それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

勝手に音楽ベストヒット2010(邦楽のみ)

2010-12-25 19:35:15 | コラム的な何か
みなさん、こんにちは。

クリスマスって、イブにカップルで過ごした場合、翌日(つまりクリスマス当日の夜)、ひとりで過ごしたり、家族と過ごしたりしてもいいものか迷う今日この頃です。

と言っても、今年の私には全く関係ありません。私はここにきて研究のエンジンがフル回転しています。

今日のタスクをかなりこなしたので、毎年恒例(ウソ)の「勝手に音楽ベストヒット」をお送りします。

今年も色々な曲を私は聴きました(どうでもいい)。そのなかから、各部門ごとに賞を授与していきたいと思います。

別に今年発売されたとは限りません。下手すると古い曲がセレクトされます。洋楽を入れると選ぶのがかなり面倒になるので、邦楽に限ります。要するに、僕が今年聴いた邦楽曲です。



では、早速最初の賞の発表に入りたいと思います。

■「なんかツボにはまっちゃって無限リピート」大賞

受賞は・・・・

「普通の恋」 菊地成孔 feat. 岩澤瞳  

です!

授賞理由:
菊地成孔のSpank Happyというプロジェクトが、渋谷系の発展型のようなシャレオツなサウンドに乗せて、かなり毒のあるラブソングを歌いあげました。

とにかく詞がいい。詞が秀逸。心に問題を抱えた男女が見事に描かれており、その視点と描写は非常に刺激的であり、かつ説得力のあるものでした。

曲はもうかなり前のものです。でも全く古くない。古くなる様子が全くない。またこういう曲を菊地さんが作ってくれることを期待しつつ・・・、次の賞に移ります。



■「おそらく次世代のポップス」大賞

受賞は・・・・

「ミス・パラレルワールド」 相対性理論

です!

授賞理由:
曲の構造は非常にシンプル。しかし、グルーブがしっかり出ています。このバンドは一見すると非常に雑な演奏だと思われがちですが、グルーブ感がいい。

曲によってはファンクやらレゲエやらが薄めて入っています。そのセンス。

さらに、その特長として指摘しなくてはいけないのが詞の世界。二次元、ファンタジー風の世界観は、ありそうでなかった。しかも、ボーカルのアニメ声のつぶやき歌唱とぴったり。

本作もまさにこうした良さにあふれた楽曲になっています。



■「ファンクはまだ死んでないよ、姉さん!」大賞

受賞は・・・・

「Quick Sand」 Osaka Monaurail

です!

授賞理由:
良いです。とにかく良いです。非常に古典的なファンク。しかし切れ味抜群。うまい、めちゃうまい。隙がない。日本のグループでこれだけのグルーブを出せるとはすごい。

これからもどんどん聴いてみたいグループです。



■「とても上手なカバー」大賞

受賞は・・・・

「日本の人」 Sakerock + 寺尾紗穂

です!

授賞理由:
HISの「日本の人」のカバーです。オリジナルは、細野晴臣、 忌野清志郎、坂本冬美(HIS)という超豪華なメンバーで演奏されていたわけですが、このサケロックと寺尾紗穂のカバーは全く負けていないと思います。

曲がサケロックのきわめて日本的な(のんびりした)ファンク(?)と非常に相性がいい。同時に、寺尾紗穂の声ともぴったり。

このカバー自体は2年くらい前ですが、これからも両者の活躍に期待したいです。



■「ミッシェルガンエレファントが解散しても、ゆらゆら帝国が無くなっても、Jロックは不滅です」大賞

受賞は・・・・

「新しい化学」 嘘つきバービー

です!

授賞理由:
ここには色々ノミネートされていたんですが、これが勝ちました。MO'SOME TONEBENDERとか、黒猫チェルシーとか、アンディモリとか、おーっと思ったんですが、僕は嘘つきバービーが好きです。

特にこの曲は秀逸。リズムはファンクっぽい感じだけど、ノイズの具合などなどやっぱり強烈なロック。歌詞もあり得ないくらいロック。メンバーはそれぞれ手練手管。3ピースの良さが本当に良く出ています。

抽象的な言い方になってしまいますが、パンクらしい青筋立てて出てくる破壊力ではなく、「ニコニコしながら、しなやかに出てくる、ものすごい破壊力」を持った恐ろしいグループです。これこそロック。ゆらゆら帝国にちょっとだけ似ています。



■「メガネ・ロック」大賞

受賞は・・・・

「ソラニン」 アジアン・カンフー・ジェネレーション

です!

メガネ・ロックっていうジャンルがあるとか無いとか言われていたそうですね。もう古い言い方なのでしょうか。ここに入っているのは、アジカンはもとより、大御所のくるり、ゴーイング・アンダーグラウンド、ビート・クルセイダーズ(解散してしまった!)などなどが入っています。

ですから、非常に非常に競争率が高い。

はっきり言って、くるりがノミネートしまくりです。くるりが優勝していると言ってもいい。しかし、あえてアジカンです。

なぜか。「ソラニン」はマンガですが、それが映画になって、その主題歌がこれ。原作の漫画が好きで、まさかその中に出てくる詞に曲がつくとは思わなかった。しかも、それがとてもいい。人によっては、「イメージと違う!」と言うでしょう。でも、あの(若干中途半端な)詞にこれだけ良い曲をつける彼らはすごいですよ。

原作のストーリーは、この曲が軸になって展開します。原作漫画はストーリー中、この曲で奇跡を起こしたりしないという点で非常に映画化に向いています(Beckとか、20世紀少年とかと違う点)。ただ、これレコード会社に送ったら、すぐにデビューできるんじゃないかと思ってしまうわけですが・・・。



あと、残すところふたつです。

■「日本のヒップホップは進化し続ける!」大賞

受賞は・・・・

「トーキョーショック」 ライムスター feat. COMA-CHI

です!

この曲はバックトラックが非常に変わっています。変な音が沢山使われています。骨の部分の音色は非常に軽い。そこに合わせてノイズをとてもうまく使っています。

トラックの東洋風のスケールは、この曲のテーマそのもの。「西洋が自慢されたいジャパン」です。

「日本と言えばこれでしょう」とアメリカ人やヨーロッパ人が思うことを思いっきり歌いあげることで、外側からの(若干無理解な)視線への皮肉とも取れるし、日本が知らない間に築き上げてきた、「日本人の知らない日本文化」の歌のようでもある。

「日本人が知らない日本文化」と言えば、そもそも日本のヒップホップというものが、おそらくアフリカ系アメリカ人から見れば珍妙な音楽なのであって、そのジャンル自体が持つ珍妙さと、歌詞の珍妙さがぴったり(?)

アーティストのライムスターはもちろん上手なのだけれども、フィーチャーされているCOMA-CHIが非常にいい。

この人はラップもできるし、歌もうまい。フローを作るのがとても上手で、とにかくリズム感がいい。貴重な女性ラッパーであります。



そして、最後の賞の発表です。

■「まさかの胸キュン。ラブソング」大賞

受賞は・・・・

「アイ」 秦 基博

です!

この世はラブソングだらけですよ。だから、選ぶのもどうかなと思ったんです。ベタだし、多すぎるし。しかし、あえてこれを選びましたょ。

だって良い曲なんだもん(涙)どストレートなメロディと歌詞です。きれいな歌声です。

あとポイントは、これが希望にあふれた感じの、広がりのある感じの曲であるところが非常に良かった。失恋ソングとか、失恋直前ソングとか、そういう名曲って結構あると思うんです、特に最近は。

この恋愛最中で、かつ幸福感に溢れた、晴れの日の朝、しかも結構朝早い感じのさわやかな歌はなかなか無い。くもりがない。こういう歌が似合う青年になりたかった(笑)でも、なれなかった(涙)

この曲は2010年の1月に発売だったんですが、ちょうど一年近く前の冬に僕はこれを寮で熱唱してましてね。その冬のにおい、寮の暖かい空気、外のちょっとだけ凛としまった空気を思い出しますね。いい思い出になってます、もう早。

いい曲(涙)



おまけ
■「ベスト・オブ・音楽番組」大賞

受賞は・・・・

「憂鬱と官能を教えた学校TV(スカパー・フジテレビ)」菊地成孔&大谷能生

です!

この番組はスカパーなどでしか見られない有料放送です。

初回3回をイギリスにいながらにして見ましたが、すごいです。こんなすごい音楽番組みたことがない。

彼らは音楽の構造を本気で教えてきます。いわば音楽の放送学校みたいなものですが、内容が秀逸。

スケールやコードの構造を基礎から教えるだけでなく、楽曲の構造を徹底的に分解。さらに歴史、哲学をはじめとする社会科学全般の情報まで面白おかしく伝えてきます。

坂本龍一の「スコラ」の玄人版と言ったら失礼かもしれませんが、内容が濃いです。濃すぎます。音楽を本気でやっている人にも、社会科学を勉強している人にも新しい発見がきっとあるはず。

スカパーが見られない人は、このTVのもとになっている、文庫本になったばかりの『憂鬱と官能を教えた学校』(菊地・大谷)を読みましょう。

今年は既出の坂本龍一「スコラ」(NHK)や「僕らの音楽」(フジテレビ)など、非常に豊かでした。

前者は複雑で多様な現代の音楽をまとめる非常に重要な坂本龍一のプロジェクトの一環でした。

後者はライブ感、アーティストの個性(そして実力)を生かした素晴らしい番組作りを行っていたと思います。

また音楽解説・紹介番組は他にも高いレベルのものがあったと思います。しかし、そのなかでも「憂鬱と官能・・・」は群を抜いてレベルが高い。おめでとうございました。





いかがだったでしょうか。最後まで読んだあなたは偉いとしか言いようがないです。

なんとも言えない選曲だったでしょうか。それともピンときたでしょうか。たぶん、ピンと来ていないと思う。少しだけピンと来た人もいると思う。

どっちでもいいです。でも、書いておくことに意義がある。それがブログ。

では、ごきげんよう。