2007年2月20日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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和声学あれこれ(5)
「和音の4っの響き・・・明るく、淋しく、緊張して、伸びやかに」

前回は長・短調の音階の話をしましたが、今回はその上に載せた和音について色々見てみます。
音階の各音を根音(ベース)としてその上に3度づつ音を載せますと図1・2のような三声体の和音(これを三和音といいます)ができます。通常これらの和音を使って曲が作られいるのは既にご存知でしょう。この内、特に基本となる和音はI・IV・Vの和音で主要三和音といいます。ポピュラーでいうスリー・コードです。その他の和音は副三和音といい、主要三和音の代理、または経過的・補助的に使います。さてこの各和音の構成を詳しく見てみますと、根音から三度上の真ん中の音、例えばドミソのミの音(第3音といいます)ですが、根音から全音+全音の長3度の場合とレファラの場合のように全音+半音(またその逆の半音+全音)の短3度の2種類あることが判ります。更に今度は第3音のミからソ(第5音といいます)の間隔も長3度と短3度の2種類あります。そこでこれら長・短を組み合わせを考えますと根音から第5音に向かって1.長+短 2.短+長 3.短+短 4.長+長の4種類の組み合わせが出来ます。

1の長+短を長和音 2の短+長を短和音 3の短+短を減和音 4の長+長を増和音と呼び、最も基本的な和音構成です。なお、長短の和音は完全五度の協和音、減増の和音は不完全五度の不協和音に分類されます。長調の明るい響きは主に長和音、短調の淋しい響きは主に短和音を多用していることによります。叉、減和音の緊張した響きはV(属和音)の代理としてギターではよく使われます。残りの増和音の伸びやかな響きはあまり使われませんが、経過的にはよく出てきます。一度各和音をギターでその響きを確かめましょう。その時第3音を半音上下(#・♭)させますと明るくなったり、暗くなったりします。この事から第3音がその和音の性格を決める大事な音であることが判ります。作曲家はこれらの和音の特徴をよく理解して作曲していますので、明るい長調の曲でふっと暗い和音が響いたら、またその逆の場合も、その時の心理を思い計って演奏しましょう。作曲された意図に近づく第一歩でもあります。

話を戻して、更にまた次の事も判ります。即ち減和音を除いた各和音は或る調の主和音でもあります。逆に考えれば各調の主和音が集まって或る調が構成されているとも云えるでしょう。
従って、各和音は元の調(原調)の近親調の主和音という訳ですから、いつでもそこへスムーズに転調できることになります。 転調についてはいずれまた。
で、結論めいた云いかたをすれば、音楽とは響きの聴く側に与える心理変化や動揺の連続的な効用だと思います。和声学はその響きの理論的な説明です。響きに敏感になりましょう。

次回は「長調・短調合わせて30調、それとも24調?」です。
          
                               服部 修司



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