実務家弁護士の法解釈のギモン

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債券管理会社の訴訟追行権(3)

2016-08-17 16:41:12 | 最新判例
 一審判決は、原告である債券管理会社が主張していた任意的訴訟担当の理屈を認めず、訴え却下となっていた。控訴審でも同様だったようである。これに対し、最高裁は、任意的訴訟担当としての当事者適格を認め、訴訟を一審に差し戻したのである。
 判例が任意的訴訟担当を認めた一事例として重要な判例として位置づけられそうである。

 が、この判例で私が注目したいのは、会社以外の組織が公衆に対して起債をする方法である。
 会社が債券を発行する方法は、社債として発行することが会社法で認められている。
 それでは、会社以外の組織が債券を発行する方法があるのか。例えば、長期信用銀行においては長期信用銀行債の発行を認め、資産流動化法で特定社債の発行を認めるなど、個別の法律に基づいて債券の発行を認めている例はあるが、一般的に公衆に対して起債をすることを認めた法律は存在しない。
 学校債という債券(?)が発行された実務例があるが、根拠規定はよく分からない。また、今回の最高裁判例の事例でもあるサムライ債は、外国企業や外国国家が日本国内で日本法を準拠法として円建てで発行する債券のことであるが、そこでいう準拠法も実は曖昧なのである。

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