黒海

2015年04月24日 | 世界の湖沼百選

 

 

 

黒海は、ヨーロッパとアジアの間にある内海で、大西
洋の縁海(地中海 (海洋学))の1つである。マルマラ
海を経てエーゲ海、地中海に繋がる。
バルカン半島、
アナトリア半島、カフカースと南ウクライナ・クリミ
ア半島に囲まれており、ドナウ川、ドニエストル川、
ドニエプル川などの東ヨーロッパの大河が注ぐ。アナ
トリアとバルカンの間のボスポラス海峡、マルマラ海、
ダーダネルス海峡を通じて地中海に繋がり、クリミア
の東にはケルチ海峡を隔てアゾフ海がある。
黒海に面
する国は、南岸がトルコで、そこから時計回りにブル
ガリア、ルーマニア、ウクライナ、ロシア、グルジア
である。
黒海に面する有名な港湾には、イスタンブル
ビュザンティオン、コンスタンティノープル)から時
計回りにブルガス、ヴァルナ、コンスタンツァ、オデ
ッサ、セヴァストポリ、ヤルタ、ガグラ、バトゥミ、
トラブゾン、サムスンなどがある。

※ 湖沼でないが取り上げる。今後も類似データを掲
  載する可能性あり。



● 黒海の特徴データ

 

面積は436,400km²ある。最大水深は2,206m。名称は黒
味を帯びた海水に由来し、この黒味の原因は硫化鉄で
あるとする説と、地中海よりも豊富な微小藻類である
とする説がある。前者は次のように説明される。黒海
は、大陸に囲まれた海であり、地中海と辛うじて結ば
れているだけの閉鎖性水域。黒海の海水は水深200mを
境として冷たく塩分の薄い表層水(河川から流入し、
地中海へ流出)と、暖かく塩分の濃い深層水(地中海
から流入)が層を成して混合しない。このため深層水
では酸素が欠乏し嫌気性バクテリアにより硫化水素が
発生し、海水中の鉄イオンと結合し黒色の硫化鉄を生
成する。表層水は充分な酸素を含むため豊かな生態系
をもち、漁業も行われている。漁獲高は年25万トンか
ら30万トンに上り、その3分の2がアンチョビで、残り
はアジやイワシ、ニシンやチョウザメなど。

 

● 気候風土

気候は、南西部が地中海性気候、北端のドニエプル川
河口付近がステップ気候であるほかは、ほぼ全域が温
暖湿潤気候である。
北東岸には砂州が多く発達し、最
も長いものではオデッサやドニエプル川の西からクリ
ミア半島近くまで130㎞にもわたって延びているものが
ある。クリミア半島は東部で細いケルチ海峡によりそ
れ以東と分離されているが、北側も大陸とそれほど確
固としたつながりがあるわけではなく、黒海と、アゾ
フ海とつながる腐海の間は、幅5㎞程度のペレコープ
地峡によってつながっているに過ぎない。北東岸、と
くにウクライナ領内の海岸は平坦で、大平原の広がる
穀倉地帯となっているが、クリミア半島南岸近くには
クリミア山脈が伸びており、海岸線近くまで山が迫ま
る。これは北西岸も同様で、コーカサス山脈が北西か
ら南東に延びており、海岸平野はさほど広くない。南
岸のアナトリア半島でも、海岸沿いにポントス山脈が
東西に延びており、平原の発達はあまりない。

● 河川

黒海に注ぎ込む河川のうち最大のものは、東岸、ルー
マニア・ウクライナ国境で流れ込むドナウ川である。
次いで、同じく北東岸に流れ込むドニエストル川、北
岸に流れ込むドニエプル川が大きなものである。これ
以外は、南岸、アナトリア半島の中部から流れ込むク
ズルウルマク川を除き、大河と呼べるものはほとんど
ない。黒海はそれ自体が重要な交通路となっているほ
か、流れ込む河川交通との連結運輸も重要となってい
る。ドン川からはヴォルガ・ドン運河を通してヴォル
ガ川やカスピ海と結ばれ、さらにヴォルガ川からはヴ
ォルガ・バルト水路を通じてバルト海と、さらにその
途中のラドガ湖で白海・バルト海運河によって白海ま
で内陸水運のみで繋がれている。また、西ではドナウ
川からライン・マイン・ドナウ運河を通じてマイン川・
ライン川へ、さらに北海へと結ばれている。

 

【エピソード】

 

 

● 地質と海底地形 

黒海の成因は白亜紀の火山弧が分離したことと新旧テ
ーチス海の沈降によるところが大きいが、それらの時
期については議論がある。形成初期から圧縮力が働き
盆地として沈降したが、火山活動と造山運動も無数に
生じ、コーカサス、クリミア、バルカンなどの山地が
形成された。

現在も続くアフリカプレートとユーラシアプレートの
衝突と、北および東アナトリア断層に沿ってアナトリ
ア地塊が西へ動くことが、黒海を沈降させアナトリア
地域で火山が活発化する原因である。これら地質メカ
ニズムが長期にわたって黒海を他の海洋から隔離した
と言える。いまの海底地形の特徴としてクリミア半島
から南に延びる盛り上がった部分が作る浅い陸棚があ
り、190kmの広がりを見せる。黒海の中央部は嫌気性
の深海平原で最大水深はヤルタの南で2,212mになる。



黒海、カスピ海地帯を取り巻く諸国が地下化石資源大
国であり、個人的には注目した。それは、
テチス海(
Tethys Ocean, Tethys Sea)の沈降により形成されている
ところにある。それは、パンゲア大陸の分裂が始まっ
た約2億年前ないし約1億8千万年前から、新生代第
三紀まで存在していた海洋であり、古地中海ともいわ
れる。
ローラシア大陸とゴンドワナ大陸に挟まれた海
域で、現在の地中海周辺から中央アジア・ヒマラヤ・
東南アジアにまで広がり、西側のカリブ海まで達して
いたことにあるが、これが今日の資源争奪による地政
学的不安定が火種となり、環境破壊のリスクが懸念さ
れる。


【脚注及びリンク】
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1.黒海 wikipedia

2.黒海経済協力機構 wikipedia
3. 黒海洪水説 wikipedia 
4. テチス海
5.McKenzie, DP (1970). "Plate tectonics of the Medite-
    rranean region". Nature 226 (5242): 239–43. Bibcode:1970
    Natur.226..239M. doi:10.1038/226239a0. PMID 16057188

6.McClusky, S., S. Balassanian, et al. (2000). "Global Posi-
    tioning System constraints on plate kinematics and dynamics
    in the eastern Mediterranean and Caucasus". Journal of Geo-
    physical Research 105 (B3): 5695–5719. Bibcode:2000JGR.
  ..105.5695M. doi:10.1029/1999JB900351
 
7.カスピ海エネルギー資源を巡る攻防 - 株式会社
  東洋書店

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