消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

公務執行妨害

2014-10-23 23:25:12 | 消防・救急
前回の当番は11件。午前中からハイペースで出場していき、お昼ご飯食べたのは16時過ぎ。

その時間になってやっと消防署の食堂にたどり着いたような感じでしたが、そこから10分経たないぐらいでまたまた出場。弁当も残り3口ぐらい残ってたんですが、お腹空いてたと言うのもあるしせっかく嫁が作ってくれたのに捨てるのもったいないし。一気にかき込んで救急車へ向かいました。

結局夕食も翌朝もいつもの時間に食べれませんでした。ずれる時は3食ずれてしまうものですね。


今日は『公務執行妨害』のお話。

先日のコメント欄でのお返事で少しだけ触れたんですが、私がケガを負わされた時のお話を書いてみようと思います。


もう日も変わってだいぶ経ってましたかね、もう空は明るかった時間帯。

路上に若い男性が座りこんで動かないが、呼吸はある模様との内容で出場。

時間帯的に、年齢的にも酔っ払いか?とも思いながら出場。近くまで行ったら案内人の誘導もあり傷病者と接触。

案の定、アルコール臭もするし意識もはっきりしない状態。パッと見て顔色とかは悪くなかったし、呼吸状態も普通。橈骨動脈(とうこつどうみゃく、手首のところで触れる動脈)も充実しているので緊急性は無さそうな感じ。見た感じ、ケガしていることも無さそうでした。

いきさつまでは聞けませんでしたが、名前と住所は言えた。聞けば出場先からどうやら家もすぐ近く。病院も行かないようなこと言ってたし、家もすぐ近くだから送って行く旨を伝えました。

距離にして20mぐらいの場所。支えながらも歩いてたんですが、そこで何やら職場の不満だったんでしょうかね。ブツブツ言い始めたかと思いきや道路にある看板やら民家の塀を叩きだす始末。

そんなことしちゃダメだよって止めにかかれば、今度は私ともう一人の隊員と取っ組み合いになりました。その際に私は負傷、たいした量ではないですが出血を伴うほどのケガ。

さすがにやりかえせないので抑えつけることに専念。一部始終見ていた近所の住民の方も止めに入ってくれました。

うちからも即110番通報したし、後から聞いた話だと他の近所の住民も110番したらしい。

ほどなくして警察官も到着。(こういう時来るの早いんだよね)最後まで暴れており警察官も4人がかりぐらいで抑えつけてたのかな。もう救急の用じゃなくなったのでそのまま警察署へ連行されていきました。


その後はもう業務続行不能となりましたので我が救急隊は欠隊。警察から現場で事情聴取を受けました。

ケガ自体大したことなかったんですが、病院に行かねばならなくなり。で、病院終わったら今度は警察署へ行って再び事情聴取やら何やら。この時に被害届も出してやりました。

今後どうなるか分からないけど、泣き寝入りもしないしこういうのはきっちりやっておいた方が今後のためだと思うのもあって。とにかく私としては毅然とした態度、対応でやりたいと言うのもありました。


後日、上司から『(事件の)当事者が明日謝罪に来るから』と。

釈放されてそのまま消防署へ謝罪に来たらしいのですが、当の私は休みのため不在。なので出勤日に改めて来るとのことでした。

別室で改めて謝罪を受けた後、今後のことについてもお話を。とりあえず被害届は出してあるままでしたので、これを今後取り下げるかどうかについても。


結論を言えば、示談が成立しましたので被害届は取り下げました。

組織としては事件のため欠隊になり、消防力に影響が出たこと。個人的にはやっぱりケガを負い病院に数日通わなくてはならなくなったこと。その辺りの謝罪は受けたし、釈放後すぐ消防署へ謝罪に訪れたこと。

まだ年齢も若いし、前科がつくのも今後の人生に少なからず影響が出るのかな、と。色んな事を考えて、思っての私なりに出した結論で、被害届は取り下げました。

上司は、組織としての謝罪は受けたし、後は私の意志に任せるとのこと。許せないと思うのなら被害届は取り下げなくても良い、全て任せるとのことでしたが、納得の上で取り下げ。本当に良いのか?と聞かれましたが、構いません、と。

当然、そこに至るまでに思ったことは全て加害者に言わせてはもらいました。自分の行動がこれだけ大きな事件になり、色んな人に迷惑をかけたことを重く受け止めてるようでしたし、私も言いたいことは言わせてもらったのでこれ以上追い打ちをかける必要もないだろうと。

警察署に数日留置されたり、その間色んなところで影響が出たりで十分制裁も受けただろうから。


最後は示談書と念書にそれぞれサインして、この事件は終わりました。

まだ若いし、やり直しも十分できる。大きなお灸を据えられたと思いますが、頑張って欲しいですね。


負傷するまでに至らなかったけど、危なかったなと言うのも何度か。交通事故現場では活動している横を車が結構なスピードで走り抜けて行ったりしますし、結核疑いという情報も知らぬまま接触してて、後日検査を受けに行くハメになったこともあるし。(結果はシロでしたが)

あとは人と接することが多い分、それにまつわるトラブル関係も多い。刃物振り回す事案も何度もあったし、私の目の前に包丁突きつけられたこともありましたっけね。

そんな危険と隣り合わせで仕事をしております。


頂いたコメントにお返事をする中で、そう言えばこんなことあったなって思いだしたので書いてみました。

この仕事の裏側って言うわけでもないんんですが、こんな一面もあるよってことを知ってもらえたら…と思います。


明日は仕事です