ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

昔の旅人が求めた京みやげ。「三條本家みすや針」の縫い針

2011-09-13 | お気に入りの品
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今、京都を訪れる旅人のおみやげ品の種類は、さまざまですが、
江戸時代の旅人の人気の京みやげのひとつはというと「縫い針」。今のように、機械でドンドン作られるのと違い、針は、1本1本、熟練した職人の手で作られていました。

だから、とても貴重な品。特に、京都で作られた針の質の良さは、評判で、「京都に行ったら、ぜひ買ってきて・・・」と女性の憧れだったそう。

今も、手作り針をはじめ、和裁、洋裁、刺繍などに使うさまざまな針が揃う、針専門店が京都にはあります。

「もう浴衣の季節は、おしまい。袷の着物も縫わなくちゃ・・・・。だから、針を買いに行こう」とミモロは、さっそく三条にある縫い針の専門店「三條本家 みすや針」に出かけます。


観光客や修学旅行生で賑わう三条河原町のアーケードを入ってすぐのところ、いろいろな派手な看板の中に、小さな看板がたっています。
他の看板に紛れて、見過しやすいので要注意!
何度か行ったり来たりした後で、やっと「みすや針」と書かれた看板を見つけたミモロ。

「ここかな?」とビルの間に続く路地を奥へと進みます。

路地の先には、なんとお庭と落ち着いた感じの一軒家が。


「えー、こんな繁華街に、お家があるなんて・・びっくり」。
喧噪の通りとは、なにか別世界のような静かさがそこに。

お庭の小路を、ちょっと恐る恐る進むミモロです。お庭には、山野草がさりげなく植わっていて、とても素敵な雰囲気。表通りからは、想像できない空間です。

お店の戸をあけて、遠慮がちに中へ・・・
「あのー。ちょっとお店の中を見ていいですか?」

「あ、どうぞ、どうぞ、ゆっくり見てください。遠慮なく・・・」とお店のご主人の言葉にホッとするミモロです。

「わーいろんな針があるんだなぁー」和裁用の針だけでも、本当にいろいろあるんですね。


お店には、年代物の看板が飾られています。

「三條本家 みすや針」は、1651年に宮中の御用針司をもつとめる老舗。

東海道の京都からのスタート地点の三条大橋に店はありました。
当時は、長い道中を歩いてゆくため、荷物にならず、かさ張らない針は、おみやげに最適な品。
参勤交代で江戸に向かう西国のお侍たちも、きっと国元のおみやげに求めたことでしょう。
針を買いに来る人のために、店では、お茶のもてなしを。その当時、使った茶釜が今も、庭に姿をとどめています。


お店に残る、昔のガイドブックの「京都買い物案内」にも、この店の名を見ることができます。


また針は、刀と同じように、鉄を鍛えて作るもの。
刀鍛冶と同じように、針職人も、その技巧を、高く評価されていたのです。

ガラスケースには、細い細い手作りの針が。
「これ、手作りなの?」と目をパチクリさせるミモロ。
先端の糸通しの穴を、どうやって開けたのか、不思議でなりません。
本当にスゴイ技です。

手作りの針は、もちろん値段も高価。そして、ミモロのようにお裁縫の初心者には、とても使いこなせない針なのだそう。


店内には、縫い針以外に、お裁縫関係の小物もいろいろ。

小さくてよく見えないと虫眼鏡で覗くのは、動物やケーキなどが飾りになっている「手作りまち針」。

これは、壊れやすいので実用品というより、針山の飾りに使います。

「わー、これカワイイ!ひとつ買っちゃおう」とミモロが珍しく迷わず決めたのが、羊毛でできた針山。針を刺すと、ハリネズミになるんです。

「えーでも、カワイイから針を刺すのは、かわいそうで、とてもできない・・どうしよう・・・」とミモロは、やっぱり迷い始めました。


他にも、いろいろな色が揃った縫い糸や、小さなものさし、
おみやげにしたいお裁縫セットも。

「あのー、またゆっくり見に来ていいですか?」


「はい、いつでもいらしてくださいね」と、ご主人親子に見送られ、ミモロは、お店を後にしました。

*「三條本家みすや針」の詳しい情報は、ホームページから。
京都市中京区三条通河原町西入ル 電話075-221-2825 営業時間:10:00~18:00 木曜休み


コメント (2)
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