虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

実験遊びで、子どもたちの真剣さを引き出すコツ

2013-07-23 22:38:52 | 理科 科学クラブ

4歳前後の子たちと

簡単な実験をして遊んでいるところです。

子どもたちの瞳は真剣そのもの。

 

実験遊びで、子どもたちのこうした真剣さを引き出すコツをいくつか紹介しますね。

★ 実験をする前に、どんな言葉をかけるかによって

子どもの真剣さはずいぶん変わってきます。

「さあ、実験しよう」と誘うだけでは、大人に釣られて参加していたかと思うと、

すぐに飽きて興味が薄れてしまうことになりがちです。

 

コーヒーフィルターが水を吸い上げて、水性インクがにじんで広がっていく実験では、

「お水が塗り絵をするよ。本当にできるのかな?」と言うと、

子どもたちは、

水性インクで模様を書いては水につけて広げる実験に夢中になっていました。

 

 

★ 五感に訴える実験にすること

 

40度くらいのお湯や氷水。

細かい粉末やネトネトしたスライムの触感。

甘い味、酸っぱい味。

いろんな匂い。

美しい色。

 

目で見るだけでなく、鼻で匂いを嗅いで、手で触って、味わって、

集中して身体をコントロールしながらするような実験をします。

★ 子どもの体験した出来事や疑問に思ったことなど

子ども発のネタで実験します。

 

粉を濾す実験の最中にひとりの子が

水で膨らむジェルを入れてしまいました。

こんなアクシデントも、間違いとせずに、「どうなるのかな?」と楽しんでいると、

「溶けちゃうんじゃない?」「浮かぶの?」など、活発に意見が飛び交いだしました。

大人の用意した実験よりも、

子どもは思わぬアクシデントに引きつけられて、いろいろなことを考えるものです。

大人もいっしょにそうした未知の結果を推理するのを面白がっていると、

「だったら、こうしてみたらどうかな?」「次はこうしたら?」と

4歳前後の子らとは思えないほど、いろいろなアイデアを口にしていました。

 


遊びと学びの中間ゾーン 

2013-07-22 13:19:26 | 工作 ワークショップ

以前、『工作と勉強の中間ゾーン』という次のような記事を書いたことがあります。

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工作はただ工作するだけでも
巧緻性や創造力や芸術的な感性を高めてくれる楽しい活動です。
でもそれではちょっともったいないな~と感じるのです。
工作活動を支援する大人がほんの少し工夫するだけで
工作は小学校に上ってからのさまざまな分野の学力の基盤を作ってくれるものだからです。

そのためにはどんな工夫をすればよいのか、
私が気にかけている点を書いてみます。

工作教室やアトリエに通っていると
もう工作はしたから十分~と大人は思ってしまいがちです。
けれどもそうした創作活動だけを主とした場とは別に
工作と勉強の中間ゾーンを意識した活動時間も持っていただきたいのです。

工作中、どんなことに気をつけると
学力につながるのか……というと、
まずひとつは、

★見積もる力をつける~ということです。

見積もる力は、大人の指示に従いながら
集団で同じものを作っているうちはなかなか身につきません。
どんな簡単なものでもいいから、自分で作りたいものがあって
試行錯誤するとこうした力はアップします。

たとえば、四角形の周りの長さが20センチで、縦の長さが4センチの
長方形の面積を求める問題

なんかを見積もる力は、

箱やひもを使って工作していると
材料が足りなかったり、思うように作れなかったりする経験の積み重ね
から生まれます。
準備しすぎず、完璧を目指しすぎず、教えすぎないことが
工作を学力に結び付けます。

もうひとつ。
★ 道具の使い方を教えることも大事。
それも完成した道具よりも、
ひもとプッシュピンとえんぴつをつないだコンパスとか、
お皿を使った円の描き方とか……が最適です。

なぜかというと、そうした原始的な道具は
辺や中心点の意味をそのまま子どもに悟らせることができるからです。

また、ものさしの目盛りの読み方や
はかりや分度器の使い方をマスターさせると
理科でも算数でも役立ちます。
教え込むのでなくて、ゆっくり子どものペースで
マスターさせていきます。

★ 動きを加えて、理科の知識を増やし、
工作道具で遊ぶことが、実験の結果を理解することにつながるようにする。

★ さまざまな角度からのものの見え方に興味がわくように
工作する。

★ 手を使ったさまざまな作業を正確にマスターさせる。

★ 素材について学ばせる

★ 工作といわず積み木やブロックも
シンプルなものほど、頭を使います。
デュプロブロックとレゴの小さなパーツのブロックでは、
デュプロの方が見積もる力を育ててくれる一面があります。
(本格的なレゴ作品は別です)
パーツの形が決まっているので、計算しながら
組み立てないと、形が作れないからです。
どんどん複雑に、難しいものを~と
親心でおもちゃのレベルを上げることは、
学力につなげるという点からいうとあまりよくないように思います。

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先の記事と重なる部分が多いのですが、遊びと学びの中間ゾーンを意識した活動の様子を

いくつか紹介しますね。


小学生の女の子ふたりの『お祭りの屋台ごっこ』です。

「分類する」作業が遊びに含まれていると、

楽しさが増すし、遊びの世界が広がります。

カラフルなおはじきやビー玉を色分けしては、キャンディー屋さん、ジュース作り、魚の配達などを

して遊んでいます。

水風船を膨らませて、ヨーヨー釣りを作りました。

 

「ろ過する」作業を

喫茶店遊びに入れています。

屋台で売る小物として指輪を作っていました。

「折り紙を半分に折り、もう一度半分に折る」という作業で、

どの折り方が適切な細さになるのか考えました。

 

こんなシンプルな物作りでも、

折った後の形を推理するようにしていると、

算数のセンスが身についていきます。

屋台とは関係がないかもしれませんが、

『ピッケのつくるえほん』というソフトで手作り絵本を作って、

販売するコーナーを作りました。

本作り、マンガ雑誌作り、新聞作り、詩集作り、写真集作りなども

遊びに取り入れると、遊びの質が上がります。

クレープ製造機。

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この日の午後に来た小1の男女のふたごちゃんと幼稚園の女の子のレッスンの様子です。

午前のレッスンの女の子たちが作っていた

屋台用の遊び道具をもとにして、自分たちが考えた遊びをいろいろと発展させていました。

色違いのスライム作り。


ヨーヨー釣り用の釣る道具は

ティッシュペーパーにモールの釣り針をつけて作ります。

簡単な工作だからこそ、物差しで測る作業や

「1㎝はどれくらいの長さか?」「10㎜は何㎝か」といったことに

気をつけて作ることができています。

濃度の異なる砂糖水を作って、二層ジュースを作っています。

水で膨らむジェルを使って遊ぶついでに

試験管に入れて遊びました。

それぞれの数を描きだしたり、

大きい球の時と小さな球の時ではどちらが

たくさん入るのか推理したりしました。

「Aの5」「Fの6」など、座標を言って攻撃する

バトルシップゲーム。とても面白かったようです。

 

付録のおさるのてんびんばかりで遊びました。

付録で遊ぶ時は、説明書が自分で読めるようになるように

サポートしています。


アスペルガー症候群の子 と 立体図形

2013-07-22 09:13:36 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

アスペルガー症候群の子の学習を見ていると、

算数がとても得意な子らと、

図形分野や文章題、分数の計算などで

つまずく算数が苦手な子らの2タイプに分かれます。

 

ハンディーがない子のなかにも、図形分野や文章題、分数の計算などで

つまずく子はけっこういるでしょうが、

アスペルガー症候群の子のつまずき方は、一般的な子らのつまずき方とちょっと

異なるように感じています。

 

特性による物の見え方やイメージの仕方の偏りがあって、

学校の授業のように集団に向けて教える教え方では

いつまでたっても理解に至らないことがあるのです。

 

どのような困り感を抱えているのかというと、

絵で描かれた立体図形の図と

それと同じ実物がつながりにくいこともひとつ。

 

教科書などに描かれた立体の図と同じ立体を準備して、

絵のなかの辺と辺、点と点を対応させていくことが難しかったり、

図を積み木などで作って表現することができなかったりします。

またさらに困難なのは、欠如している部分を

想像で補って

形を捉えることです。

上の写真のような形の『容積』にあたる部分の

形を想像することが難しいようです。

また、上の写真のような形の欠如した部分を補って

大きな塊から欠如した部分の塊を引いて

体積を求めるといった問題が

とても苦手なようです。

 

いろいろ試してもうまくいかない場合、

本人が好きな動物なりキャラクターなりが

その欠如した部分を埋める形にぴったりサイズで詰まっているような

絵を描いてあげると、

空白部分を埋めている空間を実体のあるものとして

捉えるようになる場合もあります。

 

幼児期からブロックや積み木で遊んだり、

工作をしたりしていると、

かなり立体の見え方に偏りを持っていた子の

困り感が減ったケースがいくつかあります。

遊びの世界にぜひ創作活動を加えてくださいね。 


親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う?

2013-07-22 07:47:07 | 記事のまとめ(リンク)

2歳半ばの子と親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっているために

子ども自体はしっかりした発達のいい子なのに

困ったちゃんぶりが次第に激しくなっている子を見かけます。

 

2歳代といえば、第一次反抗期の真っ最中ですから、

かんしゃくを起こしたり、泣いたり、「いや!いや!」と何にでも反対したりするのが

普通です。

 

それでも子どもと親の関わりのあり方が

その都度その都度、その子の個性や発達に即したもので

親のおとな心がしっかりと発揮されている状態でしたら、

子どもはわがままを言ったり、かんしゃくを起こしたり、お友だちとぶつかりあう体験を重ねるにつれて

次第にその子なり経験値が上がって賢くなっていくのです。

 

といっても2歳児さんですから、

衝動的にお友だちに手が出ていた子が、

すんでのところで一拍置いて、「我慢、我慢」と沿えられた大人の手に身を預けて

ちょこっと我慢したり、

物を取り合うにしても、

場合によって譲ったり、代替案で満足したりできるようになる程度ですが。

 

先に、

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2歳半ばの子と親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっているために

子ども自体はしっかりした発達のいい子なのに

困ったちゃんぶりが次第に激しくなっている子を見かけます。

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といったことを書きました。

 

「子どもと親御さんのかかわりが、

ちぐはぐにボタンを掛け違えたような状態になっている」っていったいどういうこと?

 

と気になった方がいらっしゃるでしょうね。

 

具体的な例を挙げると、

「ここではそっと見守ってあげるといい」という時に、うるさいくらいダメ出しをしたり、

 

「褒めながら正しい態度が取れるように誘導すべき」という時に、脅すような口調で注意したり、

 

「これはきちんと厳しく注意すべき」という時に、

「~してくれないかなぁ?」といったおうかがいを立てるような対応をしたり、

 

「これ以上愚図るようなら、クールダウンするように仕向ける」という時に、機嫌を取りながらお小言を続けたりする

といったことです。

 

「1人目ちゃんの2歳児を育てている」という方が陥りやすい

悪循環だな、と感じています。

 たいてい大人相手なら良好な関係を築く力のある常識的できちんとした親御さんです。

2歳児さんは手強いですよね。

 

ただ、だからといって「それなら専門家にしつけてもらおう」と

親子関係がちぐはぐなままで

集団の保育施設に預けるのはよりいっそう関係がこじれるか、心と心が疎遠になるだけなので

お勧めできません。

 

親子の関わりがうまく噛み合っていないと、

子ども自体は機嫌がよくて、周囲と調和して遊ぶ力があっても、

親御さんが声をかけるたびに

だんだん子どもが暴君のように振舞うようになって

しまいには手がつけられなくなっていくことが

よくあります。

またこのまま育っていくと、3,4歳になると

「親の言うことはまったく聞かなくなりそうだな」と危惧されるケースも

多々あります。

 

続きを読んでくださる方はリンク先へどうぞ。

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 2

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 3

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 4

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 5

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 6

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 7

親子のボタンの掛け違い…… はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う?8

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 9

親子のボタンの掛け違い……はっきり言うべき時におうかがいを立てる?見守ればいい時に厳しく言う? 10


2年生の時計の問題 と 夜店の屋台と喫茶店

2013-07-21 18:18:32 | 算数

小学2年生の子たちの算数タイムに最レベ2年生の時計の問題を解きました。

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学校まで たかしくんの 家から 13分、ひろえさんの家から 28分、

かずおくんの 家から 32分、それぞれかかるそうです。

 

①3人が 同じ時こくに 学校に つくようにします。

ひろえさんと かずおくんは、たかしくんよりも

何分 早く 家を 出ると よいですか。

 

②学校は 午前8時10分に はじまります。せいとは、それよりも

5分前に つくことに なっています。

また、当番の人は 10分前に つくことに なっています。

今日の当番はひろえさんです。

3人はそれぞれおそくても 何時何分に 家を でなければ いけませんか。

                     (最レベ2年生 P33)

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数直線上に整理して解いていく大切さに気づく問題です。

 

書いてあることをきちんと理解していないと、

数字同士をいじるだけでは、

解けないはずです。

同じ時こくに学校につくには、どうすればいいのか、

子どもたちと話しあったり、

ブロックを家や学校に見立てたりして考えました。

何とか正解にたどりついていたものの、

まだ本当に納得していないようでした。

 

しっかり腑に落ちるまで、これからも何度か考えてみるといい問題だと思いました。

自由時間に、焼そば屋、お好み焼き屋、かき氷、輪投げ、くじびき、

飴玉屋などの夜店の屋台と喫茶店ごっこをして遊んでいました。

 

これらのごっこ遊びは、さまざまな実験も兼ねています。

スライムを作ったり、粉を濾したり、水と油で墨を流して作る輪を作ったり

しました。

 


アスペルガー症候群の子と創造性  記事のまとめ

2013-07-21 10:11:20 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 2012年 6月 <アスペルガー症候群の子と創造性>

☆ちゃんはアスペルガー症候群の5年生の女の子です。

昨年までは人と関わることや自然に会話を交わすこと、想像したり論理的に考えたりすることに

かなり困難を抱えていました。

 

人形遊びをする時も、小物を集めて並べるだけで

人形同士で会話させたり、時間にそって遊びを展開することは難しいようでした。

 

それが、最近になって

自分の思いを表現したり、想像したり、論理的に考えたりするのが

上手になってきました。

 

写真は、☆ちゃんの言葉の力が急に伸びてくるきっかけとなった

『ピッケのえほん』というパソコンの絵本作りソフトです。

 

☆ちゃんがはじめて作った絵本は

ストーリーというほどのものはなく

うさぎやくまが食べ物を食べておしまい……というものでした。

 

その後、1、2ヶ月の間に、☆ちゃんはひとりで黙々と絵本を作り続けていました。

何冊も、何冊も。

 

そうして絵本を作り続けるうちに、

お話のストーリーがだんだん複雑になり、

感情や登場人物の会話も書き込まれるようになって、

☆ちゃんのお母さんはとても驚いておられました。

 

絵本は、1冊ずつお話が完結しているのですが、

次の一冊、次の一冊と書き進む話は前の本の続編のように

どこかでつながっています。

ストーリーを読み進むうちに

☆ちゃんの心そのものが変化し成長しているのを

感じました。

 

☆ちゃんと☆ちゃんのお母さんにお許しを得て、

絵本の一部を紹介しますね。

絵本のストーリーは最初のうち、

1ぴきのカメをひろったうさぎが、

かめといっしょに遊んだり、いっしょにかみなりの音に「うるさい」と怒ったり

して、春夏秋冬を過ごす話でした。

「うさぎのかたちをしたりんごやみかん」など

次第に凝った表現があらわれるようになりました。

 

この絵本の続きでは、カメと同じようにペットのあひるを見つけて

仲良くなる話が続きます。

 

実生活でも以前の☆ちゃんは、動物だけにこだわって

四六時中、動物の話ばかりしていました。

虹色教室に来ても、わたしに話しかけるときは

セキセイインコとオカメインコのことしか話しませんでした。

 

が、この頃、そうした動物一辺倒だったこだわりが薄くなって

人と自然に会話をしたり、学校で実際体験したことやお友だちへの関心が高まって

きたのです。

そんな☆ちゃんの心の変化のあらわれなのか、

『うさぎとかめとのおわかれ』という絵本を作った☆ちゃん。

 

 

なんと絵本のなかで、友だちだったカメが死んでしまうのです。

その次の絵本のうさぎの表情は、静かで穏やかです。

「かつていたかめは、もういません。

もうおわかれです。」という言葉が添えられています。

 その後、春が来ても、静かに遊んでいるうさぎの姿。

 

 

カメの死を描いた☆ちゃんは、その次の絵本から

表紙をピンクに変えて、登場人物と同じサイズの

お友だちを登場させるようになりました。

 

お友だちといってもいじわるそうな男の子のブタとして出てくるのですが、

このブタとの間で持ち上がったトラブルを、

たくさんの自分と同じサイズのお友だちたちが助けてくれるストーリーに

なっています。

学校で野球をしたそうで、物語に野球のボールも登場させています。

カメの死の後、瞑想でもするように

静かに下を向いたうさぎだけで絵本を作っていた☆ちゃん。

それがお友達が登場するようになった絵本では、

びっくりしたり大笑いしたりする豊かな表情を選んでいます。

 

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2012年 7月  <アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展>

 

その後も☆ちゃんは、2日に1冊ずつ絵本を作り続けているそうで、

今月のレッスンにもたくさんの新作の絵本を持ってきてくれました。

 

1冊、1冊、心を込めて作られた絵本を読み進むうちに、

この1ヶ月の間の☆ちゃんの心の軌跡と成長が

手に取るように伝わってきました。

 

前回の作品群では、ずっと正面を向いたうさぎの女の子が主人公でした。

はじめのうちは、うさぎちゃんだけが登場し、食べ物を食べたり、ひとりで遊んだりするストーリーでしたが、

1ぴきのカメを拾ったストーリー、カメと遊ぶ日々が綴られたストーリー、カメが死にひとりぼっちになったうさぎが

静かにペットの死を乗り越えていくストーリーが続いていました。

カメの死の後、☆ちゃんの作品には同年代のお友だちを思わせる

いじわるなブータやブータから自分を助けてくれるお友だち、りすやあひるやかめやカエルが登場していました。

 

それから1ヶ月。

☆ちゃんの作品はどのような展開をしていったのでしょう?

 

☆ちゃんは主人公を正面を向いたうさぎから横を向いているりすに変えました。

そのおかげか友だちの方向を向いておしゃべりしているストーリーや

「ついておいでよ」とお友だちを誘っているように見えるストーリー、

お料理をするなど積極的に自分で活動を創り出すストーリーが多くなっていました。

ポップで明るい色を多様し、太陽や星や太陽に似た花や実がたくさんなった樹で

背景は彩られていました。

前回までの静けさが感じられた画面から、

躍動的で豊かさを感じられる画面へと変化していたのです。

 

 

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現実の生活では高学年になった☆ちゃんは、

難しい年頃に向かいつつあるお友だちの言動に傷ついたり

戸惑ったりすることも増えてきたようです。

友だちを求める気持ちが強くなり、

人間関係が広がりを見せるなかで、それだけにショックな落ち込む出来事や

辛くてすぐには立ち直れないような出来事に遭遇するようになったようです。

学校で嫌なことがあった日、☆ちゃんは、絵本のなかで

恐ろしい事件や揉め事を描いていました。

 

興味深いのは、作品が進むにつれて、

主人公であるりすちゃんの恐怖の対象の捉え方がどんどん変化していることと、

トラブルに対する立ち向かい方や問題解決の仕方が

驚くほどの成長を遂げていることなのです。

 

誰に教わるでもなく、ひとつひとつの体験と、

それを整理し内省するかのような絵本作りの活動のなかで

☆ちゃんの精神的な成長と社会性の成長が

劇的に進んでいることが察せられました。

 

それでは、次の記事で☆ちゃんが恐怖の対象とどのように向き合い、

どのように乗り越えて、最後には仲のいい友だちのひとりとして

認識するに至った絵本のストーリーの変化を紹介していきますね。

 

この記事の続きです。

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 2

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 3

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 4

アスペルガー症候群の子と創造性 新しい発展 5

アスペルガー症候群の子と創造性 冒険心とアイデアの広がり

 

日常の生活を描くのが主だった☆ちゃんの作品は、

次第に創作物語へと進化を遂げ、

さまざまな題材を取り入れた想像力の広がりを感じさせるものになっていきました。

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2012年 12月8日

そうしてたくさん溜まった作品を発表する場も設けました。

ピッケの絵本の作品展

 

展示会には学校の担任の先生までかけつけてくださり、心に残る

すばらしい一日となりました。

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2013年1月30日   アスペルガー症候群の子といじめっこへの対応

 

 

絵本作りを始めてから、半年以上過ぎた今、

☆ちゃんの作る絵本のボリュームが増して、製本するのに苦労するほど

の分厚さになっています。

 

お話も創作物語としての質が向上し、どれを見ても

次のページをめくるのがワクワクするような面白い展開になっています。

そのひとつひとつが誰に誘導されたのでもない

☆ちゃんの心の中から生まれた物語だから、

今現在の☆ちゃんのお友だちとの関わり方や問題の解決の仕方を

如実に表わすものにもなっています。また☆ちゃんが作品作りに自分が体験したことや見聞きしたことや

想像したことを積極的に活かそうとしているのがよくわかります。

 

『りすとスポーツ』という絵本で、☆ちゃんは潜水艦から見た海の底を描いています。

☆ちゃんのが年中、動物の話しか言葉にしなかった頃、☆ちゃんの親御さんたちは

☆ちゃんの暮らしを少しでも楽しいものにするために、

サファリパークに連れて行ったり、

「夜の動物園」というイベントに参加させたりしていました。

おそらくそうした体験とテレビで見た深海の画像からこの絵本のアイデアを得たのでしょうね。

大好きな図鑑で得た知識も披露しています。

 

(絵本の絵の一部は省略しています)

①おがさわらしょとうのトワイライトゾーンに(で)けんがくする

リスちゃんとあひるちゃんは あやしいクラゲをみました。

「ウサギクラゲがさかなをとらえたんだね」」

「クラゲがこわいよう」じつはアヒルちゃんはクラゲがだいのにがてなのです。

あらわれたのはフウセンクラゲ。

 

③「クラゲがこわいよう」じつはアヒルちゃんはクラゲがだいのにがてなのです。

あらわれたのはフウセンクラゲ。

こんどはクラゲではありません。しんかいのタコ。カンテンタコです。

④あおいうみにもどったりすちゃんは、おおきなエイをみました。

(この絵について質問すると、☆ちゃんは、エイの毒針を黒い線で表現したことなどを

教えてくれました。)

 

⑤あるひアヒルちゃんのねつは36どになりました。

⑥あさ5じになりました。

りすちゃんはめがさめました。

⑦あさ5じ1ぷんにりすちゃんのいえのまえにアヒルちゃんがきています。

「リスちゃん、はい、これプレゼント」「ありがとうアヒルちゃん。だいじにしておくわ」

あひるちゃんにもらったプレゼントのなかみは、りすちゃんがいつもしているバスケットボールです。

じつはリスちゃんのならいごとはバスケなのです。リスちゃんはバスケのれんしゅうをはじめました。

あひるちゃんはタグラグビーをしているのです。

 

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『リスとおもちゃたち』 と 『りすとカエルたち』

という続き物の絵本では、☆ちゃんのこれまでにないお友だちとの関わりのあり方が表現されています。

問題を解決する能力の変化も感じられます。

 

 

①そのときです。りすちゃんとあひるちゃんがどんどんきょだいになってしまいました。

②りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃのあるところに

いきました。おもちゃもきょだいです。

 

 

③りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃであそびはじめました。

④ボールやミニカーやラッpやふねなどがおいてありました。

あひるちゃんはほしかったくまのぬいぐるみをもってかえることにしました。

⑤りすちゃんとあひるちゃんはおもちゃをぜんぶもってかえります。

⑥もってかえったおもちゃは、あひるちゃんがすぐにあそびます。

あひるちゃんはおもちゃがだいすきなのです。

⑦おもちゃぬすみたちがあらわれました。あひるちゃんはおもちゃをぜんぶ

とりあげおもちゃを1このこらずぬすんでしましました。

  

⑧りすちゃんはあひるちゃんのおもちゃをあちこちさがしましたがみつかりません。

⑨のこったのはだいじなくまのぬいぐるみとえをかくスケッチブックをクレパスだけです。

あひるちゃんはくまのぬいぐるみしかありません。

りすちゃんもひまのようです。

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この本の続きと思われる『リスとカエルたち』で、☆ちゃんはこれまでの作品にはない

トラブルの解決策を描いています。

 

①あひるちゃんがトラックのえをかいたときうえからおばけの

ブータがあらわれました。

 

 

②りすちゃんはあひるちゃんのおもちゃをさがしましたが

あひるちゃんのおもちゃのきしゃしかみつかりません。

③ほかのおもちゃはふねやミニカーしかみつかりません。

 

  

④やっとあひるちゃんのおもちゃがそろいました。

⑤あひるちゃんがおどろくようにおもちゃをならべておきました。

⑥ほかのおもちゃもならべておきました。

⑦いっぽうおもちゃぬすみたちは

あひるちゃんのおもちゃをさがしまわっています。

⑧ りすちゃんとあひるちゃんはおたまじゃくしのいるみずうみにはいっておよぎました。

⑨りすちゃんはもぐっておたまじゃくしをとらえようとしています。

⑩りすちゃんとあひるちゃんはちいさなカエルをとらえようとしています。

⑪でもつかまえたカエルはすぐにぴょんぴょんにげます。

⑫りすちゃんとあひるちゃんがあるいていたとき、メガネザルくんがブドウをたべていました。

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絵本を作り始めた頃、いじめっこが現れると、

 絵本の背景全体が恐ろしい様相を帯び、いじめっこはおばけに変身して圧倒的な力で迫ってきました。

主人公のりすは為す術もありませんでした。


☆ちゃんの絵本作りが進むにつれて、いじめっこの姿は等身大の友だちの姿になり、

いっしょに仲良く笑い合うシーンも描かれるようになりました。

主人公のリスは、ひとりで逃げていた状態から、

お友だちといっしょに逃げるようになりました。


さらに絵本作りが進むと、りすはいじめられた時に

高い木の上に上って、そこから少し余裕を持って行動するようになってきました。

 

今回の絵本では、主人公のリスはこれまでにない行動をしています。

「おもちゃぬすみ」によって奪われたおもちゃを

お友だちのあひるのために自分で探しに行っているのです。

 

現実の世界でも、☆ちゃんはしつこく嫌がらせをする学校のお友だちの存在を

お母さんに相談しつつも、

長縄跳びをがんばって練習して、みんなの輪に積極的に入っていって、

学校生活を楽しいと感じるようになっているそうです。

いっしょに帰宅するお友だちも何人かいるそうです。

 

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2013年 3月19日 アスペルガー症候群の子とゼロから創造していく力

 

2ヶ月の間に作ったという本の量もすごいのですが、

話の内容の広がりといいい

絵の構成の仕方や既存のイラストの多彩な活用の仕方といい

目を見張るような変化を遂げていました。

 

ピッケの絵本を何冊も作り続けるうちに、☆ちゃんの描きたい物語の幅が広がり、

既存のキャラクターやアイテムだけでは

物足りなくなってきたようでした。

そこで☆ちゃんは三角や四角やだ円などの形のアイテムを

使って、オリジナルのキャラクターやグッズを作りはじめました。

といっても最初のうちは、三角や四角の形の中に

目鼻をつけただけの単純なものでした。

それが少し進歩して

丸をふたつ重ねて雪だるまを作り、しばらくシリーズものの

冬をテーマにした物語を作っていました。

 

今回、☆ちゃんが持ってきてくれた絵本の中で、

そうしたオリジナルのキャラクターがあれっと驚くような進化を遂げていました。

 

だ円と棒で描いた「しまうま」は、作るのにとても手間がかかったそうです。

 

宇宙を描く時、地球をどんな風に表現するのか苦労したそうです。

初めて、子どもではなく「大人」の女の人(みかんではありますが)

が主人公となっている作品。

 

りんごちゃんにばななのかれしができ、みかんちゃんはくりのおとこにおいかけられて

ムッとしながら、ブドウのおとことけっこんして子どもが4人もできたそうです。

 

 

 

以前の☆ちゃんは、絵本についてたずねても、首をかしげて、「わかんない」と答えることが

多かったのですが、この頃は、質問すると、

わかりやすくていねいに解説してくれます。

みかんちゃんの子どもは、いろんな性格の子がいて、黄緑の子が末っ子なのだそうです。

「☆ちゃん。こんなテーブル、アイテムになかったのに

どうやって作ったの?」とたずねると、

「おもちゃのたいこを大きく大きくして、テーブルみたいにしたのよ」という返事が

返ってきました。

↑は、「滝」なのだそうです。

宿舎に泊る子どもたちの姿。

四角い形をうまく活用して、

そこにないものを作りだしているな、と驚きました。

 

☆ちゃんはピッケの絵本作りを始めるまで、

物を何かに見立てたり、工夫したりすることが極端に苦手で、

遊び方も非常に幼い段階にありました。

ごっこ遊びに近いことをしたくて

小物を集めるものの、それらを何かに見立てることができなくて、

雑然とビー玉を集めた上に人形を乗せていくだけ……

ドールハウスに家具を並べていくだけ……で遊びが終始しがちだったのです。

 

 

それが絵本を作り続けるうちに、☆ちゃんの物の見方も想像力の広げ方も

観察力も工夫する力も

急速に変化してきたのです。

☆ちゃんが何気なく描いた宿舎の一シーンですが、

よく見ると、アヒルちゃんは子ども椅子にすわっています。

アヒルちゃんの背の高さへの配慮なのでしょうね。

アヒルちゃんのコップは小さいサイズで、コップに絵が貼りつけてありました。

海苔がついているおにぎりは、☆ちゃんが形のアイコンで作ったものです。

 

お話の展開も、いろいろなアイデアが盛り込まれています。

さまざまな絵本の中から1シーンずつを紹介しますね。

 

「うさぎちゃんはメキシコのサンタフェにやってきてUFOのかんさつを

はじめました。」

という1シーン。

「かめくんは、インドにやってきました。

インドにいってカレーふうみのせっけんをかいました」

「あひるちゃんは、ウミヘビにすいしん1000メートルの

トワイライトゾーンにひきずりこまれてしましました。」

この後、あひるちゃんのお葬式が行われたことに

なっているのですが、りすちゃんが遺影を手にしていたのには

びっくり!

 

水のしずくの形に色をつけて重ねて作ったという

たいまつの絵もとてもすてきでした。

この頃、同年代の友だちとの付き合いが活発になってきたという☆ちゃん。

☆ちゃんのお話では、こんなに成長した主人公が登場していました。

「12がつ3か みかんちゃんは、もうこどもみたいなことは しません。」

 

「みかんちゃんは おおいそがしです。

こどもたちのおやつをよういしているのです。」


☆ちゃんの心の成長を感じました。

また、ゼロから創造していく力を身につけつつある☆ちゃんを

すごく頼もしく思いました。

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2013年 5月22日 『ピッケのつくるえほん』というソフトが土台となって広がっていく世界


長い間、自分のこだわりのある小さな世界に閉じこもるようにして生活してきました。

 

パソコンを使って絵本作りを始めて以来、

自分を客観的に眺める目が育ちはじめ、自分に自信を持ち、

外の世界に関心を広げていきました。

 

現在は、『ピッケのつくる絵本』でおびただしい量の作品を作ってきたという経験が土台となって、

これまでは苦手だからと避けていた物事にも

積極的に取り組むようになっています。

スタンプを使って、パソコンで写真のコラージュのような

作品を作るようになった★ちゃんと、

作った絵にピッケの絵本で文字を入れて、

絵本作りを楽しみました。

今回も、★ちゃんは新作の絵本をたくさん教室に持ってきてくれました。

本当はもっとたくさん作っているのだけど、

インクがなくなってしまい印刷できなかったそうです。

 

★ちゃんの作品は、これまでの作品とは一風変わった

趣向を凝らしたものが増えていました。

特に面白かったのはこの作品です。

 

よるのこうえんを飛び回るおばけたちがテーマ。

おばけたちはねている子どもたちを探しています。

 

この作品がとても面白く、また★ちゃんの心の変化や成長が

感じられるのは、次の夜明けのシーンです。

 

「つるつるざかのところにもおばけはきえています」とあります。

夜明けの公園。

 

★ちゃんは見えないものをイメージすることが非常に苦手です。

見えないこと、未知の事柄はいつも混乱や不安とつながっています。

それにもかかわらず、★ちゃんが夜明けの見えなくなったおばけの姿を

作品で表現しようとしたのは、

とても不思議な感じがしました。

 

絵本の主人公たちがさまざまなペットを飼うストーリー。

ゴールデンリトリバーやダルメシアンなど

大きくて魅力的なペットが登場しています。

 

作中の絵の躍動感がすばらしいと感じたのは

『やせいどうぶつとたべもの』や『やせいどうぶつとかり』という

作品です。

 

何気ないシーンですが、うさぎの足の角度から、必死で逃げる様子が

伝わってきます。獲物を懸命に追うペンギンと

サーッと散って行く魚たちの攻防戦がいきいきと描かれていますね。

 

続きです。↓

『ピッケのつくるえほん』というソフトが土台となって広がっていく世界 2

 

 


自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 7

2013-07-19 18:27:33 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 1

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 2

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 3

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 4

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 5

自閉症の子 と RDI 対人関係発達指導法 6

 

内容がタイトルから離れてしまったのですが、このタイトルのまま、

「自閉症の子の心と行動の可動領域が少しでも広がるように

環境を整える」ためにしている工夫について続きを書かせていただきますね。

 

自閉症ではない子たちは、

ダメージに対して強いです。

たいていの子は、多少、辛い目にあっても、

時間が経てば忘れてしまいます。

 

それに比べて自閉症の子たちは、どんなにささいなダメージでも、

それが、その後の言動や他の人との関わり方に

影響を及ぼし続けることがあります。

 

そのため、心と行動の可動領域を少しでも広げるためには、

ダメージを与えないように注意することが、

とても大切だと感じています。

 

その一方で、ダメージを与えないように

構造化された安心できる環境や遊びを作ろうとするあまり

妙な言い方ですが、子ども同士が「絡む」場面が起こりようがないような

環境をにしてしまってはダメなんじゃないかな、と感じています。

 

というのも、それまでは自分の世界にふけって、ひとり遊びをしながらひとり言を言ったり、

図鑑を見るといったこだわっている遊びだけを続けていた子が、

自分から、他の子に絡んで行くような行動を取って、

子ども同士の揉め事が頻発した後で、

対人関係の質が大きく良い方向に変化するのを

幾度か体験したのです。

 

↓に紹介するのは、数年前、発達に気がかりなところのある小学生たちのための

ユースホステルのレッスンでの出来事です。

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発達に気がかりなところのある小学生たちのためのユースホステルでのレッスンに行ってきました。

発達に気がかりなところある子たちというのは、
心がピュアで、
お友だちに対して、
何があっても裏切らないような
裏表のないまっすぐな優しさを示すことが多いです。

今回のレッスンに集まった子らは、どの子も初めて会った子ばかりです。

でも、たちまち仲良くなって、
協力し合って活動をしたり、
笑いあって遊んだりしていました。

「ちょっとしんどいな」というチャレンジにも、ほんの少し前に出会ったばかりのふたりが
手と手を取り合って、
「○○ちゃんが、いっしょならする」と言ってました。

ただ、そんな風にお互いずっと前からの友だち同士みたいに親しくなっていく子らに対して、
小学1年生の自閉症スペクトラムの☆くんだけは、
自分から子どもの集団に距離を置いていました。

創作活動や勉強への参加も
ひとりだけしぶって、
うろうろする姿が目立ちました。


それが、これがユースホステルでのレッスンの良いところで、私が「お泊りのレッスンを実現してみてよかったな~」と
感じている点なのですが、
配膳を手伝ったり、いっしょに食事を食べたり、お風呂に入ったり、眠ったり、
その間、工作したり、実験したり、自由に遊んだり、冒険したりして過ごすうちに、
どんなに距離があった子らも、だんだん親しくなっていくのが
感じられたのです。

☆くんも例外ではありません。本当にゆっくりゆっくりですが、
他の子たちとの距離が縮まってきました。

学校などで出かける旅行は、人数が多すぎて、
仲良しグループからはみだしている子は、
たいてい いつまでたっても排除されたままです。

でも、6人とか8人くらいまでの子ども集団で
ずっといっしょに過ごす場合、
異質な性質の子同士でも、心を開いておしゃべりしてみたり、

人と関わることが下手で、集団から浮いてしまいがちな子も、
いつのまにか家族の一員のように受け入れられて
遊びの輪に入っていることが多いのです。




↑☆くんは漢字などを見るだけで写真のように記憶する能力があります。

他の子たちがいっしょに手伝いあったり、真似し合ったりして
工作している間、☆くんは部屋の奥のテーブルで、☆くんのお母さんとお友だちのお母さんに見守られて
写真の日本地図を描いていました。

私は、☆くんを呼んで、日本地図上を磁石を貼りつけた人形が移動する仕組みを作ってあげようと
思いました。
けれど、持ってきた磁石は○くんが使ってしまっていて、交渉しても
もらうことはできませんでした。
○くんは、とても立派な合体ロボットを作っていたのです。


そこで、ちょうどそこにあった空き箱の切れ端とペットボトルのキャップで
飛ばし道具を作って、アルミ箔を丸めて磨いて作った玉を飛ばすゲームにする提案をしました。

☆くんはこのゲームがとても気に入ったようでした。
するとそれを見た○くんが、それをうらやましがって自分も遊びたがりました。
が、☆くんは「だめだよ。いや~」と強く拒否。




そんな風に頑なな態度を取ってはいても、自分の作ったものに興味を持ってもらってうれしかったのか、
☆くんはホワイトボードのところに行って、
一千億までの表をサラサラと描いて見せました。

お母さんの話では、☆くんは1年生なのでまだ簡単な足し算や引き算を習っているところなのですが、
大きな数はテレビの「お宝鑑定!」といった番組を見ている時に覚えてしまったそうなのです。
一か所の間違いもないところがすごいですね。

ちょうど、3年生の女の子も参加していたので、
「1億5千万になるように数字を書き込んでください」といった
算数クイズに使わせてもらいました。
☆くんにも問題を出すとちゃんとできていたので、漢字の配列だけでなく
数としても理解しているようです。

それには拒否しなかった☆くん。
みんなの注目が集まってちょっぴりうれしかったのか、
今度は、この部屋には側面にもホワイトボードがあったので、西と東の文字を書き、正面には北と書き、
後ろの壁には「南」の漢字を書きこんだ折り紙を貼りました。

 

 このレッスンの少し前、別の場所で勉強や物作りをしていたときに、
それまでは参加しようとしなかった☆くんが、
私が別の子に作ってあげたエレベーターの作り方の見本に興味をしめしました。
その子が3階までのエレベーターを作っているのを見て、
「5階のエレベーター、作る」と言うと、いっしょに工作に参加しはじめました。
エレベーターの階の数字を貼りつけ、漢字を書いて看板?も作っていました。




その後、正面と側面にホワイトボードがあるココプラザの会議室に移ってから、
前回の記事に書いたような経過があったのでした。

☆くんが、部屋の4面に東西南北の漢字を書いていく様子を見て、
私はふと、レッスンで使おうと100円ショップで「オイルコンパス」(方位磁石の一種)を買ってきたことを
思い出しました。
それを☆くんに渡すと、☆くんはそれまで見たことがないほど顔を輝かせて
喜びました。北を示す赤く塗られた針の先が動く様子を、
目を皿のようにして覗き込んでいました。

☆くんにとって、方角はよほど大事なことなんだなと感じたので、思い切って、
「☆くん、そのオイルコンパス、あげるよ」と言いました。
すると、☆くんはよほどうれしかったのか、
「面白かったねぇ」「レッスン、終わりたくない」「帰りたくない」「ずっと、するよー」と
この時間がずっと続けばいいのに……と感じている様子で
お母さんに訴えていました。

☆くんだけが「オイルコンパス」をもらう様子を見て
近くにいた子たちは何も言いませんでした。

これが一般的な小学生たちのグループなら、「オイルコンパス」など少しも興味がなくても、
「えー、☆くんだけ?」「じゃ、私にも何かちょうだい」「ひいきひいき」と
騒いで、☆くんを不安に陥れていたかもしれません。

発達に問題のないしっかりした子たちは、
人と人との関係の微妙な駆け引きを学んでいる最中ということもあって、
相手の弱みを見つけると
そこにつけこんで得しようとするような
エゴイスティックで冷淡な一面も持ちあわせているのです。

でも、発達にでこぼこのある子たちは、自分が欲しくないものなら、他の子がそれをもらっていてもあっさり
している場合が多いです。

それと、他の子の弱さに対してとても寛容で、お友だちが何かができなかったり、
頭が切り替えられずにパニックに陥っているようなときに繊細な優しさを示す子が多いのです。



(↑年上の子たちは自分のきょうだいでなくても、年下の子らを対等に扱って優しく接していたので、
お兄ちゃんお姉ちゃんといっしょに参加していた定型発達の下の子たちは、
ゆっくり自分のペースで相手をしてもらってそれはうれしそうでした。

成長がいい一般的な子たちも、気持ちは優しい子はけっこういるのですが、人が集まる場では、
同年代の場の決定権を握っている子らに合わせようとしたり、
早くその場に適応して自分の価値を誇示していくことに忙しいので、
弱い立場の子からは距離を取ろうとしがちなのです。

それか、「お世話役」として、あれこれ手助けしてあげるものの、対等に扱っているかというと??の場合も多いのです。
大人のハンディーを持った子に対する「かわいそうだから、手伝ってあげて」といった発言は
注意が必要だと思います。)


話を☆くんに戻して……「オイルコンパス」を手にした☆くんは、
この時間が終わってほしくない、ここで過ごすのが楽しくてたまらない……ということを、お母さんに言いつつ、
それまでより積極的に振舞うようになりました。

でも、それが行き過ぎて、ちょっとしたハプニングが起きました。
○くんの作品に触りたがって、○くんに「壊さないで!」と強い口調で注意されたようなのです。
○くんがムッとして、泣きだしそうになると、
☆くんの方が、周囲がびっくりするほどの激しさで号泣しはじめました。

☆くんは、感情の表出が未分化で、ショックな出来事にぶつかると、
自分の感情をどう表現したらよいかわからなくて
パニックに陥るのです。

他の子らは☆くんの様子を心配そうに眺めていました。そして、☆くんのパニックがおさまると、
他の子らと☆くんの(☆くんの心の中での)距離は
いっそう縮まったようでした。

ユースホステルから出て、子どもたちが駆けだして追いかけっこをするときには、
その輪の中に、☆くんがずっと含まれていたのです。
目でその様子を追っていると、
☆くんは揉めてばかりいた○くんをひたすら追いかけていて、
(おそらく気に入っているのでしょう)そこで仲良しは成立しないものの、
他の気のいい子が☆くんに声をかけて遊びが続いていました。

学校などでも、こうした追いかけっこで仲良く過ごせるシーンは見られるのでしょう。

でも、それだけだと、
仲間意識を持つことで、勉強面や精神的な面で、
「がんばろう、もっとお兄ちゃん(お姉ちゃん)になろう」という
気持ちにつながらないかもしれません。

そこは、身近な大人のその子個人だけでなく、
子ども集団そのものや関係のあり方を良い方向に育てていこうとする配慮が必要だと
思います。
揉め事が起こった時に、叱ったり、大人が解決してしまったりするだけでなく、
その背後にある心の動きや関係性の育ちを見て、適切に接していく必要があると
感じているのです。

自閉症スペクトラムの子が「みんなと同じ活動ができない」としても、
その「できない」には、さまざまな段階があります。

興味さえないのか、
揉める程度なら、関わる意志があるのか、
お友だちにいきなり近づくのは難しくても、お友だちの持ち物やすることへの関心は高まっているのか、
みんなのしていることを、自分ひとりの場面ではしようとしているのか、
拒絶していたのが拒絶しないことも増えているか、
誰かひとりの子に近づくことがよくあるか、
など、ほんの些細な変化も見逃さず、そこに潜む次へのステップアップの課題を見つけだすことが
大切だと感じています。



↑ボランティアのお姉さんに、2階建ての建物を補強するのを手伝ってもらっています。


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 途中ですが、次回に続きます。


3、4歳児さんたちのぶつかりあい と 大人が見せる問題解決の見本 

2013-07-18 23:10:13 | 幼児教育の基本

 

3歳0ヶ月~4歳0ヶ月のレッスンでこんなことがありました。

4歳0ヶ月の★くんと3歳2ヶ月の☆くんが、

ぶつかってばかりいたのです。

デュプロのレールで線路を作っている★くんは、

その線路にバスを走らせようとする☆くんに、「線路にバスは走らないよ」と文句を言っていました。

 

横から☆くんのお母さんにも、「バスは線路を走らないよ」と注意された☆くんは、

不満そうに口をとがらせて、黙っていました。

「バスは道路を走るね。バスのための高速道路を作ろうか?」と誘って、

高速道路を作って遊び始めると、

またもや★くんが「線路のところにひっついている!」とブーブー言いました。

その時は、お互いの遊ぶ場を少し離してやると、そのままお互いに自分の遊びに集中していたのですが、

少しすると、★くんがだんだん高くなるように線路に高低差をつけていたところに、☆くんが

うっかり足をひっかけて壊してしまいました。

すると、また☆くんが怒り始め、☆くんは不満気な顔で黙りこくっていました。

 

☆くんのお母さんは過干渉な関わり方をする方ではなく

たいていのことは大らかに見守っておられます。

 

でも☆くんがまだ3歳前後の子のため、気づかないうちにお友だちのおもちゃで遊んでいたり、

お友だちの作ったものをひっくり返してしまったりした上、謝りもせずに黙りこんでいたり、

お友だちが怒っていても無視して遊び続けたりしているので、

お友だちとトラブルになるたびに、

「線路にバスは走らないでしょ」とか「そこは、○○でしょ」など、

何度もダメ出しをして、言うことをきかせようとしていました。

 

☆くんは穏やかでおとなしい性質の子で、

普段は自分からお友だちにちょっかいを出したり、意地悪をしたりすることはありません。

でもお友だちと揉めるたびに、自分の間違いを指摘されるので、

何度もむくれ顔でやり過ごすうちに、すっかりへそを曲げてしまったようでした。

 

そのため、「お友だちの作った線路の上に足を乗せる」

「文句を言われたら言われるほど、しつこく嫌がることを続ける」

といった

わざと遊びの邪魔をしているような行動が増えてきました。

 

すると、★くんにしても、☆くんに文句を言ったり、追い払ったりすることが

遊びの中心になってしまい、

イライラした神経質な態度になっていました。

★くんは、遊びの目的がはっきりしていて、「こんな風にしたい」というイメージに添って

遊びを展開していく頭の回転がいい創造的な子で、

こだわりが強い子ではありません。

カラっとした明るい性格で、考え方も柔軟です。

 

それなのに、★くんが怒って文句ばかり言っているのは、

揉め事が起こるたびに、

周囲の大人の言葉かけが、不満や不服にだけ注意が向くように

仕向けてしまったからのように見えました。

 

その証拠に、作っていた線路を壊されて怒っている★くんに、

「電話で救急隊を呼ばなくちゃ。緊急事態だから。」と言うと、

たちまち、パッと顔を輝かせて、ブロックを耳や口に当てて、

救急隊出動の命令を出し、救急隊がかけつけて、線路を修理する様子に大喜びしていました。

 

☆くんにしても、イライラして★くんの線路に足を乗せて邪魔していたものの

★くんの足を「カンカンカン」と踏みきりに見立てて持ち上げて、列車を通すと、

たちまち、尖らせていた唇をゆるませて、笑顔を浮かべました。

 

 


子どもにダメ出しする前にすること

2013-07-18 21:15:44 | 初めてお越しの方
4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。

あたり前のことを言っているようですが、
この当たり前の事実を大人が把握していないために、

子どもが何かするたびに、

きちんと「使い方」や「方法」を教えるのではなくて、

子どもの心に「罪悪感」を植えつけて、先々の困った心の癖の原因を作ってしまう場合がよくあります。

例えば、子どもがはさみを使いだしたとたん、
「そんな持ち方はダメダメ。ゆがんでるって。」
「そこじゃないでしょ」「それは切らないの」「こっちはしないの?」

と、常に、ダメ出しのオンパレードになっているものの、

「正しいきちんとした切り方
どんなものは切っていいのかのルール」などを、

正確に子どもに見えるようにしめすことはほとんどしない
という方が多いのです。

「ダメ!」とダメ出ししようにも、
ダメのもとになる「正しさ」がしめされていないし、子どもがそれをしっかり理解していないので、
子どもの心に残るのは、「ダメなことをする自分」という罪悪感
でしかないのです。

4歳くらいの子の行動は、自由にさせる部分は自由にし、
「ダメ」という場面では、まず、「ちゃんと見てちょうだいね」と言って、
「正しい形」を見せることが大事です。

また失敗すれば、「ダメ」ではなくて、もう一度、「ちゃんと見てね」と
「正しい」ものを見せるのです。

子どもは何かを集中しているときに、ダメ出しすると、「ダメ」という言葉のあらわすものの方向に気が取られて、正しい方法が受け入れにくくなります。

すねてそんな風になるのでなくて、
同時にふたつのことに集中するのが難しいのです。


相手がしぶりそうな内容に「うん」と言わせるのが上手なセールスマンは、最初にその内容とは全然別件で、お互いの意見が一致する話から、話をはじめるのだそうです。

大人だって、そう簡単に気持ちが切り替わるわけじゃありませんから、
いい気分で、「うん」と返事していた相手には、
少しどうかな~?という内容に話がおよんでも、「OK]を出してしまいがちなのです。

子どもの場合、もっと単純です。最初良ければすべて良し~
出だしが悪ければ、何を言っても無駄 となりがちです。

子どもが言うことを聞かない癖がついている場合、お母さんが無意識にいつも
「ダメ出しから入って、優しい説得へ」という逆の流れを作っているケースを
よく見かけます。

危なっかしい方法で、えんぴつ削りを使っているとすれば、
「そんなまわし方はダメ、危ないでしょ。反対にまわしてる~」と言った注意の仕方をするのでなくて、
「静かに見ていてちょうだいね。えんぴつを刺しているときに、えんぴつけずりのお耳を引っ張って、前へいくようにこうして~えんぴつは少し力を入れて中に入るようにね。
ここで、手をはさむから危ないの。ここに手を置くと痛いのよ。気をつけて。
それから、前から向こうへ、ピョーンと跳ぶようにハンドルをくるくるまわしてね。そう~」
ときちんと説明し、正しい方法を集中して聞く姿勢を育てます。

ダメ出しではなく、
「正しい方法」に集中させると、子どもの気持ちは正しいことを身につけよう
とする意欲的な態度で、
物に集中します。

繰り返しになりますが、
最初の話に戻って、

4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。

それで、きちんと教えていないのに「そんな持ち方は~」といった
ダメ出しから入ると、

「学ぶ、教わる」といった気持ちに切り替わらせるのが難しく、
走り出した「ダメダメ言わないで~」という負の感情に絡み取られているので、

覚えがとても悪くなるのです。

ですから、ダメなことを教えるにしても、
正しい方法から気持ちよく教えて、
本人が「私はこんなお姉さん(お兄さん)のお仕事もできる。怖いことがおきないようにお母さんの話をちゃんと聞いておこう。」と、
自分の有能感を刺激されて、いつもよりお姉さんモード(お兄さんモード)になっているときに、

最後に注意点やどこがどうダメなのか、きちっと納得させておくと、
真剣な態度でうなずくのです。

といっても、この時期は手足がコントロールできないのですから、
頭でわかってもできなくて
当たり前。
大人にしても、足の指で字を書けと言われたら、
コツを教わったって、きちんとはできませんよね。

子どもがやりたがることは、
何度も気長に教えてくことが大事です。

おもちゃで遊んで飽きておしまい……とならないように、おもちゃを通して子どもが成長する工夫

2013-07-18 17:30:30 | 虹色教室の教具 おもちゃ

 

虹色教室にはさまざまな種類のたくさんのおもちゃがあります。
そのひとつひとつのおもちゃについて、
「遊んだらそれでおしまい」「ちょっと遊んだら飽きちゃった」という結果で終わらないように
いろいろな工夫を凝らしています。
今回は、教室でどんな工夫を凝らしているのか
書いていこうと思います。
工夫 その1
 
おもちゃで遊んで興味を持ったら、易しいシンプルな作り方で
そのおもちゃを工作で作り、
その原理がわかるようにしています。

「どんな形をしているのか。どんな仕組みで動いているのか。
そっくりに作るにはどうすればいいのか。どんな素材を使えばいいか。うまくいかない時にはどうやって解決するのか」
おもちゃをよく観察して、身近にある材料で再現しています。
子どもが興味を持つものはさまざまです。先日もこんなことがありました。
工作タイムになっても、
「警察署のドールハウスで遊びたい」と言っている子がいたので、
「それなら警察署を作ってみる?」とたずねると、こっくりしました。
といっても、それほど大がかりなものを作るわけではなく
本人がこだわっていた
スライドさせて開け閉めする牢屋のドア部分を再現すると
満足していました。
今でこそ教室には多種多様のおもちゃがそろっていますが、わが子が幼い時は
ほとんどおもちゃらしいおもちゃは家に置いていませんでした。
その代わり、今と同じように、デパートのおもちゃ売り場で見かけたおもちゃが面白そうなら
それを手作りし、(なんちゃって手作りで、適当な出来上がりです)
いっしょに遊園地等に出かけた後は、子どもたちが自ら遊んできたアトラクションを
紙で再現して遊んでいました。そのためおもちゃはなかったけれど、
世界中のありとあらゆるボードゲームやおもちゃで遊んだなぁ~という懐かしい思い出があります。
おもちゃを選ぶ時、質の良いおもちゃか、安価なおもちゃか、たくさんある方がいいのか、少なくていいのか、
迷うことと思います。話の途中ですが、おもちゃ選びについて書いた過去記事を貼らせていただきます。
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子どもの個性に合わせたおもちゃ選び


おもちゃを選ぶとき、木製などの質の高いものを
与えなければならないか…というと
必ずしもそうではないと思います。
子どものタイプによって、おもちゃの質より遊び方や自由度が大切で、
100円グッズや紙があれば十分…という子もいるのです。

うちの子たちもそうでしたし、特に息子は、紙とえんぴつとハサミさえあれば
満足している子でした。教室の2~3歳の子にもこうした子はいて、
おもちゃの扱いは少し雑なのですが、
自分のこしらえた工作物は、
宝物のように大切にしています。
目で見るものより、想像したことや見立てたこと、アイデアやルールに惹かれるようです。

前回紹介した質のよいおもちゃにじっくり取り組むことも、
材質よりもその背後にある想像の世界に遊ぶことも

どちらも優劣つけがたいことです。

どちらが良いかでなく、子どもの個性と気質と学び方によっておもちゃ選びのポイントはずいぶん変ってくると思います。

お金のかかり具合も、雲泥の差ですが…。

感覚が優れていてクオリティーの高い材質やデザインのものに惹かれる子は、
1歳、2歳の子でも、ヨーロッパ製の木でできた教具を
何度も何度もやりたがったりするのです。

その繰り返しのなかで、ほんの少しのペグの高低や、
木製ビーズの形のちがいを見分けるようになります。
まるで指先に目がついているようで、そうした子の遊ぶ姿を眺めていると、
いつも、強い感動を覚えます。
そうした子は、遊ぶごとに数学的な感性が高まっていくようです。遊びながら科学の法則を学び取っていきます。

(幼児は幼いほど材質の違いに敏感なので、
まだ自分で選べないような小さな子に知育玩具を買い与えるときは、
できればプラスチックではなく、材質もデザインも色の配色も優れたものを
選ぶ方が良いように思ってます。)

一方、おもちゃの材質ではなく、
目に見えない価値に惹かれる子には、
おもちゃを与えるより、道具やアイデア(博物館や人形劇、工作物の展示会などに連れて行ったり、作品集やカタログなどをたくさん身近においておく)
や自由な時間や手助けや褒め言葉、いっしょに遊びに付き合ってあげることなどが大切だと感じています。
お金がかからない分、労力や配慮はたくさん必要です

写真は小学生の頃、息子が手作りしていたゲーム類(モノポリーらしい)の一部です。ゲーム好きなので、人生ゲームとかモノポリーなどを
気の遠くなるようなエネルギーを注ぎ込んで作っていました。
何百枚というカードの全てに、従来のゲームを参考にしながら…
自分で考えたさまざまなアイデアを盛り込んで
書き込みをしているのです。

息子にとっては、おもちゃの質よりも
自分の頭のなかのアイデアと作る過程に魅力があったのだと思います。

おもちゃの与え方について考えさせられるこんな話があります。

17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞し、
テレビ番組の『ウゴウゴルーガ』や
音と光を奏でる楽器『TENORIーON』などを手がけ、
絵本の『100かいだてのいえ』の作者でもある岩井俊男氏の子どもの頃のお話です。
あるとき、母親から「もうおもちゃは買いません」と言われたのだそうです。
かわりに工作の道具や材料を与えられたことから
ものづくりに目覚めたのだそうです。

高価なおもちゃを買うもよし…。
おもちゃを与えないもよし…。

どちらにしても想像力と創造性に満たされた
家庭内の空気が大切なのでしょうね。

 

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工夫 その2

 ひとつのおもちゃでいろいろな遊び方を考えます。

 

たとえば、↓のリンクは「くもんのキューブ積み木」というおもちゃを使った遊び方の工夫です。

遊びだけでなく、小学校受験問題や小学生の算数の教具などにも活用しています。

 

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 1

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 2

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 3

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 4

 

このようにどんなおもちゃもいろいろな使い方をして遊んでいると、子どもの思考力や発想する力が高まってきます。

 

また、「新しいおもちゃがほしい」と思った時に、お家にすでにあるおもちゃに

少し手を加えたら、その遊びができることがよくあります。

 

例として、「豪華なドミノ」がほしかった場合、レンガ積み木とブロックを使って遊んだ時の様子と」

「カナヤック」のゲームを、「生き残りゲーム」を使って遊んだ時の様子を紹介します。

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ドミノは楽しく遊びながら、数に強くなったり、
指先の巧緻性が高まったりするよいおもちゃです。

おうちにあるドミノをさまざまな仕掛けのある
豪華な…??ドミノにする方法を紹介します。

デュプロで作る段差です。

台になるブロックを写真のように少しずつずらすことで、
安定した台ができます。

小さいサイズのブロックだとだとさらに細かいしかけも作れると思います。

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ハバ社のイヌイットの魚釣りをモチーフにした☆「カヤナック」
とうゲームがあります。
以前、おもちゃコレクターの方から、教室にお借りしていたのですが、
とても魅力的で子どもたちが大喜びで遊びました。

ただこのゲーム、つり竿が大きくて、先がとがっているので、
つい夢中になって他の子のしているのを覗き込もうとしたり、
つり竿を振り回したりすると危険なので、ヒヤヒヤ……。
それと、魚の代わりの金属の玉が、あまりに小さいので、
遊んでいるうちに無くしやすいという難点もありました。

そこで、生き残りゲームの盤とジオマグの磁石を使って、このゲームを再現。
イヌイットの世界の素朴な美しさはほぼ皆無……ですが、
子どもたちには大盛況でした。

100円ショップで売っている「ジオマグもどき」と、
お家の空き箱でも楽しく遊べるので、おすすめです。

魚釣りの竿にジオマグの棒を使うと、
かなり短い状態で遊べる上、
長い竿として使っているときも、磁石でついているので、危なくありません。

幼い子の魚釣り遊びにぴったりだと思いました。

子どもは魚釣り遊びが大好きですが、
おもちゃのつり竿は転んだり取り合うと危険なので、
安易に渡せないですから。


また、釣ったとき、金属の玉が磁石に引っ付いてくるのを、
子どもは喜んで数えます。
「落ちそうで、落ちない……」のって、ドキドキして面白いですよね。

生き残りゲームでカヤナック遊びをする場合、
金属の玉を穴の中に落として、仕掛けておき、(くぼみがあるので、きちんとおさまります)
自分の番のときに、レバーを動かして、魚を探しつつ
魚釣りを楽しみます。
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工夫 3

 

まだその遊びをするのは難しい月齢の時には、ルールを「赤ちゃん向け」「幼児向け」に変えて、

子どもが楽しめるレベルにしています。

 

★ブロックを買ったものの、ひっくり返して「おしまい~」です…

★ウルトラマンカードの遊び方♪

★「チケット トゥ ライド」 幼児も遊べる遊び方 1
★「チケット トゥ ライド」 幼児も遊べる遊び方 2
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