巨大津波による貝毒発生条件の変化とその後の推移

2017年09月15日 | 防災と琵琶湖

 

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9・3 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物
にどのような影響を与えたか? 
東日本大震災から学んだこと

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❏ 巨大津波による貝毒発生条件の変化と
              
その後の推移
                

  神山孝史・筧 茂穂・奥村 裕(東北区水産研究所)          

1.はじめに
2011年の東日本大震災を引き起こした大津波は東北地方太
平洋側の二枚貝養殖を壊滅させた。その後、養殖業は生産
者の努力と多様なサポートによって回復しつつあるが、生
産にかかわる問題もいくつかある。その一つが麻痺性貝毒
であり、宮城県仙台湾ではそれによる出荷自主規制が津波
発生後毎年実施され、震災前22年間事例がなかった気仙沼
湾でも貝毒が発生するようになった。東北地方での麻雄性
貝毒は、原因プランクトンであるアレキサンドリウム属が
海水中に増加し、それを二枚貝が捕食することで発生する
が、海水中に出現しない時期には海底の堆積物中でシスト
(底生生物)と呼ばれる値物の種のような状態で過ごし次
の出現の機会を待つ。

震災後の麻痺性貝毒の悪化は、大津波によって海底に存在
するこの原因種のシストの数が大きく変化したことによる
と推察される。ここでは宮城県仙台湾における麻痺性貝毒
の発生状況と海底のシストの量と分布について、震災前後
の変化とその後の推移を紹介する。



2.研究経過と成果
津波直後の2011年6月および8月に仙台湾の広い範囲で海
底表層泥を採取し、アレキサンドリウム属のシスト(底生
生物:上写真)
の数を調べた。震災前である2005年に宮城
県水産技術総合
センタが実施した調査結果と比較すると津
波後の海底の
シストの密度は大幅に増加し、津波後のその
最高値は津波前
の10倍近い値に達した。また仙台湾北部
の中心域にあっ
たシストの高密度域が湾の南西部に移動し
た。この海底表
層のシスト密度の増加は、海底深部に埋も
れていたシスト
が巨大津波によって海中に巻き上げられ、
その後他の粒子
よりも軽いシストがまとまって再堆積した
結果、表層付近
の海底に集積されたと推察された。

津波前3年間、宮城県仙台湾北部の定点ではアレキサンド
リウム属の出現密度は少なく、麻痺性貝毒の検査値も出荷
自主規制値を上回ることはなかったが、津波翌年からプラ
ンクトンの最高密度は大きく増加し、毒量も規制値を超え
ることがほぼ毎年続いている。このことから、津波が表層
海底のシストの増加をもたらし、シストから海水中に出現
するプランクトン量が増加し、それを捕食する貝類の毒量
も増加する現象が津波後に続いたと考えられる。

その後の状況を把握するため、2015年と2016年に再度、海
底泥のシストの分布調査を実施した。その結果、震災直後
認められた南西域の高密度域は消失し、比較的密度の高い
海域が湾の東部の沖合域に移動していることが判明した。

以上より、仙台湾におけるアレキサンドリウム属シストの
量と分布は津波後から数年間で大きく変化したと考えられ
る。
アレキサンドリウム属のシストの水平分布の変化は、
海流
によるシストの輸送と新たにプランクトンから供給さ
れる
ことによる複合的な要因で起きていると解釈される。
これ
らの状況が、北部沿岸の貝毒発生にどのよ引こかかわ
り、
今後、貝類養殖業にどのような影響を及ぼしていくか
が重
であり、そのためのこうした現象の理解をさらに深
める
必要がある。

【エピソード】    

 
   

❏ 貝毒とは

ホタテガイやカキなどの貝類が毒を持ったプランクトンを
補食すると、体内(特に中腸腺)に毒が蓄積する。毒が蓄
積した貝類をヒトが食べると、中毒症状を引き起こすこと
があり、原因毒及びその症状により、❶麻痺性貝毒、❷下
痢性貝毒等に分けられる

• 麻痺性貝毒の主な症状: 唇、顔面、四肢末端のしびれ感
           、めまいなど
• 下痢性貝毒の主な症状: 下痢、吐き気、嘔吐、腹痛など
             毒は熱に安定で、一般的な調理
                        加熱では分解しない。


Jun. 25, 2015


Oct. 25 ,2005

【脚注及びリンク】
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  1. 滋賀県立大学で公開シンポジウム「巨大震災は海
    洋沿岸の生物にどのような影響を与えたか?東日
    本大震災から学んだこと」を開催、
    河北新報オン
    ラインニュース
     
  2. 津波後の貝毒発生状況の変化と今後の行方、神山
    孝史 2014.02.12
  3. 宮城県における震災後のアサリ幼生・稚貝の動態 
    水産総合研究センタ 「東北区水産研究所」
  4. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia     

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磯の生き物だちと東日本大震災

2017年09月10日 | 防災と琵琶湖

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9・3 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物
にどのような影響を与えたか?東日本大震災から学んだ
こと

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❏  磯の生き物だちと東日本大震災

    野田隆史・岩崎藍子(北海道大学地球環境科学研究院)

1.はじめに
磯浜の干潮時こ干出する部分である岩礁潮間帯には、様々
な海藻や底生動物(たとえば貝類やフジツボ)が生息して
いる。そのうち、最も分布量の多いのは固着生物であり、
海藻や固着動物(たとえばフジツボやイガイ類)が含まれ
ます。いずれも岩の表面に固着して水流が運んでくる養分
や餌を利用して生活。

彼らはいったん岩の表面に付着した後は移動することはで
きませんが、いずれも生活史の初期には胞子や浮遊幼生と
して短い分散期間を過ごし、親個体から離れた場所に定着
します。固着生物のほかに、底生無脊椎動物(たとえば巻
貝や笠貝)の植食者や肉食者が見られます。かれらは岩の
表面を這いながら海藻や固着動物を餌として生活していま
す。かれらの多くも、生活史の初期に浮遊幼生期間を過ご
したのちに底生生活を送る。

2.岩礁潮間帯の環境と生物

3.人間社会への災害としての東日本大震災

2011年3月11日に三陸沖を震源として発生した東北
地方太平洋沖地震は、地震の規模を示すマグニチュードは
Mw9.0 で、日本の観測史上最大の地震です。この地震は、
東日本大震災と呼ばれる戦後最悪の自然災害を人間社会に
もたらしました。本地震により生じた強い揺れ(地震動)
は東日本全域で6分間以上も継続し、宮城県北部で最大震
度7、岩手県から千葉県にかけては震度6 弱以上となりま
した。この強い地震動は、各地で建物の損壊、傾斜地の崩
落、停電、埋立地での液状化現象を引き起こしました。ま
た、東北地方の太平洋岸では地震に伴う地殻変動により数
十センチの地盤沈下が生じたため、その後長きにわたり高
潮時の浸水被害が続くこととなる。さらに、地震の数十分
後には大津波が太平洋沿岸を襲来する。このときの津波の
高さは岩手県南部から福島県北部では8m 以上に達し、浸
水範囲は最大で海岸から6km の内陸部にまで達し、福島第
一原発事故を初めとする深刻な事故や悲惨な人的被害をも
たらす。

4.岩礁潮間帯の生物にとっての「東日本大震災」

2011年3月に生じた東北地方大平洋沖地震は、東北沿
岸に強い地震動と津波と地盤沈下を引き起こし、東北の人
々の暮らしに甚大な被害を及ぼしたが、岩礁潮間帯の生物
たちはどのような影響を受け、その後どのように変化・回
復してきたのだろうか。

津波と地盤沈下が岩礁潮間帯の固着生物の数と分布に及ぼ
した影響について紹介する。津波や異常気象などによる急
激な環境の悪化を撹乱という。撹乱は生物を減少させるが、
その際の生物の減少率は、一般に撹乱の物理的強度に依存
する。したがって東北地方太平洋沖地震によって引き起こ
された津波では、物理的強度が極めて大きかったため岩礁
潮間帯の生物の減少率も大きかったものと予想される。

そこで他の様々な撹乱と生物種を対象に「物理的強度」-
「生物の減少率」の関係を求め、これと今回の津波の物理
的強度と岩礁潮間帯の固着生物の減少率を比較してみた。
その結果、意外なことに津波よる固着生物の減少率はその
物理的強度のわりにはかなり小さかったことが明らかにな
った。



垂直方向ではわずかな距離で浸水時間が大きく変化する岩
礁潮間帯では、それぞれの固着生物はみずからの乾燥耐性
にあわせて数十センチ程度の垂直範囲に生息している。こ
のような固着生物の分布を帯状分布という。この帯状分布
は東北地方太平洋沖地震にともなう津波と地盤沈下の影響
を強く受けたはずである。そこで代表的な固着生物5種を
えらび、地震による帯状分布の変化を調査した。

その結果、地震直後ではすべての種において分布量の減少
は認められず、帯状分布の下方への移行だけが生じていた。
この結果は津波がこれらの固着生物に明らかなダメージを
及ぼさなかったことを示している。地震後1年から数年後
に一部の種では分布量の減少が生じた。これは地盤沈下に
よって本来の生息場所より深所に移動させられたことが原
因だと考えられる。

驚くべきことに一部の種は地震によってダメージをこうむ
るどころか地震後に大きく増加していた。



これは地盤沈下により深所に移った個体が死なない段階で、
本来の生息範囲に幼生や胞子が定着し成長することで、帯
状分布の幅が一時的に広がったことが一因だと考えられる。
いねば地盤沈下した場所から以前の生息潮位への「引っ越
し」において、一時的に古い家(沈下した場所)と新しい
家(本来の生息範囲)の両方を利用する個体がいる状況が
生じたからであると考えられる。なお、2017年時点(地震
6年後)では、岩礁潮間帯生物群集は未回復で、完全な回
復にはかなりの時間を要することが推察された

5.おわりに

以上から、岩礁潮間帯の固着生物への東北地方太平洋沖地
震の影響は、人間における「震災」とは大きく様相が異な
ることが明らかとなった。すなわち、これらの生物への地
震の影響は津波ではなく地盤沈下によっておもに引き起こ
され、その影響は地震直後ではなく数年後にあらわれた。
そして一部の種はダメージをこうむるどころか地震によっ
て大きく増加していたのである。このことは重要なメッセ
ージを含んでいます。地震に限らず、自然災害あるいは人
為災害が生態系に及ぼす影響については、往々にして擬人
化して予想しがちですが、そのような「素人判断」は実際
の影響とはかけ離れたものとなる危険性が高いでしょう。
災害の影響は受け手によって全く異なるかもしれないこと
に留意すべきであろう。

【エピソード】    

 
   

   

 

【脚注及びリンク】
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  1. 群集生態学 北海道大学野田隆史研究室 
  2. 滋賀県立大学で公開シンポジウム「巨大震災は海
    洋沿岸の生物にどのような影響を与えたか?東日
    本大震災から学んだこと」を開催、
    河北新報オン
    ラインニュース
     
  3. 野田隆史  磯の生き物だちと東日本大震災 2015.
    08.17
  4. Ecological impacts of tsunamis on coastal ecosystems:
    lessons from the Great East Japan Earthquake, 2016, 
  5. 磯の生き物たちと東日本大震災 野田 隆史 - Slide
    Show JP
     
  6. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia    

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人工放射性物質の海洋生態系における挙動

2017年09月07日 | 防災と琵琶湖

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9・3 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物
にどのような影響を与えたか?東日本大震災から学んだ
こと

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❏  東京電力福島第一原子力発電所
   事故により放出された人工放射性物質の
           海洋生態系における挙動


       帰山秀樹(国立研究開発法人 中央水産研究所)

1.はじめに
東日本大震災に伴い、東京電力福島第一原子力発電所(福
島第一原発)では全電源喪失、核燃料の冷却不能に陥り、
環境へ大量の放射性物質が放出されるに至った。福島第一
原発事故により環境へ放出された主要な放射性核種は放射
性ョウ素(I-131)と放射性セシウム(Cs-134/Cs-137)であり
物理半減期が8日と短い放射性ョウ素は事故から半年ほど
でモニタリング調査では検出されないレベルまでその濃度
が低下した。
一方、物理半減期が2年(Cs-134)、30年(Cs-137)と比較
的長い放射性セシウムについては事故後数年にわたりモニ
タリング調査においても検出されて続け、一部の食品では
出荷制限の基準となる基準値(Cs-134/Cs137)の合算値で
100 Bq/kg生 )を超えており、その中、長期的な環境動態が
研究対象とされている。福島第一原発事故から6年以上が
経過した現在の海産物においては、基準値を超過する水産
物は全く確認されておらず、2015年4月以降、モニク
リング調査結果は全て基準値未満で推移している(下図)。

この講演では福島第一原発事故により海洋環境へ放出され
た放射性セシウムの海水としての拡がり、海底堆積物とし
ての分布、プランクトン、浮魚類、ベントス(底生生物)、
底魚類などにより構成される海洋生態系における挙動につ
いて演者ら水産研究・教育機構が実施してきた放射能調査
で得られた知見を中心に「漂泳区生態系」と「底生生態系」に
分けて紹介された。

2.漂泳区生態系
福島第一原発事故により海洋へ放出された放射性セシウム
が海水としてどのように拡がったのか、また海水から生態
系へ移行する段階にいる生物であるプランクトンの放射性
セシウム濃度の時間変化を中心にプランクトンを食べる小
型浮魚類などの放射性セシウム濃度レベルの推移を解明。

3.底生生態系
福島県沖を中心とした陸棚域の海底堆積物における放射性
セシ
るベントスや底魚類の放射性セシウム濃度などについ
て分析。


上図.2011年4月から2017年5月までの福島県におけ
る水産物(海産種および淡水種)の放射性物質調査結
果。
棒グラフは四半期ごとの検査検体数(左軸)、折れ線は100
Bq/kg
生を超過した検体数の割合(右軸)を
表す。なお、
2015年4月以降の海変種は全て100 Bq/kg 生未満。水
産庁ホームページより

2011年3月より水産物の緊急モニタリング調査を開始、
それ以降海洋生態系を構成する様々な生物群、環境試料に
おける放射性セシウム濃度の把握と、放射性セシウムの海
洋生態系内における挙動を解析してきた。本研究では、海
洋生態系における放射性セシウムの挙動を把握する際の最
も基礎となる情報である、溶存態放射性セシウムの北太平
洋における拡散状況を採水調査の結果に基づき報告する。
調査は漁業調査船による資源調査航海などの機会を活用し、
バケツによる表層海水の採取や採水器を用いた鉛直多層採
水により得た海水20㍑L試料を対象とした。その他、福島
県沿岸では漁船を用いた用船調査、福島県水産試験場の協
力による小名浜地先の汲み上げ海水などを採取している。
海水試料はリンモリブデン酸アンモニウム共沈法を適用し、
ゲルマニウム半導体検器によるガンマ線測定に基づき放射
性セシウム濃度を求める。

※北太平洋の広域拡散状況の把握という観点では144˚E、
155˚Eおよび175.5˚Eにおける南北側線を設け、2011年7月
10月、2012年7月、2013年7月に表面海水採水による観測を
実施しており、黒潮続流の北側における東方への拡散状況
を把握している。また2012年9月の鉛直断面観測により、黒
潮続流の南方においては亜熱帯モード水に補足された放射
性セシウムを確認した。事故当時に減衰補正した134Csの総
量は4.2±1.1 PBqと試算され、北太平洋全域における福島
第一原発事故由来の134Cs放出量の22〜28%が亜熱帯モード
水に存在すると推定された。亜熱帯モード水の輸送先であ
る日本南方の亜熱帯海域に着目し、放射性セシウムの経年
変化を137Csの水深0〜500mの水柱積算値で見ると2012年の
3600 Bq m-2から2015年の1500 Bq m-2まで減少しているこ
とが明らかとなった。冬季の鉛直混合により亜熱帯モード
水の一部は表層水塊へ表出し、移流・拡散により福島第一
原発事故由来の放射性セシウムは希釈されたと推察

※一方、福島第一原子力発電所近傍海域として小名浜地先
における汲み上げ海水を週一回の頻度で採水し放射性セシ
ウム濃度の時系列変動を解析している。小名浜地先におけ
る溶存態放射性セシウム濃度は基本的に緩やかな減少傾向
を示すものの、夏季および冬季にスパイク状に濃度の上昇
が認められる。特に冬季、爆弾低気圧が福島県沖合を北上
した時期に顕著な放射性セシウム濃度の上昇が認められた。

2013年12月から2014年2月の期間には福島第一原子力発電
所と小名浜の中間に位置する四倉沖で物理観測を実施して
おり、その際の流速データは、四倉沖で強い南向きの流れ
が継続した時期と、小名浜地先で放射性セシウム濃度が上
昇した時期が一致することを示している。すなわち福島第
一原子力発電所近傍の海水が強い南下流により小名浜地先
近傍まで希釈をされずに移流したと推察される。このよう
に福島第一原子力発電所近傍海域における溶存態放射性セ
シウムの分布は時空間的に変動が大きく、今後も引き続き
モニタリング調査が必要とする。

 
Nov. 11, 2014

【感想】

わかりやすい解説であった。圧倒的な拡散効果で放射性汚染物
質濃度が低下することが理解できる。問題は生物の食餌連鎖濃
。息の長い調査となる。

【エピソード】    

 
 

【脚注及びリンク】
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  1. 帰山秀樹 中央水産研究所 研究員 
  2. 滋賀県立大学で公開シンポジウム「巨大震災は海
    洋沿岸の生物にどのような影響を与えたか?東日
    本大震災から学んだこと」を開催、
    河北新報オン
    ラインニュース
     
  3. JpGU-AGU Joint Meeting 2017/北太平洋における
    福島第一原子力発電所事故に由来する放射性セシ
    ウムの6年間の拡散状況
  4. 小型浮魚と海水の放射性セシウム濃度の関係 中
    央水産研究所主要研究成果集 2013.09.19
  5. 海産生物の放射能のこれまでとこれから  中央水
    産研究所 海洋・生態系研究センター 渡邊朝生
    2013.03.01 
  6. 常磐-三陸沖合,仙台湾および親潮域の海水およ
    び動物プランクトンにおける東京電力福島第一原
    子力発電所事故に伴う134Csおよび137Cs濃度の時
    系列変動 帰山 秀樹  J-STAGE公開日 2016/08/25
    メカニズム解明  小泉尚嗣 2008.06.28
  7. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia   

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琵琶湖周辺における震災リスク

2017年09月06日 | 防災と琵琶湖

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9・3 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物
にどのような影響を与えたか?東日本大震災から学んだ
こと

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❏ 琵琶湖周辺における震災リスク

   
 小泉尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)※1

Jun. 27, 2017
1.はじめに

琵琶湖は,古琵琶湖と呼ばれる時代も含めると
数百万年
間,現在の形になってからでも約40万年間,「湖」
ありつづけている構造湖である.すなわち,長い目でみ

れば,不断に,琵琶湖の周問では断層活動(地震の発生)
があることになる.琵琶湖は地震のくり返しによ
ってで
きている湖であり,これからも地震を生じ
る湖でもある.

2.琵琶湖周辺の活断層
琵琶湖周辺には多数の活断層かある(図1)。これらの
断層の(十数万年~数十万年間の)平均的な活動間隔(
≒大地震の発生間隔)は,概ね数千年~1万年である.
琵琶湖の周囲には,10程度の活断層があるので,単純
に考えると,数百年~1000年に1回は大地震(マグニチ
ュード7以上の地腹)が発生していることになる.琵琶
湖周辺で発生した歴史地震を調べてみると1185年,1662
年、1819年と大地震が発生していて,1300年程度の日本
の泰史記録から見ても数百年に1回の大地震が琵琶湖周
辺では発生していることになる。直近の琵琶湖周辺での
被害地震は、1909年に発生したマグニチュード6.8の姉
川(江濃)地震であり,その後の約百年間は,大きな被
害を生じる地震は発生していない.この事が「滋賀県に
は地震が少ない」という一般的な滋賀県民の感覚につな
がっている.し
かし,それは,決して正しいものではな
い。

3.琵琶湖の周囲の地盤
琵琶湖の周囲は、比較的新しい堆積層で形成されており、
いわゆる軟弱地盤である.このような地盤は、
琵琶湖か
ら離れた場所で発生した地震に対しても揺れを増幅する
性質かある(図2)。今後30年間の発生確
率が70%と
考えられている南海トラフ(東海~四国冲)の巨大地震
では、滋賀県は震源域からかなり離れて
いるのにも関わ
らず、震度6弱以上の揺れが滋賀県の広い範囲で想定さ
れ,その場所は,図2の軟弱地盤の
分布とほぼー致して
いる.また,そのような場所では,地盤の液状化のリス
クも高い(滋賀県,2014)。
 
東南海・南海地震

4.まとめ
地質学的、歴史学的、地震学的にみても、滋賀県の地震
リスクは決して低くない。地震は、短期的には、
それま
で形成されてきた環境を破壊する。他方、,長期的にみ
れば、琵琶湖の環境を作ってきたともいえる。
一瞬の地
震発生による環境破壊と、それから続く長期の「地寝間
期(間地震期)」の環境形成を総合的に見る
といったこ
とも必要だと考える。

Naoji KOIZUMI (School of Env汁onmental Scienee, the univ.
Shiga Pref.)

Risk of earthquake disasters in and around Lake Biwa

【感想】

話はわかりやすかった。M7以上の地震発生確率は、自動
車事故より遙かに高い発生確率い。想定津波は、水深が
百メートルと海より浅く、最大で1.5メートル、それよ
り、天井川が多い河川の亀裂による二次災害の洪水が心
配という。
【エピソード】    

 
 

【脚注及びリンク】
 ------------------------------------------------   

  1. 小泉尚嗣 滋賀県立大学環境科学部教授 
  2. 液状化予測図/滋賀県 2016.09.22 
  3. 滋賀県地震被害想定/滋賀県 2014.03.26
  4. 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物に
    どのような影響を与えたか?東日本大震災から学
    んだこと」
  5. 滋賀県地震被害想定調査中間報告(震度分布等の
    推計結果)について 2013.10.07 
  6. 琵琶湖周辺の地下水システムの変動状況の把握と
    メカニズム解明  小泉尚嗣 2008.06.28
  7. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia   

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除雪作業対策

2017年09月01日 | 防災と琵琶湖

  

❏ 自治会の除雪作業に補助金
  4回分90万円、9月議会に提案

「里山薪ストーブ普及」(2017年01月23日 | 日誌)※1
に掲載した除雪作業を記録しコメントしている、ブログ
でも取り上げている(「パワー・ツー・ザ・スノータウ
ン」、革命的な風力タービンⅤ|2017年02月13日)※2。
8月30日付、しが彦根新聞は今年の1月末の大雪対応
不備による市内に発生した交通渋滞等の市民生活環境の
混乱策としこのほど彦根市は、自治会の除雪作業に補助
金としてこの9月市議会に提案することを報じている。

それによると、市は自治会単位での除雪作業費を補助す
る取り組みを始める。4日開会の9月議会に提案する補
正予算案(9232万円)に関連経費を盛り込む。大雪
を受けて、市は隣接する長浜激などに調査を行い、その
中で市民が行う除雪の作業費を補助する制度を知る。具
体的には各自治会が除雪機を使って作業した場合の人件
費や重油代などを半額補助。補助額は作業1時間につき
2510円で、補正予算には180時間分×4回の半分
(90万3600円)を計上。またこれまで対象外だっ
た生活道路の除雪を業者へ依頼する費用として177万
円も盛り込んだ。ほか除雪機やトラクターに付ける排雪
板などの購入を含め補助を含め総額527万8000円
の除雪対策事業を提案する。

尚、主なな内容は、障害児者向け療養通所介護事業所の
高宮町への移転費用補助金(1692万円)。観光用駐
車場にある公衆便所の洋式化補助
(1457万)、稲部
遺跡の保存による道路計画筆疋のための3ヵ所の設計委
託料など(2054万、331万、850万)。なお4
日開会の9月議会は、質疑ならびに一般質問が11日~
リ案が25日、決算の採決が・決算の提案が25日、決
済が10月12日の予定。
 

 出典:朝日新聞デジタル

【エピソード】    

 
今回の自治体の対応は「人為的地球温暖化」→「大規模
気候変動」→「大気の不安定化」→「記録的大雪/集中
豪雨」→「市民生活環境対策」(→(※「帰還制御」→
「是正」→※)→「根本対策」)の過程に入る。尚、(
)内のABCDサイクルは様々な制御パターン考えられ
る※3)。でもこのサイクル動力は、「補助金→住民サー
ビス→補助金'」ではなく「住民サービス→補助金→住民
サービス'」であることを確認しておきたい。



 出典:カレイドスコープ、Dec. 18, 2017: 
9・3 市民向け公開シンポジウム
「巨大震災は海洋沿岸の生物にどのような影響
 を与えたか?東日本大震災から学んだこと」

大地震やそれに伴う津波など巨大震災により、海洋沿岸
住むベントス(底生生物)やプランクトン(浮遊生物
)など微小
な生物たちが、どのような影響を受け、どの
ように回復して
きたのか。今回のシンポジウムでは、生
物群集が地震と津
波によって破壊され、そして回復する
様子を詳細に調査した
事例の報告を行い、また、琵琶湖
周辺における巨大地震の
可能性とリスクについても考え
る。
〇日  時: 2017年9月3日(日)10時~12時35分
〇場  所: 滋賀県立大学 交流センターホール
        (滋賀県彦根市八坂町2500)
〇参 加 費: 無料
〇事前申込: 不要

❏ 
スケジュール:
 10:00~10:05 趣旨説明 
  伴 修平(滋賀県立大学環境科学部)
 10:05~10:35 磯の生き物たちと東日本大震災
  野田隆史・岩崎藍子(北海道大学地球環境科学研究
    院)

 10:35~11:05 地震・津波後の砂泥底の生き物たち
  大越和加(東北大学農学研究科)
 11:05~11:35 巨大津波による貝毒発生条件の変化と
  その後の推移 
  神山孝史・筧 茂穂・奥村 裕(東北区水産研究所)
 11:35~12:05 東京電力福島第一原子力発電所事故に
  より放出された人工放射性物質の海洋生態系におけ
    る挙動

  帰山秀樹(中央水産研究所)
 12:05~12:35 琵琶湖周辺における震災リスク
  小泉尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)

【脚注及びリンク】
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  1. 「里山薪ストーブ普及」(2017年01月23日 | 日誌 
  2. 「パワー・ツー・ザ・スノータウン」、革命的な
    風力タービンⅤ|2017年02月13日)
     
  3. 制御工学 Wikipedia
  4. 公開シンポジウム「巨大震災は海洋沿岸の生物に
    どのような影響を与えたか?東日本大震災から学
    んだこと」
  5. 琵琶湖周辺の地下水システムの変動状況の把握と
    メカニズム解明  小泉尚嗣 2008.06.28
  6. 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia   

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