空高く風操りて動かざる凧見紛ひぬトビかノスリと
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一昨日、<空高く凧と見紛ふ猛禽の風操りて動かざりけり>という歌と共に、
空高くホバリング(?)する猛禽の写真を載せた。
先週の木曜日、見沼田圃・合併記念見沼公園を訪れた際に、ふとはるか上空に凧らしきものが浮かんでいるのを見つけ、望遠レンズを向けたところトビかノスリの姿をしていた。
巧みに風を操り、地上の獲物をねらっているような姿で、ほとんど動かない。
同行者3人で、感動しながら、その猛禽がもう少し高度を下げるか、獲物を見つけて急降下するかを待ってシャッターを切り続けた。
かれこれ1時間、その猛禽はほぼ同じ位置に浮かび続けた。
僕の光学換算450ミリのレンズで撮った映像を拡大して見るかぎり、それはトビでもノスリでもなさそうだった。
帰宅後、手持ちの図鑑やネットで調べたが、なんの猛禽かはついに分からなかった。
そこで、<空高く凧と見紛ふ猛禽の風操りて動かざりけり>という歌と共にその写真をアップしたのだ。
今日、また見沼田圃に出かけ、その話になった瞬間、Y先生が「あれは凧だったよ!」と言って、笑われたのである。
先生も一晩、図鑑類を調べつくした挙句、コンピュータで写真を拡大してみたところ、なんと猛禽の首の部分に3本の凧糸が写っていたというのだ。
とても俄かには信じられなかった。
しかし、事実だという。
帰宅後、僕も写真を拡大して見た。
ああ!
それはまさしく凧だった。
それにしても、なんと見事な凧だったのだろう。
僕たちは実に見事に欺されたのだ。
だが、悔しさはまるでない。
それは僕たちをあれほど感動させるだけの、類稀なる姿で晩秋の見沼の空に猛禽の姿で実存していたのだから。