虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

東京原発 (2002/日本)

2005年08月13日 | 映画感想た行
監督: 山川元
出演: 役所広司   天馬都知事
    段田安則   津田副知事
    平田満   笹岡産業労働局長
    田山涼成   佐伯政策報道室長
    菅原大吉   石川都市計画局長
    岸部一徳   大野財務局長
    吉田日出子   泉環境局長

 カリスマ的な人気を集める天馬都知事はある日の会議の席上、悪化する財政建て直しの切り札として“東京に原子力発電所を誘致する”と宣言する。都の幹部がその是非と知事の真意をめぐって侃々諤々の議論を続けるその頃、お台場にはフランスから船で極秘裏に運ばれてきた大量のプルトニウム燃料が陸揚げされていた。そして、それは一般道を単独で陸送される…

 1999年の臨界をあんな人びとがあんな形で見ちゃった事故のことを密かに「ノストラダムスの恐怖の大王って、もしかしたらこれか?!」とか思っちゃった私としては、激しく頷ける議論が続く映画であった。
 原発の是非はとりあえず措くとしても、日本のエネルギー研究予算は原発に偏りすぎですって。
 ところで、原発で何をしてるかご存知?まずお湯を沸かしてるんです。

 ただね~、これを娯楽映画としてみた場合、ちょっと立場が明確になりすぎていて、素直に見られない人も多いかも。言いたいことはわかるけど、納得したくないぞ、と思う人はいるだろう。めちゃめちゃ要求が贅沢だけど、もっとブラックにイジワルに誰もが「しょーがねーなー」と笑うしかない状態に追い込まれる展開があったら…と、惜しい映画だった。
 役者の皆さんが達者なので、話が軽々進んでいくし、あまり難しいことを詰め込まれた感もない。学者役の人の飄々が現実に一枚カバーかけてる雰囲気。
 でも「昭和史」とか読んでると、頭のいい為政者がきちんとやってると思うのは幻想だと思い知らされますから。その意味では切実に寒々と身に染むラストです。

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