以上のように見てくると、無効・取消の場合の原状回復義務を新に規定するという根本の趣旨は、実のところ不当利得法の改正なのであり、不当利得類型論を一定程度明示的に認め、その手段として給付利得の場面を不当利得から抜き取って原状回復義務を規定するという方法で給付利得の返還を一本化するという法改正ではないかと思われるのである。
そして、給付利得の返還の内容について、不当利得法から離れた原状回復義務の内容として独自の解釈が成り立つことになり、改正後の給付利得の問題はもっぱら原状回復義務の内容として議論されるようになるのではないだろうか。
以上の意味において、無効・取消の場合の原状回復義務の規定の盛り込みは、契約法だけではなく民法の教科書のうち不当利得の部分の全面的な書きかえが必要なほど、見た目よりもかなり大きな改正だと思う。法制審議会の議事録を見てはいないが、そのことを強く意識していただろうと思う。
少なくとも最高裁の判例には、不当利得類型論に言及している判例はないと思われるので、実務的にも結構影響の大きい改正ではないかと思われる部分である。
そして、給付利得の返還の内容について、不当利得法から離れた原状回復義務の内容として独自の解釈が成り立つことになり、改正後の給付利得の問題はもっぱら原状回復義務の内容として議論されるようになるのではないだろうか。
以上の意味において、無効・取消の場合の原状回復義務の規定の盛り込みは、契約法だけではなく民法の教科書のうち不当利得の部分の全面的な書きかえが必要なほど、見た目よりもかなり大きな改正だと思う。法制審議会の議事録を見てはいないが、そのことを強く意識していただろうと思う。
少なくとも最高裁の判例には、不当利得類型論に言及している判例はないと思われるので、実務的にも結構影響の大きい改正ではないかと思われる部分である。