地盤強化と地震防災 ⑱

2022年05月14日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.5.13|更新日:2022.5.14


地域循環共生圏概論 53
□ 地盤強化と地震防災 ⑱
先回は、マグニチュード7クラスの地震被災想定を考えた。
そして、3つの問題----①排出ごみの削減、②温暖化ガス
排出の削減に係わる彦根市広域地区の長期的目標及び実行
の不備、②前述の地震想定に対するごみ処理施設の対策(
1メートル強の津波の二次災害対策及び被災ごみへの広域
対策の不備、③同じく、現行案の荒神山の山体崩壊の有無
と想定と対策、④さらに、気象変動などの長時間降雨量に
よる土石流・土砂崩れなど危険性を指摘してきた。もっと
も、②~④はごみ処理施設だけでく公共施設全般に係わる
問題である。今回は、巻頭に掲載した読み「地盤強化と地
震防災」の目次に沿って「新ごみ焼却場建設計画」の問題
を洗い出す。☈
----------------------------------------------------
第1部 地盤を知る
第1章 安全な地盤とは
第2章 地形の成り立ち特徴


図1.沖績層と洪績層

第2部 地盤を見極める
第3章 地盤調査の種類と特徴
表1.斜面対策における望ましい基礎地盤調査法
第4章 スウェーデン式サウンディング試験結果の解釈
第5章 支持力
5-4 地盤支持力の基礎
5-6 盛土の支持力評価
第6章 地盤沈下と不同沈下
6-3 沈下修復工事
第7章 地盤液状化
7-1 液状化現象と液体化予測方法
7-2 宅地地盤の代表的な液状化対策
第3部 基礎を知り、選ぶ
第8章 基礎・地盤補強の種類と目的
第9章 基礎の剪定
第10章 基礎施工の管理ポイント
第11章 宅地地盤の擁壁
----------------------------------------------------
☈ さて、防災的側面(地震・液状化・津波・土砂崩れ・
高波・洪水・火災・気候変動・パンデミックなど)から地
盤強化・地盤改良に関する工期・工費(この場合、事業コ
アである用地買収費は除外)が嵩むは必至(これは負債と
みるか、安全・安心的側面の高付加価値化とみるかの会計
学的側面の差異として顕在する)。また、想定する防災対
象説明因子の設定(マグニチユード・降雨量・降雪量など
のインシデント或いはインパクト・ファクタ)により変動
するが、工法的側面は対応できていると考えている。


図1.土構造物・地盤改良シーン概説図(出所:大林組)
1.法面補強、2.法面麺緑化、3.河川堤防補強、4.
軟弱地盤改良、5.地盤改良・液状化対策、6.施工安全
品質管理、7.基礎補強、8.環境技術、9.設計・解析
技術、10.調査・計測
-----------------------------------------------------
☈ 例えば、鉄道近接場所など、厳しい施工条件に対応でき
る地盤改良工法の「e-コラム工法®」は、線路近接場所での
地盤改良(土留め工)や杭工事において鉄道軌道への影響
を抑え、短工期で施工できる工法。従来の回転撹拌機構に
起振(バイブレーション)機構を付加した超小型・高削孔
能力を備えた機械を用いた施工で、止水性の高い土留め工
や防護工、杭基礎(ソイルセメント体径φ400~800mm)を
構築している。また、生産性向上・コスト縮減を実現する
岩盤への杭打ち工法は、鋼杭を岩盤へ直接打設できる杭打
工法。長時間の運転に耐えられる特殊振動杭打ち機(特殊
バイブロハンマ)を用い、低圧ジェット水で岩砕粉を除去し
ながら、高強度特殊鋼により先端補強した鋼杭を打設し打
撃効率を向上させ、岩盤への直接打設を実現。その他、狭
あいな空間に杭基礎のフーチングを構築する「合成構造フ
ーチング」、ソイルバッグ(土のう)と杭による複合基礎
工法の「既製杭の杭頭非接合工法」、低コストの小口径合
成鋼管杭により、狭い場所で基礎を補強の「ハイスペック
マイクロパイル工法」、鉄道の営業を妨げることなく、線
路上空から昼夜連続で杭を打設の「ラピッツ-O工法®」、
函内の掘り残し形状の把握と計測機器の統合管理で安全な
ケーソン沈設管理を実現する「ケーソン統合計測管理シス
テム」。鋼管矢板継手の剛性を向上し、基礎寸法を縮小す
る「ハイパーウェルSP®」などの基礎工法など各社様々な創
意工夫競合し顕在する。


図2.地盤強化杭状補強材打ち込み法



2021年11月30日 管理棟:内装工事、計量棟:内装工事、
炉室:配管保温工事・電気工事、外構工事:可変側溝敷設・
路盤整備工事


【事例研究Ⅰ:江戸崎地方衛生木材組合新ごみ処理施設】
経緯:
既存のごみ焼却施設が稼働28年(一般にごみ焼却施
設の寿命は30年などと言われている)を超え、近年、その
維持管理費が増大。そのため、地元住民代表、有識者や関
係者などによる「施設整備検討委員会」を設置し、2012年
 7月から施設更新の必要性や環境負荷の軽減などの協議を
行い、新ごみ焼却施設の整備・運営計画を作成し、作業を
進めきたが、その後、いくつかの問題点が指摘され、地方
自治法に基づく特別委員会が設置・調査、新ごみ焼却施設
整備・運営事業は一旦中断したが、事業を再開している。
事業再開にあたっては、今後一層加速する少子高齢化や人
口減少、また、これらの社会動向を踏まえた社会インフラ
のあり方が大きく変化している状況などを加味し、将来に
わたる市村民の負担軽減や、将来の本組合のごみ処理行政
のあり方等を熟慮の結果、最終プランを決定し、新ごみ処
理施設整備・運営事業を再開する。(2017年9月)

❏ 5つの基本方針
1.目標とした環境性能等の維持➲協議を重ね目標とし
 た環境基準・ごみ処理能力の環境性能等を維持

⛨ これまで施設整備検討委員会等で協議を重ねて設定した
 新ごみ焼却施設の「処理能力」や「環境基準」などの環境性能
 等はそのまま踏襲し、処理能力は、災害時の廃棄処理分12
 ン/日を含めた70トン/日とし、発電による余熱利用、また、下
 記の環境基準を踏襲するなど、目標とした環境性能等は維持
 する。

2.市村負担の最小限化➲早期の事業再開や支援制度の
 活用などを図り、市村民負担の最小限に努める

⛨ 早期の事業再開を図ることで、年々増加傾向にある
 存施設の修繕費の最小限化とともに、交付期限がある財
 政支援(震災復興特別交付税)の最大取得に努める。加
 えて、国(環境省)の交付金に鑑み、運営費(ランニン
 グコスト)のコスト抑制を図るなど、交付金の有効活用
 を図ることで、組合引いては市村負担の更なる最小限化
 に努める。
 ※ ごみ焼却施設の修繕費の推移(機能維持分)

3.土地の高度利用化➲既存敷地内での施設配置を基本
 に、コンパクトな新ごみ焼却施設を目指す

⛨ 今後の人口減少等によるごみ処理需要等に鑑み、既存
 敷地内での施設配置を基本とし、また、主要な道路との
 接続のため必要な接続用地の取得等は、最小限とするこ
 とで、本格的な減少時代を踏まえた土地の高度利用化を
 図り、コンパクトな新ごみ焼却施設を目指す。



4.効率的な安全運転の確保➲業等のコンパクト化を進
 めながらも、安定的な運営やサービスに努める

⛨ 現在、国が推進するごみ処理事業の理想形の1つのス
 タイルは、ごみ処理事業の効率化(処理量300トン/日な
  ど)と、発電による再エネルギー化などの焼却時に発生
 する熱量の有効活用。県ではこれらの動向に鑑み、ごみ
 処理ブロックの広域化を促進しており、今後は本組合も
 広域化を検討していくことが求めている。そのため、周
 辺施設の更新時期を見据え、次の更新時において、現実
 的に広域化が協議できる可能性を残すため、委託期間
 見直し(例:20→15年)
広域化のための協議に向けた
 取り組みを進めていく。


5.効率的な安全運転の確保
⛨ 今回の新ごみ焼却施設整備・運営事業は、施設整備だ
 けでなく、ごみ焼却時の熱量の有効活用として発電によ
 る再エネルギー化などを含めた効率的な施設運営を確保
 するために、DBO方式(デザイン・ビルド・オペレーショ
 の略で、設計・建設及び運転・維持管理を一括発注す
 る方式)よる事業発注を予定しています。そのため、施
 設運営における一定以上のノウハウや実績などにも考慮
 し、経済性と安全性とのバランスのとれた事業者の選定
 が大切です。したがって、事業等のコンパクト化を進め
 ながらも、安定的な運営・ごみ処理サービスに努めてい
 きます。

□ 工事の進捗状況


2020年5月14日 杭工事


2020年6月29日 管理棟:基礎工事


2020年9月29日 管理棟:鉄骨建て方、ごみピット:地下躯
体工事、炉室:基礎工事

----------------------------------------------------
所在地:江戸崎地方衛生土木組合
住 所:〒300-0625 茨城県稲敷市高田424
総人口:56,359人(2019年4月1日)
1.既設焼却施設
・公称能力:100t/16h(50t/16h×2炉)
・形  式:准連続燃焼式焼却炉(流動床式)
・施設概要図


2.不燃物処理資源化施設
・公称能力:20t/5h
・形  式:比重差型選別機
・施設概要図:


3.粗大ごみ処理(破砕)施設
・公称能力:7t/5h
・形  式:二軸剪切式破砕機
4.粗大ごみ処理(破砕)施設
・公称能力:1t/5h
・形  式:一軸破砕機
5.粗大ごみ処理(圧縮)施設
・公称能力:25t/5h
・形  式:スクラッププレスNSP-1220型

工事名称:ごみ処理施設建設工事
工  期:2019年2月27日~2023年3月31日
施  行:エスエヌ環境・日立造船・コスモ総合建設特定
     建設工事共同企業体
---------------------------------------------------



1.発 注 者:江戸崎地方衛生土木組合
2.事業名称:江戸崎地方衛生土木組合ごみ処理施設整備・
  運営事業
3.施設概要:ごみ処理施設:ストーカ式焼却炉(ストー
  カ式焼却炉:70t /日=35t /日×2炉)
4.事業方式:DBO(Design:設計、Build:
  建設、Operate:運営)方式
5.事業期間:設計・建設期間 2019年2月~2023年3
月  
   運営期間:2023年4月 ~ 2038年3月(15年間)
6.建設場所:茨城県稲敷市高田424番地
7.グループ企業:代表企業 エスエヌ環境テクノロジー
 株式会社 
 協力企業 日立造船株式会社、コスモ綜合建設株式会社             
  出資企業 日立造船株式会社、Hitz環境サービス株
            式会社 株式会社日本管財環境サービス


2021年9月10日 管理棟:内装工事、炉室:外装工事・耐
火工事・配管工事・電気工事、計量棟・洗車棟・車庫棟:
屋根工事・外装工事

表 2018年度焼却施設作業月報



※ 江戸崎地方衛生土木組合のごみ処理施設新設は彦根市
 の1/2程度の規模であり、広い平野部に立地されてい
 る。      
                      この項了
        
【エピソード】



「男子厨房に立ちて環境リスクを考える」を考え、また、
町内会の役員をこなしなが、ごみ問題を継続して考えてき
たが、おもしろいもので、「3R・5R運動」「SDGs」
を通し、すこしづつであるがソリューションの全景が拓け
た。これはいささか自信と確信がある。ところで、「ごみ
ステーション」を管理するようになり、「カラス禍」つま
り、ステーションの金網の空隙部に嘴を入れ、ごみを漁る
光景をしばしば目撃し、カラスのネットワークに驚き「賢
いねぇ~」とため息をつき、翌日、彼女と二人で防護ネッ
トの内張を改修する。


2022年4月25日8:21:22 改修前のごみステーション(金属
ネットが破れている箇所から金網に食らいつきゴミ袋を破
砕しゴミを取り出すという荒技を目撃、思わずアルフレッ
ド・ヒッチコック監督の映画『鳥』を思い浮かべた。

【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

---------------------------------------------------


地盤強化と地震防災 ⑰

2022年05月10日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.5.9|更新日:2022.5.10

地域循環共生圏概論 52
□ 地盤強化と地震防災 ⑰



第5章 津浪と建造物
5-1 地震別の災害シナリオ

2014年度の「滋賀県地震想定」(概要版)によれば「地
震別の災害シナリオ構成はつぎのようになる。 



また、災害シナリオの前提となる南海トラフ巨大地震
(基本ケース)による被害概要被害概要では、 
・県全域で震度6弱・5強
・県域の死者は約 10 人、負傷者は最大 1,300 人
・建物全壊2,400棟、半壊22,000棟。一部で火災も発生
・地震直後の県域停電率は約 8割、3日後にはほぼ回復
・固定電話・インターネットは電力供給に依存、携帯電
 話の輻輳(通話困難)は 1~2日間
・地震直後の県域断水率は約 4割、復電とともに回復
・県域の道路被害は約 700箇所、多くは液状化被害
・県域の鉄道被害は約400箇所、県全域で運行停止、安
 全点検・応急復旧後に区間限定で運転再開
・県全域の下水道処理場・中継ポンプ場で停電による運
 転停止、汚水流出
・地震と大雤が同時発生した場合、停電・通信障害等に
 より避難勧告の困難性

以上のように、県内での津波災害想定がなされていない。
従って、ごみ焼却場及び関連設備・器機類への津波対策
が設計基準などが反映されていない。次項のような設問
を設定し被災想定をイメージ想定してみよう。

5-2「琵琶湖に津波はあるか」
      最大で4・9メートル 滋賀県試算

 2014年3月17日、産経ウエストによると、琵琶湖で津
波は起こるのか、滋賀県が住民の不安に答える形で試算
したところ、最大で4・9メートルの津波が湖内の離島
に到達する恐れがあることが分かった。県は本土側でも
高さ3メートルに達する可能性があると試算した上で「
津波を伴う地震の発生確率は極めて低い」とみている。
東日本大震災後、琵琶湖で津波が起こる可能性について、
県などに問い合わせが相次いでいる。このため県は、湖
底付近を通る5つの断層を対象に、シミュレーションを
実施。考えられる最大規模の地震を断層ごとに想定して
津波の状況を解析公表。確率こそ低いが危険性、それに
よると、湖西部にある断層「西岸湖底断層系南部」では、
最大でマグニチュード(M)7・6の地震が発生。その
場合、湖内最大の離島で唯一の有人島「沖島」の西岸に、
4・9メートルの津波が到達する恐れがあることが分か
った。また、同断層系北部でM7・2の地震が起これば、
長浜市沿岸に3メートルの津波が達する、とした。県は「
西岸湖底断層系南部は活断層だが、300年以内に地震
が起こる確率はほぼ0%。他の4断層はいずれも活断層
ではなく、津波を伴う地震が発生する恐れは極めて小さ
い」と説明している。入倉孝次郎・京都大名誉教授(地
震学)は「琵琶湖でも津波が起こり得ることを知っても
らう意味で有意義な調査だ」と評価。琵琶湖の津波をめ
ぐっては、長浜市の遺跡から平安時代末期のものとみら
れる津波とみられる痕跡が見つかっている。



5-2-1 M7程度の地震発生が起これば
直近の琵琶湖周辺での被害地震は、1909年に発生したマ
グニチュード6.8の姉川(江濃)地震であり,その後
の約百年間は,大きな被害を生じる地震は発生していな
い。この事が「滋賀県には地震が少ない」という一般的
な滋賀県民の感覚につながっている.しかし,それは決
して正しいものではないと地震の発生確率は交通事故の
それより大きいと小泉尚嗣滋賀県立大学教授は指摘する。
琵琶湖周辺における震災リスク|9・3 公開シンポジ
ウム「巨大震災は海洋沿岸の生物にどのような影響を与
えたか?東日本大震災から学んだこと 該ブログ、2017
年9月6日)
。琵琶湖の周囲は、比較的新しい堆積層で形
成されており、いわゆる軟弱地盤である。このような地
盤は、琵琶湖から離れた場所で発生した地震に対しても
揺れを増幅する性質かある。今後30年間の発生確
率が
70%と考えられている南海トラフ(東海~四国冲)の
巨大地震では、滋賀県は震源域からかなり離れているの
にも関わらず、震度6弱以上の揺れが滋賀県の広い範囲
で想定され,その場所は,軟弱地盤の分布とほぼー致し
ている。また、そのような場所では,地盤の液状化のリ
スクも高い。M7以上の地震発生確率は、自動車事故よ
り遙かに高い発生確率、想定津波は水深が百メートルと
海より浅く、最大で1.5メートル、それより、天井川
が多い河川の亀裂による二次災害の洪水が心配だと指摘
している。

   

また、河川からの越水や堤防破壊などによる二次災害が
起これば、電力、浄水場、下水道、ごみ処理などの被災
など----被災ごみなどの処理----出来なくなり、住民の
サービスが滞ってしまう。従って、津波・洪水よる事前
設計及び対策を計画しておく必要がある。
                   この項つづく

【エピソード】

  




5月9日、滋賀県立琵琶湖博物館は大津市沖の琵琶湖で
チョウザメが定置網にかかったと発表(読売新聞オンラ
イン:2022.5.9 22:43)。琵琶湖にチョウザメは生息し
ておらず、同館は、飼い主が観賞用を放流した可能性が
高いという。同館によると、6日午前、大津市北部沖の
琵琶湖で、地元漁師が小型定置網を引き揚げたところ、
体長約1メートルのチョウザメを発見。捕獲し、同館に
連絡雌雄は不明だが、成魚とみられ、うろこやひれの形
から「ベステルチョウザメ」の可能性があるという。同館
は保護し、今後、粘液から採取したDNAを分析し、種
類を特定する予定。
個人的には、「丘水産業」は不可避と考えており、ブ
ログ(極東極楽:ごくとうごくらく)の副課題。鍵語は、
丘水産業/食糧安全保障/高度農林水産業/地域循環共
生圏/共通化(丘水産管理法整備)。浸透圧・高度水循
環処理・遺伝子編集・食品安全追従システム・特定食品
認定登録制度などの国際制度整備が不可欠になると思っ
ています。

【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------

 


地盤強化と地震防災⑯

2022年05月06日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.5.6|更新日:2022.5.7

地域循環共生圏概論 51
□ 地盤強化と地震防災⑯



第3章 地盤の液状化
3-1 プロローグ
 地震のときなどに,水をたっぷり含んだ砂層が揺すら
れて間隙の水圧が高まり,砂粒子が浮遊したようになる
現象は,液状化とかクイック・サンドとか呼ばれている。
これらは学術用語であるが,「砂の女」を害いた小説家
安部公房の手にかかると,「人食い砂」という面白い表
現になる。砂がドロドロの液体状になり,人間や動物が
その中にはまり込んで,もがけばもがくほど体が沈んで
いく地獄絵の様相を表わし得て妙である。
 1964年に新潟地方を襲った地震では,地盤が液状化し
たために,4階建て鉄筋コンクリートの県営アパート群
が倒れたり,信濃川にかかる昭和大橋がくずれ落ちると
いう前代未聞の事態に,世界中の学者が注目した。爾来
その地震を契機として内外で液状化の研究が進み,液状
化か起こる条件などがかなりはっきりしてきた。また液
状化被害を防ぐための対策工法も考案されてきた。.
 しかしここ35年間に発生した国内での地震災害を振り
返ってみると,いまや地震と液状化は切り離せないとい
われるほど頻発している.中でも1995年兵庫県南部地震
の際は,大規模な埋立て地において,液状化した背面上
に押されて岸壁が大きく海側にはらみ出し,荷さばき用
の大型クレーンが倒れたり曲がったりして使用不能に陥
った.港湾施設のほとんどが大打撃を受けて,神戸港と
しての機能がストップしたのである。われわれは,地震
そのものから逃れられぬ宿命を負っている。しかし液状
化の危険性を待った地盤をあらかじめ調べあげ,都市の
液状化危険図を作っておけば,建物や橋の基礎,あるい
は水道・ガス管などのライフライン系に対して補強対策
を垂点的に講じられるはずである.
 現に主要都市の各自治体では,防災会議・地震専門部
会を組織し,本格的な地震対策を練ってきている.しか
し行政として指導できる範囲は自すから限定されるので,
ことが一朝一タに運ぶというわけにはいかない、科学技
術が進歩しても,地震と液状化の因縁はなかなか切れそ
うにない。     
            防災学講座3『地盤災害論』


阪神・淡路大震災による液状化

このように、液状化現象は、地震の際に、地下水位の高
い砂地盤が振動により液体状になる現象。単に液状化(
liquefaction)ともいう。 これにより比重の大きい構
造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の小さい構造物(
下水道管等)が浮き上がったりする。この現象は日本国
内では、1964年の新潟地震の際に鉄筋コンクリート製の
建物が丸ごと(潰れたり折れたりではなく)沈んだり倒
れたりしたことで注目されたが、この地震当時は「流砂
現象」という呼び方をされていた。


新潟地震による液状化で大きく傾いた県営川
岸町アパート(via jp.wikipedia)

 地表付近の含水状態の砂質土が、地震の震動により固
体から液体の性質を示すことにより、上部の舗装や構造
物などが揚圧力を受け破壊、沈み込みを起こすものであ
る。砂丘地帯や三角州、埋め立て地・旧河川跡や池沼跡・
水田跡などの人工的な改変地で発生しやすい。近年、都
市化が進んだ地区で該当地域が多いことから被害拡大の
影響が懸念される。 1964年(昭和39年)6月16日に発生
した新潟地震の際に、信濃川河畔や新潟空港などでこの
現象が発生したことから日本でも知られるところとなっ
た。また同年に発生したアラスカ地震でも液状化による
被害が発生し、これ以降は土質力学の分野で活発に研究
が行われるようになった。東京都心部は河口に位置する
上に埋立地が多く存在するため、大地震の発生時には液
状化対策が施されていない箇所で液状化現象が発生し、
道路や堤防、ライフラインの破損、基礎のしっかりして
いない建物の傾斜などの被害が発生する可能性もある。
現在、液状化現象の発生危険箇所をとりまとめたハザー
ドマップが整備されつつあり、堤防の補強などの措置が
図られている。ライフラインの被害も懸念されるため、
水道管は耐震管に布設替えが進みつつあり、ガス管はポ
リエチレン化が進んでいる。一方で、下水道管は耐震化
が難しく復旧も遅いため、居住困難な状態が長引く場合
がある(2011年の東日本大震災での福島第一原子力発電
所免震棟、Jヴィレッジ、浦安市、いわき市など)といわ
れる。(閲覧;wikipedia 2022.5.6)

3-2 液状化現象のメカニズム
3-2-1 液状化しやすい地盤
液状化はどこでも起こるわけではない。以下の3つの要
因がそろったときに液状化が起こる可能性が高くなると
いわれている。
①緩い砂地盤:海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地
などで多くみられ、地盤の硬さを示すN値が20以下で、
土の粒子の大きさが0.03mm~0.5mmの砂地盤。
②地下水の位置:地下水位が地表面から10m以内で、地下
水位が浅いほど液状化が起こりやすくなる。
なお、戸建て住宅は軽いため、地下水位が地表面から3
mより深ければ、液状化の発生による建物自体の被害は
生じにくいと考えられている。
③大きな地震の揺れ:震度5以上といわれています。揺
れている時間が長くなると被害が大きくなる傾向にある。
なお、東日本大震災では、震度5を記録した地域で大規
模な液状化が発生し、揺れの長さはマグニチュードに比
例するので、マグニチュードの大きな地震では揺れる時
間が長くなり、液状化が発生する可能性が高くなります。
また、揺れの時間が長い場合は、震度4でも液状化する
可能性がある
※注:ここでN値とは、地盤に差し込んだ杭に、所定の
方法で重りを落下させ、一定の深さに打ち込むために必
要な落下回数で、地盤の硬さを示す。N値が大きいほど
地盤は硬くなる。目安として、軟弱な地盤はN値が5以下
で、大きな建物を建てるときに杭が不要なほど硬い地盤
はN
値30以上。また、土の粒子の大きさにも関係があ
り、粘土地盤では液状化は発生しない。


出所:特集 液状化現象のメカニズム ,大林組

3-2-2 液状化発生のメカニズム
液状化しやすい砂地盤は、粒と粒の隙間が水で満たされ
ており、①平常時:地盤は砂粒同士が接触していること
で強さを保っている。②地震時:地震の揺れにより地盤
全体が変形して隙間の水を押し出す力が働き、隙間の水
圧が高くなり、砂粒同士が接触する力を弱めて「泥水」
のような状態になる。③地震後:泥水の中の砂粒が沈降
し、砂粒と砂粒の隙間が小さくなり地盤が沈下➲圧力
の高くなった地下水は「噴砂」や「噴水」として地表面
に噴き出す➲地上にある建物などの重いものは沈降し、
地下の水道管などの軽いものは浮上する。


Source: 液状化現象 ~そのメカニズムと対策 KAJIMA


Source: 防災展2015~阪神・淡路大震災20年 そして未
来へ備えよう~ 液状化実験 東京都

1) 一度液状化した地盤はまた液状化する液状化した
地盤が次の地震で再ぴ液状化することを「液状化」と
いい、一度液状化した場所では発生する可能性が高いと
考えられている。これは、一度の液状化で地登が沈下し
ても、液状化が発生しないために必要な地盤の締め固め
皿の半分程度にしかならない。将来、過去に液状化した
ときの地震の庖れを上回る揺れが発生する可能性は否め
ない。そのため、過去に液状化した場所かどうかを知る
ことは液状化の危険性を判定するーつの目安といえる。
東日本大震災においても、本重で液状化した場所が、余
震で再び液状化した事例カ侈く報告されていいる。



3-2-4 液状化の影響
1964年の新潟地震で、液状化により県営アパートが大き
く傾く被害が発生したことから社会に広く知られるよう
になった。液状化は、生活の場である建物が沈下したり
傾いたりするだけでなく、さらに二次的な問題を発生さ
せる。河川周辺では液状化が生じやすく、また、広域に
液状化が生じると河川側に地盤全体が大きく横に移動す
る側方流動という現象で橋が落ちることもある。また、
橋と接続する道路の沈下で段差が生じ、通行ができなく
なる。現在では主要な橋は液状化の対策が施されている
ため、その危険性は少ないと考えられる。 その他、噴
砂が乾いた場合に、粉塵として舞い上がり、衛生面での
障害がでてくる。 また写真(下)のように道路では噴
砂の堆積物や、埋設されていたマンホールなどの地中構
造物の浮き上がりにより、交通障害を引き起こす。



 尚、地盤流動現象の1つで、傾斜や段差のある地形で
液状化現象が起きた際に、いわゆる泥水状になった地盤
が水平方向に移動する現象を『側方流動』(lateral flow
lateral spreading)と言うが、側方流動には大きく分けて
2つのタイプがあり。1つは、地表面が1 -2%程度の
ゆるい勾配になっており、地中部には液状化層が存在す
るものである。この場合、地盤が傾斜に沿って移動する
こととなる。もう1つは護岸などに見られるタイプで、
地震の揺れおよび地盤の液状化で護岸などが移動するこ
とで、後背の地盤が側方流動を引き起こす。このような
側方流動が発生した場合、地中構造物に多大な影響を与
える。例えば杭基礎であれば、側方流動が発生すること
でこのような側方流動が発生した場合、構造物の転倒
どを引き起こすことにつながる。 

第4章 地盤と建造物

4-1 地盤と建造の液状対策
液状化の対策は、地盤に施す場合と建造物に施す場合の
大きく二つに分かれる。地盤に施す場合は液状化させな
いことが基本で、建造物に施す場合は液状化しても必要
な機能を保つことが基本である。一般的な対策方法とそ
の特徴を下表に示す。  

表 地盤と建造物の液状化対策

出所:特集 液状化現象のメカニズム ,大林組

 既存の建造物直下の地盤に施す工法もありますが、特
殊な機械の使用や、建造物に影響を与えないように計測
管理や防護措置(高付加価値化または高性能化)が必要
になることから、一般的に新設時の工事と比較して大幅
なコストアップにつながる。

4-1-1 事例研究
1)東日本大震災における液状化被害の特徴と分析
①被害面積は過去最大級:東日本大震災での液状化被害
の最大の特徴は、その範囲が広い。液状化が発生した面
積は42km²で、 過去最大級の広さ。液状化対策が施され
ていない建造物の基礎部分、インフラ施設(一般道路・
歩道、上下水道、マンホール)に大きな被害が発生し、
地震後の地域の復旧活動や住民の生活に大きな障害とな
った。②一方、津波による未曾有の被害が報じられてい
る東北地方も、液状化に起因すると考えられる河川堤防
の変状や沈下が数百ヵ所で確認。また、津波により杭が
引き抜けて倒壊した建物の中には、液状化が要因の一つ
となったのではないかと推測されているものもある。

2)浦安での液状化:これまでの地震との違い
 東日本大震災では、南北450km、東西200kmの広大な範
囲の断層が動き、震源域から離れた東京湾周辺地域や関
東各地には、地表面の揺れがある程度大きく(震度5程
度)、継続時間が長い(約5分)、「長くゆっくりした
揺れ」が伝播した。

■ 数値計算による比較:下図は地盤の液状化の程度を
示す、黄色い部分が液状化した状態を示す。阪神・淡路
大震災の観測地震波を震度5程度に縮小した場合、地盤
は浅い部分しか液状化しないのに対して、浦安の観測記
録を用いた場合には同じ震度5の揺れでも深い部分まで
液状化していた。また、震度7の揺れである阪神・淡路
大震災の観測地震波と、浦安の観測記録では地盤の液状
化の程度は同じ制度だが、地震動の継続時間の長い浦安
の地震動では、地震後に生じる地盤の沈下量が大きくな
った。東日本大震災の沈下量を1とすると、阪神・淡路
大震災ではその半分以下の沈下量で、東日本大震災の揺
れは、大規模な液状化被害を発生しやすいものだったと
いる。


4-2 液状化対策技術と特徴
 建築物の液状化対策工法は、「液状化の発生そのもの
を抑える対策(事前対策)」、液状化の発生は許すが、
「建築物への被害を抑える対策(事前対策)」、「液状
化の被害を受けた後の対策(事後対策)」 に大きく分
類されている。

4-2-1 液状化の発生そのものを抑える対策
液状化の発生そのものを抑える事前対策として、地盤に
対する一般的な工法を①に、対策の費用と施工面積との
関係を②に示す。 
① 地盤に対する液状化対策工法: 


図4-2-1 液状化対策の原理と方法 

ア.密度増大工法(下図参照)
地盤を締め固めて密度を増加させることにより液状化を
防止する工法であり、地盤に砂を圧入して砂杭を造成す
ることによって地盤を締め固める「サンドコンパクショ
ンパイル(SCP) 工法」や砂地盤を噴射水で飽和させて
強制的に振動を与えながら砕石等を挿入・沈下させる
ことにより地盤を締め固める「バイブロフローテーション
工法」などが代表的)。多 くの工法は振動による周囲へ
の影響が大きいが、流動性の低いモルタルや、泥状(ス
ラリー状)にした砂を圧入して密度を増加させる「静的
圧入締固め工法」については、騒音や振動を伴わない工
法として、近年、住宅地においても施工実績が多くなっ
ている。

図4-2-1 密度増大工法(静的圧入締め固め工法)

イ.固結工法:地盤にセメントや薬液を注入して混合し、
固結させることで液状化を防ぐ工法。セメント系固化材
と砂地盤を撹拌、混合して地盤を固結する「深層混合処
理工法」や「中層混合処理工法」、浸透性の高い薬液を
注入して間隙水(土の粒子の間にある水)と置き換える
ことにより砂粒子を固結させる「注入固化工法」、固化
材を混合した高圧の水を地盤内に噴射して地盤を切削し、
固化材の混合、撹拌を行うことにより地盤を固結する「
高圧噴射撹拌工法」などがある 。建築 工事における液
状化対策の一つとして、戸建住宅を対象とするような小
規模施工も可能である。

ウ.地下水位低下工法:地下水位を低下させ、地盤を不
飽和状態(土粒子の隙間が水で満たされていない状態)
にすることにより液状化を防止する工法)。地下水位の
低下により浮力が無くなり、地下水よりも下の層に対し
て見掛け上、荷重が大きくなる。そのため、広域的に地
盤沈下を引き起こす可能性があるなど、周辺環境へ及ぼ
す影響を考えると、個別の建築物への対策工法としては
注意が必要である。 
エ.間隙水圧消散工法:砕石や透水性材料などの水を吸
収しやすい材料を投入することで、過剰間隙水圧(土粒
子の隙間にある水の過剰な水圧)を低減、消散させる工
法。地盤に透水性の良い砕石による柱(杭)を一定間隔
で造成することによって、地震時に発生する過剰間隙水
圧を消散させ、液状化の拡大を抑制する「グラベルドレ
ーン工法」や他の透水性の材料を用いる工法がある。工
法の性質上、過剰間隙水圧の消散に伴って排水されるた
め、地盤沈下を引き起こす可能性があるが、グラベルド
レーン工法の場合には、砕石による柱を一定の間隔で造
成する際に砂地盤を締め固める効果が期待できる場合が
ある。
オ.せん断変形抑制(連続地中壁)工法:液状化の恐れ
のある地盤に強い剛性の仕切りを設け、地盤の変形を抑
制する工法。周辺で液状化は発生してしまうが、その被
害を最小限に抑える工法である。地中に壁を造成するこ
とにより、地下水の遮断による地下水位の変化や施工中
や施工後に埋設物が破損してしまう恐れがあるなどの問
題があるため、十分留意する必要がある。

② 液状化対策の費用と施工面積:
 ①に示した液状化対策工法には、施工面積によって対
策費用の単価が変わってくるものがある。ここでは、代
表的な工法に対して、液状化対策費用と施工面積の適用
範囲を図4-2-2に示す。

図4-2-2 液状化対策費用と施工面積の適用範囲
⮚浦安市液状化対策技術検討調査報告(2009年)
4-2-2 建築物への被害を抑える対策(事前対策)
液状化の発生は許すが、建築物の補強等を行うことで
建築物への被害を抑えるための 事前対策について、建
築物の構造別に示す。 
4-2-3 戸建住宅に対する地盤対策
 戸建住宅に適用可能と考えられる液状化対策工法を次
に示す。これらの液状化対策工法は、沈下そのものを防
ぐものではなく、不同沈下の発生やその影響をできるだ
け抑制しようとするものである。 

表4-2-3 戸建住宅に対する液状化対策 

上表におけるに工事費積算の条件は以下の通り。
1.対象建築物は建坪 50~70 ㎡(15~20 坪)の総2
 階建てを想定。
2.施工上必要なスペースは確保していると仮定。
3.使用する材料は周辺環境を害するものではないもの。
各工法の概要を次に示す。 

ア.深層混合処理工法(柱状改良工法):「①地盤に対
 する液状化対策工法
イ.固結工法」(P16 参照)の一種。支持力の増加と沈
 下量の低減を目的として、円形断面を有する柱状の改
 良体を、基礎スラブまたは基礎フーチング直下に杭の
 ように配置する工法。地盤と固化材を攪拌、混合して
 固結する方法として機械撹拌や噴射ジェット式撹拌な
 どがあり、泥状(スラリー状)の固化材を用いた機械
 式撹拌混 合工法が多用されている)。 イ.小口径杭
 工法支持力は基礎フーチングで確保し、沈下量の低減
 を目的として、鋼管杭を回転貫入または圧入によって
 設置する工法である。
ウ.浅層混合処理工法(表層改良工法):支持力の増加
 と沈下量の低減を目的として、セメント系固化材を使
 用し、基礎スラブまた は基礎フーチング直下の地盤
 を薄く改良する工法。改良深さは、基礎スラブ直下2
 mより 浅い範囲である。なお、地下水位より下の液
 状化層を3m程度盤状に固化することで、沈下量の低
 減や、不動沈下の抑制にも効果が期待される。
エ.注入工法 支持力の増加と沈下量の低減を目的とし
 て、基礎下へグラウトや薬液等を注入する工法。

 前記の液状化対策工法は、基本的には新築住宅を対象
としているが、小口径杭工法、注入工法は既存住宅に対
しても適用は可能である。ただし、小口径杭工法を既存
住宅に採用する場合は、実質的に事後対策である「沈下
修復工法」(P35 参照)と同様な工事を行うため、新築
住宅に採用する場合と比べ多額の費用がかかる。戸建住
宅における液状化対策の実施にあたっては、軟弱地盤の
補強対策と同等の費用がかかるので、費用対効果を十分
に考えて、対策実施の可否及び工法の選定を慎重に行う
ことが大切である。
                   この項つづく
 【エピソード】

  



八重咲き萼紫陽花『ダンスパ-ティ-』
ピンクの花をキレイに咲かせたい!
イングリッシュローズがウイルスによる伝染性の病気で
アブラムシやアザミウマ、コナジラミによってうつされ
壊滅。そこで紫陽花を植える。その名はダンスパティ。
春先に消石灰や苦土石灰を株元にすき込む。量は30~50g
程度1回。肥料はリン酸の多いものを使うが、土壌の酸
度を変えても元来の花色などの影響で必ずしも青、また
はピンクが発色するわけではない。
花色調整をするため
のアジサイの培養土や肥料も販売されている。簡単に花
色を調整したいのであれば、このような商品を使うもの
一つの方法ですが、庭植えにしている場合はなかなか難
しい。ピエールドゥロンサールへのリベンジはあきらめ
今年から考えています。皆様方はいかがですか。

【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------


地盤強化と地震防災 ⑮

2022年05月02日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.5.2|更新日:2022.5.3


地域循環共生圏概論㊿
□ 地盤強化と地震防災 ⑮

出所:滋賀県:社会資本総合整備計画(水の安全・安心
   基盤整備)

 備計画書の「事前・事後評価調書」の比較事例
  研究Ⅳ




出所:滋賀県土木交通部砂防課 2020.2.19

第1章 地すべり・斜面崩壊災害
第2節 土石流災害の軽減・防止
2-2 土石流対策のための構造物
 土石流に対して,以下のような機能を期待して対策構
造物が施工されている。
 ①土石流の発生をくい止める.
 ②発生した土石流を流下途中で調節し,下流部に対し
 て無害なものに変化させる.
 ③土石流の流動を渓流内で停止させる.
 ④土石流を無害な範囲にのみ氾濫させたり,無害な場
 所へ誘導する

①は理想,土石流の発生原因となる渓床堆積物の蓄積防
止、および山くずれの発生防止ができれば成功するが、
この意味で禄地の森林化が重要であると強調し、森林が
あっても土石流が発生することが多く、最近は杉などの
人工的な針葉樹林の手入れ不足➲台風などでおびただ
しい倒木が発生➲土石流に多量の流木が混入すること
が災害を助長する。
 また、土石流の原因となる渓床堆積物を動かないよう
にする方法で床固め群が施工されるが,15°以上の急勾
配では一つの床因工がが固定可能な堆積物量は少なく,
工事の困難性からも効率が悪い。このように,土石流の
発生そのものを防止することは現状では困難である。
 ただ,火口湖や氷河湖の決壊により一気に大量の水が
供給され土石流が発生するような場合は,火口湖や水河
湖に排水トンネルを設けて,供給水量を減らす方法が有
効とされている。①土石流の調節,②掃流砂への変換,
③は渓流内での停止を目的として、主として砂防ダムが
築造される。従未設置されているコンクリートの壁のよ
うな砂防ダムは,平常時でも土砂輸送の多い谷では容易
に埋まってしまうが,通常の洪水によって土砂が堆積し
た場合,ダム上流側の堆砂勾配は緩く,土石流の場合は
さらに急勾配で堆積するので,たとえ通常洪水によって
満杯になったダムでも,土石流調節能力を発揮できると
いう考えのもとに建造されてきた。この土石流調節能力
は,また、いったん土石流を調節して急勾配となったダ
ム上流の堆積河床が,通常洪水によって侵食されて,以
前の緩勾配河床が回復するため,土石流調節能力はその
ための特別の維持工事がなされなくても,永続的に存在
しているとも考えられている。土石流調節後にダム上流
河床が侵食されて,次第に緩くなっていく例はたしかに
存在するが,土石流には通常洪水では輸送できない巨礫
が数多く合まれているので,なかなか侵食が進まない例
も多い。土石流後の急勾配のままでつぎの土石流がきた
場合には 土石流はそのまま通過してしまう危険性が高

 近年,土石流調節あるいは貯留のための容量をより確
実に準備しておくために,コンクリートダムに大きく深
いスリットや巨大な暗渠を設けたり,下図2.26のように
鋼管を組み立てた枠のような構造の,いわゆる透過型の
砂防ダム(オープンダム)が作られるようになってきた。


 これは中小の洪水で運ばれてくる土砂はそのまま通過
させてダム上流には貯まらないようにし,土石流がきた
ときにはじめてその土砂を貯めようとするもので、たと
えば,上図2.26の立体格子ダムの場合,石綿型土石流で
は前面に巨礫群を押し立ててやってくるから,鋼管の回
のすきまがこれらの巨礫の1.5~2倍程度と広くても,巨
礫同士の噛合せが生じてせき止められる、最近,下流部
河川の河床低下や海岸侵食が顕在化している例が多数に
のぼっており,無害な土砂は下流へ積極的に流下させる
方針になっている。.
 透過型の砂防ダムはこのような要請にかなうものであ
り,さらに,ダム土下流での落差がなくなることから,
生態系の保全に関しても望ましいと思われる。
 土石流を無害な地域へ導流して,そこで堆積させるた
めに,導流堤または流路工が設置される。導流堤は家屋
などの保全対象物への土石流直撃を回避するために,保
全対象の上流例に設置する堤防であり,流路工は流路を
開削して,その横侵食を防ぐために護岸を施し,縦侵食
を防ぐために床同工を階段状に施工したり,ときには流
路床を全面的にコンクリート張りにするなどしたもので
ある。
 これらの構造物は,保全対象に隣接する扇状地に施工
されるのが通例であるが,扇状地は自然状態では土石流
が停止・堆積する場であるから,そこで土石流を強制的に
曲げようとするとさらに堆積しやすくなり,導流場付近
や流路工の人口で堆積が生じ,所期の目的が達成されな
くなる危険性が高い.このような場合,上流に砂防ダム
を設置して,流下土石流の含有土砂濃度を減らす手段を
講ずる必要がある。.
--------------------------------------------------


写真:地獄平砂防えん堤
所在地:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂 
事業者:国土交通省北陸地方整備局神通川水系砂防事務所
スーパー暗渠砂防堰堤という。下流への土砂供給を考慮
したタイプ。2005年3月完成。蒲田川に架かる大暗渠砂
防堰堤。槍穂高連峰や笠ヶ岳などの急峻な地形を水源と
する蒲田川は、大量の土砂を流出し、古くから水害が多
かったため造られた。
--------------------------------------------------
 遊砂地を兼ねた流路工のような特殊な場合を除いて,
流路工の渡来の処理もまた重要である.流路工末端付近
で急激な堆積が生じるような場合には,その影響が上流
へ波及し,流路工からの越流が生じる危険がある。
 流路工の幅は,設計対象土石流の規模に対して十分安
全であっても,土石渡がしばしば大量の流木を先頭にし
て流下してくることに留意し,流本によって閉塞するこ
とのないように,十分大きくしておく必要がある。
⮚砂防ダム懐疑論を参考に添付しておくので、議論を深
めて頂きたい!「砂防ダムの疑問は尽きない | Now
Experience」:大規模気象変動により従来のデータや記
録では説明できない、或いは予測を超える事象が起きる
ことが容易に考えられる。小生は、「魚道確保」「砂礫
堆積の高速化」などは対応可能と判断しているが、B/C
分析を含め、現在はデジタルトランスフォーメーション:
Digital Transformation 時代。帰還制御は勿論のこと、
前方(フィ-ドフォワー)制御も可能だと思っている。

2-3 土石流発生危険降雨
 全国に土石流危険渓流としてリストアップされている
渓流が70 000カ所以上あるという中で,土砂災害対策の
整備状況はやっと2割強であるといわれており,土石流
災害の軽減のためには,避難などのソフト対策が非常に
重要なのが現状である.そのような中で,土石流の発生
予知とその周知は住民が避難行動を取るためにぜひ必要
であり,それもできるだけ時間的余裕を持ってなされな
ければならない.
 時々別々の降雨量が与えられれば,洪水流出計算を介
して,土石流発生の危険度指標Xがやはり時々別々に求
められるので,Xが1を超えて大きくなれば,かねて設
置されている予警報伝達システムによって避難を勧告,
あるいは指示するという手順を取ることが考えられる。.
しかしながら、1地区に危険渓流が数多くある場合に、
渓流ごとにこのような計算をするのは相当煩雑であるし,
予知理論に合まれている論パラメータが必ずしも的確に
評価できないことや,山くずれの土石流化についてはX
による判定ができないなど,まだ十分な信頼性を持った
予知ができない段階であるので,現状ではもっと簡単な
方法によるのがよいかもしれない。
 渓床堆積物の土石流化は集まってくる水の流量に規定
される。
その水流量は主に直前の降雨強度に依存するが,
いままでに流域の地面がどの程度の水を合んでいるかに
よっても変化する.すなわち,渓床堆積物の土石流化に
は降雨強度と積算雨量の両方が関係し,積算雨量が大き
いほど比較的小さい降雨強度でも土石流発生の可能性が
増える。
 一方,山腹斜面の崩壊は,30゜以上といった急勾配の
地層が水を多量に合んで不安定となって発生する。とく
に豪雨時に多発する山くずれは、地表面から1m内外の
深さですべるもので,地表面近傍の合水量が重要である
弱い長雨タイプの降雨では,積算雨量が大きくても水分
は地中深く浸透し,地表近くの上層は一定の含水率以上
とならず,安定性を保持し続けることが可能である.こ
れに反して強い降雨があれば,水分が急激に地表近くに
貯まるので,土層の安定性が破れて崩壊する可能性があ
る。このように,渓床堆植物が土石流化する場合でも,
山くずれが土石流化する場合でも,降雨強度と積算雨量
の両方が関係し,下図2.27に描いているような双曲線状
曲線で,土石流発生限界降雨が規定されると考えるこ
ができる.この限界線の位置は,地域あるいは流域の
個々の特性に応じて変化する.雨水が浸達しやすい地質,
崩壊しにくい土質,強い降雨が頻繁に起こって渓床堆積
物が貯まるひまがない,斜面勾配・渓床勾配が線いなど
の性質は限界曲線が石上のほうにくる要因であり,逆の
性質は限界曲線が左下のほうにくる要因である。



 ある地域で過去の土石流発生事例,および顕著な降雨
であったが土石流が発生しなかった事例を集めて,土石
流発生の限界線が因2.27の実線のように求められたもの
としよう(流域の詳細な地形,地質,土質調査をもとに,
ある程度理論的に限界線を求めることも可能であるが,
比較的多くの土石流発生の事例資料がそろっている場合
には,それによるのが簡単であり,現状では信頼度が高
いと思われる)。過切な地点に雨量計があり、その情報
が時々刻々人手可能であれば、雨の降り始めからたとえ
ば1時間ごとに、その1時間の降雨強度と降り始めから
現在までの積算雨量を図2.27中の折れ線のように措いて
いくことができる.もし,この折れ線が限界線と交叉す
るようであれば,土石流発生の可能性が高いと判断され
るので,危険地帯の住民は直ちに避難する必要がある。
折れ線は実績降雨をもとに描いている。それが限界線と
交叉してから避難を始めたのではまにあわないとも考え
られるので,限界線の左下側にもう1本の曲線を引き,
これを警戒線あるいは避難準備線として,折れ線がこの
曲線と交叉したときに,今後の降雨予測を行って,限界
線を越えるようであれば避難するなどの措置を講ずるの
がよいであろう。(下の「参考」をクリックし願参照)  
               
--------------------------------------------------
□ 参考:日野市版簡易マイ・タイムライン


マイ・タイムラインとは、いざというときにあわてるこ
とがないよう、避難に備えた行動を一人ひとりがあらか
じめ決めておくもの。東京都では、「東京マイ・タイム
ライン」を配布し、普及を行っている。日野市では、「
東京マイ・タイムライン」の作成が難しい方向けに「日
野市版簡易マイ・タイムライン」を作成。A4判1枚に内
容をまとめ、簡単に作成ができるので、要配慮者の方々
等に活用を勧めている。
--------------------------------------------------

国土交通省では大体このような考え方によって,土石流
の警戒・避難基準降雨設定指針を与えており,雨量計に
マイコンをセットして,自動的に警報を発する装置も市
販されている。
 このような方法での問題点の第一は,限界線をどこに
引くかにあり、ある地域に土石流危険渓流がたくさんあ
るとして,それらの危険度は一様でなく,雨が限界線を
越えたからといって,すべての渓流で土五流が発生する
とは限らないし,全然発生しないかもしれない。土石流
が発生しなかった渓流洽いの住民は,避難が無駄であっ
たと感じるかもしれない。.
 このような警報の空振り確率は限界線を左下方に引く
ほど増加する.一方,限界線を右上方へ移動すれば,警
報の空振り率は減少するが,警報が発令される前に土石
流が発生する可能性が大きくなる.少ない資料から限界
線を決定するのはなかなか難しいといわざるを得ない。

                                     この項つづく
【エピソード】

  
       
4月30日、リニュアルされた琵琶湖博物館までドライブ。
久しぶり。先回はセミナがあり、イヌワシの生態報告な
どを聴講、嘉田知事のビデオメッセージや故鹿野県会議
委員と同席(偶然)した記憶が残っている。シンボルの
風力発電タワーが撤去されモニュメントが残る。それを
さておき、わたしたちを驚かせたのは、アケボノゾウの
レプリカ----1993年に多賀町四手(しで)で1頭分のア
ケボノゾウ(Stegodon aur-orae:250万年前 - 100万年
前に生息していた古代象。日本の各地で化石が発見され
ている。比較的小型のゾウで、大陸のコウガゾウとほぼ
同時期のミエゾウが、小型化(矮小化)したものである
と考えられいる)の化石が発見されてから20年が経ち
た。今、この場所で新たな発掘調査が進んみ同博物館で
アケボノゾウ骨格模型(分離)1体分を展示(開催期間
2013年12月21日(土) ~ 2014年02月02日(日))。展
示物を全部見る回るには1日(8時間)は必要だし、屋
外展示場を含めると、晴れの日を選ぶ必要あり(当日は
晴天)。帰宅後、早速、大阪の甥にLINEし紹介。「素晴
らしい!」のスタンプが帰ってきた。









【脚注及びリンク】
--------------------------------------------------

--------------------------------------------------