雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

日々歌ふ0912(62首)

2009-12-31 22:07:37 | 日々歌ふ2009

091201 
 名にし負ふ竜田の川の今もなほからくれなゐに水くくりけり
091202
 ―<「舘野泉ピアノリサイタル2009~彼のための音楽を彼が弾くVol.3~」(12/1:東京文化会館小ホール)>を聴きて
 彼のひとの左手だけで奏づると誰ぞ思はむ眼(まなこ)つむらば
 内外に委嘱をなせる左手の曲の次第に数を増しゐぬ
 病む右手(めて)も時にこぶしと肘つかひ楽を奏でり舘野泉は
 小品を心のひだに沁み入らせ舘野泉は演奏終へぬ
091203 
 三万の増派をなして愚かにもオバマ歩まむ滅びの道を
                 *
 降り立ちし駅より呆れ歩みゆくこれ途なるか法隆寺への
 柿食まず鐘も鳴らねど斑鳩に仰ぎにけりな五重塔を
 渡来せる猫にしあらむ斑鳩の古刹になじみ独りたゆたふ
 斑鳩の丘に登れば人知れず黄葉を映す水辺ありけり
 斑鳩に旧き家並みを求めつつ竜田の川の紅葉めざしぬ
                 *
 日本語もロクに話せぬキャスターの九時のニュースにけふも出てをり
091204
 今宮の社に知らで立ち寄ればもみぢの紅く空を染めゐぬ
 黄と紅に錦織りなす晩秋(おそあき)の高桐院へ友をいざなふ
 北山の山裾深く光悦のゆかりの地にぞ紅葉訪ぬる
091205
 ―<けふ、三十六歳で逝きし父を偲びて>
 いつしかに五十九年も経ちにけり六つの冬に父を亡くして
                 *
 人波のつかの間途絶え静もれり鹿ケ谷なる法然院の
 願はくば紅葉の下に秋死なむその安楽寺の日の暮るるころ
 坂をのぼり辿れば黒谷の真如の堂に紅葉あふるる
091207
 教へ子のフィアンセ連れて訪ひくれし一夜(ひとよ)の明けて朝の清(すが)しき
                 *
 朝光(かげ)のいざなふままに黒谷をふたたび訪へば紅葉きらめく
091208
 朝刊に開戦記事を探せども空しかりけり師走八日に
                 *
 鴨の字ゆ賀茂に変はりてなほ美(は)しき古都に流るる晩秋(おそあき)の川
 まぶしくも紅葉(もみぢ)黄葉(もみぢ)と光りけり古都の御苑に巨樹の並びて
091209
 御所なれど江戸世にあれば秋の日にしづごころなく紅葉散りけむ
                 *
 降りつむる銀杏黄葉を足裏に踏みて歩まむキシキシキシと
091210 
 望遠のレンズ忘れし吾が前に葦のきらめき川蝉止まる
                 *
 孝明と息子住まひし紅葉なき御所の異様に門のみ紅し
091212
 冬野より摘みて活くれば赤ツメの花に温もるこころも部屋も
 愛猫のCDアンプに乗り来る お前も好きかモーツァルトをば
 能ふならけふは十キロ走らむと予期せぬ声の裡より湧きぬ
 衰へに競ひ勝りて久々に十キロ越えて吾走りけり
                 *
 雲南の旅を共にし丈高き友を襲ひぬ悪(にく)き病の
 先行ける六十路の友を突忽に襲ひしことの他人事ならず
 たたかひのつらさ深きを想ひつつはるかに願ふその勝利をば
091213
 折節に心づくしの届きけり職退(の)く吾を今も忘れず
091214
 過ぎ去りし秋の日思ひ今し吾歩み始めむ冬への旅を
091215
 ―<晩秋の横浜・山下公園岸壁にて>
 秋の陽の落ちゆく際(きは)に岸壁で水と戯れアート織りなす
                 *
 年金の二か月ごとに支給さる暮らしの周期変はりはせぬに
091216 
 不忍の冬の池畔をひさびさに訪ひて帰りぬ十キロ走り
 教師辞め初の師走の寒けれど吾走りゐぬ独り六十路を
091217
 冬の野をさまよひ見れば地に低くヒメオドリコソウ・ホトケノザ咲く
 イヌフグリ・菜の花すでに咲き初めぬ冬来りなば春遠からじと
 ドングリの実をば探して確かめぬクヌギ、コナラの区別あやしく
                 *
 煮物をば初めてつくる さ・し・す・せ・そ 締め切り迫る吾妹に代はり
091220
 億兆の時を眠らぬ樹々立ちていまひとたびの冬を迎へり
 年の瀬にはや蝋梅の咲き初めぬ美(は)しくはあれどあやふさ秘めて
 一輪のあはれにあらむ連翹の黄も鮮(あざ)らけく年の瀬に咲き
091221
 冬の陽に八重咲く花の白かりき吾(あ)が裡底の面影もまた
 さり気なき美のそこここに隠れゐてそをば認むる吾ら待たなむ
091224
 年暮るる野辺に小春の風吹けば鳥らも憩ふ木々に水辺に
091226 
 柴又でうまき蕎麦食み年の瀬に江戸川べりを友と上りぬ
091228
 ―<信濃なる秘湯奥山田温泉「満山荘」に遊びて>
 山深き湯宿の窓ゆ冬の陽の穂高が嶺に落ちゆくを見き
 陽の落ちしはるかな嶺の連なりに切っ先黒く槍岳浮かぶ
 雪肌の美(は)しき山なみ仰ぎつつ出湯に身をばゆだねけり
 八十路なる湯宿の主(あるじ)公言す戦(いくさ)は敵なり家族と国の
 兄弟を失くしてなほも特攻を志願せりとて老人悔いぬ
091229
 鳥獣の戯画を描ける僧正の名をば騙りし下司を知りけり
091230
 塩魚汁(しょっつる)は魚醤にあればニョクマムで鍋楽しみぬハタハタ入れて
 億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの
091231
 落ちかかる冬陽に浮かぶ青鷺の威厳に打たる間近にぞ立ち
 職退きし自由の年の暮れゆきて来る年いかに生きむか思ふ


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

091231 日々歌ふ

2009-12-31 19:33:24 | 日々歌ふ

落ちかかる冬陽に浮かぶ青鷺の威厳に打たる間近にぞ立ち

職退きし自由の年の暮れゆきて来る年いかに生きむか思ふ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬陽に浮かぶ青鷺の 2

2009-12-31 19:31:48 | 日々写す

                落ちかかる冬陽に浮かぶ青鷺の威厳に打たる間近にぞ立ち


          

                                       12月25日 水元公園にて


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬陽に浮かぶ青鷺の 1

2009-12-31 19:30:42 | 日々写す

                落ちかかる冬陽に浮かぶ青鷺の威厳に打たる間近にぞ立ち


 

                                                12月25日 水元公園にて


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空高く冬迎へ立つメタセコイアの 4

2009-12-30 23:30:45 | 日々写す

                  億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの


 

                                                12月25日 水元公園にて


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空高く冬迎へ立つメタセコイアの 3

2009-12-30 23:28:20 | 日々写す

                  億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの


 

                                                12月25日 水元公園にて


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空高く冬迎へ立つメタセコイアの 2

2009-12-30 23:25:59 | 日々写す

                  億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの


          

                                       12月25日 水元公園にて


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

空高く冬迎へ立つメタセコイアの 1

2009-12-30 23:22:23 | 日々写す

                  億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの


          

                                       12月25日 水元公園にて


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

091230 日々歌ふ

2009-12-30 21:13:20 | 日々歌ふ

塩魚汁(しょっつる)は魚醤にあればニョクマムで鍋楽しみぬハタハタ入れて

億兆の時生きてなほ空高く冬迎へ立つメタセコイアの


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

091229 日々歌ふ

2009-12-29 23:43:45 | 日々歌ふ

鳥獣の戯画を描ける僧正の名をば騙りし下司を知りけり


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする