熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

職務発明

2007-04-01 11:41:41 | Weblog
先日、研究会に参加するために横浜に行ってきました。久しぶりの横浜でしたので、昼食は中華街で中華料理を堪能しました。
研究会の話に戻ります。この研究会は、弁護士、弁理士、企業の知財担当者、大学助教授等の10名程度で構成されている私的な研究会です。月に1回、横浜、早稲田、市ヶ谷で開催しています。研究会は、参加者が興味のあるテーマを持ち回りで発表し、討議を行うというもので、実務に必要なテーマ、学説上の論点、法改正の必要性等興味あるテーマが議論されます。
今回は、私が「職務発明」について報告しました。特許法35条の改正に伴い、各企業で職務発明規程の改正、従業員との協議等が行われました。私が勤務する企業でも3年程前に職務発明規程を改正し、従業員との講義を行いました。この規程改正は、私が中心となってタスク活動で行いましたが、規程改正案の作成、従業員との説明会(8事業所で説明)の資料作成、FAQ作成等、ほとんど一人で行いましたので、大変な作業でした。その上、説明会での質問に対する回答(説明は他のタスクメンバーにお願いしました)も私が行いましたので、説明会が終了するまで気の休まることはありませんでした。
この規程改正作業で良かったことは、職務発明に関する論文をほとんど読破し、特許法だけでなく、職務発明と関連する民法、労働法の勉強もして、特許法、民法、労働法の学者、研究者との議論をする機会を得たことにより、職務発明について豊富な知識と経験を獲得できたことです。これは貴重な財産です。
今回の研究会では、職務発明の規程改正における実務上の問題点を報告しましたが、報告の主要部分は、「包括的クロスライセンス契約における相当の対価」です。これは、日立製作所最高裁判決、キャノン東京地裁判決で、「包括的クロスライセンス契約における相当の対価」に対する裁判所の判断が出たので、この判決を分析して、規程改正上の留意点、を述べたものです。活発な討議の後、弁護士と労働法研究者から、特許法の解釈だけでなく、民法、労働法を考慮したバランスの取れた改正案であると、お褒めの言葉を頂きました。
この研究会に参加することは、自分のスキルを向上させる上で大変重要です。企業内の狭い世界で自分のスキルの高さに自己満足しているだけでは、本当のプロにはなれないと思います。やはり他流試合で揉まれ、自分のスキルの足りなさを実感することが必要です。
コメント (2)
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