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田園城郭都市構想 15

2017年02月05日 | 湖と城郭都市

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-



都市計画・景観・歴史まちづくりについての計画 | 彦根市

5-4 イギリス:ニュータウン政策の新展開
4-3 ミルトン・キーンズの新たな成長

ミルトン・キーンズの都市構造とその問題

選択の自由と機会」、「移動の容易さとクセス」を目
標に掲げ、それまでのニュータウンとは異なる全く新し
い都市構造を目指すミルトン・キーンズの当初マスター
プラン(1970)には、その実施段階で様々な変更が加え
られることとなった。結果的に現在のミルトン・キーン
ズは多くの都市構造上の問題を抱えている。Milton Key-
nes Partnership
のレポート“The New Plan for Milton Keyn-
es:Draft Directions Papers
2005.8 は、それらの問題と
都市再生における課題を次のように分析している。



① 格子状道路網の構造

計画の実施段階で、格子状道路網の計画速度の大幅な変
30mph→ 60-70mph)が行われ、加減速のための空間
や大規模なバッファーゾーンを含む道路幅員の大幅な拡
張が行われた。そのために、格子状道路でのバスの安全
便利な利用が困難となり、バスストップはgrid square の 
内部に移された。この結果、著しいバスサービスの低下、
利用の低下が生じ、結果的に自動車利用への過度な依存
が生じている。格子状道路が大幅に緑化され、Green City
のイメージが強化された反面、単調な景観が生まる。格
子状道路を歩く人の姿を見ることはなく、道路空間の防
犯性にも問題が生じている。

② グリッドスクェアとアクティビティ・センター

道路構造の変化によって、隣接する二つの地区(Grid
Square
が視覚的にも物理的にも分断され、それぞれが
孤立する状況が
生じた。道路沿いの開発は回避され、開
発がGrid Square の内
部に押し込められる結果となった。
当初、隣接する地区を結び
つけるように格子状道路にま
たがって計画されていたアクテ
ィビティ・センターは、
地区の中央部またはバッファーゾーン
の背後に設けられ、
本来のキャッチメント・エリアを確保でき
ていない。地
区相互の間の歩行者動線も適切に連絡されず、結
果的に
ローカル・センターの多くは十分な選択性やサービスを

提供できずに終わっている。これらが当初意図された「
移動の
容易さとアクセス」、「選択の自由と機会」の実
現を阻んでいる。


③ 住宅地

都市全体を通じて低密度につくられた住宅地は、コミュ
ニティ施設と公共交通の存立が困難な状況を招いた。
質な土地利用と低密度の開発が、多様性や活力、活気に
乏しい場所をつくりだしている。また、異なるタイプの
住宅が混じり合うことなく、別の地区に分離されて建設
された結果、社会的、経済的階層の分離が生じた。住宅
の選択性や多様性の欠如は、バランスのとれた、多様で
活力あるコミュニティの形成を阻んでいる。

④ 土地利用ミックス

当初計画に反して住宅地と就業地とが分離され、意図さ
れた
用途のミックスは実現していない。結果的に住宅地、
就業地の
双方に歩行者が少なくなり、まちの安全性にも
問題が生じてい
る。また短い距離を自動車で通勤するよ
うな状況が生じている。




⑤ ペデストリアン

都市構造の大幅な変更によって、ペデストリアンは施設
利用
動線としては用いられず、レクリェーション利用に
とどまって
いる。人通りも少なく、安全上、防犯上の問
題も生じている。

参考になることが掲載されているので連載することに拍
車がかかる。

                   この項つづく

 Apr. 27, 2014

【エピソード】

 
 
  

新年会報告

昨夜、無事盛大に表示会をおえることができました。出
席者皆様方にお礼申し上げます。当日は、春慶節とあっ
て中国の宿泊者でにぎあう彦根キャッスルホテルで、5
日から改装に入る常磐の間(今夜で見納め)で、各自の
近況報告と幹事かから2つの提案(①ナショトレ調査活
動と②里山薪ストーブ事業)をさせていただきましたが
提案につきましては不採択となりました。尚、①につき
ましては、守る会とは切り離し活動を継続し行っていき
ます。

続いて、柳本様の乾杯の音頭で新年会を開宴、幹事の方
から不参加の会員の近況報告をさせていただき、「大老
御膳」コース料理を堪能、肝胆相照らし話に花を咲かせ
ました。吉田様からは料理の味がこの上なく美味しいと
の、幹事(有山)冥利に尽きる感想を頂き、吉田様の〆
で千秋楽させていただき。ここに皆様方にお礼申し上げ
ます。
                    幹事敬白



尚、不足分二百円は、辻様から義援いただきました。お礼申
し上げます。

【脚注及びリンク】
----------------------------------------------------- 

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. Core Strategy (2013) - Milton Keynes Council
  3. "The New Towns: There Problems and the Future
    Department for Communities and Local Government,
    2002.11.21
  4. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  5. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  6. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  7. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  8. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  9. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  10. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  11. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  12. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  13. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  16. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  17. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  18. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  19. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  20. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  21. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  22. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  23. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  24. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  25. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  26. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  27. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  28. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  29. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  30. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  31. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  32. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  33. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  34. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  35. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  36. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  37. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  38. 彦根市立図書館|簡易検索
  39. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  40. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  41. アウガ Wikipedia
  42. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  43. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  44. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー

  45. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
     
      

-------------------------;------------------------ 


田園城郭都市構想 14

2017年02月04日 | 湖と城郭都市

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-


Jul. 17, 2003 

5-4 イギリス:ニュータウン政策の新展開

4-3 ミルトン・キーンズの新たな成長

イギリス最大規模のニュータウン、ミルトン・キーンズ
(面
積8,840ha, 計画人口250,000人)では、2004年、政
府のサス
テイナブルコミュニティ・プランを契機として、
新たな成長・
再生戦略への取り組みが開始された。

計画の経緯

1967年1月にニュータウン指定を受け事業に着手したミ
トン・キーンズ開発公社は、政府の方針によって25年
後の1992
年3月に解散した。この時点でミルトン・キー
ンズの人口は、
143,000人であった。公社の解散ととも
に、ミルトン・キーン
ズの計画権限は自治体に移行し、
公社の保有する未処分用地等
の資産は事業完了後のニュ
ータウンの管理を担うニュータウ
ン委員会(Commission for
New Towns
, 組織改編に伴い1999
年からは English Partn-
erships
, 2008年からは Homes and
Communities Agency
移行)に移された。ニュータウン委員
会及び English Pa-
rtnerships
は、未処分用地に関する計画許可
等の権限を
持ち、これを民間事業者に処分することでニュータ
ウン
の建設を継続してきた。この結果、ミルトン・キーンズの

人口は、2011 年に約230,000 人に達している。

2001年の「ロンドン及び南東部地域計画(RPG9)」にお
て、ミルトン・キーンズは4つの成長エリア(Growth-
Area
のひとつとして位置づけられた。2003年に「サス
テイナブルコ
ミュニティ・プラン(The Sustainable Com-
munities Plan
)」を
公表したジョン・プレスコット副首
相は、翌2004年にミルト
ン・キーンズに今後20年間で新
たに70,000戸の住宅を建設し、
210,000人の人口をほぼ
倍の370,000 人とすることを政府の方
針として発表した。

これに伴って政府はミルトン・キーンズの
計画権限をEn-
glish Partnerships
に移すとともに、新たな成長
戦略の策
定を指示した。2004年6月ミルトン・キーンズの
成長戦
略の推進組織として Milton Keynes Partnership が組織

れた。Milton Keynes Partnership は、English Partnerships,

Milton Keynes Council, Local Strategy Partnership 等で構成
れ、ニュータウンの成長戦略を立案・推進するほか、
ニュータ
ウン内の主要なプロジェクトに関する計画権限
を付与されて
いる。

 Wikipedia

Partnership は2006年6月に「成長戦略2031(The New
Plan
for Milton Keynes:Strategy for Growth to 2031
)」をとり

とめた。都市の成長と再生を一体的にすすめ、持続可能
な成
長を実現しようとする意欲的な計画・提案であった。
その後、2008年のリーマン・ショックの影響によってイ
リス政府は厳しい財政難に陥り、2010 の保守党への
政権交
代後の大胆な緊縮財政に伴って、政府の主要な計
画はいずれも
大幅に見直されることとなった。

「ミルトン・キーンズ・成長
戦略2031」の実現の見通し
も現段階では定かではない。
2011年、Milton Keynes Partn-
ership
は解散しその役割は
Homes and Communities Agency
に移された。また2013年7
月にMilton Keynes Council は
「成長戦略2031」を受け継ぐ
法定計画として、2026年を
目標年次とする「コア・ストラテ
ジー(The Milton Key-
nes Core Strategy
)」を決定している。

Milton Keynes Partnership による主要な検討成果

1.Shaping the Milton Keynes’ Future: A Long Term  Sustain-
    able Growth Plan for Milton Keynes Project Brief,
2004.12
2. The New Plan for Milton Keynes Draft Direction Paper,
     2005.8
3. The New Plan for Milton Keynes Options for Growth;
    Technical Report, 2005.11
4. The New Plan for Milton Keynes A Strategy for Growth for
    2031, 2006.6

                                                                            この項つづく

【エピソード】

 
 
  

【脚注及びリンク】
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  1. 田園都市 Wikipedia
  2. Core Strategy (2013) - Milton Keynes Council
  3. "The New Towns: There Problems and the Future
    Department for Communities and Local Government,
    2002.11.21
  4. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  5. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  6. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  7. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  8. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  9. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  10. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  11. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  12. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  13. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  16. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  17. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  18. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  19. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  20. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  21. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  22. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  23. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  24. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  25. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  26. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  27. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  28. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  29. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  30. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  31. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  32. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  33. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  34. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  35. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  36. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  37. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  38. 彦根市立図書館|簡易検索
  39. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  40. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  41. アウガ Wikipedia
  42. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  43. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  44. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー

  45. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
     
      

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田園城郭都市構想 13

2017年02月03日 | 湖と城郭都市

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-

5-4-1 下院レポート
     『ニュータウン:その諸問題と将来』

② ニュータウンの諸問題-物的なニーズ

・全てのニュータウンでの分散的で低密度な開発、異な
  る用途
を隔離する計画が、伝統的な都市に比べて住民
 の移動距離を増大させ、結果的に過度な自動車への依
 存とプアな公共交通サービスという大きな問題を招い
 ている。
・ニュータウンのセンターの多くが全くと言ってよいほ
 ど魅力を欠き、結果として他地域への消費の流出を招
 いている。質の高い公共空間、伝統的な通りとミクス
 トユース、そして多様なレジャー・アクティビティを
 創出するような再生プランが必要とされている。
・ニュータウンの多くの住宅が時間の評価を受けること
 もなく、「革新的な素材」と「革新的なデザイン」の
 採用のもとに建設された。それらは今では取り壊しか、
 大規模な改造を要するものとなっている。大量の住宅
 が耐用年限を過ぎつつあり、今後段階的に再開発をす
 すめていく必要がある。
・歩車分離を意図したラドバーン・レイアウトはニュー
 タウンで集中的に用いられてきた。結果的に住宅は歩
 行者路にのみ面し、背後のパーキングに監視の目が行
 き届かず、犯罪や反社会的行為の焦点となっている。
 また、多くのニュータウンで重要な要素とされている
 緑地空間や歩行空間も防犯性・安全性の問題を生じさ
 せている。
・地方自治体はニュータウン開発公社から受け継いだ住
 宅地に関する近マネジメントの問題を抱えている。そ
 の原因は、1980 年代の ”right to buy(公営住宅払い
 下げ)”と公社解散の直前に行われた “fire sale(駆
 け込み販売)”によって引き起こされた所有権の錯綜
 状況(持家、社会住宅、民営借家の混在)にある。こ
 のことが住宅地のメインテナンスを困難にしている。
 長期間のメインテナンスを確実にするための運営及
 び投資の仕組みを確立することが重要である。

③ ニュータウンの諸問題-社会的・経済的なニーズ

・ロンドン周辺のニュータウンは、強い地域経済の恩恵
 によ
って全体的に繁栄しているものの、部分的には高
 レベルの
貧困地区を抱えている。またこれらのニュー
 タウンのいく
つかには、アフォーダブル・ハウジング
 の不足という問題
が生じており、新たな社会住宅を大
 量に供給するためのプ
ロジェクトが求められている。
・幹線交通網に近接し、タウンセンターが地域の経済セ
 ンタ
ーとして発展しているニュータウンでも、部分
 的に深刻な
貧困エリアを抱え、住宅価格の暴落や住宅
 放棄などが生じ
ており、小規模な貧困エリアへの対策
 が求められている。

・北部・中部イングランドの多くのニュータウンは、そ
 のポテ
ンシャルを発揮できず、計画目標人口にも遙かに
 届かず、高
レベルの失業率と貧困に当面している。

④ ニュータウンの継続的なマネジメント

・1977年から1992年の間に全てのニュータウン開発公
 社が
解散し、地方自治体が大半の責任と社会住宅を引
 き継いだ。
しかし、それらを維持するために必要な収
 入が不足してい
る。ニュータウンの資産を引き継いだ
 ニュータウン委員会
1999English Partnerships に再
 編)は、公社の仕事を
引き継ぐより、未処分の用地を
 処分することに集中し、そ
れらによる収入はニュータ
 ウンに再投資されることもなく、
国庫に納められてき
 た。English Partnerships によるこれま
での資産管理の
 方法を根本的に改め、資産処分収入を「ニ
ュータウン
 再投資ファンド」の創設にあてる等によって、
継続的
 なマネジメントの仕組みを確立する必要がある。

⑤ 将来の成長

・既存のニュータウンは、さらなる開発へのポテンシャ
 ルを
有している。我々は政府に対して住宅供給の目標
 を達成す
るために、既存のニュータウンの更なる拡張
 計画を推進す
ることを提案する。ただし今後の開発に
 おいては、開発公
社、English Partnerships による従来
 の土地の処分方法等は
採用されるべきではない

5-4-2 サステイナブルコミュニティ・
                 プラン2003

2003年2月、労働党政府の住宅・都市政策を主導するジョ
ン・プレスコット副首相は、住宅供給及びコミュニティ
環境の
総合的整備・改善等の広範な政策目標を掲げた「
サステイナブ
ルコミュニティ・プラン(The Sustainable
Communities Plan
)」
を公表した。この計画は、以下の
6つのテーマを掲げている。

・高品質の住宅と安全かつ魅力的な近隣環境の実現
・広範な地域に広がる住宅需要の停滞と空き家問題への
 対応

・より多く、より迅速なアフォーダブル・ハウジング
 供給

・田園地帯の保全と、アフォーダブル・ハウジングの確
  保

・ロンドン及び南東部地域での成長圧力への対応
・プランニング、地方分権、地域住宅戦略の再構築

※ アフォーダブル(affordable)は値段などが手ごろで
  ある意。
取得可能な、あるいは賃借可能な住宅。住宅
   価格・家賃水準の上昇に対応する政策の目標とされる。

計画の中心的な課題のひとつは、経済成長と雇用、人口
の伸
びが著しいロンドン及び南東部地域での住宅不足、
とりわけア
フォーダブル・ハウジングの著しい不足を
速やかに解決するこ
とであった。このために計画では、
「ロンドン及び南東部地域
計画(RPG9, 2001)」におい
て今後の成長センターとして位置
づけられた、Thames
Gateway, Milton Keynes & South Midland,
London- Stansted-
Cambridge, Ashford
の4つの成長エリア
Growth  Area
において集中的な投資を行い、2001 - 2016
の間に460,
000 戸の新たな住宅を供給することとして いる。

ロンドン周辺のニュータウン(Milton Keynes, Northamp-
ton,
Corby, Peterborough, Harlow )は、いずれもこの成長
エリアに
含まれている。各ニュータウンではサステイナ
ブルコミュニテ
ィ・プランに基づき、開発区域の拡張、
未処分用地の活用、既
存コミュニティの再開発計画と新
たな住宅供給計画の検討が
開始された。これらのニュー
タウンの拡張・再生計画は、前述
の下院レポートが提示
する方向に沿ったものとも考えられる。

このように、イギリスでは一度は終結されたニュータウ
ン政
策が「成長エリア」という概念のもとに再浮上し、
新たな展開
が図られつつある。しかし、成長エリアでの
開発は、かつての
ニュータウンとは異なる方向を目指し
ている。例えば事業主体
に関しては、ニュータウン開発
公社のように国主導の組織では
なく、自治体や住民組織
等を含む関係主体のパートナーシップ
組織等が検討され
ている。またかつてのような公共主導の住宅
建設ではな
く、積極的な民間活用がすすめられるであろう。用
地の
選定においてもグリーンフィールドではなく、ブラウン
ィールドの再生利用に重点が置かれている。

開発の形態もかつ
ての低密度開発ではなく、コンパクト
用途複合型持続可能
な開発形態が指向されている。
いずれも過去のニュータウンか
らの教訓を反映し、新た
な時代の要請に応えるものと言える。
2010年の保守党政
府への政権交代の後、南東部地域計画や
サステイナブル
コミュニティ・プランなどの主要計画が廃止、
あるいは
大幅に見直されることとなった。このため各ニュータ

ンの拡張・再生計画も大幅に修正されるなど、当初計画
のと
おりには進んではいないが、今後の動向が注目され
る。

注)サステイナブルコミュニティ・プランは最終的に
  2015年1月に廃止された。

                                      この項つづく

 
【エピソード】

 
 
  

【脚注及びリンク】
-----------------------------------------------------  

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. "The New Towns: There Problems and the Future
    Department for Communities and Local Government,
    2002.11.21
  3. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  4. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  5. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  6. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  7. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  8. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  9. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  10. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  11. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  12. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  16. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  17. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  18. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  19. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  20. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  21. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  22. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  23. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  24. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  26. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  27. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  28. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  29. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  30. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  31. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  32. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  33. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  34. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  35. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  36. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  37. 彦根市立図書館|簡易検索
  38. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  39. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  40. アウガ Wikipedia
  41. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  42. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  43. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー

  44. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
     
     

-------------------------;------------------------ 

 

 

 

 

 


ナショトレコース調査計画(案)

2017年02月02日 | 日誌

 

作成日:2017.01.02|更新日: 

2017年新年会用資料 No.1

● 経過説明

元々、個人的な「日本百名山踏破」を退職後の健康管理
と趣味を兼ねライフワークにと考えていたものを守る会
の継続に、として、2016年会の新年会に「びわ湖環
の保全と修景を学習体験――滋賀の里山とびわ湖水系
つなぐ運動」として発案し、提案させてもらったのが
端。

そこでは、
4つの野外・空中・水上スポーツ――登山・
ウォーキング・
パラグライダ・カヤックの基本的な組み
合わせ
、自然公園をループサイクルすることで精神をリ
フレッシュさせ、健康増進を図る。また、余暇・レジャ
ー・リラクゼーション・
キャンピング、体験学習・自然
観察・観光を日本有数パワースポットであるびわ湖を中
心とした滋賀の自然とフィッシング、ラフティング、温
泉めぐり、アウトドアーグルメなどに拡張することも可
能である。



里山の動物と植物

その意味では、「ナショナル・パーク・トレッキング」
と呼称するのが正しいが、ここでは「ナショトレ」と呼
んでいるが、ひとりが決められたトレッキング、コース
(カヤック・パラグライダーを含め)一周するのに要す
る合計時間を競う合うのではなく記録することで達成感
の獲得を目的としている。

尚、怪我や体調不良あるいは自然破壊を招きやすい「ト
レイルラン」は原則禁止である。

● 基本ルート(反時計回り)

「ナショトレ」のスタート地点は安土山と定め、一旦、
遊歩道などを有効に利用し南下、目標の山を登り下りし
鈴鹿山系を北上し、百名山滋賀県唯一の伊吹山を登り、
ここで、指定されたパラグラダーコースを飛行する(気
象条件などで飛行できない場合があり、オプションナル・
コース扱いとして、別の日に飛行してもかまわない)。
ここから北西部に移動。武奈岳を経て比良山系を南下、
比叡口(瀬田川)で下山し、カヤックで西の湖まで移動
し安土山でゴール。

(1)安土山スタート



(2)反時計回りで周回/伊吹でパラグライダ



(3)安土山でゴール



※ 破線がカヤックコース

● 問題意識

1年間単独(ソロ)行動でコースの目的地(山)を視察。
目的地の登山口で多くは駐車し、ピストン登山を繰り返
す。公共機関(電車・バス・クルーザー)は利用せず。
このようなやりかたでは不十分なことを痛感する(当初
からわかっていたことだが)。
これをふまえて次のよう
な方法及び視点で調査したい。 

  1. 調査視察は最低3名で行う。
  2. 充分な事前準備を行い、スケジュールを完備。カ
    メラ(ビデオ:ビデオがあれば音声も記録できる、
    現在はカメラも音声録音可能)をはじめとしてビ
    バーク用などの装備を準備。天候に注意し、快晴
    を条件に行動する。準備会議は会員+αで行う。
    また、当日の行動随伴者に会員以外のメンバーも
    参加可能。
  3. 当日、送迎用ホームメイドタクシーにメンバーが
    乗り込み行動起点まで移動、トレッキング開始。
    送迎タクシーは一旦自宅に戻り、運転担当者は、
    予め指定された時間に終点(終着点)まで迎えに
    いく。ビバーク時は翌日迎えに行く(下図参照)。
  4. 当日は、前日に準備して老いた調査要領に従い行
    動記録する。気象測定やバイタル測定など必要な
    ものは記録(情報通信状態のチェックも必須)。
  5. 調査視察会議で記録データ(知財)を精査ストレ
    ージし、次回の準備会議日程を決めておく。

以上、気がついた点を列記(これまでの詳細は、本ブロ
グの「
滋賀の山々」「ナショナル・トレッキング」(カ
テゴリー)及び同じ
く、「極東極楽」のナショナルトレ
ッキング」を検索し願参照。

 

 【エピソード】  

  

 

 

 【脚注及びリンク】
-----------------------:---------------------------  

  1. 春の琵琶湖を見に行かない? RETRIP 
  2. 「日本百名山」深田久弥
  3. 閲覧室|782.9 空中スポーツ
  4. 閲覧室|785.5 カヌー/カヤック
  5. 閲覧室|786.1 トレッキング
  6. 田中澄江 「花の百名山」
  7. 田中澄江 「新・花の百名山」 
  8. 滋賀の山ガイド:トレッキングの魅力と安全「滋
    賀の山を歩こう
     2015.10.09  
      
  9. 雪の中に穴を掘って一晩過ごしてみた - デイリー
    ポータルZ:@nifty 2014.02.12
     

 ---------------------;----------------------------  
    


田園城郭都市構想 12

2017年02月01日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-

 

5-3 ヨーロッパのニュータウン再生
             ENTP
報告書から 

5-3-2 ニュータウンの当面する主要課題

① 第8位:経済的ライフサイクルの断絶

今日のニュータウンでは、経済成長の多くがコミュニテ
ィ内部のスモールビジネスによってもたらされている。
彼らは自宅やガレージから仕事を始める。しかし彼らが
成長すると、古い建物のような利用可能な場所をニュー
タウン内では見つけることができず、町を離れていかざ
るを得ない。同様に①ニュータウンにはクリエイティブ
なクラス、②サブカルチャーが使用できるスペースがな
い。

創造性は現代の経済にとって重要であるだけに、問題が
大きい。ニュータウンの経済成長のために、ガレージと
オフィスビルの間のギャップを埋めること、サブカルチ
ャーの存在するスペースを創りだすことが求められてい

② 第7位:公共施設整備の立ち遅れ

成熟した古い町は、文化、ケア、福祉、健康、教育等の
広範囲な公共施設を整備するために、数十年間、さらに
は1世紀を要している。多様で幅広い公共施設が十分に
整えられるには時間を要するものだ。しかし、しっかり
と計画され尽くした都市は、住民のニーズの変化に対応
する機会及びスペースをほとんど有していない。また新
たな投資のシステムも欠如している。公共施設整備のた
めの空間と資金の確保が求められている

③ 第6位:ニュータウンの「思春期」

多くの国でニュータウンはその建設時に国の投資プログ
ムなど、特別のステータスを与えられてきたが、それ
が終了し
て以後、ニュータウンはその「思春期」にある
ように見える。
ニュータウンの都市再生に取り組むため
に、継続的な投資、柔
軟な投資、予防的投資の仕組が求
められている。

④ 第5位: “hood(共同体)” にパワーを

ニュータウン内の既存のエリア相互の競争は、一般の都
市に
比べてより深刻である。新しい居住環境の継続的な
供給のため
に、既存のエリアには経済的たち遅れや移住
の問題が身近に迫
っている。そして、社会的連帯乏し
い脆弱なエリアでは、そ
れが急速に、地区を衰退させる
場合がある。ニュータウンは、
この競争問題を適切に管
理する方法を必要としている。

⑤ 第4位:アイデンティティ・ギャップ

ニュータウンには強力な都市のアイデンティティが求め
られる。自らの環境にアイデンティティを感じる住民の
存在こそが、集合的な熱意を生成し、新たな活動を推進
するために重要となる。しかし多くのニュータウンが機
能主義都市計画の時代に建設されたために、アイデンテ
ィティの感覚は重視されていない。ニュータウンはより
多くの象徴(Icon)を必要としている。より豊かなアイ
デンティティと市民の誇りを創りだすような、都市再生
へのアプローチを確立することが求められている。

⑥ 第3位:社会的多様性への対応の停滞

ニュータウンに新たに形成されつつある社会的多様性は、
異なるタイプの住宅、施設、レクリエーションエリア、
経済活動スペースや文化的施設などを必要としている。
しかしながら、ニュータウン内に新たな社会的、文化的・
経済的開発、その他の開発のためのスペースを見いだす
ことは容易ではない。緑を犠牲にすることなく、ニュー
タウンの既存の都市環境のなかに、より豊かな空間の多
様性を創出することが求められている。

⑦ 第2位:新たなプロフェッション

オールド・ニュータウンの開発には、ニュータウンの新
たなエリアを開発するのとは異なる新しい技術が必要と
される。また既存の都市の開発は、原野に建設するのと
は違い、広範囲の異なる利益を考慮に入れることを意味
している。さらに既存の都市の開発にはより全体論的な
holistic)アプローチが必要とされる。社会的、経済的、
空間的領域を統合した戦略が、空間戦略だけの時代にと
って代わらねばならない。

⑧ 第1位: “ハート”を持つこと!

都市にはその成長・変化とともに絶えず適合しつつ成長
する「心臓部」としてのセンターの存在が欠かせない。
センターの個性化及びセンターを支えるインフラストラ
クチャーの継続的改善は、ニュータウン再生における最
重要課題と言ってよい。多くのニュータウンでは、中心
と周囲の住宅地の間が明確に区分され、長期間の経済情
勢の変化に応じてその機能を変化させる「移行ゾーン(
transition zone)」(多くの普通の町には存在する)が存
在しない。ニュータウンの心臓部の開発とともに、そう
した移行ゾーンを創りだす試みが必要とされている。

5-4 イギリス:ニュータウン政策の新展開

このニュータウン物語の最終章に、ニュータウン誕生の
であるイギリスの近年の状況に触れておくこととした
い。

5-4-1 下院レポート
     『ニュータウン:その諸問題と将来』


イギリスのニュータウンは、過密化したインナーエリア
から
移住した多くの住民に、よりよい住宅と雇用、アメ
ニティと生
活質を提供するという重要な社会的使命を果
たしてきた。また
多くのニュータウンがダイナミックな
経済活動によって、各地
域の成長センターとして経済を
牽引する役割を担ってきた。し
かし現在では、その多く
が重要な問題に直面している。
2002年、イギリス議会下
院(House of Commons)の
Transport, Local Government
and Regions Committee
は、様々
な課題を抱えるニュータ
ウンの状況に着目し、調査を開始、50
に及ぶ関係団体
の意見書や各自治体からの意見聴取などを経
て7月に報
告書 “The New Towns: There Problems and the
Future”を
とりまとめた。以下にその概要を示すこととする。

① ニュータウン-成功、異なる状況及びその欠陥

・ニュータウンはそのデザインが示すように多くの共通
  点を持ち、共通の問題を抱えている。他方では、それ
  ぞれの経済的状況に代表されるように幅広いバリエー
 ションも存在する。
・多くのニュータウンがめざましいビジネス投資を生み、
 経済活性エリアを形成している。特に南東部地域のニ
 ュータウンはロンドン周辺の経済成長の恩恵を被って
 いる。一方で、地域間の経済格差を反映し、北部・中
 部イングランドのニュータウンでは高いレベルの失業、
 住宅需要の低迷、貧困エリアの集中が見られる。
・ニュータウンはもはや「ニュー」ではない。いまや莫
 大な新規投資と再開発が必要とされる状況にある。住
 宅の建設素材は実験的で基準を持たず、しばしば低品
 質で、幾つかのエリアでは完全に撤去すべき状況にあ
 る。インフラストラクチャーもまたアップグレード
 必要としている。
・ニュータウンのマスタープランは、いずれも大規模な
 オープンスペースと低密度開発を指向するもので、住
 居は職場やショッピングから隔離されている。低密度
 故に自動車利用が避けられず、今日では持続可能とは
 考えられない。

                  

それにしても、「ハートをもち」、「アイデンティティ
形成」を住民に求められてもどうすればいいのか戸惑い
覚えるのではないだろうか。「住めば都」(”Home is
where you make it.”
)というたとえが浮かび、「どうすれ
ば "都" にできるのか」との問いかけがやってくる。
職に重きを置けば、ベットタウン化し、職を失えば、新
しい住居へ移住するか、遠距離通勤を余儀なくされ、職
なくば、食なく、食なくば家族は逃散するしかない。そ
こを踏みとどまって、はじめて、"強いアイデンティティ"
が、"強い個性"が形成されるのだろうとも思う。わたし
(たち)は、この「ロスト・ダブルスコア」中にリスト
ラに合っても、この地で転職し「良き納税者」として頑
張っておられる方々を見てきいる。そんな環境があれば
こそ、ひとりの市民としての"誇り"が醸成されるのだと
も思う。


                   この項つづく

【エピソード】

 
 
 

【脚注及びリンク】
----------------------------------------------------- 

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. "The New Towns: There Problems and the Future
    Department for Communities and Local Government,
    2002.11.21
  3. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  4. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  5. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  6. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  7. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  8. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  9. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  10. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  11. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  12. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  16. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  17. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  18. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  19. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  20. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  21. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  22. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  23. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  24. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  26. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  27. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  28. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  29. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  30. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  31. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  32. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  33. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  34. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  35. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  36. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  37. 彦根市立図書館|簡易検索
  38. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  39. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  40. アウガ Wikipedia
  41. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  42. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  43. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー

  44. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
     

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