ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

東山の職人さんの工房見学。「京すだれ専門の店 田中すだれ店」で、すだれづくり体験

2014-11-13 | ものづくり

東山に工房を構える職人さんを訪ねる「東山職人弾丸ツアー」に参加したミモロ。1ルート3軒の工房を訪ねます。2番目の場所は、東山安井にある「京すだれ専門の店 田中すだれ店」。伊勢神宮の式年遷宮にも祭具を納めたお店です。
 
60年以上、すだれ一筋のお店で、お話しくださるのは、4代目のご店主の田中実さん。
 ミモロは、一番前で熱心に耳を傾けます。

「京すだれは、外に掛ける日除けなどに使う外掛けすだれ、茶室用のすだれ、そして室内に掛ける座敷すだれがあります。座敷すだれは、部屋の区切りに使ったり、また御簾とよばれるものは、高貴な方のお顔を直接見ないために間に下がれたりしました。うちでは、機械を使った外掛けすだれと、手で編みあがる御簾があります。今回は、機械編みの外掛けすだれの作り方をお見せします」と田中さん。

では、まず外掛けすだれの作る工程を見学します。素材は、葭、蒲(がま)、萩などです。
「これ蒲の穂…」
この形に似せて作った食べ物が、「蒲鉾」なんだそう。「へぇーそうなんだ~」

今回見せていただく仕事の素材は、葭(よし)。アシと同じですが、アシは悪しに通じることから、ヨシと呼ぶのだとか。「昔は、琵琶湖産のものを使っていたんですが、環境が悪くなったのか、葭の茎が黒ずんで使えなくなりました。現在は、中国産を使っています」と、田中さん。
店には、長さや太さが揃った葭の束が…。
 
すだれに編む前に、葭の表面をきれいに整えます。
 節の部分の皮を削り、仕上げにヘチマでやすり掛けをして、なめらかな表面に…。
「これは機械で編みます…」機械編みと言っても、オートメーションではなく、葭の太い根元方向と細めな先端方向を交互に1本1本をセットして、足元のペダルを踏んで糸を渡してゆきます。「なんかハタ織りみたい…」とミモロ。

田中さんのデモンストレーションの後、参加者が実際にすだれ編みを体験します。ミモロも挑戦!
「これが機械です」古いミシンを思い出させる黒い機械。長年使い続ける大切な機械です。
 
「え~と、葭をここにセットするんだよね~」。先ほど見た作業を思い出しながら…1本葭を取り、機械の穴に入れてゆきます。
セット完了
次に、足元のペダルを踏むと、機械がガチャンと音を立て自動的に糸が葭に巻きつき、編める仕組み…。
「このペダル踏まなくちゃ…」人間なら葭をセットし、ペダルを踏むのは、立ったままできますが、ミモロは小さいのでいちいち降りなくてはなりません。
「エイ!」と全身の重さと力をこめて…
「編めたかな~」田中さんに持ち上げてもらい、葭の具合を確認します。
 
「あ、ちゃんとできてる…面白い…」とミモロ。体験は3本ほどの葭を編むだけ、だから面白いと言えるのです。機械を使っても、1日数枚しか編めないそう。根気のいる仕事です。

つづいて、すだれの形を整える作業に挑戦です。体験用に用意された幅の狭いすだれの端を切りそろえます。

さぁ、ミモロもやってみましょう。端を切る用ののこぎりを抱えて…「ヨイショ…まっすぐ切れてるかな?」
「なかなか上手ですよ」
みんなに助けてもらいながら、がんばるミモロです。

手編みの御簾づくりも見学しました。亀甲編みという模様を作りながら編み上げる、熟練の技が必要なもの。
「なるほど~」
次々に糸巻を動かして…使われるのは、細い竹。1日わずかしか編めないので、完成にはかなり時間が必要です。

「これ動かしてた~」と近くで見学。
 

昔の建築物は、すべて自然素材からできたもの。自然の恵みなのです。今、安価なすだれも多く出回っていますが、やはり、厳選された素材を丁寧に編み上げる「京すだれ」には、趣が備わっています。
掛けるところにあったサイズをオーダーできるのも魅力。外掛けすだれなら10年。座敷すだれなら20年以上は使えるそう。
夏の暑さを防ぐ、省エネのためにも、いっそう外掛けすだれの需要は高まっているとか。
「こんなすだれ掛けたら、素敵だね~」とミモロ。ぐっと家に風情がプラスされますね。

葭の外掛けすだれは、幅95.5センチ、長さ115センチで9000円。サイズや素材によって値段は変わります。

現在、息子さんと一緒に作業をなさる田中さん。


「後継者がいるから、材料が仕入れられます」と。これから先も、京すだれは健在。

「ありがとうございました」とミモロ。「また、いらっしゃい…」と笑顔で見送ってくださいました。
記念にと、小さなすだれのお土産も頂き、参加者全員うれしいそう。

さぁ、いよいよ最後の和菓子店の見学へ…・

*「田中すだれ店」京都市東山区東山安井東入ル 075-561-2512  9:00から日暮れ(不在の時も…)日曜・祝日休み


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