものなの。身体中に洋次郎と書いて欲しい程よ。今日も抱いてね。」


洋介は元気で暮らしていたが、5年位すると老いが見え、ついに亡くなった。この間に洋介は、病院及びその資産は妙子と真弓に、贈与や譲渡をしていた。まだ処理できず残っていたものについては、子ども達は放棄し、純子が持っていた。純子は、60才を超えていたが、まだまだ元気で、週に何回か商会と紡績に行っていた。引退したいと言っていたが、元気なので出て来て欲しいと言われて、商会では会長になっていた。純子は少しつづ、贈与と譲渡の形で、子ども達に名義を変えていった。


安部化学が、再び出来た!


紡績は、輸出も行っていたし、好調だった。一時下がった給料も、利益が出て戻っていた。純子個人の貸付も減ってきていた。洋次郎に紡績を任せてみると、真面目で純粋な洋次郎も、懸命に頑張っていた。だが洋次郎が頑張れば、会社も生真面目になった。有能だが、規格はずれや自由な人は息苦しくなってきていた。純子は、一度は紡績に戻した化学部門を中心に、新しい化学会社を作っていった。純子自身の資産も加えた。純子は、この会社では、様々な出資を受け入れていた。安倍紡績と安倍化学とは重複する所もあったが、紡績も好調であった。自由な気風のある安倍化学は、新しく分野を多く手がけていた。この会社は、様々な人材や出資を受け入れていた。


紡績での、純子個人資産からの貸付は少しずつ会社としての貸付に変更していった。洋次郎は、紡績の会社として社員に無利子で貸す事を思いついた。今までの個人の貸付ではなかった。想像を絶する運営だった。詐欺師やペテン師は泣いて喜ぶ会社だった。紡績は、寺や修道院のような会社になっていた。

化学を創立した時に、洋次郎は、純子に返還を申し出た。純子は洋次郎にお前のものだと言ったが、まだ洋次郎は、お母さんのものだと言って聞かなかった。純子は宏の意見を聞き、紡績の幹部を呼び、話をしていた。純子は、一部は紡績会社に寄贈し、化学への出資に当てた。純子が年を取るようになり、個人としての貸付は、もう限界であった。商会はすでにそうしていた。紡績もそのようにした。純子は、純子個人が運用していく事にした。もう個人資産と会社資産との混同は無理であった。これ以降は、純子は給料は受け取るようになった。貯まっていた配当などの利益反映金も受け取るようになった。名義書換は少しずつ行っていたが、かなりの金額を純子は受け取るようになった。


妙子、安部化学の役員になる!



妙子「宏一は、竹内の家と宏さんの影響を受けたのか、法学部へ行ってしまった。玲子は医学校へ行ったのに。」
純子「玲子は、遊んでいるの。」
妙子「時代が違うの。あの子はふらふらして、男の子と付き合うけど、まだやってないのよ。」
純子「もう二十歳を超えたのに、お母さんは16、私は15、お前も16で男知ったのに、玲子は遅いね。」
妙子「今は、そんなに早く医者になれないし、勉強も忙しいし、玲子自身も早くやりたいと行って、ふらふらと男の子付き合うけど、馬鹿嫌いだしね。そんなにいないとぼやいているの。 いい男落ちてないとうるさいのよ。」
純子「お前も食べてから考えてたのにね。そうすると記録は更新中ね。残念だね。お前が、お腹の大きい玲子抱えてウロウロすると所を眺めたかったのに。」
妙子「それはお母さんの事でしょう。恵子お祖母さんが言ってたよ。お母さんがよく医者に診察いかされていたでしょう。私も、あいつが16になったら、半年毎に、病院で診察しても貰ってるの。知子さんの事もあるし。あいつは勘ずいて、私はまだやってないのに、うるさいの。」
純子「さすが、お前は医者だね。でもそれは、竹内さんの家にいた事が原因かもしれないね。」
妙子「じゃ、慶子ちゃんも16でしょう。お母さんの影響もあるし、もう知ってるの。」
純子「あの子もまだだよ。真弓さんは男選べとうるさいの。くだらない男なら、お前は売春婦にもなれるし、いい男なら大きくなれると言うのよ。私は洋次郎さんと出会ったからこうしているけど、出会わなければ、くだらない男の玩具にされ、笑いものになってるか死んでいたかも知れない。お前はそんな女の娘だよ。真弓さん隠さずに、真剣に言うの。慶子は男好きそうだけど、いつも脅されているから、慎重なの。」


妙子「次平くんは、やっばりうちの学校に行ったね。みんなの期待どおり。でも同名ならこれから大変だ。」
純子「例の家に、住まないの。」
妙子「広いし、大きいけどもう何十年もたってるでしょう。お母さんは立て直すのは、いやだと言うし。改築を考えているの。竹内の家も宏さんは次男だし、いつまでも居られないでしょう。お義兄さんも帰って来たがっているし、早くしないとね。実験農場付きとは知らなかった。種苗会社に貸しているのね。製薬会社の子会社に種苗会社があるとも知らなかった。製薬会社も色々な会社も持っているのね。」
純子「私が子どもの頃、時々鉄平おじいさんに預けられたの。思い出の家なの。私も行きたいけど、真弓さんが気にすると悪いから、完全に引っ越す訳にはいかないの。でも私は、あの家で暮らしたい。洋介さんももう少し生きて欲しかった。そうだ。新しい家を林の中を建てればいいよ。お前の好きなように。私はあの昔の家を改築するよ。その方が早いよ。」

妙子「それしてくれると助かるわ。林の中のいいところを探すわよ。洋次郎の会社どうなの。」
純子「紡績は、順調よ。ただ、洋次郎は、安い賃金で長時間労働させる事は、出来ない子だから。他の会社に比べると利益はそんなに上がらないけど、機械は良く入れて効率を上げる事を考えるの。まあそれがあの子なんだけど。」
妙子「それは、お母さんからの厳命だと洋次郎言ってるわよ。機転が利かないから、愚直という感じだね。お母さんがまだ指示してるの。」
純子「洋次郎に任せているけど、どうも紡績は、まじめとか熱心とか言う人が多くて、才能ある人は悪い所もあるから、少し居づらいので、新しい会社に来るの。あんまり偏るのもどうかと思うけど、会社の空気よね。」
妙子「お母さんは、相当悪いところあるから、不良は新しい会社の方が住みやすいのよ、水清ければの類ね。」
純子「洋次郎に、機転というのも無理だし、お前こそ紡績の役員になってみな。少しは人間良くなるよ。品行方正な人が多いよ。知子もここは凄い。心が洗われる会社だ。でもすこし行き過ぎと言うよ。でも言い方も難しいのよ。洋次郎は、真弓さんがお酒のむから、少しは付き合うだろう。あんまり接待しない会社だけど、たまにはするだろう。正座して飲むの。言い方丁寧だしね。接待される方も、どうぞ気楽に言われても限度あるだろう。飯を食って、どうもで、直ぐ終わるよ。名義少しわけてやろうか?」
妙子「私、いやだよ。役員会って想像つくよ。床も良く磨いてあり、机も綺麗、背筋伸ばして真面目な人が真剣な顔で話をする。社員は礼儀正しくお辞儀する。そんな気する。洋一と洋次郎を足して、二で割れたらいいのよ。洋一も少し真面目になった?」
純子「少しはね、接待続くと、京子さんが電話してくるよ。洋一の名義書換、少し遅らせているし、私も少し接待の度が過ぎると脅している事もあるし、まあそこそこよ。」
妙子「新しい会社は、どうなの。」
純子「私は仕事中は、雑談嫌いだから、勤務時間内は真剣だけど、姿勢悪いし、タバコすってるやつもいるし、時々は、こそこそ話しているよ。私が行っても、社長まだお若いですねといいながら、平気で座って仕事してるよ。まあ仕事中に私のために立つなと言ってるけどだよ。同じ事を紡績で言っても、直立不動で立つ人が多くて、みなさん仕事してくださいと私がいつも言わないといけない。規格外でも、できる奴が、新しい会社に集まってくる。礼儀しらずも一杯いるよ。机の上もぐちゃぐちゃだよ。」
妙子「お母さん、考えているね。そんな人たちも住める所、つくるために、新しい会社つくったね。私、そこならなってもいい。自由な感じするもの。今の真弓さん、もの凄く真面目なの。話も真剣だしね。診断も正確だし、真弓さんが診察の時は朝から番号札配っているの。私は特に診察しないの。時々診断するけど、手術のための診断ね。何人かそんな医者が集まってきているの。外科には手術の好きな自由な外科医が集まり、内科も真面目な医者が集まっているの。」
純子「お前、なってみるかい。毒には毒で自由に意見言えばいいよ。役員会といっても、半分夢語る奴いる場所だしね、役員会も遅くすれば良いんだよ。」
妙子「お母さん、残業嫌いじゃないの。」
純子「新しい会社は、勤務時間は決めてないの。平気で遅れてくるから、逆に自由にしたの。みんな自由に選んでるの。製造も勤務時間は志願制で、真夜中は避けるようにしてけど、みんな好き勝手に働いているよ。人揃うかどうか心配だったけど、なんとかやってるよ。」
妙子「いつもいけないよ。手術がない時だけだよ。」
純子「それでいいよ。お前は医者だし、それに朝弱い奴多いから、いつも午後からやるし。出れる時だけで良いよ。毎回出る必要はないよ。」


建築会社に連絡して、新築と改築を両方進めてさせた。改築は遅い予定だったが、純子が住む事になると聞かされ、大至急で行われた。それに古いけどしっかりした作り方だった事も判った。純子は、真弓さんが気にすると言ったけれども、旧宅が気に入っていた。洋次郎と真弓も、純子の意向を尊重して、引っ越した。戦争の足跡がして、市中は騒がしくなっていた。



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