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11日 キエフウクライナ歌劇場  エフゲニー・オネーギン

2007-09-12 | 音楽鑑賞 外来オペラ・・
 新国立で外来オペラを観るのは二度目です・・チェコプラハ・国民歌劇場以来ですね・・
 歌手陣が上手い女声,男声の主役4名と脇も良いですね・・合唱、バレエも良い,衣装も綺麗・・オケは?かな・・木管の技量に難が、でも、音楽の流れが良くアンサンブルの悪さを帳消しに

 歌手陣の充実振りには驚き・・耳を見張る・・席は天井桟敷4階4列中央とオケ,指揮振り見えず・・3幕の始め指揮者を・・金髪・・カツラ?何と女性指揮者 音楽に性別は関係無いですね・・実に音楽に劇性がタチヤーナの心理描写も上手いですね

 題名がオネーギン の人生と言うより、タチヤーナの人生を・・・

 オネーギンとの再会が、グレーミン公爵の妻になつていたタチヤーナのオネーギン想いと今の幸な生活を・・揺れ動く感情表現が上手い・・弱声の歌唱から時の流れを感じさせる
 グレーミン公爵の妻タチヤーナへの想い・・バスの声も良いですね

初見,初聴きでしたが・・実にバランス良い歌劇場ですね・・楽譜が色あせ、テープで補強した物を使ってました、まだ,経済的には豊かな国では無いのかな??

ウクライナ国立歌劇場(キエフ・オペラ )   新国立 4F4-32 9千円・安い

     タチヤーナ姉 ・テチヤナ・ハニナ  
エフゲニー・オネーギン ・ヴォロディミル・オペンコ
       オリガ妹 ・テチヤナ・ピミノヴァ  
      レンスキー ・ドミィトロ・ポポウ
グレーミン公爵(タチヤーナの夫) ・ボフダン・タラス 
     ラーリナ母親 ・ナタリア・モイセーエヴァ
 フィリーポエヴナ乳母 ・アンジェリーナ・シヴァチカ
ザレッキー(決闘の介添人) ・ヴァシーリ・コリバビュク
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華やかな舞踏会や決闘。ロシアの青年貴族と、
裕福な地主娘タチヤーナのすれ違う恋心
「タチヤーナの手紙の場」「黄金の日々はどこへ」
叙情的で哀愁漂うチャイコフスキーのメロディー!
エフゲニー・オネーギン
ピョートル・チャイコフスキー作曲 全3幕
演出:モロストワ
 19世紀初頭のロシア。地方貴族の夢見がちな少女タチヤーナは、都会的で憂鬱な雰囲気を持つ青年オネーギンに恋をする。彼は冷ややかに拒絶して戯れに妹のオリガを誘い、その婚約者である友人と決闘となる。数年後、美しく成長し公爵夫人となったタチヤーナと再会したオネーギンの心は揺れ…。
  プーシキンの小説をオペラ化した、チャイコフスキーの代表作。

実力ある歌手を揃えた歌劇場が、オペラ史に燦然と輝く傑作オペラを上演。
伝統ある劇場の、練り上げられたアンサンブルによる名作の魅力を味わえる。
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ウクライナ国立歌劇場(キエフ・オペラ)の昨年の初来日公演は、日本でのこの「未知のオペラ・ハウス」の「現在の充実」を改めて教えてくれた。
140年の長い歴史を持つこのキエフ・オペラは、ロシア革命を経て旧ソビエト連邦下に組み込まれた。ウクライナ人とロシア人という民族で構成されるウクライナは、広大で肥沃な土地に恵まれ、ソ連の物心両面を支える国であった。帝政ロシアの時代もソ連時代も、ウクライナはロシアに支配され搾取されてきた。旧ソ連時代の「三大オペラ・ハウス」と言えば、モスクワのボリショイ歌劇場、レニングラード(現サンクトペテルブルク)のマリンスキー劇場(キーロフ・オペラ)、そして、キエフ・オペラを指していたが、ソ連の国策がモスクワの中央集権主義であり、そのモスクワのボリショイ劇場こそが国の芸術的威信の象徴であったため、実力のあるオペラ歌手は、最終的にボリショイに集められ他の2つの劇場は、ボリショイへの登竜門としての位置付けにあった、とも言えた。
  1991年のソ連の崩壊に伴い、ウクライナは国民の悲願であった独立を果たした。ウクライナ人の名歌手は、ウクライナで働けるようになった。モスクワに吸い上げられなくなったのだ。このソ連の崩壊と共に、サンクトペテルブルクのキーロフ・オペラが目ざましい発展をとげたのもまた、モスクワの中央集権崩壊と密接に関係している。
 帝政ロシアの時代からキーロフ・オペラ、キエフ・オペラは、モスクワより、よりヨーロッパに近い立地条件という事もあり、ロシア・オペラと共に、西欧のオペラの上演も盛んに行われていた。それらの長い伝統は、ソ連時代も失われる事はなかった。芸術的伝統と共に、豊富な人材を誇るウクライナは、ソ連の人材搾取の無くなった現在、どれだけ優秀な歌手を擁しているか、という事を、昨秋の来日公演は証明してくれた。自国の歌手だけでこれだけ実力のある人材を揃えている歌劇場は、キーロフとキエフだけではないだろうか。
 そのキエフ・オペラは、十八番である劇場縁りのチャイコフスキーの名作「エフゲニー・オネーギン」を筆頭に、ヴェルディ中期の傑作であり、旋律美と劇性にも溢れた「リゴレット」、プッチーニの抒情的メロドラマの傑作「ボエーム」と、ヴェリズモ的手法による劇的な大作「トスカ」の四演目を用意して再来日を果たす。いずれもオペラ史の中に燦然と輝く傑作オペラであるが、登場人物に人材を必要とする大作であると共に、アンサンブルの精度も不可欠な作品ばかりである。スター・システムの西欧の劇場とは一味違う座付き歌手での上演を基本とするキエフ・オペラの公演は、豊富な歌手陣を抱えるこの伝統ある劇場の練り上げられたアンサンブルによって、この名作の数々の魅力を味わわせてくれるに違いないだろう。 國土潤一(音楽評論家)

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【ステージ随想 客席から】ザルツブルク音楽祭 歌劇「エフゲニー・オネーギン」
8月26日8時1分配信 産経新聞
 ■濃厚なロマン主義を体現
 モーツァルトの故郷、オーストリアのザルツブルク音楽祭は昨年、彼の生誕250年を記念して22の歌劇の全上演を敢行した。そのモーツァルトの明快さの裏を行くというのか、「理性の暗闇の側面」という今年のモットーには濃厚なロマン主義志向が感じられる。
 それをよく体現していたのは、チャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」(8日、ザルツブルク祝祭大劇場)である。原作は、1820年代のロシア社会を映した百科事典だといわれる、プーシキンの同名の韻文小説。
 退屈した都会児オネーギンが、田舎の地主の娘で文学に夢中なタチアナの妹オリガに言い寄って、婚約者で詩人のレンスキーを怒らせる。ついに決闘沙汰(ざた)になって、彼を殺してしまう。3年の放浪ののち戻ってきたオネーギンは再びタチアナに出会うが、彼女は老将軍グレミンの夫人に納まっていた。オネーギンの求愛は退けられ、絶望のふちに沈む。だがタチアナも愛のない生活に甘んじ続けねばならない、という筋書きは作曲者が手を入れたオペラ台本でも保たれている。
 近代の夜明けに直面した若い主人公たちの心理の明と暗の両面の叙情的な表出に、チャイコフスキーの音楽は絶妙に成功している。第1幕の頂点をなすタチアナの「手紙の場面」や、第2幕で、決闘を前にしたレンスキー(ヨーゼフ・カイザー)が青春を回想するアリアなどの絶唱に続き、第3幕では、フェルッチョ・フルラネットが若い妻を得たグレミンの幸せを演じ歌った貫禄に最大の拍手が集まった。
 女流のアンドレア・ブレートの演出は、ロシア社会の近代化の遅れに焦点をあて、タチアナの女性としての自己解放への共感を見せた。オーケストラはダニエル・バレンボイム指揮のウィーン・フィル。チャイコフスキー一流の情緒とは距離を保ちつつも、絢爛(けんらん)さに欠けるところはなく、終演後、全員が舞台に呼び出された。
 (東京大学名誉教授 高辻知義)

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