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~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

想像ラジオ

2013-04-14 15:20:28 | 日記
先週の新聞の書評に、いとうせいこうの「想像ラジオ」が載っていて

何だか気になり、すぐ買って読んでみました。

大震災で津波にのまれた主人公が、杉の樹のてっぺんで自分が

生きているのか、死んでいるのか分からないまま想像力を電波に

ラジオ番組を流し始めるという、とんでもなシチュエーションの

小説です。

脚本かと思うほど、会話で話が進められ、浅田次郎の作品のように

場面が立ち上がってくるわけでもない、必要なの?と思う場面も

あるのに、なぜか心に引っかかりをつくっていく作品なのです。

死とは死者とはなにか?読んでいると、このテーマが心の底に

低音で響いてくる…

震災で亡くなった人達は、自分の死さえも認識できないうちに

逝ってしまったのかもしれません。

フィクションなのに、リアリティーを感じる不思議さは

なんだろう…

書評を書いた中島岳志氏は「いつからかこの国は死者を

抱きしめていることが出来なくなった。それはなぜか?

生者が死者の声をキャッチするのは、悲しみが湧く時だ。

それは、不意にやってくる。

あとは耳を澄ますことができるかどうかだ。」と書いています。

生者が死者の側に立つことはできないけれど、想像してみる

ことは出来るかもしれない…

耳を澄ませば、雑踏の中に、風のざわめきの中に言葉には

ならない声があふれているかもしれない…

フィクションの中のリアルは、もしかしたら真実かも

しれないと思えた本でした。
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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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続いています (山 すなお)
2013-04-16 18:49:57
原発問題は、少しも終息なんかしていなく続いているんですよね。
田中優さんのお話は聞いたことがありますが、小出先生のお話、私も聴いてみたいです。
映画も、よさそうですね。

想像ラジオは凄く感動したというのではなく、いつまでも心に引っかかるものを残すのです。
街を歩いていても、ふっと思い出すのです。
不思議な本です。
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日曜日に (おかげさま)
2013-04-15 13:35:21
よい作品に出逢えたのですね。

は 心の栄養になったりサプリになったり 想像力を豊かにしてくれたり、考えるきっかけ 変わるきっかけに 様々な面で 役に立ちますよね


昨日 友人が誘ってくれたイベントに 小出裕昭さん 田中優さん 岩上安身さんの講演がありましたが有料だったのでパスして 無料の映画を見ました。チェルノブイリ事故のあと ドイツの小さな村で 大企業である電力会社と政治家相手に勇気ある行動をし 長い年月をかけて、脱原発をした人たちの話です。原発 放射能のせいで命を落としたり 病気になった人々の存在を無駄にしないこの村人たちは 本当にすばらしいと思いました。


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