雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

050605 日々歌う

2005-06-05 17:56:18 | 日々歌ふ
人知るや夕闇迫る橋下に巨鯉群れ来て憩いおれるを

 最近よく、職場から神田川沿いを通って約1時間半ほどを歩いて帰ります。
 遊歩道はあるのですが、垂直護岸の川はフェンスが高くて橋からしか流れを見ることができません。
 桜の季節だけは両岸から川を覆うように咲きますからにぎわうのですが、普段は散歩やジョギングする人をたまに見かける程度。
 橋からわざわざ川を覗き込むぼくのような物好きはほとんどいません。
 あるとき橋から橋下の川面を覗き込んだら巨大な緋鯉が目に止まりました。
 よく見るとその周囲には黒くて上からはほとんど見えない丸々と太った巨大な真鯉が何十匹とおり、さらに下流から続々と集まってくるではありませんか。
 しばらく呆然と見ていました。数えてみるとなんと百匹を越えていました。
 それからというもの、通るたびに見るようになりましたが、日が高いうちはまったくいません。
 やっぱり、夕方になると集まってきてそこで休んでいるのです。
 おそらく夜をそこで過ごすのでしょうね。
 ともかく見たこともないような不思議な光景なのです。
 ぼく以外に見ている人を見たことがありません。
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050605 題詠マラソンから

2005-06-05 11:09:30 | 題詠マラソン2005から
【8122】016:たそがれ たそがれは静かに老いる父の手のあかぎれの中ひっそりとあり(みあ)

 今朝の「はてなアンテナ」で、みあさんのブログ「言の葉たち」の紹介にこの歌が出ているのが目に飛び込んできました。
 調べてみると新しく読まれたものではなく、3月19日の題詠歌でした。
 長年、農作業などのきびしい労働に携わって、今静かに老いる父のゴツゴツと荒れた手。その労苦を偲ばせるあかぎれの中に、たそがれはひっそりとあるというのです。
 なんと静寂と愛情に満ちた深い歌でしょうか。

【16269】057:制服 カラス五羽黒制服に身を包み朽ちた社を守りおりしか(ぴいちゃん)

 荒れ果て朽ちた社に黒々とした鴉。ぼくのような老人が見たらきっと荒涼たる物寂しい情景でしょう。
 でも、若い作者にはこう映るんですねえ。
 「黒制服に身を包み」が愉快です。

【16272】058:剣 大変な剣幕で空稲光る梅雨入り近しとひとの言う夜(ぴいちゃん)

 そうでした。たしかに「大変な剣幕で」空が稲光っていましたね。
 地震・雷・火事・親父と言い、雷親父とも言いますが、なんだか天空からその雷親父が「大変な剣幕で」カミナリを落としたようで、やっぱり愉快です。
 一転、「梅雨入り近しとひとの言う夜」としっとり続くのがなんともいいですねえ。
 この「ひと」はまさかテレビの予報士のことではなく、作者の身近にいてそんな会話を交わせる親しい「ひと」のことでしょう。だからこそ、「大変な剣幕で空稲光る」と余裕を持ってユーモラスに詠うこともできたのだと察します。
 


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