虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

夜になるまえに(2000/米)

2005年02月24日 | 映画感想や行
監督:ジュリアン・シュナーベル
出演: ハビエル・バルデム オリヴィエ・マルティネス

 カストロ政権下で、詩人として同性愛者として迫害され、アメリカへ亡命し、反カストロ運動をし、エイズに苦しみ、自殺したキューバの亡命作家の自伝の映画化。抵抗者としての彼より詩人としての彼を中心に描いているようだ。

 革命にとっての夾雑物として排除され迫害される独裁政権下でも表現せずにいられないのは、芸術家の業なのだろうか。母に懇願されても転向を拒んだ彼が、口に銃を突きつけられ泣きながら革命への協力とそれまでの自己の否定を受け入れてしまう。苦しんだ末に亡命したアメリカでも魂の自由が得られた開放感はない。追われた祖国に自分の根があることを突きつけられる。

 主役の演技は素晴らしい。迫真とはこのことだろう。彼の心の目に映る光景を移したようにキューバの自然の映像は美しい。これが「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」と同時代のキューバである。ここでもラテンの音楽、挿入されている歌は素晴らしい。
 ジョニー・デップの女装の髭もきれいだったが、ショーン・ペンは初めはわからなかった。この映画を見ると「SWAT」のオリヴィエ・マルティネスますますもったいなかったな、と思う。


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2 コメント

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島を捨てる (さぼさし)
2005-02-28 14:50:17
 アレーナスとおなじく、しかしより劇的でなく島を離れていった物書きは少なくないわけで、たとえばギジェルモ・カブレラ=インファンテもついこのあいだ亡くなりました。「亡き王子のためのハバーナ」は、どっかで見かけたことあるけどニホンではあんまり読まれていないんだそうな。でもこの六百頁近い本を読むのは愉しかったという思い出があります。でもアレーナスにしろこの人にしろ、今でもキューバでは禁書ということで、なんか複雑な気持になります。カルペンティエルだってあんまりいい気分でいられたわけではなさそうだし、映画に出てきたホセ・リマなんて悲惨だったようだし。(なんかコメントになってなくてスンマセン!)
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キューバというと (ningyo)
2005-02-28 21:37:31
あまりよくわかりません。

アレナスは少し読みましたが

ほかには判断できるほど読んでは居りません。

映画に関しては、主人公の演技は迫真で

凄まじいものでした。

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