虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

犬猫 (2004/日本)

2005年06月16日 | 映画感想あ行
監督: 井口奈己
出演: 榎本加奈子    ヨーコ
   藤田陽子    スズ
   忍成修吾    三鷹
   小池栄子    アベチャン (友情出演)

 東京近郊の小さな家に住むアベチャンが中国へ留学することになり、留守をヨーコが預かることになる。出発の前日、同棲中の家を飛び出してきたスズがアベチャンを頼って転がり込んできて、仕方なく一緒に暮らすことになったヨーコとスズ。しかし二人は長い付き合いだがかつてスズが飛び出してきた彼を争った関係だった。

 こういう映画、好きです。特に「この映画が好き!」とカウントする中からは洩れてしまいそうだけど、見ていて思わずにたあ~とするような共感が感じられて。男の人はどうなんだろう?
 榎本加奈子、藤田陽子、ちょっとでてくる小池栄子もきちんと作った顔でなく、素の雰囲気で出てきます。風呂上りは風呂上りに見える。布団に入ってもまつげがきちんとカールしてあるドラマみたいなことはない。さすがに女優だし、きれいだけど「作った」感のなさが、この女の子の性格に本当にはまってます。
 榎本加奈子は不器用でちょっと好意を持ってる男の人にもどうも自然に和やかに接することが難しくて緊張してしまう。それで、その「自然で和やか」で、しかし友人の心への(男に関しては)遠慮がないというか、関係ないスズにどうしても男の目も心も奪われてしまう。それでも、その反目はあっても、お互いの共感の親密さは実に確実に存在していて、その心地良さは捨てられない…うう、わかる。
 この、不利でも不便でも自分の不器用さを変えられない、ほんとは変えたくない女の子像って「モテる小悪魔な女の子」と別に女の子のあらまほしい姿として女の心のどこかに映っているものじゃないかと思う。「虫愛ずる姫君」からの伝統です。
 榎本加奈子がそれをやるというのもまた面白い。藤田陽子のどこか抜けてような雰囲気も、自身のも、また彼女に向けられる悪意も抜けていく感じ良かった。

 こういう同性同士の信頼関係とか、じゃれあいみたいなのは、数十年ほど前までは男が男にしかわからん、と気持ちよさそうに書いたりしてましたが、最近は「下妻」の如く、少女で描かれること多いのですね。
 それに、出てくる男が実にまともに普通の男で、それでもその男を獲得してグレードアップするという対象でないのもフツーではあるが、ある意味フツーでない。それもまた気分のよさの一因。


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