雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

題詠blog2011出詠歌②(051~100)

2011-09-12 15:02:30 | 題詠blog2011

(051:漕)わたの原漕ぎ出でてみれば獲る魚の侵されにけり見えぬ魔物に
(052:芯)フクシマを恐れ忘るな今度こそ芯の芯から被曝ニホンよ
(053:なう)原発の来し方知れば悪名かなうてか知らぬ中曽根の名が
(054:丼)要するに原発すらもこの国は見切り発車の丼(どんぶり)勘定
(055:虚)フクシマの収束も見ず原発の再開謀る虚しき輩の
(056:摘)野に遊び芥子菜摘みて食む春の永久に去らむか三一一で
(057:ライバル)誰ならむガス会社をライバルにオール電化を煽り来るは
(058:帆)海を背に白帆のごとく穏やかに遠く見えけむ核の魔塔は
(059:騒)フクシマに騒擾なきを侮るや喜多方事件民権の地を
(060:直)フクシマ後なにはさておき真つ直ぐにもの見る目こそあらまほしけれ
(061:有無)有無を言ふ暇もなしに追はれけむわれ夜の森(よのもり)に今も暮らさば
(062:墓)夜ノ森の駅舎に近き祖父眠る墓所訪ふ術の永久に断たれむ
(063:丈)絶対の安全説きし丈のこと皆無も皆無フクシマ見れば
(064:おやつ)文明の核にまみれて無邪気には三時のおやつもはや食みえぬ
(065:羽)フクシマよ奥羽陸奥(みちのく)東北よ生ぎよ負げんな吾がふるさとよ
(066:豚)フクシマで飢えて死にたる牛豚よ馬よ羊よゆゑも知らずに
(067:励)がんばつぺがんぱつぺとて幟立ち励ましをりぬフクシマの地を
(068:コットン)直ちにはコツトンコロリと逝かずとも遥かに待たむ癌死あまたの
(069:箸)箸をもて骨を拾ひし父母兄の墓参り来ぬフクシマの地に
(070:介)避難所で幾人(いくたり)逝きぬ双葉より医師の介護もなしに運ばれ
(071:謡)謡はれし殺生石の原子野に置かれ侵しぬ暮らしいのちを
(072:汚)汚泥また核にまみれて溜まりゆく列島熱す梅雨明けの陽の
(073:自然)浅知恵の吾ら窮しぬ自然には在らぬ魔物をつくり奢りて
(074:刃)巨大なる凶刃と化しふるさとをなぎ払ひたり核の電炉は
(075:朱)今まさに朱に染まりし骸なき戦(いくさ)進まむわがフクシマで

(076:ツリー)聳え立つスカイツリーも日々浴びむ北風運ぶ核の礫を
(077:狂)フクシマ後なほ原発に頼らむか利害打算に狂ふ輩の
(078:卵)受精せし卵子を胎に強ひらるる暮らしもあらむフクシマの地に
(079:雑)稲麦も野菜もなにも雑草もいのち等しく核に侵さる
(080:結婚)結婚の過去も未来もフクシマは壊しゆきなむ核の怖れで
(081:配)児を襲ふ核の汚染に心配の深まるばかり若き親らは
(082:万)幾万か幾十万か列島をいづれ覆はむ被曝癌死の
(083:溝)金のため核もてあそぶ亡者らと深きもふかき溝の隔てよ
(084:総)できうれば総てを隠し通さむと企むものか国家といふは
(085:フルーツ)フルーツと気取る余裕も失せゆかむセシウムいづれ果実侵さば
(086:貴)いつさいの名利を余所に原発の危険究めし貴人をりたり
(087:閉)安全を掲げ造れど閉ぢ塞ぐ術も知らざり核荒ぶれば
(088:湧)霊山(りようぜん)の岩間より湧く清水をも核侵しゐむみちのく伊達の
(089:成)列島をレイプのごとに犯しゆく核なりなりて成り余るもの
(090:そもそも)そもそもが平和利用の能はざる魔物なりけりNUKEといふは
(091:債)返しえぬ核の負債も加へゆく大地いのちを吾ら汚しつ
(092:念)カミ、ホトケ信ぜぬわれもひたすらに念じ祈りぬフクシマ想ひ
(093:迫)迫りゐしメルトダウンを知る者ら何思ひつつ隠し通しぬ
(094:裂)地の深く裂け目あまたの列島を原発覆ふ吾ら狂ひて
(095:遠慮)かくなれば遠慮会釈もあらばこそ暮らし侵さめ核の魔物は
(096:取)取り込みし児らの深部に潜みゐて核の侵さむいのちこころを
(097:毎)人絶えし吾がふるさとに深まらむ日毎夜毎に核の支配は
(098:味)無味無臭無形無色に侵しゆく核に強ひらる見えぬ暮らしを
(099:惑)フクシマのありてぞ思ふ核なるはこの惑星の惑ひなりしを
(100:完)―<東日本原発大震災の勃発から半年経つ日に>フクシマの完(をはり)見ぬままなほ核に吾ら頼るや愚か愚かに


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題詠blog2011出詠歌①(001~050)

2011-09-11 23:23:16 | 題詠blog2011

(001:初)―<今は亡き敬愛する詩人を偲びて>消えかかる初心を守りその日まで生きてゆかむかばかものとして
(002:幸)威を借るもへつらひ為すも無縁なる幸こそ吾の宝にあらめ
(003:細)いと細き見えぬ流れも絶えざれば大河とならむ人世のことも
(004:まさか)八百長の動かぬ証拠出でにけり土俵揺るがすまさかまさかの
(005:姿)世も末と思はぬでもなし愛猫の空に腹向け眠る姿に
(006:困)この国にふたたび生れし困民のいまだ挙げざる世直しの声
(007:耕)吾が裡に耕す余地のなほあらむ六十路が坂の終はり見えれど
(008:下手)―<彼の柳宗悦なくば>暮らし生む下手の美をこそ究めけれ類稀なる具眼の人は
(009:寒)父逝きし都の冬は寒かりき戦終はりてわづか五年の
(010:駆)電網を民が駆使せる革命の起きうる世をば誰想ひけむ
(011:ゲーム)愚かにもわれら選びぬ滅びをばマネー・ゲームとパワー・ゲームの
(012:堅)独裁の果ての果てにぞ堅牢の極みももろき民の怒りに
(013:故)権力を貪る故の悪相をさらしあがきぬムバラクの徒ら
(014:残)残さるる者にとりてはゴミならむ手放しがたき蔵書の山も
(015:とりあへず)口軽き元の首相の言の葉はなべて方便とりあへずとぞ
(016:絹)人絹も近江絹糸も死語なれど日々に新し貧困の二字
(017:失)成功は失敗の基と言ふべきか金力権力求むるかぎり
(018:準備)万端の準備整へ臨むこと乏しかりけむ吾が人生に
(019:層)深層に何眠りゐて奇怪(きつかい)な夢にうなさるひと老いてなほ
(020:幻)幻想に終らぬことを祈りつつ遥かな民の起つを喜ぶ
(021:洗)鎌倉の弁天様も嘆かれむ汚銭洗浄横行の世を
(022:でたらめ)まつたうとでたらめの差の思ふほど大ならざるを知るぞかなしき
(023:蜂)民起つの連鎖恐るる隣国の首脳浮かべむ蜂起の二字を
(024:謝)幹部らの薄き頭の映りゐる謝罪風景日々にうとまし
(025:ミステリー)拝金の極まる国のなほ名乗る社会主義こそミステリーなれ

(026:震)地の震へ海の狂ひて追ひ討ちにふるさと襲ふ核の魔物の
(027:水)フクシマを水に流せぬ過去にせむ胸底深く刻みきざみて
(028:説)説かれ来し神話の果てにふるさとは荒野と化しぬ核に侵され
(029:公式)直ちにはただちにはとふ公式の説明酷し核の汚染に
(030:遅)遅々として収束見えぬ核事故に姿隠せりエセ学者らの
(031:電)アシヲ超えミナマタ超えてフクシマを奈落に変へぬ電力会社の
(032:町)大熊も双葉・浪江も富岡も町(マチ)にしありて町(チヤウ)にはあらず
(033:奇跡)復興の奇跡ふたたびありえむやわがフクシマにヒロシマのごと
(034:掃)ニンゲンのエゴのエゴたるゲンパツを一掃せよとフクシマ命ず
(035:罪)その罪の万死億死に値せむ山河暮らしを核で奪ふは
(036:暑)酷暑をば原発なしで越せるかとわれらを脅す懲りぬ輩は
(037:ポーズ)場当たりのポーズにあるやさあらずや総理にほはす脱原発の
(038:抱)抱擁もままならぬ日々送りゐむ愛する者ら核に追はれて
(039:庭)何気なき雑草(あらぐさ)繁る庭隅に潜み待ちゐむ見えぬ魔物の
(040:伝)伝へてよ誰かカツヲに今年まづフクシマ沖は避けて泳げと
(041:さっぱり)フクシマの安全説きし教授らの姿消え去れきれいさつぱり
(042:至)事ここに至りてなほも原発の延命図る金の亡者ら
(043:寿)曽祖父の半谷清寿(ハンガイセイジユ)が植え初めし桜咲きけり核の荒野に
(044:護)われら見ぬ安全・保安の名を騙り民のいのちを護らぬ者らを
(045:幼稚)日々核を浴びつ吸ひつつ暮らしゐむ今フクシマに幼稚園児らも
(046:奏)―<近藤浩平作曲「海辺の祈り~震災と原子炉の犠牲者への追悼・作品121」に寄す>バスーンの奏づる深き鎮魂の曲生ましめぬ三一一は
(047:態)次々に<過酷事故>をば後出しでさらりと明かす態度悪みぬ
(048:束)収束の果たしてあるやフクシマに山河暮らしを旧に復する
(049:方法)核ゴミの処理方法も知らずして吾ら愚かにフクシマ迎ふ
(050:酒)酒酌めば話尽きざるふるさとを核に追はれし幼馴染と


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完走報告(髭彦)

2011-09-11 16:03:30 | 題詠blog2011

東日本原発大震災の勃発からちょうど半年の日に、完走しました。
今回は、25首目まで詠んだときに原発大震災が勃発し、生まれ故郷の福島県双葉郡富岡町夜(よ)の森が「死の町」となることを強いられたのです。
以来、フクシマ以外のテーマを歌うことができなくなりました。
そして今日、完走しました。
しかし、例年のような達成感はありません。
それはもちろん、フクシマに<完(をはり)>がまるで見えていないからです。
何としても原発再稼動と推進を押しとどめ、子どもたちと若い世代のために脱原発の安全な自然と社会を残したいものと、改めて思います。

最後になりましたが、主宰の労を今年も取って下さった五十嵐きよみさんに深く感謝申し上げます。


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100:完(髭彦)

2011-09-11 15:23:21 | 題詠blog2011

―<東日本原発大震災の勃発から半年経つ日に>
フクシマの完(をはり)見ぬままなほ核に吾ら頼るや愚か愚かに


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099:惑(髭彦)

2011-09-05 23:29:29 | 題詠blog2011

フクシマのありてぞ思ふ核なるはこの惑星の惑ひなりしを
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098:味(髭彦)

2011-09-02 23:18:07 | 題詠blog2011

無味無臭無形無色に侵しゆく核に強ひらる見えぬ暮らしを


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097:毎(髭彦)

2011-08-30 19:49:44 | 題詠blog2011

人絶えし吾がふるさとに深まらむ日毎夜毎に核の支配は


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096:取(髭彦)

2011-08-22 22:24:46 | 題詠blog2011

取り込みし児らの深部に潜みゐて核の侵さむいのちこころを


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095:遠慮(髭彦)

2011-08-18 22:51:29 | 題詠blog2011

かくなれば遠慮会釈もあらばこそ暮らし侵さめ核の魔物は


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094:裂(髭彦)

2011-08-16 23:41:08 | 題詠blog2011

地の深く裂け目あまたの列島を原発覆ふ吾ら狂ひて


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