虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

オペラ座の怪人(1925)

2005年03月12日 | 映画感想あ行
THE PHANTOM OF THE OPERA
監督: ルパート・ジュリアン
出演: ロン・チャニー メアリー・フィルビン ノーマン・ケリー

 これも、伝説の名作ロン・チェニー主演の「オペラの怪人」を見ることが出来た。 ラストは、こちらのほうが無残だった。今度のミュージカルは報われないものにどうしても焦がれてしまう愛の物語だが、これは歪んだ愛しか持てなかった恐ろしい物語。
 ストーリーは少し違うし、今回の映画で割愛されたラウルの兄がファントムに殺されるエピソードなどもあるし、何より登場人物の性格付けが少し違う。クリスティーヌは怪人を一目見て、怯えている。そこには怪人の音楽の才能と声とに対する心酔の残り香はわずかにあるけれど、彼女を支配しているのは嫌悪と恐怖。怪人はどんな手段を持ってしても彼女を手に入れたいと狂おしく焦がれているが、今度の映画ほどの哀れさを持たない。
 天使の声を持つ醜い怪人という設定が、サイレントで最高に生きている。

 1925年にこれだけの豪華を作りきってしまったのはやはり感嘆の一語。
 オペラ座内部の白く輝くような光が豪華さを焼付け、モノクロ画面のバレリーナたちの白いチュチュの揺らぎと光、地下へ下りていく怪人の影の恐ろしさ。クリスティーヌが馬に乗せられるシーンでは、その影をきっちりとフレームに入れた絵に見とれた。
 マスカレードのシーンだけ、当時の最先端だったらしいテクニカラーを使ったカラー画面になっていて、いかにもカーニバル・乱痴気騒ぎ的雰囲気に満ちてドキドキする。赤いコスチュームのファントムは絶対こちらのほうがかっこいい。
 登場人物も決まっている。ロン・チャニーのメイクは言うまでも無し、メアリー・フィルビンのクリスティーヌが舞台上に初登場したときには本当に天使の様で美しさにため息。ラウルがいまいち青年期脱してる風貌で、当時はこれでも颯爽とした青年でよかったのかな?と思ったり。

最新の画像もっと見る