虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

SHINOBI (2005/日)

2005年09月28日 | 映画感想さ行
監督: 下山天
出演: 仲間由紀恵   朧
    オダギリジョー   甲賀弦之介
    黒谷友香   陽炎
    椎名桔平   薬師寺天膳
    沢尻エリカ   蛍火

 徳川家康が天下を統一し、戦乱の時代は終わった。伊賀と甲賀それぞれの忍者は、長い間、その能力の高さのゆえに互いに戦うことを禁じられてきた。しかし彼らの強さを恐れた幕府は、両者を共につぶすために、一計を案じ、ある指令を下す。伊賀と甲賀それぞれの精鋭5人を戦わせ、どちらが生き残るかによって、次期将軍を決する、というもの。
 それぞれの跡取りである伊賀の朧と甲賀の弦之介は、密かに運命的な恋に落ちていたが、その精鋭の中には朧と弦之介も含まれていた。

 薄味なんです…
 私は、山田風太郎が大好きです。といいますか、大好きなんて言葉では語れない!
 山田風太郎の小説は、特に忍法帳なんて、むちゃくちゃエロくてグロくてきったなかったりしますが、清楚な美女は実に清楚に、荒くれ男がその命を捧げても悔いない乙女ですし、己を通す、男の中の男も登場し、悪役はまた悪役で憎たらしく実力があり、しかも奇想天外な忍術やら技がどっさり出てきてワクワクすることこの上なし。
 そのたっぷりのエンタテインメントで楽しませてくれた上で、人間の愚かさ、戦いの虚しさ、命のはかなさ、一途な思いの美しさ、見事な男性像などが読後にずっしり残るのです。

 というわけで、この映画も山田風太郎への期待をちょっと忘れて、特撮アクションものとしてみればそこそこ及第点なんですが、やっぱり薄味風味、絵はきれいなんだけど、きれいだからこそ「これは違う」感に付きまとわれてしょうがない。アクションも良く出来てるけど、全体としてさらっと軽い感じでした。
 オダギリジョーは期待してたけど、声と、主役の重みがもうちょっと。椎名桔平は実にのってたし、黒谷友香さん色っぽくて素敵です。仲間由紀恵は声が苦手ですが、後半の表情は良かったと思った。

一万円カレー、「チャイニーズ・オデッセイPART2」児童書

2005年09月28日 | 日記・雑記
 週に3~4回は前を通っているのに一度も入ったことのない横浜カレーミュージアムで、なんと超高級食材ばかりを集めた、一食一万円のカレーというのがあるそうです。

niftyデイリーポータル自腹で1万円カレーを食べる

 私としては、なんか邪道な気がします。
 あんな強烈なスパイスを効かせるものにステーキ肉みたいな、素材自体を楽しむものばっかり使うのは違うと思います。やっぱり煮込んでこそ滋味が出るとか、そういう素材をとことん選んで一万円とかがいいんじゃないだろうか。でもどっちにしろ私は食べません。本来が貧乏人なので、きっと一万円ばかりが気になって味なんかわからない。

「チャイニーズ・オデッセイ PART2」も、失速もせず、500年を行ったり来たり、それに孫悟空メイクのチャウ・シンチーも素敵だった。最後は惚れ惚れさせてくれて、おしまい。
 本当に「楽しい!!」映画であった。これだけ躍動感と熱気と楽しさに溢れたものはそうは無い。
 お買い物リストがまた増えてしまった。

 小学生に勧められた「ハッピー・ノート」という本を読む。
 両親に大事にされて、成績もよくて、でも人づきあいに苦労している、その場に合わせようと無理をしながら生活している女の子の話。身につまされて読んだそうだ。
 しかし小学生も、あっちこっちに気を使って生きているんですねえ。私にとっては、小説としてそれほど面白いとはいえないけど、子どもたちの経験する、暗黙のうちに出来上がる仲間うちの力関係と締め付けの厳しさに驚き、「私はこの時代を忘れちゃったんだろうか」と考え込んでしまった。ここまで強力な圧力を感じていただろうか。記憶が薄い。
 この小説では、主人公の家庭が、物分りよすぎることもなく、お父さんお母さんも実に理想的。自分の幸福の実現を子どもにおっかぶせることもなく、自身で成長しようと努力し、きちんと見るところを抑えている。それでも子どもには、それがわからずに誤解も起きる。
 最後は「ハッピーエンド過ぎてありきたり」と小学生は言っていたけど、ラストはほっとしなきゃいけません。

 子どもなんだから、大人になるまでたくさんの、でも乗り越えられるくらいの課題や障害をこなし、乗り越え、蹴飛ばしつつ、成長していってほしいものであります。子どもには子どもなりの時がないと。