「自閉症の子の心と行動の可動領域が少しでも広がるように
環境を整える」ということについて
具体的にしている工夫を紹介しますね。
可動領域なんて妙な言葉を使うのはこんな理由です。
自閉症の子はまるでロックでもかかってしまったかのように
ひとつの心理状態から抜け出せなくなったり、決まった行動パターンに固執したり
しがちです。
心の状態にしろ、行動にしろ、そんな風に極端に柔軟性がなくなるのは、
それが不安を回避したり、安心感や楽しみを与えてくれたりするなど、
本人に必要だからでしょう。
ですから、動ける範囲を広げていくための働きかけは、
まず最初に、危険がない限り、本人が必要とする行動を肯定して、
それを守ったり支えたりしながら、「ここなら動きそう」という部分を見つけて、
一歩外に出たり、また元に戻ったりを繰り返していくことだと思っています。
「最初に、本人が必要とする行動を肯定する」というのは、
思いの外、難しいです。
ちょっと話が脱線するのですが……。
という記事に、その記事でレッスンの様子を紹介している自閉っ子の★くんのお母さんから
次のようなコメントをいただきました。
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こんにちは、★の母です。
このレッスンのお土産に先生が作ってくれた工作物(画像の赤い折り紙で作った円がモーターで回る物)で自宅でも楽しく遊んだり、私がビー玉を転がすコースターを食品トレーの廃材で作ってやって、それで遊んだりしました。
■ところが先日、ちょっとした親子喧嘩になり、気持ちがむしゃくしゃした★は私が作ったビー玉コースターを破壊、それだけでなく先生が作ってくださった工作物も破壊してしまいました(すみません)。
どちらも制作時に★自身で手を加えていなくて、★は工作物で遊ぶだけだったからそこまで愛着がなかったのかもしれませんが・・・。
癇癪を起こして物に当たったり、腹いせに物を無駄にしたりすることも多いので口を酸っぱくして注意するのですが改善しません。
■また、★は母が家事中などに自分独りでなかなか遊べずまとわりついてきて仕事にならないので、独りで遊べるように線の書き方を教えたり塗り絵をやらせてみたりしてみますが、独りでは落書きして遊ぶこともなく母が仕事中は結局1時間何もせずソファでゴロ寝しているだけのことも多い・・・という状況で、この自発性ゼロの有様を嘆いております。
最近はブロックも積み木もやらないで置物と化しています。親が誘いかけない限りはやらない感じ。。。
主人は★の「物を大切にしない(破壊・ポイする)」、「自発のなさ」について、本人(★)が望みもしない物を母親が与え過ぎたのが原因だと非難します。
私はそれほど与えてないと思うのですが。おもちゃもお菓子のオマケでもらったような物ばかりで、望んでもいないオマケ類を与えたといえばそうです。果たしてこれが良くなかったか…?
また、母が家事中に独りで遊べるようにと、これも置物と化していた童話絵本を音声ペンで音の出るタッチ絵本に加工してやったり、ipadと脳機能をUPするゲームアプリを適宜与えてやらせてみたりしましたが(機械好きだから楽しめるかと思いきや、どちらもそれなりにやるが没頭するほどではない)、・・・それが仇になったのか?
確かに・・・★の癇癪回避や手先の不器用さ故に、これまで先回りして母が口出し、手出しし過ぎたのは事実なので、それは今後控えるつもりですが、物の与え過ぎという主人の非難は当てはまるのかな?と考えています。
そもそも自発が少ないので与えてみて刺激しないと始まらないし。与えてみたもののイマイチはまらなくて置物化している物達だけを見ると、与えすぎたゆえに破壊したり、飽きっぽく、自発に欠けるとも見えるでしょうし。コロンブスの卵みたいなものです。
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★くんがかんしゃくを起こして物を破壊したり捨てたりすること、
誰かが相手をしてあげないと、自発的にひとり遊びをしようとしないことについて
ご主人が原因探しをして非難するのは、困ったことですよね。
おそらく、原因はそれまでの育て方の失敗にあるのではなく、
障害特性ゆえに、
感情のコントロールがうまくできなかったり、自発的に遊びを作っていくためのイメージする力が弱かったりする
ためでしょうから。
こうあってほしいという期待を押しつけると、問題だらけに見える★くんですが、
少し前までは、誰かが遊び相手をしていてもバスの扉の開閉のような
非常に狭い興味にこだわり続けていた★くんが、
相手をしてもらっている間は、笑顔を見せて、創造的に遊ぶようになったのは、
★くんにすると、ここ数ヶ月の間に起こった大きな進歩だと思っています。
物を破壊することは、肯定するわけにはいかなくても、
かんしゃくを起こして、物を破壊したくなる状態になることについて、
一度、認めて理解を示した上で、★くんが少しずつ自分を律していけるように支援していくのが
いいのかもしれません。
もし、わたしと★くんのふたりで過ごしている時に、★くんがかんしゃくを起こして物を壊し始めたら
おそらく、こんな対応になるような気がします。(★くん次第で、異なる対応になる可能性も大きいです)
激しく興奮している状態を、壊したら困るものから、壊してもそれほど困らないものに移すために、
わたし自身も、★くんの気持ちに共感して、
「そうだよね。~だったら、プンプン腹がたつね。嫌だね。嫌になったら、壊したくなってしまう。
でも、それは大事だから、壊しちゃだめだね。悲しくなってしまう。新聞紙ならいいかな?えいっえいっ!」
新聞紙を、ビリビリ破いたり、くしゃくしゃに丸めてみたり、粘土を乱暴に潰してみたりします。
といっても、そうして、当たってもいいものに当たりなさいと勧めるわけではなくて、
怒りや不安を目に見える形で、いったんはいっしょに共有して、
その後で、つい怒りにまかせて壊してしまった大事なものについて、
「大丈夫。ほら壊れてしまっても直すことができるよ。直してあげるから大丈夫」と安心させたり、
「怒って、壊してしまったから、これは直らないよ。でもまた作ろう。大丈夫大丈夫。
壊れちゃったら悲しいね。今度腹が立った時は、おもちゃを壊すのはやめておこう」と言って気を落ち着かせます。
また、くしゃくしゃにした新聞紙を、今度は、雪だるまにしたり、サッカーボールにしたりして、
破壊に使ったエネルギーを創造的な活動につなげることができるのを見せるかもしれないし、
簡単な人形劇を演じて、今、起こったことを客観的に
少しユーモアを抱いて眺められるようにするかもしれません。
もちろん、相手が自閉症の子でも
悪いことをしたら叱らないといけないのでしょうが、
パニックを起こして、破壊的な行動に走る場合は、
自分のやったことを振り返って、次はしないようにがんばろうと思えるように
安心させるのが一番かなと思っています。
また、感情のコントロールがきかなくなる手前で、大人にSOSを出して、
支えてもらいながらそれを乗り越えられるようになるためにも、
そうやって信頼関係を築いて行くことは大事と思っています。
ただ、それは甘やかすことではないし、叱らず放置することでも
ないです。また、何か代替えの物に怒りをぶつけなさいと教えることでもないです。
こうした対応を言葉で伝えるのは難しいです。
自発的に遊ばずにごろごろしていることにしても、
何をしたらよいのか具体的なイメージがなくて困っているのかもしれないし、
そうやってひとりでゆっくりすること自体が必要なのかもしれません。
それにしても、まず、いったん、肯定してあげることが
大事だと思っています。
自分が何か間違っていて、責められているらしいと察すると、
余計に何もできなくなるでしょうから。
今は、お母さんが相手をしている時に遊べるならそれで十分ではないでしょうか。
できそうなことを作って、少しだけでも取り組めたら、それが自信につながるはずです。
肯定する、と先生がお書きになっていらしても、闇雲に「文字通り肯定さえすれば」というものでなく、先生が「言葉で伝えるのは難しいです」とおっしゃっているその空気感というか、「判断」ともつかないくらいの先生の本能に見えそうなくらい、でも核心を突いた関わりが 大切なんだろうなぁ、とつくづく思います。 なおみ先生のようなスーパーバイザーがご近所にいてくださったら、小さいときから いわゆる「育てにくさ」を「母の未熟さ」と思い悩んできて、あげく、余計な働きかけだらけ、失敗だらけの母、すごく救われ、娘もすくわれただろうなぁと キューン、としながら、今後も、先生の記事を 大切に拝読させていただきます。
あとは物は使わないですが、決まった言葉の返事を聞くのが好きですが、本でも使うことに発展できるのでしょうか。何度もおもちゃを無駄にしているので買うのもためらいます。
汁物をすくうのは好きな食事だからするので遊びとして用意しても成り立たなかったのですが、行儀良くない行動ですが先生のおっしゃる好きなこだわりとして受け止めています。遊びにはつながりにくいですがどう進めていけばいいでしょうか
なおみ先生のメッセージで少しだけ焦りが落ち着きました。家事をしている間ごろごろし、明らかに「待っている」状態でプレッシャーを感じてました。上手に待ててること、リラックスしている事としてほめていけばいいのかな・・と。何かをして待つができれば家事もゆっくり出来るし、好きなことをしてる姿をホッと見守ってみたいですが。今は急いで家事をして興味持った文字の相手をしたり外に出て公園やドライブしています。
キッズコーナーのようなごろごろして少しのおもちゃから選んでいいんだよという環境づくりも大切なのかなと感じたりもしています。
パパが帰ったら今度はパパがつかまります。寝るまでそばにいないとなので親はヘロヘロです。かといって他に人と上手く関われるわけでないので難しいところです。
ムスメは、まだまだ、自閉特性がありながらも、ゆっくり、あそべるようになってまいりました。そして、四歳下の弟を見ると、ああ、こういう子なら、オモチャをさまざまに揃えることもなかっただろうに、と、やっぱり、私の育て方の問題とかじゃなく、特性ありきだな、と、感じます。けして、オトナの都合のよいコではないけど、あるモノで常に遊びを作り出す器用さは、すでにムスメの今にせまります。ムスメも、ようやく、遊びを作り始め、かつてタンスのこやしだったオモチャを引っ張り出しはじめました。うまくいえないけど、諦めて隠してもいい、意外に数年後、時がくるかもです。あればオモチャ図書館やリサイクルを利用し、気に入れば買うのも、批判をかわせます。今日は、バザーで手品セットゲット。おそらく、数年後の利用になりますが、250円で8種類なら、元はとれそうです。