虫干し映画MEMO

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21グラム(2003/アメリカ)

2006年11月18日 | 映画感想な行
21 GRAMS
監督: アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演: ショーン・ペン ポール
   ナオミ・ワッツ クリスティーナ
   ベニチオ・デル・トロ ジャック

 重い心臓病の大学教授のポール。前科者だが立ち直って信仰に生きるジャック。以前はドラッグ中毒だったが今は夫と2人の娘と幸福に暮らすクリスティーナ。不幸な事故から出会うはずも無い3人の運命が交錯していく。

 21グラムの意味はもうすでにインプット済みなのだが、「魂の重さ」「命の重さ」というものよりも、「それでも人生は続くのか?」「何のために生きるのか?」が宿題として残されたような気分。これもまた善と悪との対決のすっきりした構成でなく、誰もが落ち込んでしまいそうな人生の落とし穴を見せられたみたい。
 時間がシャッフルされていて、終わりのほうになっていろいろなシーンがつながってまとまりを持つ。生き残ったものに希望を持たせるような終わり方ではあるものの、それでも生きるのは苦しいだろうし、死んでいくのは無念だろう。
 ありがたいことに、ここまでぎりぎりに切羽詰った状況に追い込まれたことが無いので、できる限りの想像をするしかない。そして想像を超えた苦しみが待っていることも想像できる。

 臓器移植についても考えさせられた。私は今まで「自分個人としては臓器移植以外に命をつなぐ道が無くても選択したくありません、ほかの人についてはわかりません」という立場であったのだが、さて、本当にぎりぎりまで追い込まれたらなんと言うのだろう。
  'Life goes on...'  人生は続く… それに生命をつなぐって子供を生んでということもあり、またここでは一部が他の個体で生きているというのも改めて不自然だと思う。それをどう得心するか、受け入れるか受け入れないか… 海外での移植のための募金なんかもここら辺はスルーしているようです。考えても袋小路に入っちゃうでしょうが、目をつぶれば不誠実です。

 ショーン・ペンは相変わらずうまいですが、ベニチオ・デル・トロの演技の頑なさが、前科者から更生したジャックという男に似つかわしいと思った。


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