南山大学のギターアンサンブルの皆さんに引き続き、先日は中部大学のマンドリンクラブのギターパートの人達にギターの楽器としての歴史とギター音楽の歴史について簡単なお話をして、DVDで名演奏家の演奏を鑑賞すると言う講座を開きました。そして下記の様なお礼のメールをいただきました。
『先日のギターの勉強会は本当にありがとうございました。とても勉強になり、また良い刺激になったと思います。普段はマンドリン合奏の伴奏パートとしてすることが多く、どうしてもギターの独奏の曲などに触れる機会が少なくなってしまいがちですが、今回の勉強会で皆よりいっそうギターの魅力が伝わったことと思います。これからもいろいろとお世話になることがあると思いますがそのときはよろしくお願い致します。中部大学 林圭祐』
そしてある先生から『それこそブログで紹介したら!』と言われましたのでギターの歴史の部分だけご紹介します。実際にはパワーポイントで要点を纏めてお話をしましたので、話を聞いていただかないと説明が不十分になるのですが、先ず楽器の変遷を年表形式で表すと次の様になります。
1400 4コースギター
1500 ビウエラがスペインで全盛
ヴァイオリン北イタリアで誕生
1600
5コースギターがポピュラーに
1700 アマティ、ストラディヴァリなどヴァイオリン巨匠の全盛期
この頃ギター音楽不振
1800 6単弦ギター確立
欧州の製作者らアメリカへ→新大陸でフォークギター誕生(マーチン)
1900
アメリカでエレキギター出現(ギブソン・ジャズギター)
ルネッサンス時代の4コースギターはウクレレの原型と言われていて調弦もA、E、C、Gとウクレレと同じです。弦長は56cm程あり、1コースのみ単弦で後は複弦で一般民衆の歌や踊りの伴奏に使われていました。
また、ビウエラは6コース複弦の楽器でルネッサンス時代にスペインの上流階級の間で流行りました。他の国ではリュートの方が盛んになったのですが、スペイン人はリュートをイスラム文化の象徴として排除したと言う説があります。これは8世紀初頭から15世紀末までイスラム教徒がイベリア半島を支配し、その間キリスト教徒が国土を奪い返そうとした時期が約8世紀にも及んだんですね。それをレコンキスタ(国土回復運動)と言うのですが、最後のグラナダを奪回できたのが1492年でした。ご存知のようにリュートの前身は中近東の民族楽器・ウードだと言われています。その異教徒の楽器をスペイン人は嫌ったんだと思うんです。
バロック時代になり5コースギター(複弦・1コースは単弦)、弦長は65cmとなります。このバロックギターの特徴としてはその装飾です。サウンドホールのはめ込み細工や周りの花飾りに懲りました。下駒も口ひげと呼ばれる華麗なものも多く作られました。しかし、指板は表板と同じ高さであったり、フレットはガットで結ぶタイプのものでした。そしてバイオリンの隆盛と反比例して衰退して行き、代わりに6コース単弦ギターが出現しました。
つまり4複弦 → 5複弦 → 6単弦となったのが1780年~1810年ごろで、約200年毎に1コースずつ増えた事になります。そして今7弦ギターと言うのもありますね。
また、6単弦ギターになって装飾より実用性が重んじられるようになり、フレットも金属製になります。指板もサウンドホール近くまで伸びて音域が広がっています。このライセンスを持っているのはヨハン・シュタウファーだといわれています。彼は後にアメリカでスチール弦のギターを確立したマーチンの師匠として有名です。この時期にはヨーロッパの製作家が新天地・アメリカへ移住していきます。その中の一人にC.F.マーチンが居たわけです。一方欧州に残った中の一人、アントニオ・デ・トーレス(1817-1892)が19世紀ギターからモダンギターの形を確立したと言う訳です。
以上、数世紀に亘るギターの歴史を一辺にお話しましたので少し長くなりました。お許しを・・・。
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