虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

コーラス (2004/フランス)

2006年01月03日 | 映画感想か行
LES CHORISTES
監督: クリストフ・バラティエ
出演: ジェラール・ジュニョ     クレマン・マチュー(音楽教師)
    フランソワ・ベルレアン    ラシャン(校長先生)
    ジャン=バティスト・モニエ   ピエール・モランジュ(少年時代)
    ジャック・ペラン     ピエール・モランジュ
    マリー・ブネル    ヴィオレット・モランジュ
    マクサンス・ペラン     ペピノ

 指揮者のピエール・モランジュは母の葬儀のため帰郷した際、子ども時代の友人ペピノが訪ねてきて、モランジュが孤児や問題のある子どもたちを収容する施設にいたときの舎監だったマチューの日記を手渡される。1949年、フランスの片田舎。“池の底”という名のその施設では強権的で厳しい体罰を加える校長と敵意と猜疑心と孤独の中にいる子どもたちがいた。志を得なかった音楽家であったマチューは子どもたちの合唱団を結成。そして、問題児ピエール・モランジュが素晴らしい歌声の持ち主であることを知る。

 実にオーソドックスなヒューマン・ドラマだった。もう型どおり期待通りで、安心して泣ける気持ちのいい映画だった。
 オープニングのジャック・ペランのアップで、「ニュー・シネマ・パラダイス」の世界を覗き、ジェラール・ジュニョで「バティニョールおじさん」の世界へ連れて行かれてしまい、まあだいたいその期待通り。
 私がいいなと思ったのは歌を知らない、両親も知らないペピノをああいう役どころに配したこと。彼は一部始終を見届け、地の塩というべきマチュー先生の人生をいろんな意味でまっとうさせることになる。

 ただ私にはちょっとつらかったのは、ボーイソプラノが苦手だから。主人公の少年はきれいだし、声も実に美しいけれど、酔えない。私は力強い声が好きなので、夜の女王のアリアとか、そんなのに聞きほれるのだ。「恋とはどんなものかしら」もちゃんと男装のメゾ・ソプラノに歌ってほしい。少年合唱団の独特な繊細さが好きな人だったらめちゃめちゃ陶酔できる映画でしょう。