前回の記事の続き。
最終同意面談後、術前検診のお知らせと骨髄採取のために入院する病院の案内通知が届く。
確認検査、最終同意を行ったがんセンターではなく、そこからまた少し離れた海の見える大学病院でした。
実は最終同意の面談日を決める前に、あらかじめ同意が取れた場合の手術の日程を聞いていました。
確認検査の段階でコーディネーターに、私は健康面で問題が無い限り辞退はしないし、両親も必ず説得しますからと伝えていたので、最終同意も取ってない段階で『ご相談』と言う形で日程を教えてくれたのでしょう。
早い段階で手術の日程が分かってた方が休みの申請もしやすいと言うメリットもありましたし。
手術を受ける1ヶ月程前、大学病院へ行き手術前の検診へ。
血液検査に始まり、胸部レントゲン、心電図検査、尿検査、内科検診、そして肺機能検査。この肺機能検査がキツかった。
肺活量を計る機械に、最初は普通に息を吸って吐く。2回目は限界まで息を吸って、限界まで息を吐く。
上手くできなかったのか再度やり直し。また限界まで息を吸って、限界まで息を吐く。
終わった後は頭がクラクラしました。だけどここで肺活量の自己最高記録達成。
こんなところで記録だしてもしょうがないのですけど・・・
検査が一通り終わり、結果を待つ間コーディネーターと話をしました。
これからの手術に向けての注意事項と、今回移植を受ける患者さんのことを。
健康管理:風邪を引かないようくれぐれも体調管理には気をつけること。薬も飲むときは必ずコーディネーターか医師に相談する。
献血:自己血の採血があるので献血はしないこと(コーディネート開始時からでしたが)
喫煙:麻酔時に痰が出やすくなり、呼吸機能に障害をきたす可能性が高いため控えること。
飲酒:肝機能に影響がでることもあるので、暴飲は控える。
妊娠:妊娠するとドナー及び胎児の健康と安全のため骨髄採取ができなくなる。
海外渡航:感染症予防のために1ヶ月前からは控える。
スポーツ:筋肉運動は控える。運動によって血液検査の結果に異常が出る場合があり、運動による異常値なのか、病的なものかの判断が難しく、患者さんが移植の準備を始めているときは緊急事態となってしまうので注意が必要。
と、骨髄提供者向けの説明書に書いてありました。
私はタバコは吸わないし、お酒もあまり口にしない。男なので妊娠もまず無い。
しかしスポーツでは無いが、職業柄(消防隊員)筋肉運動することは十分に考えられる。
いつも行っているトレーニングはやらなければ良いだけの話ですが、災害出場の場合はそうは行かない。
手術が終わって復帰するまでどうか災害がないことを祈るばかりでしたが、そんなときに限って災害は待ってはくれない。
図面を取るために現場検証などで、時間がかかりましたが、消火活動自体はわりとすぐ終わったので助かりましたが・・・。
そしてコーディネーターから相手の患者さんの情報を聞く。
相手の患者さんの情報は、最終同意後ドナーが希望すれば教えてもらえることはできます。
ですがドナーと患者さんのプライバシー保護。骨髄バンク事業の公正さを保つために、お互いの住所・氏名は知らされません。
教えてもらえるのは居住地域・年代・性別だけ。
例えば、『関東地方に住む20代の男性』のように詳しくは分からないようになっています。
お互いのプライバシーのためにここでは居住地域を明かしませんが、患者さんは10代の女性とのこと。
10代とひとくくりに言っても幅は広い。まだ小学生の可能性もあるし、中学生・高校生・大学生かもしれないしもう就職してる可能性もある。確実に言えるのは私よりまだ若いこと。
10代なんて一番元気があって楽しい時期なのに・・・
私の不注意で移植ができなくなるなんてことの無いよう、普段の生活、災害活動にはものすごく気を遣いました。
検査の結果、特に異常も無し。とりあえずホッとしました。
そして手術担当の医師から手術当日の流れの説明。
今回の手術で私から採取する骨髄液の量は750ml。
それだけの量を一気に抜いてしまうと貧血を起こしてしまうため、前もって自分の血液を400ml抜いておき、手術当日に輸血と言う形で自分の体内に戻す。
手術前から比べて、マイナス400mlまではOKとのことでしたので、自己血は400mlだけ抜く。
採血室に行ってただ血を抜くだけなのに、私の周りに人がぞろぞろと来る。
医学部の学生さん?研修医?私とそうそう年齢は変わらなさそうでした。
カルテを物珍しそうに見て、そして手術担当の医師が私の手術の日程を学生にメモを取らせているのが印象的でした。
この年齢でドナーになるのが珍しかったのかな?たぶん当日見学させるために、担当の医師も学生に私の手術の日程を言ったのかもしれません。
ちなみに、自分の血液を自分の体に戻すので輸血を受けた回数にはカウントされないとのことでした。
そして当日の手術の際は全身麻酔ですので、1度麻酔科を受診してくださいとのこと。
術前検診に行った日は麻酔科の診察がやっていなかったので、後日改めて麻酔科を受診しました。
改めて行った麻酔科検診の日は、コーディネーターは別の方のコーディネートがあるらしく、私一人で検診へ。
ここで全身麻酔の方法と体に起こること、及びその危険性の説明がありました。
全身麻酔中は眠った状態になり意識は無くなり、自律神経の活動が弱まるとのことなので呼吸も弱くなります。
呼吸を管理するために気管挿管をして人工的に呼吸を管理する。
気管挿管をするときに歯が欠けてしまうこともある、喉に管を通すので手術後に喉の痛みや違和感が多少ある。
麻酔でショック状態になる可能性も否定できない。
このような説明をしたあと、また同意書を書く。
もう何度、同意書を書いたのだろうか・・・
麻酔科の受診も終わり、自己血採取も終了。次に病院に行くのは入院の日。
この時点で手術まで約2週間。きっと相手の患者さんは今頃、前処置で苦しい思いをしている。
自分の白血球を限りなくゼロに近くなるまで叩くので、ほんのちょっとの細菌感染でも命取りになる可能性もある。
きっと無菌室で辛い毎日を過ごしている頃でしょう。
辛い前処置を乗り越えて、無事移植の日まで頑張って欲しいと思いました。
次回へ続きます。