2007年2月のブログ記事一覧(2ページ目)-ミューズの日記
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先日2月11日(日)にミューズサロン講座『この曲、もっと知りたいな』シリーズ第1回目「禁じられた遊び」が高岡誠さんによって開かれました。
アシスタントとして高岡恵子さんのナレーションあり、映像あり、賛助出演で佐々木響士朗さん、袴田祐希さんの協力を得て、それは楽しい2時間でした。

120インチの大スクリーンに映し出された映画「禁じられた遊び」のオープニングシーンから始まり、映画で使われたテーマ曲以外の作品が演奏されているシーンを次々と紹介。ビゼーのサラバンドとブーレ、アメリア様の遺言、コストのエチュードNo.6、ラモーのメヌエットが流れるシーンが紹介されました。ギター1本の演奏だけで映画を支え、盛り立てることに成功した事を改めて認識しました。フランス映画だけにテーマ音楽とアメリアの遺言を除きフランスの作品を起用したところにも高岡さんは着目し、言及されていました。

「禁じられた遊び」は別名「愛のロマンス」と言う名を持っていますよね。この名前の由来についても高岡さんはこう説明。「禁じられた遊び」が上映される11年前の1941年にアメリカ映画で「血と砂」と言う映画があります。この中では主人公が恋人の家の窓の下でマリアッチの楽団にこの「愛のロマンス」を演奏させ、歌わせて求愛するんですね。これが「愛のロマンス」の曲名の由来ではないかと。その映画のシーンが上記写真の2段目左です。ギターを名手ビセンテ・ゴメスが担当し、他のシーンでは素晴らしいフラメンコを演奏しています。(中段右)この映画も見たくなりました。

その他、A.ラゴヤ、J.ウィリアムス、L.ブローウェルの珍しい「禁じられた遊び」の聴き比べ、ギター・デュオ、トリオによる「禁じられた遊び」の生演奏。そして賛助出演の袴田君をモデル生徒に例えて「禁じられた遊び」の練習に当たってのポイントの解説。そして高岡さんのソロで映画の挿入曲と変わったアレンジでの「禁じられた遊び」の演奏。しかも高岡さん自身のアレンジでタンゴ調に仕立て上げられた「禁じられた遊び」の演奏と、最後に佐々木さんとのデュオでルンバ風「禁じられた遊び」とそれは盛り沢山の内容でした。

これ程に「禁じられた遊び」で楽しめた時間はありませんでした。高岡さんの研究熱心さに脱帽でした。後から参加された方々から賞賛とお礼のメールを頂きました。そして次回は「アルハンブラの想い出」を取り上げていただく事になりました。次回も是非ご期待ください。

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昨日2/10は福田進一マスタークラスがミューズサロンで実施されました。

福田先生のマスタークラスは今回で3回目となります。毎回大盛況で、東京からの受講者を含め7名のレッスンを11:00~19:30まで熱心な聴講者の皆さんが見守る中、非常に楽しくためになるレッスンをしていただきました。普通のレッスンではなく聴講者が居る中でのレッスンですからかなり疲れると思いますよ。でも大演奏家は体力も違います。最後まで丁寧なレッスンをしていただきました。

受講者と受講曲は次の通りで有名な曲ばかりでしたので余計に興味深く聞けました。
浅野 義正  マズルカ/F.タレガ
西山 幸子  アルハンブラの想い出/F.タレガ
竹口 喜久  ソナチネ第3楽章/M.トローバ
上出 聖子  魔笛の主題による変奏曲/F.ソル
生田 直基 「黒いデカメロン」より第一楽章、“戦士のハープ”/L.ブローウェル
中村 公樹  練習曲第1番、第8番/H.ヴィラ=ロボス
折戸 雅尚  リュート組曲第1番よりアルマンド/J.S.バッハ

基本的なテクニックの話から曲の分析の仕方、音楽の組み立て方などとても分かり易く聴いていても大変勉強になります。高度な音楽的なお話ばかりですと初中級者には難しい話になりますが、弦の弾き方から左手の肘の使い方、手首の使い方、セーハの仕方など基本的なテクニックのお話もしながら、音楽の話もしていただけるのですからとても楽しかったです。マスタークラスと言う名称ではありますが、受講者の中には中級者の方もいらっしゃるので幅広い方に聴講していただける内容です。

受講者の中に小学6年生の女子がいるのですが、彼女は今回で福田先生のレッスンが2回目。前回に比べて随分と成長していました。成長しているのを見ると本当にうれしいですね。そして福田先生も子供に分かり易くたとえ話をしながらレッスンするので聴いている大人も凄く分かりやすいんです。皆さんはNHKの子供ニュースと言う番組を見たことありますか?内容は大人向けの内容なれど、子供に分かるように説明するからニュースがとても良く理解できるんですね。丁度あの番組を見ている様なんです。
しかし、聖子ちゃんはこれからが楽しみな少女です。これからも頑張って欲しいですね。応援してますよ。


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和声学あれこれ(4)「自然の響きはメジャー?」

「古池や蛙飛びこむ水の音」とはご存知芭蕉の俳句ですが、今回は俳句の解説ではなく、この「水の音」から色々考えてみましょう。水面に蛙が飛び込むと波紋が同心円状に広がっていきます。なんでもない事のようですが、これが自然の神秘を解き明かす特異な現象なのです。波が空気を振動させてポシャンと音がするのですが、楽器に限らず、物体が音を発生させる原理も全く同じように振動する物体がその周囲の空気を震わせて、その波が耳に届いた時、人間も動物も音として認識する訳です。太鼓やスピーカの原理がいい例でしょう。
即ち音は空気を伝播する波であり、波は空気の振動であり、その音量・高さ・音色は周波数、波形として表すことが出来ます。これを科学的に明快にした人にジョゼフ・フーリエ(1768-1830)というフランス人がいます。有名なフーリエ解析(変換)については道を外れるので興味のある方は専門書をどうぞ。

さて、その耳に届いた音には色々な高さの振動数(物理的には周波数と云います)が含まれています。上記の図には発生した音(基音)に含まれるその他の音が列記されています。
これをじっくり見ておりますと色々な事が判ってきます。例えば図のようにドの音が鳴った時、同時にその周波数の2倍の音も発生しています。そして更に3倍4倍〜とかなり高音まで鳴っています。もっとも2倍音以降の音は非常に小さく、耳のいい人でも3倍音ぐらいまでしか聞こえないでしょう。でも鳴っているのです。
で、今回の話ですが、この内の数の多いド・ミ・ソ(4・5・6倍音)を取り出して和音としました。以外と見落としてますが和声学の本の一番最初に載ってる大事な項目です。

で、この和音明るく心地よい響きですね。自然の中に存在する響きですから当然です。この自然の響き(和音)の構成をみますと長和音になっています。和声学はこれを基本に構成・発展させてきました。また第7倍音を付けたしますといわゆる属七和音になるのはもうお判りですね。長七の和音(この場合♭の付かないシ)よりも短七の和音(属七)のほうが自然で古くから使われてきました。昔の人は耳がよかったようです。
さて5項目目の「11倍音のファ♯と14.15倍音のシが曖昧である」というのは、面白い現象でもあります。11と14倍音は平均律のそれよりもかなり低く、15倍音は幾分低いぐらいですので、バイオリン奏者は高めのシ、低めのシといって音程を捕るのに苦労しているようです。ギターはフレットのおかげで楽ですね。
まあ自然は基本的にメジャー(明るい)ですから何事もマイナーな考え方はやめて積極的に行きましょう。練習も人生も。
次回は「和音は4つの響き・・・・明るく、淋しく、緊張して、のびやかに」を予定しています。
                              服部 修司





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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 村治 佳織 2007年 始動

 ついこの間2007年が明けたと思っていたら、もう2月の声を聞く様になってしまいました。すでに1年の12分の1が過ぎてしまったんですね。
 去年、世界中で大活躍をした村治佳織さんのリサイタルが、1月の25日、愛知県岡崎市の公演から始まって、中部圏から関西にかけて連続5公演、たて続けに開催されましたが、私はそのうち後半の3公演を聴かせてもらえる幸運に恵まれました。つまり岡崎に続き、岐阜が終わったあと、野洲(滋賀県)、奈良、和田山(兵庫県)とご一緒させてもらったというわけです。

 演奏は前半がスペインもので後半がフランスと中南米・ブラジルの作品と、バラエティに富んではいますが、その中でも少し的を絞ったプログラムと云えるでしょうか。紹介していくと1曲目がソルの「魔笛の主題による変奏曲」。いつもながら序奏、主題、そして変奏・フィナーレと、それぞれのバランス感覚が抜群。尚且つ全ての音の粒が揃って音色の変化も絶妙。しかも古典の雰囲気をしっかり保ちつつ。2曲目はなんとトローバの「ソナチネ」全3楽章。彼女のロマニリョスから最初の音が出るまでは、正直言って、この曲を女性が弾くということに、私の中では少なからず違和感があったのですが、彼女はそんな私の偏見を吹き飛ばしてしまいました。
何故私がこの曲を女性が弾くことに違和感を覚えたかというと、大変云い難いことですが、40年ほど前、ジョン・ウィリアムスの演奏で初めて聴いた時から、この曲のなかにダンディといったらいいのか、小粋といったらいいのか、とにかくすらりとしたかっこいい「男」を感じていたからです。(まったく個人的な感想なのでお許しください)しかし、先ほども言いましたように、彼女の演奏は、とてもきびきびしてかっこよくて、すらりとした小粋な伊達男を彷彿とさせるに充分な表現力をもっていました。

次はタレガの作品から、「アラビア風奇想曲」、「アルハンブラの思い出」、「ヴェニスの謝肉祭の主題による変奏曲」と3曲並びます。ことにアルハンブラは私の知る限りではベストですね。特に最初に聴いた野洲公演でのアルハンブラは「神がかり的」といってよいほどの表現力が光っており、私の家内なんかも隣で涙ぐんでいたほどでした。最後のヴェニスの~も、ロマン的ではあってもしっかりと現代の風をはらんで、ただギターのテクニックをひけらかすだけの演奏ではない引き締まったものになっていました。

後半に入っては、まず最初にドヴュッシーの「月の光」(デ・ラ・マーサ編)とラヴェルの「逝ける王女のためのパバーヌ」と編曲物が2曲。その編曲に賛否両論あろうかとは思いますが、特に月の光など、指使いや、音のつながりにかなり無理があることを承知で、デ・ラ・マーサの編曲を実際の音にしてくれた彼女に感謝したい気持ちです。そしてフランスものの最後はお得意の「サウダージ第3番」(ディアンス作曲)。これはもう彼女のパワーと技巧が炸裂。何回聴いても安心して曲の流れに身を任せられます。一変して次のポンセの「エストレリータ」は、今回の彼女のコンサートツアープログラムの中で私の一番のお気に入り。ポンセ特有の郷愁と云ったら良いのか、「歌」そのものが聴衆の心に染み渡ります。そして最後はブラジルのヴィラ=ローボスの「カデンツァ」(ギター協奏曲の中のカデンツァを抜き出したもの)と「3つの前奏曲」(3番、5番、1番)。全て彼女の冴え渡るテクニックと感性が光ります。

彼女のコンサートは、聴衆として見ると何回聴いてもほとんどぶれがなく、今日は調子が・・・といった感じが殆んどみられません。本人にしてみれば一回一回大変な違いがあるのかもしれませんが、とにかくそんなことは少しも感じさせません。しかし、彼女のコンサートに幾度となくリハーサルから立ち合わせていただいてわかったことは、コンサートの何時間も前からの彼女の集中力の凄さです。これにはまったくもっていつも驚かされ、そして頭が下がります。しかし本当は彼女の生活の中で、そのもっと前に、人知れず一人の女性からたった一人の「芸術家」「演奏家」としてのスイッチが入る瞬間があるのかもしれません。会場で開演の何時間か前にお会いして、にこやかに受け答えてくれるとき、彼女の中ではすでにそのスイッチは入っているのでしょう。彼女が意識しているかしていないかは別にして。
彼女はどんな時でもその日のコンサートで弾く曲を全て1回弾き通します。その時の集中力たるや、会場で聴かせてもらっている私が、つばを飲み込むのもはばかられるような気迫です。聴かせてもらった今回の3回のコンサートも、まさにそんな彼女の気迫をまざまざと感じさせられるコンサートばかりでした。いつも、どこへ行っても会場をいっぱいにする大勢のファンは、そんな「がんばりやさん」の彼女に対する神様からのプレゼントなんでしょうね。さて今年はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか。ワクワクする1年が始まりました。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)

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先日(1/31)に上記タイトルのコンサートに行ってきました。
久しぶりに感動する素晴らしいコンサートでした。実はこのコンサートはFM愛知主催で提供がNDS日本電話施設株式会社と言うもので入場無料のコンサートなんですよ。こんな素晴らしいコンサートを無料で提供するNDSとはいい会社ですよね。
ネットで申込んで抽選で当たると言うものなのですが、実は私は当たらなくて諦めていたところ、福田先生のお計らいで入場できたと言う次第です。

CDではお二人の演奏を聴いた事はありますが、やはり生は良いですね。演奏者の息遣い、聴衆とのやり取り、演奏に対しての聴衆の乗り、それに応える演奏者の高揚などなどCDでは味わえないですね。

一部ではドビュッシーのシリンクスとか言うフルートソロで高木さんの並々ならぬ音楽性に酔いしれて、ジュリアーニのフルート・ソナタ作品25をそれはそれは二人の掛け合いでこんなジュリアーニ聴いた事がないと言うような名演。
二部では福田さんのギターソロを3曲、レイスのもしも彼女が訊ねたらと初めて聴いたバイーア女の戯れも流石、福田さんと思っていたら、3曲目のエストレリータが最高の演奏。歌い方といい、テンポ感といい、音色といい、聴衆は完全に吸い込まれていました。
プホールのブエノス・アイレスの雲も良かったけど最後のピアソラの名曲「タンゴの歴史」は今までに聞いたライブ、録音も含めて最高でした。やはり雰囲気に飲み込まれていく中で演奏も聴衆も相乗効果で素晴らしい空間を体験をするんでしょうね。

この演奏会を聴きながら思いました。しらかわホールが満席でしたが、聴衆の大半はギター演奏を聴くのが初めてではないだろうか(私の知っているギター関係者は10人も居ませんでした)。きっとそういう人達にギターの素晴らしさを感じ取ってもらったに違いないと。ギターと他楽器のアンサンブルはギター愛好家だけではなく一般音楽愛好家にも来て頂ける。この様なコンサートはギター愛好家を増やす事に大きな貢献をする筈だと。私にもう少し力がつき、ゆとりも出てきたらこの様なコンサート企画をどしどしやりたいと思った次第です。
こんな素晴らしい演奏家の福田さんにミューズでコンサートやマスタークラスをやっていただける事に感謝しています。またレッスンを受けられる受講者は幸せ者だなあと感慨ひとしおでした。


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