森男の活動報告綴

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月刊ホビージャパンに四式自走砲・ホロの作例が掲載されました&追悼・狩撫麻礼

2018年01月28日 | 模型の話題
先日発売されました、月刊ホビージャパン3月号に、模型のお仕事が載りました。ファインモールドの「1/35 四式自走砲・ホロ」の作例です。興味のある方は是非ご覧ください。

こちらが誌面です。見開き2ページです。


表紙です。そういえば、ホビージャパンはセブンイレブンでも売ってますね。昔のことを考えると、コンビニに模型雑誌が売られてるのって、なんか不思議です。仕事の帰りにビールを買いに寄ったとき、自分の作品の掲載誌が棚にあったら「ドキッ」とします(笑)


誌面の都合で紹介しきれなかったことはアレコレあるのですが、ひとつだけフォローさせてもらいます。九七式車載重機は、キットに同梱されているのですが、インストでは使用するようになっていません。でも、アーマーモデリングの13号(1999年)の連載「帝国陸軍機甲部隊の塗装と識別標識」(ホロの紹介記事)では「フィリピン戦線では戦闘に備えて常に托架に装着されていたようだ」とあります。なので、作例では装着した状態にしました。まあ、事実がどうであれ、とてもよくできているパーツですし、何より装着してたほうがカッコいいですからね(笑)。あと、機銃のようなちょっとした部位でも、全高が増しますと、全体の印象が変わるような気がします。少しでも変化を付けたい場合には有効なんじゃないかな、と。

托架の基部はキットのもので、パイプ部分は洋白線で自作。打殻受(空薬莢受け)もエポパテで自作しました。以前書きましたけど、この托架のパイプ部分がへの字型に曲がってるのって、自重で下がった状態で打殻受を逃がすためなんですよね、多分(多分、ですよ)。打殻受を着けてみるとよくわかります。

ついでに書きますけど、九七式はZB26のコピーです。閉鎖機構からなにから、まんまです。でも、ストックが必要に応じて折り曲げられたりするなど、びっくりするくらいゲーコマに改良されています。この辺は、ただコピーするだけでは済まさない日本人の面目躍如、という気がしますね。逆に、巷で言われているように九六式軽機はZB26のコピーでは断じてありません。こちらは閉鎖機構から何から、全然違います。そもそも、トライアルの段階で九六式の試作(A号)とZBのコピー(B号)が作られ、A号が採用されたので、何おかいわんや、ですね。これも以前書きましたが、誤解が払拭されるまで何度でも書きます(笑)。勝手な解釈なのですが、九六式は十一年式の不具合を、ひとつひとつきちんと潰していった銃、というような気がします。十一年式では露出しているエジェクターにカバーを付けるなど、よく見るとそういう箇所があちこちに見られます。

閑話休題。で、このキットはとても素晴らしいです。最高ですね。記事にも書きましたが、とてもカッコいい車両ですので、旧軍車両ファンならずともお薦めです。ファインモールドさん、ほんと偉い!です。おかげで旧軍車両の穴がかなり埋まってきました。ついでに(?)リクエストすると、やっぱりナト車は欲しいですねえ、、。これ、スクラッチしようと思ってるんですけど、めちゃくちゃ大変なんですよね、、。お願いします!!


次の話題です。
漫画原作者の狩撫麻礼氏が1月7日逝去されました。膝から崩れ落ちるくらいショックでした。

好みの偏りはありますが、私は漫画が大好きです。好みの基準は漫画家さんの絵柄と作風でして、基本的に原作付きかどうかや、原作者についてもあまり気にしてません。原作者の方には大変失礼なのですが、そういう方は多いんじゃないかと。でも、狩撫氏だけは例外でした。この方が原作をされた漫画は、あまり好みではない漫画家さんの作品でも読んでました。っていうか、読む価値がありました。そういう意味でも本当の作家でした。

学生の頃(19歳くらい)、漫画好きの先輩が「へこたれそうなときはこれを読んでる。読んだらシャキッとする」と「ハード&ルーズ」(画・かわぐちかいじ)を貸してくれました。それ以前に「リボルバー」(画・松本大洋)や「天使派リョウ」(画・中村真理子)を読んでいて、「狩撫麻礼という、なんか一味違う漫画原作者がいる」ということは知ってはいたのですが「ハード&ルーズ」は別格でした。大げさかもしれませんが、これを読んでから、それまでぼんやりしていた世の中の見方や構え方、捉え方がくっきり・はっきりとした形になったんですね。

人って、子供から大人になるに従って、ぼんやりながらでも、自分なりに生き方の指標というか方針というか、なんというかそういうものを勝手に作り上げていくものだと思います。さっき書いた世の中の見方や構え方も同様です。でも、それは自分の中でなんとなく醸成されたもので、あくまでぼんやりとしてます。なので若いうちは「こんなんでいいのかなあ」と、いまいち確信が持てなくて、フラフラしてしまうものです。で、そういう人間に対して、あるひとつの確固たる生き方や世界観を「俺はこういう風に考えて生きてんだよ。どうだ?」と、「作品」として提示するのが「創作者」「作家」「芸術家」(呼び方はなんでもいいです。でも、「クリエイター」や「アーティスト」とかのカタカナは不可(笑))の、大切な仕事のひとつじゃないかな、と。狩撫氏の作品は、ぼんやりとフワフワした私の未成熟な精神に、「筋肉」を付け、「背骨」を入れてくれたような感じでした。

まあ、要するに「ハード&ルーズ」を読んで「ああ、俺はこれでいいんだ!間違ってないんだ!」と思わせてくれたんですね。そういう作品って、なかなかないです。中学生の頃、ブルーハーツを初めて聴いたときも、同じような感動を覚えました。ブルーハーツ同様、あの頃にこれに出会えて、本当に良かった、と思います。しかし一方で、そのせいでレールが逸れちゃったような気がしないこともないのですが(笑)、まあそれもコミコミで良かったんだろうな、と。

「COMIC GON! Vol.5」(ミリオン出版)で、狩撫氏のミニ特集が掲載されてます。FAXインタビューもあります(対面インタビューを断られて、そうなったとのこと)。恐らく、これが唯一の「インタビュー」でしょう。狩撫氏からすると、私のような一ファンの思い込み自体が迷惑なことなんだろうな、と思わされるような内容です。「あなたの作品が好きなんです!」というようなヌルい思いを、パーンとはじくような、ヒリヒリした感じがします。この辺は作品と同じですね。結局のところ「お前はお前でキッチリやれよ」ということなんですよね、多分。例えばこうやって、一ファンが語ること自体が無粋だという(ファンの人ならその辺の感じ、分かりますよね(笑))。

で、「ハード&ルーズ」はたまに読み返しています。今も読み返してるのですが、数十年前の漫画とは思えないです。セリフの一つ一つがグッときます。ほんとうに「核心を突いている」んですよね、、。ちなみに、写真のは新装版です。もし買うなら初版版がいいですよ。初版版は最終巻に、土岐のインタビュー(ページの穴埋め用でしょう(笑))が載ってるのでお得です。「ボーダー」(画・たなか亜希夫)や「タコポン」「ハード・コア」(画・いましろたかし)なども素晴らしいです。ほんと、お薦めです。

とはいえ、漫画でも映画でも音楽でも、人によって受け止め方は全然違いますので、私がいくら「凄い!」といっても、ピンと来ない人は来ないと思います。その辺はご了承ください。でも、ちょっとでも興味を持たれた方は是非読んでみて下さい。お気づきの方もおられるでしょうが、お薦めしている割には、ここまで私は氏の作品を解説するようなキーワードをほとんど入れていません。ありふれた言葉で表現できないんですよね、、。わかってもらうには読んでもらうしかない、という。でも、えーと、なんかひとつ書くとすれば、自身の経験からするとブルーハーツに感動した人は読まなきゃアカン、と思います(笑)

最新作の、連載中の遺作となった「大川端探偵社」(画・たなか亜希夫)は探偵社を舞台にした「狩撫節」全開の内容で、たまらんでした。たなか氏の絵柄(これがまた素晴らしい。「漫画の絵」の可能性を新たに開いたんじゃなかろうかと)とぴったり決まっていることもあって、新刊がほんと楽しみでした。本当なら、氏の存命中にこういうことを書きたかった(微力でもPRになるわけで、、)のですが、ついつい延ばし延ばしになってました、、、。

狩撫麻礼氏のご冥福を、心よりお祈りいたします。ほんとうにありがとうございました。確かに受け取ったバトンを、落とさないようにしっかり持って、自分なりにキッチリとやっていきたいと思います。









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