minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

「夕焼け」を想いながら・・・

2008年09月02日 | 家族の日常
「あれ?少し太りましたね。」

鍼灸師の竹村先生に言われてはっと気がつく。そういえば、昨日いつものジーパンがきつくてボタンをとめるのが困難なくらいだったのだ。やはり太ったのか(って自分で気がつけ)。太ったと言っても腰回りのみ。胸はあいかわらずなのに。やばいじゃん。

「いやあ、韓国であんだけ飲み食いしていたから、日本に帰って恐ろしかったんですが、全く太ってませんでしたよ。」
「うんうん。」
などと先日、新ちゃんとトシキが会話していたのを横で黙って聞いていたのだが・・・。一緒に何故かうんうん、とうなずけなかった私。うすうすは感じていたのか(汗)。

焦りを感じながら、バスと電車を乗り継ぎ横浜桜木町まで打ち合わせに急ぐ。久しぶりに乗った東横線は通勤時間で混んでいた。40分間立ちっぱなしだったのと、異常にクーラーが効いていたので気分が悪くなる。一番後ろに乗り込んだから車掌さんの顔が見えているのでよっぽど、クーラー弱めて下さいってお願いしようかと思ったけど・・・気の弱い私はただただ吐き気を我慢しながら、必死に外の夕焼けを眺めていたのでありました。でも久しぶりの夕焼けはとても綺麗だった。出かける前にmixiでさがゆきさんのところに夕焼けの写真がアップされていて、そう言えば夕焼けを最近見てないなあ、って書き込んだばかりだった。そして中学の教科書で読んだ「夕焼け」っていう詩を思い出した。

殆ど詩を読む事のない私が、めずらしくその詩を思い出したのは、10月12日(昼間)に行われる『横浜詩人会創立50周年記念」のイベントの顔合わせに行く途中だったからです。

2人の横浜の代表的な詩人、山田今次氏と近藤東氏(どちらも故人)の詩を劇団民藝の役者さん2名が朗読し、そこにサックスで絡む、というもの。全くの初対面の方達ばかりで少し緊張。さすが、舞台の役者さんって発声が良いなあ、とお喋りを聞くだけで感心。短い言葉一つ一つを丁寧に検証していく役者さん達の真剣な作業に圧倒されました。私に関しては「ここで演奏してください。音(内容)は適当に」って言われ・・・(苦笑)。ま、即興だしw。本番はどうなる事やら???ドキドキ&楽しみです。


「夕焼け」 吉野弘


いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりがすわった。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘はすわった。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
また立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘はすわった。
二度あることは と言うとおり
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
かわいそうに
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッとかんで
からだをこわばらせて――。
ぼくは電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持ち主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
なぜって
やさしい心の持ち主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇をかんで
つらい気持ちで
美しい夕焼けも見ないで。