ごみ焼却場建設問題再考Ⅱ

2021年03月27日 | 日誌


作成日:2021.3.27|更新日


 ごみ焼却場建設問題再考Ⅱ

広域ごみ焼却場建設の経過
そもそも、現在同市野瀬町にある清掃センタが11、12年後
には老朽化で使えなくなるため、市は愛荘・豊郷・甲良・
多賀の4町と合同で新焼却場の建設を計画しているが、場
所の選定が下記のように難航する。現在の焼却場は1977年
に完成。ダイオキシン対策として2001年に焼却炉などの主
要設備をほぼ全面的に更新した。清掃センタの岩根孝典施
設係長によると、焼却場の耐用年数は一般に、建物が50年
、設備が25年。共にあと11~12年で更新する必要がある。
しかし、既に清掃センタではトラブルが発生している。
2015年5月末、ごみ焼却施 設が突然、全面ストップ。3
基ある焼却炉の一つで制御盤が故障し、ネットワーク化さ
れている全体のシステムが停止したのが理由とか。制御盤
の更新時期はメーカ推奨で10年だったが、経費節約のため
市は継続して使用。17年目となる来年、更新する予定だっ
た。トラブルのため、市は急きょ、三重県伊賀市の民間焼
却施設にごみ焼却を委託。復旧までに計5年間で250トン
を運び込み、運搬や焼却などに約970万円を支出した。老
朽化している部品は他にもあり、関係者は「今後もトラブ
ルや事故が起こりうる」と警戒感を強めていた。



1市4町の人口は計約15万4,000人。市によると新焼却場で
は、家庭ごみと、市町内の事業所から出る紙くずなどの可
燃ごみを燃やすこととしており、1日約154トンの処理能
力が必要になる。土地を除いた総工費は総額約100億円以
上。3分の1を国からの補助でまかない、残り3分の2を1
市4町で負担する。
一方、新焼却場には、金属などの資源
ごみのリサイクルセンターも同時に建設する計画で、関係
者は全体で4万?5万平方メートルの用地が必要になると
見込む。建設計画を進める彦根愛知犬上広域行政組合にと
って、この場所探しが最大のネックとなっいた。
最初に彦根市石寺町の荒神山東側が候補地として挙がり、
地権者や自治会の理解も得たが、土地がもともと沼地で地
盤が弱く、建設には不適切と判明。次に同市三津町の土地
を検討して地元説明会を開いたが、地権者や自治会の反対
で13年3月に計画が頓挫した。組合の林善和・建設推進室
長は「用地が決定すれば全体の7割が進んだのと同じくら
い」と語る。

こうした苦い経験を踏まえ、組合は昨年12月「彦根愛知犬
上地域ごみ処理施設建設候補地選定委員会」を発足させた。
今年10月から約10カ月間、1市4町内の地権者や自治会か
ら候補地を公募する予定で、候補地周辺の「まちづくり支
援」も検討するとしていた。仮に公募で用地が決定したと
しても、地元説明会や2、3年間はかかるという環境アセ
スメントが必要で、工事にも3年間近くかかるという。林
室長は「10年といっても決して時間に余裕はない」とした
うえで、「ごみ焼却場は迷惑施設というイメージが先行す
るが、現在の施設はダイオキシン類もほぼ発生せず、悪臭
も周辺へ拡散しない。新施設では、焼却熱を使った発電
なども考えたい」と話していた。



経過:
.1999.03 滋賀県が「滋賀県一般廃棄物処理広域化計画」
を策定。一般廃棄物の処理を広域で行う方針が示される
2002.06 当時の1市7町で「湖東地域一般廃棄物処理広域
化事業促進協議会」を発足。湖東圏域におけるごみ広域処
理の検討が始まる。
2009.05 候補地(彦根市石寺町地先)での建設を地盤の問
題により断念。
2009.05 「湖東地域広域ごみ処理施設整備基本構想」を策
定。
2011.03 既設の行政組合に新たに建設推進室を設置し、事
業主体となる彦根愛知犬上広域行政組合を設立。
2012.08 「循環型社会形成推進地域計画」を国に提出。
2013.02 環境大臣から循環型社会形成推進地域計画の承認
を受ける。
2013.03 候補地(彦根市三津、海瀬町地先)での建設を断
念。
2014.02 建設候補地の選定に公募方法を採用することを決
定。 2014.08 新たに候補地選定委員会を立ち上げ、促進
協議会は平成26年度末で解散することとなる。
2014 12 「彦根愛知犬上地域ごみ処理施設建設候補地選定
委員会」を発足。
 ~2016 03 募集要件、選定要件、評価・選定、について
所掌 選定委員会により選定評価の項目決定[1~9回開催]
2015 10 建設候補地の公募開始。 2016 07 ごみ処理施設
建設候補地の応募締切。(5件の応募 彦根市3件、愛荘
町2件)
2016 09 選定委員会による選定評価 [10~15回開催]
2017 02 資格判定評価(一次審査)、適性評価(二次審査)
2017 02~06 当組合管理者会による検討。 (全7回開催)
2017 06 建設候補地を愛荘町竹原区に決定。
2017 07 建設候補地、建設候補地近隣区および秦荘東小学
校区対象の住民説明会開催。(全10回開催)
2017 08 当組合議会において、新しいごみ処理施設の設置
位置を定め、変更する場合には、議会の議決を必要とする
条例が制定。
2017 10~2019.08 「彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整
備基本計画検討委員会」を発足。[1~7回開催] 
2017.10 彦根市議会において彦根愛知犬上地域ごみ処理
施設に関する慎重審議を求める意見書が提出。
2018 03 環境大臣から循環型社会形成推進地域計画(第
2次)の承認を受ける。
2018.08 当組合議会において「彦根愛知犬上地域ごみ処
理施設整備基本計画」を定め、または変更(軽微な変更を
除く。)する場合には、議会の議決を必要とすることを条
例に追加。
2018.11~2019.03 施設建設に係る当組合管理者会と当組
合議会運営代表者との意見交換会開催(全6回開催)
2019.02 当組合議会において「愛荘町竹原区の白紙撤回
を求める決議案」が全会一致で可決。
2019.04 建設候補地を竹原区1か所に決定したことを白紙
撤回。
2019.04 初の応募地5地区に対し、候補地再選定の方針、
今後の進め方等に係る合同説明会を実施し、補地名の公開
を前提とする再選定への参加意向を確認した結果、彦根市
からは、原町、西清崎町 下西川町、愛荘町からは竹原区
の4地区が再応募。
2019.08.31 建設候補地の調査費を可決, 広域ごみ、獅山
議員「選定前は不当」
彦根愛知犬上広域行政組合の議会定例会が2019年08月28日、
豊栄のさとで開かれ、9月末に選定が予定されている新た
な広域ごみ処理施設の建設候補地の事前調査費など補正予
算案(7502万円)が賛成多数で可決された。事前調査費の
項目は、環境影響評価、地質・断層、地歴、地形測量、施
設整備・造成等基本設計。2020年度からの債務負担行為の
限度額として、23年度までの環境影響評価業務が2億5718
万円、21年度までの施設整備・造成等基本設計業務が6085
万円を計上している。債務負担行為を除く、3項目は今年
度中に実施される。質疑では獅山向洋議員が「候補地が未
定の段階で予算を提案するのは行政の手順を無視した不当
行為。内容不確定な大事業に議会が白紙委任状を交付する
のと同然」と指摘。甲良町の西澤伸明議員も同様の質問を
した。これに対し、同組合の事務局は「予算額は最も高額
の候補地を想定して積算した」爾境影響評価などが遅れれ
ば、施設の建設時期も延びる。スケジュールに遅れが出な
いようにしたい」と理解を求めた。採決では賛成12反対5
で可決された。候補地の選定に向けて、今後は彦愛犬の首
長らによる管理者会が組合議会の運営代表者らとの意見交
換をしながら候補地を9月中に選定し、組合議会に報告す
る運び。
2019.10.09 広域ごみ「西清崎」で調整へ 彦根市建設候補
地4ヵ所から:彦愛犬の新しいごみ処理施設の建設候補地
について、1市4町の首長らによる管理者会が4候補地の
うち彦根市西清崎町に選定した模様だ。彦根愛知犬上広域
行政組合は、21日の臨時会で公表する予定。昨年までの建
設候補地だった愛荘町竹原地区が組合議会などの反対で白
紙化したため、同組合は候補地の再選定に向けて19年4月
20日に合同説明会を実施。候補地への参加意向を示した彦
根市の原町、西清崎町、下西川町、愛荘町竹原の4ヵ所を
対象に、住民説明会や市民アンケートなどを行った。また
組合議会の反対で候補地の選定が進まなかった経緯がある
ため、今回は組合議会の議員向けの現地説明会も実施。管
理者会は住民説明会や市民アンケートの結果のほか、各候
補地からの提出書類、前回の候補地選定結果報告書を基に
選定を進めてきた。その結果、先月26日の管理者会の話し
合いで西清崎町を候補地に選定することで確認したという。
今月7日の同組合の全員協議会にも報告した模様で、21日
に正式発表する予定。ただ、ほかの候補地を推す組合議会
の一部議員は今回の管理者会の決定に慎重姿勢を示してお
り、今後の動向が注目される。(滋賀彦根新聞, 2019.10.
09)
2019.10.23 彦根愛知犬上広域行政組合(彦根市と愛荘、
豊郷、甲良、多賀の4町で構成)の議会は21日、新ごみ処
理施設の基本計画案を可決した。彦根市西清崎町地区に建
設し、2017年度の稼働開始を目指す。計画では、約4万9
千平方だの敷地に二つの焼却炉、やリサイクル施設などを
建設。24時間稼働し、1日1144~147㌧を焼却する。総事
業費198億6千万~201億6千万円(用地取得費などを除く)。
全地権者から土地取得の同意書を得ているという。予定地
は国史跡の古墳や公園がある荒神山の南東にあり、組合は
「景観や環境に配慮する」としている。(朝日新聞, ごみ
処理施設計画案を可決 彦根・西清崎町で27年度稼働へ,
2019.10.23)
広域ゴミ焼却場2019.10.26 彦根愛知犬上広域行政組合は2
1日に豊栄のさとで開かれた組合議会の臨時会で、彦愛犬
の新しい<広域ごみ処理施設の建設候補地を西清崎地区に
すると公表した。組合議会には建設候補地を西清崎地区に
すると明記した彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備基 
本計画の議案が提出され た。建設候補地には彦根 市の
原町と下西川町、愛 荘町竹原も選定を目指していた。臨
時会では市町議員から西清崎地区に決めた理由の質問があ
り、管理者の大久保市長は周辺学区での住民説明会、意見
交換会、アンケート調査などの結果や30年間のトータルコ
ストをあげた。建設候補地に決まった面清崎地区は対象面
積が4万9363平方び。耕作放棄地を含む農地や農道の
20件の土地所有者がいる。近くには荒神山神社をはじめと
した寺社仏閣や古墳があるため、臨時会ではそれらへの影
響を懸念する意見が出たが、市長は「建物の配置やデザイ
ンなど景観に十分な配慮をしながら進めていきたい」と理
解を求めた。臨時会では議長の安澤勝市議を除く18人で採
決が行われ、獅山向洋市議、伊藤容子市議、共産党の角井
英明市議と西洋伸明甲良町議の計4人が反対したが、ほか
が賛成し可決された。同組合腿禧、地質・地歴・測量調査
を今年度中に行い、環境影響評価を2023年度まで実施。24
年度からの造成工事に向けて今年度から用地の取得交渉を
行う。24年度から施設の建設工事を開始し、28年度中に完
成、29年度の稼働を目指す。施設の建設費と負担割合につ
いて、同組合は約200億円で、彦根62・19%、営ご14・
64%、豊郷7・80%、甲良7・60%、多賀7・77%と説明。
「国からの交付金や民間手法の検討で建設費は抑えられる」
としている。約200億円には用地の取得・造成、周辺道路
の経費費は含まれていない。同組合は西清崎地区での用地
取得・造成と道路整備費が計約24億8000(万円と、4
地区(
低額は竹原の約7億4,000万円)で2番目の高さになる。
一方、30年間の開城での運搬経費を含むトータルコストが
約31億5,000万円(最高額が下西川町の約57億8,000万円)
と抑えられると解説している。市長も組合議会後の会見で
「西清崎は施設の建設費が高くなるが、トータルコストは
最も安価になる」と強調している。
2021.2.17 ごみ焼却場修繕に13億円:
ごみ焼却場整備(13億2,662万円)=市清掃センタ施設の
長寿命化を目的に燃焼、排ガス処理設備などを2021年度か
ら23年度にかけ大規模修繕。債務負担行為(22年度と23年
度)の限度額は20億1,238万円。
2021.2.17 ごみ処理計画「白紙を」
環境学者が意見書提出:彦根市清崎町に建設が計画されて
いる広域ごみ処理施設に対し、日本環境学会元会長の畑明
郎さん(75)=竜王町=が10日、「自然環境を破壊する」
などとして計画の白紙撤回を求める意見書を彦根愛知犬上
広域行政組合に提出した。
2021.3.13 荒神山トンネル案に「反対」新ごみ処理連絡
協で複数の委員。また、市議会一般質問で大久保貴市長は
「地域の皆さんの意見を聞いて、プロセスを踏んで決めた」
と計画通り進める考えを示している。
以上、経過をまとめてみた。
                   この項つづく



〒521-1101 滋賀県彦根市石寺町 「あのベンチ」


【エピソード】

会員の皆様へ
お花見及び小鮎つりの企画』
新型コロナの第4波のも心配される中ですが、2年間のブ
ランクを経て、何かしなくてはと、見出しの企画を考えて
います。たっだ花見の方は、彦根城や宇曽川(荒神山)の
花見を幹事は個人的に3回ほど済ませており、前者はとり
やめ、後者のを下記のように企画いたいと思います。 
            『記』
1.日 時:5月下旬から6月上旬(9:00~正午)
2.場 所:宇曽川(風船ダム)左岸現地集合
3.天 候:晴天・微風で決行(開催1週間目に幹事が
      調整・詳細連絡)
4.内 容:①小鮎つり、②釣果発表、③野外ランチ
5.備 考:釣り具は原則個人持参。費用は一人千円(ラ
      ンチ食事・飲料水)、ランチは、魚忠「とん
      かつ弁当」、当日クルマの送迎可。
6.連 絡:幹事自宅 0749(23)3747(FA
      
X兼用)、その他、メッセージ、LINE、
      Eメール
                     幹事敬白

        
宇曽川左岸(荒神山) 2021.3.27 13:00        

【脚注及びリンク】
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  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

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ごみ焼却場建設問題再考

2021年03月14日 | 防災と琵琶湖


作成日:2021.3.18|更新日

地域循環共生圏概論⑳
テーマ|低炭素型まちづくり構想
先回は地球温暖化とマイクロ・ナノプラスチック汚染
と太陽光発電市場の2030年後の世界について考えてみ
た。今回はそれを受け「今回
は地方都市と建物一体太
陽電池サーキュラー・エコノミーと2030年問題」をと
考えていたが、その前に、「市街地整備による低炭素
型まち(街)づくり構想」(国土交通省)の方策と二
酸化炭素削減効果検討を適応の可能性を見積もること
にする。

尚、このことで多岐にわたり詳細考察することで大幅
な作業量となる。ここで、国交省の「低炭素まちづく
り理念」を確認しておこう。エコまち法では、その基
本方針で、都市機能の集約化とこれと併せた公共交通
利用の促進によるコンパクトなまちづくりを中心に、
まちづくりの実現を都市の低炭素化の目標として位置
づけ、都市と二酸化炭素排出との関連性、及びエコま
ち法のコンセプトを踏まえ、低炭素まちづくりは「民
生部門(家庭、業務等)」「運輸部門」の2部門に着
目し「都市構造・交通分野」、「エネルギー分野」、
「みどり分野」の3分野の取組を基本として、コンパ
クトなまちづくりを軸に高齢者、子育て世代を含め全
ての市民が暮らしやすい持続可能なまちづくりを実現
し、同時に都市の低炭素化を実現するまちづくりであ
るとらえる。
.エコまち法:都市の低炭素化の促進に関する法律



2021.1.28

低炭素まちづくりに向けた施策・取組
都市構造・交通分野にかかる施策
運輸部門におけるCO2 排出量は、次の式の通り①交通
量、②移動距離及び③排出原 単位の積で求められる。
このことを踏まえ、本分野における低炭素化の方向性
は、この3要因に着目し、適切な対策を講じることが
必要とし、運輸部門で排出される CO2 の約9割は自動
車が発生源となっており、自動車 から発生する CO2
をいかに抑制するかが本分野の中心的な課題とする。

CO2排出量 = 交通量 × 移動距離(トリップ長)×
排出原単位
エネルギー分野にかかる施策

エネルギー部門における各施策は、建物を排出源とす
る CO2を対象に取り組むもので、その排出量は、基本
的に次式により算定する。

CO2排出量=建物用途別延床面積×建物用途別エ
ネルギー負荷原単位÷熱源設備総合効率×エネル
ギー種別排出係数


本分野における施策については、上記算定式を踏まえ、
以下の4つの方策(メニュー) 
1)建物のエネルギー負荷を削減する→冷房、暖房の
熱量等が少ない建物を建築(より低い「エネルギー負
荷原単位」)
2)建物及び地区・街区のエネルギーの利用効率を向
上する→エネルギー効率の高い設備を導入(より高い
「熱源設備総合効率」)
3)都市のエネルギー源として未利用エネルギーを活
用する→未利用エネルギーで化石燃料を代替(より低
い「エネルギー種別排出係数」)
4)都市のエネルギー源として再生可能エネルギーを
活用する→再生可能エネルギーで化石燃料を代替(よ
り低い「エネルギー種別排出係数」)

(2)個別施策の概要
エコまち法においては、本分野にかかる特例措置とし
て、制度が規定され、低炭素まちづくり計画作成マニ
ュアルにその概要が記載されております。本分野に関
する個々の施策については、これらの特例措置に加え、
以下の施策 例を参考に、各施策の CO2 排出量削減の
寄与等を踏まえつつ進めていくことが重要としている。


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【エコまち法に基づく特例制度】
①排水施設からの下水の取水等 都市内に豊富かつ安定
的に存在するエネルギーである下水熱の有効利用を図
る観点から、低炭素まちづくり計画に所要の事項を記
載した場合に、民間事業者が下水熱利用のために排水
施設から下水を取水することを可能とする制度 ②都市
公園の占用 限られた都市空間の中で、公園本来の機能
の確保に支障を来さない範囲で再生可能・未利用エネ
ルギー等の導入空間を確保する観点から、低炭素まち
づくり計画に 所要の事項を記載した場合に、計画を公
表してから2年以内においては、都市公園の占用許可
手続を簡素化する制度 ③港湾隣接地域内の工事等の許
可限られた都市空間の中で、港湾本来の機能の確保に
支障を来さない範囲で再生可能・未利用エネルギー等
の導入空間を確保する観点から、低炭素まちづくり計
画に所要の事項を記載した場合に、計画を公表してか
ら2年以内においては、港湾隣接 地域での工事等の許
可手続を簡素化する制度 
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(3)まちづくりの契機と施策展開の考え方 エネルギ
ー分野の各施策は、建物更新、設備改修等の契機を把
握し、個々の建物 のエネルギー負荷の集約化、熱源設
備のスケールメリットの顕在化など、「面的な展開」
を視野に入れて推進することが重要。この観点から、
エネルギー分野における施策を面的に展開する契機と
して、建築物の更新を面的にとらえる機会が多いと考
えられる6パターンを例示し、市街地や建築物の更新
等の機会を活用した施策展開の考え方を整理している
。 

<面的利用導入適地の抽出手順> 面的利用導入適性が
高い地域を抽出するに当たっては、以下の手順で熱負
荷密度を算出することが考えられる。① 建物用途別床
面積の集計 各自治体の建物現況調査、固定資産台帳等
を活用し、建物用途別の延床面積を地域(町丁目) ごと
に集計。② 都市的土地利用面積の算出 土地利用現況
調査等を活用して地域(町丁目)ごとに土地利用別面積
を集計し、そこから河川・水面および樹林地等を除いた
『都市的土地利用面積』を算出。③年間熱需要の算出
①建物用途別床面積に、下表の建物用途別エネルギー
消費原単位を乗じて地域(町丁目)ごとの年間熱需要を
算出。
 

④ 熱負荷密度 ③年間熱需要を②都市的土地利用面積
で除して地域(町丁目)ごとの熱負荷密度を算出する。
⑤ 熱負荷密度が高い地域の抽出 ④熱負荷密度が高い
(例えば 4.2TJ/ha・年以上)地域(町丁目)を抽出。尚、
地域(町丁目)別の床面積データが用途別に分類されて
いない場合は、熱負荷密度の代替としてグロス容積率
※を算出しこれが一定以上(例えば 100%)の地域を抽
出することも考えられます。 ※グロス容積率[%] =
地域(町丁目)別床面積[㎡] ÷ 地域(町丁目)面積[㎡]
×100 また導入適地の抽出する際に、将来の都市開発
可能性に着目して、法定容積率を勘案することも考慮
される。

3.みどり分野にかかる施策
(1)概説 ①低炭素まちづくりにおける都市のみどり
のあり方 都市のみどりは、美しい都市景観の形成や国
民が身近に楽しめる多様なレクリエーションや自然と
のふれあいの場、生物多様性の確保に資する野生生物
の生息・生育環境を形成するとともに、大震災等の災
害発生時において避難地や避難路、防災拠点となるな
ど、都市や地域の防災性の向上にも貢献しており、都
市の低炭素化という観点からも、CO2 の吸収固定機能
をはじめ様々な役割を果たす「みどり」だが、低炭素
まちづくりを進めるに際しては、これらの多様な機能
が最大限に発揮されるよう、施策を実施することが必
要としている。 
今後、より重要となる「みどり」の質の向上や利用、
活用等も含めた6つの視点(社会資本整備審議会二次
答申:平成19年7月)
① 美しい都市・地域・国土の形成を目指す
② 歴史と文化に根ざした香り高い地域の形成を目指す
③ 誰もが暮らしやすい社会の実現を目指す
④ 持続可能な都市・地域・国土・地球環境の形成を
目指す。
⑤ 安全・安心な都市・地域・国土基盤の形成を目指す
⑥ 多様な主体の発意・参画による活力ある社会の形成
を目指とある。


③みどりによる低炭素効果
みどりの低炭素効果は、「活動量」と「原単位(吸収
係数)」の積 で求められ、みどりの維持・拡大量は「
活動量」として捉えられ、その増加により効果を高め
ることが可能、みどりの維持管理の適正化を図ること
により、「原単位」が増加し、その効果を高めること
が可能となる。
  低炭素効果 = 活動量 × 原単位(吸収係数)

【エコまち法に基づく特例制度】 

①樹木等管理協定 都市における樹木等の適切な管理・
保全を図る観点から、低炭素まちづくり計画 に定め
られた樹木保全推進区域において、保全樹木等基準を
満たす樹木等について、当該樹木等の所有者等による
管理が困難である場合には、市町村又は緑地管理機構
が樹木等に関する管理協定(樹木等管理協定)を締結
することを可能とする制 度 ②特定緑地管理機構の指
定 民間団体や住民等多様な主体による緑地の保全及び
緑化に関する取組をより一層推進する観点から、低炭
素まちづくり計画を作成した市町村長が、緑地の保全
等に関して一定の能力を有する一般社団法人、一般財
団法人や特定非営利活動法人を緑地管理機構に指定す
ることを可能とする制度 


4)ヒートアイランド現象緩和に向けた都市づくりの
考え方と具体的施策
ヒートアイランド現象は都市をとりまく環境問題の一
つであり、近年、地球温暖化による影響と相まって都
市の気温の上昇は顕著となっています。また、気温上
昇による熱中症患者数の増加など、人の健康や生活へ
の影響も顕著となっており、健康で快適な都市づくり
の観点から早急な対策が必要です。また、ヒートアイ
ランド現象により冷房需要が増大し、エネルギーの大
量消費につながっており、都市の低炭素化の観点から
も対策が必要です。都市におけるヒートアイランド対
策としては、地表面被覆の改善や人工排熱の低減によ
る気温上昇の緩和のほか、熱がよどまないようにする
ために、市街地形態を改善することが有効と考える。


■J-クレジット制度の活用
低炭素まちづくりにより削減/吸収された温室効果ガ
スを、J-クレジット制 度でクレジット(排出削減
量/吸収量)として国の認証を受けることにより、更
なる低炭素まちづくりを推進することも可能。 J-
クレジット制度とは、LED照明などの省エネ設備の
導入や太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用に
よる温室効果ガスの排出削減量及び適切な森林管理に
よる温室効果ガスの吸収量をクレジットとして国が認
証する制度。認証されたクレジットは、企業等に売却
することができ、産業界の低炭素社会実行計画の目標
達成やCSR目的でのカーボン・オフセットなど、さ
まざまな用途に活用できます。また、クレジット創出
者は、クレジット売却代金をさらなる低炭素まちづく
りや地域活性化、CO2 排出削減/吸収の取組等に活か
すことができと推奨している。



 ごみ焼却場建設問題再考Ⅰ
地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年10月9日
法律第117号)第20条の5及び6において、事業者に対し
て「①事業活動に伴う温室効果ガスの排出抑制等」及
び「②日常生活における排出抑制への寄与」という2
つの努力義務を定めている。また、同法第21条におい
て、これら2つの努力義務について、「事業者が講ず
べき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るた
め必要な指針を公表する」ものとされている。

これらを受け、業務部門及び日常生活用品の製造等を
行う部門に関する排出抑制等指針(平成20年12月12日
内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学
省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通
省、環境省、防衛省 告示第3号)を策定したところで
あるが、廃棄物処理事業は、これまでの公衆衛生の向
上や公害問題の解決という段階を更に進め、循環型社
会の形成や低炭素社会の形成に寄与することが求めら
れ、廃棄物処理部門における指針が追加。特に、一般
廃棄物の処理責任を有す市町村は、廃棄物リサイクル
行政との整合を図った上、廃棄物の処理に伴い発生す
る温室効果ガスの排出抑制に向けて率先的に取組むこ
とが期待されており、廃棄物処理分野における温暖化
対策については、設備更新の時期に合わせた適切な設
備選択、使用方法の改善、更に市町村においては廃プ
ラスチックの分別収集など、できることから行動し、
計画的な検討及び取組みを続けていくことが重要とさ
れている。また、その取組みについて、実施状況及び
その効果を把握し、効果的な取組を継続して実施する
ことが望ましい。
------------------------------------------------
温室効果ガスの排出の抑制等の適切かつ有効な実施に
係る取組(廃棄物処理部門における温室効果ガス排出
抑制等指針:環境省 マニュアル、2012.3) 
------------------------------------------------
廃棄物処理事業者等(廃棄物の収集、運搬又は処分を
業として行う者及び廃棄物を自ら処理する者並びに市
町村)は、廃棄物処理部門における事業活動における
事業の用に供する設備の選択及び使用方法に関し、温
室効果ガスの排出の抑制等の適切かつ有効な実施を図
るため、次のように取り組むよう努める。 


                 この項つづく



【エピソード】

ごみ焼却場修繕に13億円:滋賀彦根新聞(2021.2.17)
彦根市が12日に発表した2021年度当初予算案は新型コ
ロナウイルス対策に8億5,643万円(うち一部訂分7億
4,413万円)を計上。一方、目立った新しい事業はなか
った。市が掲げた重点事項は以下の通り。▽ごみ焼却
場整備(13億2,662万円)=市清掃センタ施設の長寿
命化を目的に燃焼、排ガス処理設備などを2021年度か
ら23年度にかけ大規模修繕。債務負担行為(22年度と
23年度)の限度額は20億1,238万円。
▽市スポーツ・
文化交流センタ整備(4億4,938万円).....



ごみ処理計画「白紙を」:滋賀彦根新聞(2021.2.17)
環境学者が意見書提出:彦根市清崎町に建設が計画さ
れている広域ごみ処理施設に対し、日本環境学会元会
長の畑明郎さん(75)=竜王町=が10日、「自然環境
を破壊する」などとして計画の白紙撤回を求める意見
書を彦根愛知犬上広域行政組合に提出した。
建設が計画されている場所は荒神山の山麓で、周辺整
備の一環で荒神山にトンネルを設ける案も浮上してい
る。意見書では「元は琵琶湖の湖底と考えられ、地盤
が軟弱」「浸水想定区域と土砂害警戒区誠に指定され
ている危険な地域」などと指摘。「自然が豊かな中で
良好な景観や重要な文化財を有する荒神山の山麓に大
規模な人工構造物のごみ処理場はそぐわない」と、計
画の撤回を求めている。意見書の提出後に記者発表し
た畑さんは「新規建設は中山し、既存の2つのごみ焼
却施設の建て替えで対応するべき。広域的なごみ処理
体制は収集、運搬コストもかかり、不効率」と述べて
いた。(攻略)



荒神山トンネル案に「反対」滋賀彦根新聞(2021.3.13)
新ごみ処理連絡協で複数の委員:
彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備連絡協議会が9
日夜、グリーンビアひこねで聞かれた。当初は議題に
あがっていなかった統沖山にトンネルを設けるという
市のアクセス道路の整備案に対し、委員からの批判や
反対意見が集中。傍聴席からやじが飛ぶなど一時、紛
糾した。同協議会事務局の彦根愛知犬上広域行政組合
は彦根市西清崎地区へのごみ処理施設建設に向けて調
整を進めている。3回目となった同協議は、委員によ
る先進地のごみ処理施設見学会のアンケート調査結果
報告と、容器包装プラスチックの取り扱いが議題だっ
た。


「環境保護から良くない」
一時紛糾、「並行して協議を」
しかし冒頭、複数の委員から「荒神山にトンネルを整
備することは環境を保護する観点から絶対によ
くない」
アクセス道路に対し住民は一番関心がある」など、市
が進める荒神山トンネルの整備案に反対の意見が相次
いだ。事務局は「この協議会はごみ処理施設に関して
話し合う場で市道(アクセク道路)については改めて
彦根市が説明の場を設ける予定」と回答。これに対し
て委員からは「これまでの住民説明会ではアクセス道
路についての説明があった。ごみ処理処理施設の内容
を決めてからでは反対のしようがない」と併行して協
議を強く求めた。(後略)



市長は進める意向
この問題は開会中の市議会一般質問でも取り上りれ、
議員の「荒神山にトンネルを整備する案は白紙にする
べきだ」との指摘に対し、大久保貴市長は「地域の皆
さんの意見を聞いて、プロセスを踏んで決めた」と計
画通り進める考えを示している。



この問題は、急を要すが、『環境影響評価事前調査』
と『既設設備施設改修案との対費用効果などの比較調
査』の2つの提出が前提となる。あわせて『二酸化炭
素排出量削減計画(分離建設案を含め)』の3部が焦
点となる。

【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

--------------------------------------------------

 


低炭素型まちづくり構想

2021年03月08日 | 防災と琵琶湖


作成日:2021.3.8|更新日:
地域循環共生圏概論⑲
テーマ|低炭素型まちづくり構想
先回は地球温暖化とマイクロ・ナノプラスチック汚染
と太陽光発電市場の2030年後の世界について考えてみ
た。今回はそれを受け「今回は地方都市と建物一体太
陽電池サーキュラー・エコノミーと2030年問題」をと
考えていたが、その前に、「市街地整備による低炭素
型まち(街)づくり構想」(国土交通省)の方策と二
酸化炭素削減効果検討を適応の可能性を見積もること
にする。
尚、このことで多岐にわたり詳細考察することで大幅
な作業量となる。


------------------------------------------------
1.区画整理における取り組み方策
2005年2月に発効した京都議定書によ
り 日本では2008
年度から2012度までの第一約束期間に、対象となる6
種類の温室効果ガスの排出量を基準年から6%削減す
ることが定められているが、1990年度以降、温室効果
ガスの排出量は増加傾向にある。2007年度速報値)の
排出量は、CO2換算で13億7,100万トンとなり、基準年
から8.7%の増加、前年度に比べても2.3%(3,100 万
トン)の増加となっている。その中でも、家庭部門、
業務その他部門における CO2の排出量は1990年度以降
大幅に増加、運輸部門における排出量も2001年度以降
減少に転じたものの、1990年度と比較すると増加。運
輸部門における排出量の増加分の大部分を自家用乗用
車が占めることを
踏まえると、増加している分野はい
ずれも、わたしたちのくらしに関係する。このため、
住宅・建築物及び都市分野の CO2排出量の大幅な削減
の取り組に不可欠である。 





現在、低炭素社会の実現に向けて、「低炭素社会づく
り行動計画について」(2008.7 閣議決定)のもと、
各分野における CO2排出量削減のための取り組みや技
術開発が盛んに行われており、低炭素社会の姿は地域
の規模、自然環境、産業構造、住民のライフスタイル
などにより異なり、低炭素社会の姿を地域に応じた多
様なモデルで国民にわかりやすく示す必要がある。温
室効果ガスの大幅削減など高い目標を掲げて先駆的に
低炭素化に取り組む都市として「環境モデル都市」も
選定され省CO2型まちづくりの推進が期待されている。

国土交通省も「環境行動計画 2008」を掲げ、地球環
境時代に対応したくらしづくりに、『持続可能な社会
の追及~低炭素社会、循環型社会、自然共生社会~』
の構築を目指している。 都市やそれを取り巻く地域
は、生活、業務、交通など多方面にわたる総合的な活
動の場として、わたしたちのくらしや環境との関わり
の基礎となるものである。都市や地域の構造の変化は
数十年単位の時間を要し、今後の持続可能な発展には、
将来を見据えた長期の取り組みが必要である。
そして、そのような息の長い取り組みを続けていくた
めには、個々または人のくらしの質や地域の活力、歴
史、文化等との 関係を常に意識し、それらくらしや
地域の豊かさの維持・向上と環境負荷の軽減を両立さ
せていくことが重要だとする。 

⬕ 基本骨子
✿低炭素型の都市・地域づくりに向け、①集約型都市
構造の実現、②住宅・建築物、都市施設、下水道、緑
地など都市の構成要素の機能向上、③都市内での環境
負荷の小さい人 流・物流システムの構築を統合的に
推進する。 

✿これらの施策は一定の広がりの中で、様々な利害を
有する多様な主体の合意形成や協働を要し、また、ス
トックの更新には時間がかかることなどから中長期的
な視点で大きな効果を実現するよう取り組むことが必
要であり、そのためにも現時点から施策の推進が必要。 

✿また、これらの施策は、地球温暖化の観点のみなら
ず、中心市街地の活性化、高齢者の生活利便性の確保
など統合的に実現する観点から推進すべきものである。 



2 市街地整備における低炭素型まちづくりへの取り
組みの現状 

(1)国土交通省の取り組み現状
現在、都市活動によるCO排出量の増大や、都市部のみ
どりの減少等、都市における面的な環境対策の要請の
高まりを背景に、集約拠点等において、都市交通、緑
化、エネルギーな どの各分野の先導的な都市環境対策
をより効率的かつ効果的に推進する地球温暖化防止対
策として「先導的都市環境形成総合支援事業(エコま
ちづくりパッケージ)」を実施する。



この「先導的都市環境形成総合支援事業(エコまちづ
くりパッケージ)」は、集約型都市構造実現に資する
拠点的市街地等において、地区・街区レベルにおける
先導的な環境負荷削減対策を強力に推進するため、エ
ネルギーの面的利用の促進、民有地等を活用した緑化
の推進、都市交通施策の推進に向けた支援や、計画策
定、コーディネート及び社会実験・実証実験等に対し
包括的に支援する。 

1)エコまちづくり事業(先導的都市環境形成促進
事業)
 
環境目標(CO2削減目標やヒートアイランド現象緩和
目標、都市環境改善目標)や、先導性(取り組みの包
括性、取り組みの先進性)がともに高い水準と認めら
れる事業主体に対し、公民協働で包括的に取り組む計
画策定、関係者間のコーディネートや社会実験・実証
実験などの実施を支援している。

2)エコまちネットワーク整備事業
多くの都市開発が予想される都市再生緊急整備地域ま
たは国土交通大臣が認定した先導的都市環境形成計画
(以下「認定計画」という)を策定した地域において、
都市開発と一体的に環境負荷の削減対策を行うことに
より、効果的・効率的に都市環境の改善を図ることを
目的とした事業である。支援内容としては、都市環境
負荷削減プログラムの策定に要する費用やこのプログ
ラムに位置付けられた施設の整備費用、認定計画に位
置付けられた施設の整備費用に対し費用を補助する。

3)緑地環境整備総合支援事業
ヒートアイランド現象の緩和、樹木による二酸化炭素
(CO2)の直接的な吸収・固定による地球温暖化の防止、
多様な生物の生息生育基盤の確保等を目的とし、都市
公園の整備、古都及び緑地保全事業、市民緑地の公開
に必要な施設整備等、多様な手法の活用による効率的・
効果的な緑とオープンスペースの確保を支援し、都市
域における水と緑のネットワークの形成を推進する事
業である。支援内容としては、温室効果ガス吸収源対
策として有効な一定規模以上の公共公益施設の緑化や
民間事業者による緑化、都市公園の整備等への支援を
強化し、公共及び民間による総合的かつ効果的な公園
緑地の保全・創出のための取り組みに支援している。 

4)都市交通システム整備事業
省CO2型の都市づくりや歴史・文化資産を保全・活用
したまちづくりにおいては、交通体系のあり方を十分
考慮していくことが必要である。そこで、安全で円滑
な交通を確保し、魅力ある都市の将来像を実現に、徒
歩、自転車、自動車、公共交通の適正分担を目的とし
た都市の交通システムの整備を図り、自動車から公共
交通への利用の転換や、安全・快適な歩行者等の移動
空間が確保された交通体系の構築を推進している。

②市街地整備における取り組みの現状
国土交通省による低炭素型まちづくりへの取り組みの
現状について整理したが、ここでは、市街地整備全般
における面的利用の取り組みの現状について整理する。
土地区画整理事業は、宅地の利用増進と公共施設整備
を行う事業であり、これまでも「低未利用地の解消」、
「密集市街地の解消」、「中心市街地の活性化」、「
商業・業務等の拠点市街地の形成」、「新たな住宅宅
地の開発」など多様な目的に活用されてきた。こうし
た点からも、新しい機能の導入など大胆な土地利用の
転換も可能であるため、エネルギーの面的利用を可能
とする基盤整備やシステムの導入も行われてきた。従
来から低炭素という切り口ではないものの、公害対策
や省エネルギーといった点からエネルギーの面的利用
に着目し「地域熱供給事業」が行なわれてきた。現在
において、地球温暖化対策や未利用エネルギーの活用
としても注目されていることから、ここでは「地域熱
供給事業」についての現状について整理している。

1)地域熱供給事業の概要
地域熱供給事業とは、1ヶ所または数ヶ所のプラント
から複数の建物に配管を通して、冷水・蒸気(温水)
を送り、冷房・暖房等を行うことをさす。 


地域熱供給事業は、地域冷暖房システムを導入するこ
とにより、河川水、下水処理水の熱や清掃工場、超高
圧地中送電線の排熱など、都市にあふれるさまざまな
排熱エネルギーを利用することで、未利用エネルギー
を有効活用し、省エネルギー効果が生み出される。ま
た、熱源の集約化に伴って大気汚染・公害も防止され
さらには災害発生時の二次災害を抑制する効果や設備
の集中化により、都市美観を向上させるなど様々な社
会的メリットのある事業である。



地域熱供給事業の導入効果としては、①二酸化炭素排
出量を削減でき、地球温暖化が防止される、②排熱量
削減に伴いヒートアイランド現象が抑制される、③災
害時の自家発電や蓄熱槽等の施設利用によって防災性
が向上する、④煙突や冷却塔の集約により都市景観(
屋上緑化スペースの提供)が改善されるなど、低炭素
型まちづくりへの導入に欠かせない事業と考えられる。 
------------------------------------------------
需要家メリット
・ビルの機械室を大幅に縮小し、スペースの有効活用
が図れる。
・容積率の緩和により、レンタブル面積が増大する。
(地冷プラント設置ビル)
・設備の集中化により、都市美観を向上させる。常に
エネルギーの安定供給を受けられる。
・運転管理のための有資格者が不要となり、省力化が
図れる。
事業者メリット
・個別空調に比べて熱負荷が大きくなるため、熱源設
備の効率的運転が図ることができる。
・未利用エネルギーの有効活用を図ることができる。

2)地域熱供給事業の現状
上記において、事業概要や効果等について整理したが、
ここでは現状の実施状況について整理する。海外の地
域熱供給は、古く19世紀末にドイツのハンブルクの市
役所から始まったと言われ、長い歴史をもっており、
我が国に比べより身近なものと考えられている。一方、
我が国の地域熱供給事業としては、1970年に大阪で開
催された日本万国博覧会会場とそれに隣接する千里ニ
ュータウン中央地区が最初の導入であり、その後は
1971年に東京都の新宿新都心地区、大阪府の泉北泉ヶ
丘地区、北海道の札幌市都心地区、厚別地区及び真駒
内地区で導入され、1972年に熱供給事業法の制定を経
て今日に至っている。2007年度では、エネルギーの面
的利用での熱供給事業型(地域熱供給)は、別表に示さ
れるように、86 事業者が 149 地区で稼働中である。
1 地区当たりの平均供給区域面積は約 30ha(東京ドー
ム約 4.7ha の6倍)であり、平均供給延床面積は約33
ha(33万㎡)となっている。
また、稼働中である全国 149地区の分布状況を見てみ
ると、それらの特徴は次のようになっている。 
------------------------------------------------
○供給区域の面積区分では、10ha 未満のものが半数
近くになっている。
○供給している延床面積では、40 万㎡未満(東京都庁
本庁舎の延床面積は、約 38 万㎡とされる) の地区が
約 8 割を占めている。
○供給対象(需要家)区分では、業務・商業主体型が大
半となっており、住宅系の地区は少ない。
○熱源として未利用エネルギー使用の有無の区分では、
約 1/4 の地区で未利用エネルギーを活 用している。
------------------------------------------------
さらに地域熱供給において、現在 34 地区で、個々の
建物では難しい未利用エネルギーを有効活用している。
①ごみ焼却・工場の排熱利用、②地下鉄の排熱利用、
③変電所・変圧器の排熱利用、④廃棄物・再生油の熱
源利用、⑤発電所抽気の熱源利用、⑥中水・下水の温
度差利用、⑦河川水の温度差利用、⑧海水の温度差利
用、⑨地下水の温度差利用といった形で実施事例があ
り、このほか雪・氷冷熱の利用なども検討されており、
さらなる活用が期待されている。 
【要約】
ここまで市街地整備におけるエネルギーの面的な取り
組みの現状として地域熱供給事業について整理してき
たが、次章では、土地区画整理事業において地域熱供
給事業を実際に 面的利用した取り組み事例等について
整理する。
尚、ここでの統計数値は2007年度までのもので精査時
は要確認。 
                  この項つづく

建材一体型太陽光発電の需要が高まる


【エピソード】
【新生物図鑑1:プラナリオ】

昨日6日、1年捕獲できずにいたが、琵琶湖のプラナ
リア、中高生姉妹が発見している。胴体を切断しても
再生することで知られる淡水生物プラナリア。その仲
間のうち、琵琶湖の固有種「ビワオオウズムシ」を大
津市の中高生姉妹が棲息調査で見つけた。プラナリア
の体は高い再生能力を持ち、切り分けても、それぞれ
が小さな個体となる。国内で知られるプラナリア科は
19種。うちビワオオウズムシは最大の種で体長は約5
センチに達し、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に
指定。高校1年生の佐藤瑠乃さん)と中学3年生の爽
音さん姉妹は、認定NPO法人「びわ湖トラスト」 主催
の小中学生向け研究者育成講座「ジュニアドクター育
成塾」に2018年から参加。琵琶湖は19年から2年続け
て冬から春先に湖底と表層の水が入れ替わる「全層循
環」が停止。温暖化の影響などの影響と考えられ、ビ
ワオオウズムシが好む水温は8℃前後、以前の記録で
は水深30~40メートルに生息していたが、全層循環の
停止により、20年には湖底の最深部(水深60~80メー
トル)でも水温は9℃超。酸素濃度も少なく、2人は
ビワオオウズムシは壊滅的な被害を受け激減したと考
えた。一方、今年2月には全層循環が3年ぶりに確認。
再生能力の高い生物なので絶滅していないと信じたい。
そのためにも調査を続けたいと話しているという(朝
日新聞デジタル)。  

プラナリアは、環境によって無性生殖と有性生殖とを
切り替えて増殖。無性生殖では、プラナリアは自身の
体を2つに切って殖え(自切)。自切したプラナリア
は片方には頭が、もう片方にはしっぽがない状態。と
ころが数日経つと、しっぽはもちろん脳や目などの組
織を再生し、完全な2匹のプラナリアになる。プラナ
リアは未分化な幹細胞が全身に存在しており、体の位
置情報に従い幹細胞の遺伝子を目的の組織に分化する
よう操作して、失った体を正しく再生することができ
る。自切だけでなく、人工的に切断した時にも行われ、
プラナリアを2つに切断すると完全な2匹のプラナリ
アに、3つに切断すると完全な3匹のプラナリアとな
る。こうしたプラナリアの再生の謎は、1900年ころか
ら研究されているが、再生の決定的な要因は見つから
なかった。百年以上経過して、幹細胞からどのように
して器官や体を構築していくのか、体の極性や、位置
情報を作るメカニズムを解き明かす研究が進められ、
プラナリアの再生の仕組みが解明され(DOI:
10.1038/
nature12359 
)、失われた体の一部や機能不全となっ
た組織や器官を再生し機能を回復する医療、すなわち
再生医療の実現の糸口をつかむため、小さなプラナリ
アの研究は分子レベルと態様を変え、新たな意義を持
ちつつある(
全身に幹細胞を持つプラナリア、幹細胞
情報データベースプロジェクト, SKIP(Stemcell Know
ledge & Information Portal))。
via ごくとうごくらく


【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

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待ったなし!マイクロプラスチック汚染

2021年03月03日 | 防災と琵琶湖


作成日:2021.3.2|更新日:

地域循環共生圏概論⑱
テーマ|太陽光発電市場の3、5、10年後





このままいくと早ければ2030年にも、産業革命前から+
1.5℃に達するといわれる地球の平均気温。実は、この
“臨界点”を超えてさらに気温が上昇すると、温暖化を
加速させる現象が次々と連鎖し、“灼熱地球”へと暴走
を始める可能性が最新研究で明らかになってきた。その
時、私たちの暮らしはどうなるのか、そして、どうすれ
ば破局を回避できるのか。脱炭素を目指す世界の最先端
の動きを調査し、この10年私たちが歩むべき道を制作し
テレビ放映されています。(「今こそ、環境問題と向き
合おう。NHK・SDGsキャンペーン「未来へ 17アクション」
)。このように、開発アジェンダの節目の年、2015年の
9月25日-27日、ニューヨーク国連本部において、「国連
持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟
国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世
界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
英語・日本語(外務省仮訳)[PDF])が採択された。今
日、世界各地で進展がみられるが、2030年までにSDGsを
達成するには、取り組みのスピードを速め、規模を拡大
しなければならないとして、2020年1月、SDGs達成のた
めの「行動の10年(Decade of Action))が スタートし
ています。
今回は、再生可能エネルギーの拡大促進として「太陽光
発電市場の3,5,10年後」を取り上げてみました。
--------------------------------------------------
世界動向:
累積設置容量1GW以上は31力国

太陽電池セル及びモジュールの生産は、自国内での生産
点構築が活発化
“Trends in Photovoltaic Applications2019"の翻訳版
「太陽光発電応用の動向報告書2019」/新エネルギー・産業
技術総合開発機構(NEDO)公表の資料に基づいて、IEA
PVPS(国際エネルギー機関・太陽光発電システム研究協カ
プログラム)加盟各国の 2018年までの市場及び産業の進
展最近の動向の検証(環境ビジネス 2021年冬季号)。
-------------------------------------------------

上図 サーキュラーエコノミー(循環経済)とは(参照
クリック)

年間1GW超を設置した国は11力国
2018年の世界の太陽光発電システム年間設置容量は、前
年と同水準の103GW。累積設置容量は500GWを上回り。ア
ジア各国の普及が急伸。年間設置容量の上位国は、中国
(2017年の52.9GWから2018年は44.3GWへ減少)、次いでイ
ンド(10.8GW)、米国(10.7GW)、日本(6.7GW)、 オースト
ラリア(3.8GW)である。上位10ケ国が全量の約 87%を占
める。年間1GW超を設置した国は 11カ所を数え、累積設
置容量が1GW以上となった国は31カ国に上った。
多くの国では、経済性の高さから、 分散型太陽光発電シ
ステム(業務用及び産業用)の重要性が高まってきている。
特に自家消費が拡大している場合にはその重要性が高ま
っている。

☈ 各国の太陽光発電は順調に拡大
韓国では2011年末にFIT制度が終了し、「再生可能エネル
ギー・ポートフォリオ基準(RPS)」が実施されてから、太
陽光発電市場は拡大し、約1GWで安定している。年間
設置容量は、17年の1,362MWから18年には2,265Wに増加。
19年には第3次国家エネルギー基本計画が発表、40年ま
でに総発電量の30~35%を再生可能エネルギーで賄うこ
とを目指す。

☈ フランス政府が発表した複数年エネルギー計画(ME
P)では、23年までに20.6 GWという太陽光発電システム
導入目標を設定し、今後4年間で倍増超を目指している。
18年は862MWが新規に導入された(2017年の導入量は 884
MW)。10%が引き続き住宅用システムで、このほぼすべ
てが自家消費用であったほか、蓄電池付きが少数ではあ
るが増加した(2018年に設置された住宅用蓄電システム
は約4,000台)。
☈ ドイツは2018年に3.0GW近くを設置し、世界第6位の
太陽光発電市場となった。13年から18年にかけて、自家
消費を増やし、小型太陽光発電システム(30kW未満)と併
用する蓄電池付き太陽光発電システムを発展させるため
太陽光発電システムの導入者に対する蓄電設備を対象と
したインセンティブ・プログラムが実施された。結果、18
年末までに32,664基以上の分散型蓄電システムが資金提
供を受け、支援総額は5億3400万ユーロに上った。18年に
は4万基、累積で約12万基の蓄電池付き太陽光発電システ
ムが設置されたと推定されている。
☈ イタリアでは2005年~13年に市場が急激に拡大した
後、18年も約425MWと堅調に新規設置量が増加し、総設置
容量は20,108MWとなった。18年末時点で822,000基以上の
太陽光発電所が設置されており、電力量は22,654TWhとな
った。18年末時点でイタリアに設置されている太陽光発
電システムのうち、約81%が住宅分野であり、そのほぼ
全量がネットビリング制度(「Scambio SuI Posto(SSP)」
)を利用している。累積設置容量の約半数にあたる9GW
上が産業用で、太陽光発電システムの規模は200kW~1MW
の範囲である。



フィードイン・プレミアム(FIP)制度へ移行
複数の国では、FIT制度がフィードイン・プレミアム(FIP)
制度に置き換えられている。電力卸売市場価格に追加し
てプレミアムを支払うというコンセプトで、固定プレミ
アムと変動プレミアムがある。

FIP(フィップ)とは「Feed-in Premium」の略称
premiumには景品や賞金、掛け金など様々な意味がある
が、「割増金」が適訳。FIP制度のプレミアム分は、「
固定型:一定金額(固定)しプレミアムとして上乗せ」、
「固定型(上限・下限あり):市場価格+プレミアムの
上限と下限を決める」、「変動型:市場価格+プレミア
ムを一定に維持する」の3つに分かれる。

☈ ドイツでは、太陽光発電電力の「直接販売」は、FIP
制度に基づき、運用プレミアムなどのFITより若干高い
価格を適用するために卸電力市場価格に上乗せして支払
われている。想定価格と電力市場価格との差異を補てん
することで一定価格を保証する差金決済取引(CfD)制
度は、FIP制度に相当する。市場価格+プレミアムを一定
に維持する。

☈ スペインは、欧州においてはPPA市場を先導している。
過去数年にわたり、発電事業者と電力小売事業者の間で
締結される二者間PPAが増加。米国及びオーストラリアで
もPPAが市場シェアを拡大しつつある。 PPAは、太陽光
発電電力を発電場所とは別の場所で調達することから、
脱炭素経営に取り組む大企業等から、多くの支持を集め
ている。

革新的なTPOビジネスモデル 
一般的に、住宅用、業務用及び産業用の分散型太陽光発
電システムは、建物の所有者又は第三者企業が所有して
いる。特に米国など、一部の国では第三者所有(TPO)
のビジネスモデルがかなり活発である。

☈ 米国では、このようなビジネスモデルはすでに住宅用
市場の50%超を占めており、ドイツやオーストリア、ス
イスの一部の電力事業者も同様の提案を開始している。

持続可能建築要件:建物一体型太陽光発電(BIPV)
設置済み太陽光発電システムの35%超は屋根設置型シス
テムであり、太陽光発電の発展にとって建築分野は主要
な役割を担っている。

☈  韓国では 公共の建物に対する新・再生可能エネルギ
ー・システム設置令により、床面積が1,000㎥ を超
える新築公共建物について、電力消費量の10%超を新・
再生可能エネルギー源で賄うことを義務付けている。

☈ ベルギーでは、フランダース地方で類似の施策が20
14年から導入されている。導入後の最初の調査結果によ
れば、新築建物の 85%超に太陽光発電システムが設置さ
れている。

☈ デンマークでは、エネルギー・フットプリントを削
減するための方法として、国家建築基準に太陽光発電を
組み込んでいる。



太陽電池セル及びモジュールの生産
需要地近辺の地域での生産拠点構築が活発化している。
2018年の世界の太陽電池セル(結晶シリコン太陽電池セ
ル及び薄膜太陽電池セル)生産量は、前年比8.5%増の約
116GWと推定される。

☈ 中国が世界最大の太陽電池セル生産量を誇り、2018
年の太陽電池セル生産量は85GWで、前年比18%増(2017
年:72GW)となった。中国は生産能力を拡張しており、20
18年の太陽電池セル生産能力は約128GW/年であった。

中国に次ぐ第2位は韓国(約8GW)、第3位はマレーシ
ア(約6GW)であった。この他では、日本、ドイツ、米
国を中心にオーストラリア、オーストリア、ベルギー、カ
ナダメキシコ、デンマーク、フランス、イタリア、フィン
ランド、スウェーデン、タイ、トルコ及び南アフリカも
太陽電池モジュールの生産能力を保持している。また、
シンガポール、台湾、ベトナム、インド、ポーランド、
ロシア、アルジェリア、ブラジル、モロッコ、ガーナ、
サウジアラビア、インドネシアなどでも生産拠点が設立
されている。
今後、需要地近辺の地域での生産拠点の構築が活発化す
ることが予想される。                  
✔ 次回は地方都市と建物一体太陽電池サーキュラー・
エコノミーと2030年問題をローカルに考察してみたい。



【エピソード】



マイクロプラスチック汚染、じわり!

直径5mm以下の小さなプラスチックの欠片「マイクロプ
ラスチック」による環境への影響が近年、世界的に懸念
されている。マイクロプラスチックは、パーソナルケア
製品や歯磨き粉などに含まれている1次マイクロプラス
チックと、ペットボトルやビニール袋などの比較的大き
なプラスチックゴミが分解されて生じた2次マイクロプ
ラスチックの2種類に分けられている。また、ナノサイ
ズのように微塵化することで、表面積が極大化➲汚染物
質が疎水性のナノプラスチック表面に吸着➲人体内に溶
け吸収され胎盤などに蓄積➲代謝障害・遺伝子変異など
の新規・複合的な疾病障害の誘因となるもの危惧される。

尚、プラスティクに含まれる紫外線防止剤(紫外線防止
剤は、「紫外線吸収剤」※と「紫外線散乱剤」の二種類
に分類される---メトキシケイヒ酸オクチル(あるいは
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、ジメチルPABA オ
クチル(あるいはジメチルPABA エチルヘキシル)、t-
ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど、後者は、酸化
亜鉛、酸化チタン----などあり要注意。

※紫外線吸収剤リスク評価へ プラスチック製品に添加:
日本経済新聞、2021/1/28 12:18➲有害化学物質の規制に
関する国際条約「ストックホルム条約」の評価委員会の
決定。今年7月に予定される同条約締約国会議で評価結
果を検討し、規制対象とするかどうかを決める見通し。



琵琶湖や大阪湾など陸水域でのマイクロプラスチック汚
染の影響調査する京都大学
田中周平准教授は、化粧品や
歯磨き粉などに含まれるスクラブ剤として利用されてい
るビーズ状のマイクロプラスチック。パーソナルケア製
品では100gあたりおよそ 8000個~184万個が含まれ、こ
れらは直接水道に流され、一部は下水処理施設や環境中
へ移動するものと考えられています。また、海や山など
自然環境中に捨てられたプラスチックゴミは、熱や紫外
線などの影響により、壊れて次第に細かい断片になり、
マイクロプラスチックとなる。

残留性有機汚染物質を吸着 
田中准教授は2015年に、これらのマイクロプラスチック
が環境へどのような影響を与えるかを明らかにすべく研
究をスタートする。これまでの研究で、大阪湾や琵琶湖
などから20種類を超えるマイクロプラスチックを発見し
約4割がマイクロプラスチックを体内(消化管)に取り込
んでいることを突き止める。疎水性のマイクロプラスチ
ックは、疎水性の化学物質を吸着するため、毒性の高い
残留性有機汚染物質(POPs)を吸着したマイクロプラスチ
ックが環境中に広がっている可能性があるが、現在 100
μmまで サンプルを採取し、FTIRでマイクロプラスチッ
クの成分を理論上5μmサイズまで測定できるという。

❐琵琶湖・大阪湾におけるマイクロプラスチックへのペ
ルフルオロ化合物類および多環芳香族炭化水素類の吸着
特性環境工学研究論文集 第54巻 https://doi.org/10.
2208/jscejer.73.III_1
  2017年73巻7号 p.III_1-III_8 
                     この項了

3月2日 リニューアル・オープンというので焼魚弁当
(鯖)650円をテイクアウトして美味しく頂きました。
なかなか厳しいですが、美味しくて合理的な値段なら毎
日でもテイク・アウトしようと思いました。皆様も、ク
ルマで、バイクでお立ち寄り下さい。17~22時は居
酒屋となります。但し、マスク・手洗い・発熱チェック
は厳守ですよ。たまには、飲みましょう。



【脚注及びリンク】
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  1. 謎の感染拡大〜新型ウイルスの起源を追う
    〜」 NHK、2020/12/27
  2. ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジ
    ネス
  3. スウェーデンでゴミの99%を有効利用する「
    リサイクル革命」が起きている(動画) ハ
    フポスト
  4. 『環境ビジネス 2020年夏季号』
  5. 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現,
    環境ビジネス,2020年冬季
    号   
  6. 環境への取り組み CSR(企業の社会的責任)
    佐川急便株式会社
  7. 彦根市一般廃棄物処理基本計画の進捗状況評
    価について(平成30年度) ,
  8. 滋賀県出身の人物一覧Wikipedia

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