徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

パナマやケイマン諸島ばかりがタックスヘイブンではない~金融不透明性インデックス(FSI)国際ランキング

2016年04月13日 | 社会

ファイナンシャル・シークレシー・インデックスというものをご存知でしょうか?日本語の正確な訳語があるのかどうかまだ調べていないのですが、取りあえず「金融不透明性インデックス」と訳しておきました。シークレシーを「秘密性」あるいは「守秘性」のような方向に訳すと、あまり否定的なニュアンスにならないと感じましたので「不透明性」としてみました。因みにドイツ語の訳語はSchattenfinanzindex(シャッテンフィナンツインデックス、影金融インデックス)です。「闇金融」を連想させる用語ですね。以下は簡便化のためFSIという略称を使用します。

このFSIは国や地域の金融制度及び金融機関の「不透明性」をスコア化した値とその国あるいは地域のオフショア金融サービス規模が全世界のオフショア金融サービス規模に占める割合(グローバル比重)を掛け合わせて算出され、一般経済に与える損害のポテンシャルを表します。現在92の国および地域が調査の対象となっています。調査主体はTax Justice Network(租税公正ネットワーク)という2003年に組織された独立ネットワークです。そのホームページはこちら

FSIの2015年度の調査結果が最近FSI専用サイトで公表され、FSIランキングで今話題のパナマは13位に過ぎず、スイス、アメリカ、ルクセンブルク、ドイツなどの西側諸国がより上位を占めていることが注目されています。実は日本もパナマよりは上位で12位にランクインしています。

上位20位まで下にコピペしました。国名をクリックすると国別レポート(英語)が見れます。

ランク 国・地域 FSI -値 不透明性スコア グローバル比重
1 Flag Switzerland 1,466.1 73 5.625
2 Flag Hong Kong 1,259.4 72 3.842
3 Flag USA 1,254.7 60 19.603
4 Flag Singapore 1,147.1 69 4.280
5 Flag Cayman Islands 1,013.1 65 4.857
6 Flag Luxembourg 816.9 55 11.630
7 Flag Lebanon 760.2 79 0.377
8 Flag Germany 701.8 56 6.026
9 Flag Bahrain 471.3 74 0.164
10 Flag United Arab Emirates (Dubai) 440.7 77 0.085
11 Macao 420.1 70 0.188
12 Flag Japan 418.3 58 1.062
13 Flag Panama 415.6 72 0.132
14 Marshall Islands 405.5 79 0.053
15 Flag United Kingdom 380.2 41 17.394
16 Flag Jersey 354.0 65 0.216
17 Guernsey 339.3 64 0.231
18 Malaysia (Labuan) 338.7 75 0.050
19 Turkey 320.9 64 0.182
20 China 312.1 54 0.743

ドイツ財相のヴォルフガング・ショイブレはパナマ文書が大きな話題となるや、脱税・税回避に宣戦布告し、パナマのようなタックスヘイブンで脱税捜査に非協力的な国は厳しく罰せられるべきだとして、10項目計画を発表しました。「公な調査はしない」と明言した日本よりはまともな感じですが、ドイツのFSIランキングは8位で、日本やパナマより上位です。実はドイツは特に不動産投資関連でのマネーロンダリングが大規模に(数百億ユーロ)行われていると既に2012年に明らかにされていましたが、これまで何も対抗措置を取ってこなかったのです。外国人がドイツで得た利子収入は課税されませんし、祖国への報告義務もありません。またドイツの銀行やその他の金融機関が外国人の脱税行為を知っていながらその手伝いをしたとしても罰せられることはありません(刑法にその罪の定義がないので)。イタリアマフィアもドイツでマネーロンダリングをしていると見られています。まさに「マネーロンダリング天国」です。おまけにこの10項目プランを発表したショイブレ独財相のお膝元ともいえる連邦造幣局がベネズエラにペーパーカンパニーを所有していたという内部告発もあり、事実関係を調査中です。つまり、よその国を批判する前にまず自分のうちの庭をきれいにすべきで、また10項目プランの穴だらけな弱さも手伝い、国内外で失笑を買っているくらいです。

第4EUマネーロンダリング指針ではEU各国が2017年までに真のオーナーが明らかにされている会社登録簿を作成することが義務付けられていますが、必ずしも一般公開でなくてもよいことになっています。ドイツ政府が一般公開義務に反対で、その主張を押し通したからです。ハイコ・マース法相がパナマ文書暴露後に改革案として掲げている「透明性会社登録簿」は実はこのEUマネーロンダリング指針の最小限要求と同じもので、どっちにしろ2017年までに実現しなければならなかった案件です。それをいかにも「自分、ちゃんと対抗措置取ります」というようにPRしているだけなのです。ショイブレ財相の積極性も同じ穴の狢で、来年の連邦議会選挙のためのPRであることが透けて見えています。だから多くの野党議員たちや税の公平性のための市民団体などが「なんで今になって?」、「行動が遅すぎ」と非難しています。全然調査しないという態度の日本政府よりはましかもしれませんが、ドイツに夢を見てはいけません。

それにしても、日本も参院選が近いのに、ここで脱税・税回避問題を追及しない態度を明言してしまう政府の対応は解せませんね。ショイブレ独財相のように、識者からは批判を浴びるような穴だらけのものでも、取りあえず「何かします」という建前でも取り繕うのが政治の定石のように思うのですが。。。 はっきり言って、某首相はそればっかりと思っていたのですけどね。奇妙なこともあるものです。

参照記事:
ZDFホイテ、2016.04.13付けの記事およびビデオ「モサク・フォンセカで大捜査」 
南ドイツ新聞、2016.04.07付けの記事「私たちは脱税者に赤い絨毯を広げて歓迎する
SFI専用サイト「2015年の調査結果」 


所得税&社会保険負担のOECD国際比較 (2015)~ 日本は平均以下

2016年04月12日 | 社会

『パナマ文書』の暴露により、世の中が脱税・税回避に関する議論で湧いていますが、一方で、税金から絶対に逃れられない人たちが居ます。それはサラリーマン・サラリーウーマンたちです。彼ら彼女らにとって、所得税や社会保険料とは給料明細の紙の上でのみお目にかかれる数字のことです。その数字の2015年度のOECD比較が公表されましたので、一部ここに私見に基づく解説を加えつつご紹介いたします。

下の表は各国の平均所得の独身者における税&社会保険負担を比較して、多い順に並べたものです。国名のすぐ右隣りの段がそれです。真ん中の段は所得税、右端の段は社会保険負担の所得に占める割合が示されています。トップ5はベルギー、オーストリア、ドイツ、ハンガリー、イタリアで、税&社会保険負担は49%以上です。OECD全体の平均は35.9%。日本はそのさらに下で、32.2%でしかありません。最下位は所得税のないチリで、7%。

所得税だけで見ると、デンマークの35.8%がダントツでトップで、2位のアイスランド(26.7%)を大きく引き離しています。それにオーストリア(22.7%)、ベルギー(21.6%)、フィンランド(18.4%)が続きます。日本の所得税6.7%はトップの国々の税率に比べ笑えるほど少ないですね。実に下から数えて4番目です。

社会保険負担を単独で見ると、スロベニアがトップで19%。2位ドイツ(17.2%)、3位ポーランド(15.3%)。OECD平均は8.2%。日本は平均以上の12.4%で8位に入っています。デンマーク、オーストラリア、ニュージーランドの3国は社会保険負担ゼロです。これは社会保障が労働収入にリンクせずに税金で賄われているか、完全に自己責任で民間の保険で賄われているということですね。

 

次の表は扶養家族として妻と子供2人がいる場合の比較です。世帯主がそれぞれの国の平均所得を得ている場合の所得税・社会保険料が換算されています。

トップ5を占めるのはフランス、ベルギー、イタリア、フィンランド、オーストリアで、税&社会保険負担は39%以上です。ドイツは34%で、10位に転落です。独身者に比べて15.4ポイントの負担軽減で、いかに独身者が税制上虐げられている(家族が優遇されている)かが明確に出ています。OECD全体の平均は26.7%で、独身者との差は9.2ポイントとなっています。日本はOECD平均をわずかに0.1ポイント上回る26.8%です。

所得税だけの順位を見ると、やはりデンマークがトップで31.9%です。2位オーストリア(22.7%)、3位アイスランド(19.1%)。OECD平均は9.1%。対する日本の所得税は5.5%で下から数えて9番目となっています。注目に値するのはポーランド、チェコ、スロヴァキアで所得税がマイナスになっていることです。これらの国では独身労働者から所得税を取り、扶養家族のある労働者へ配分されているということですね。

社会保険負担は扶養家族付きの場合もスロベニアがトップで、19%。2位ドイツ(17%)、3位ポーランド(15.3%)。トップ3の順位は独身者の場合と同じです。OECD平均は8.1%。日本はここでも8位(12.4%)となっています。

こうしてみると、日本の社会保険負担はOECD平均以上で、保険ベースの社会保障が割と手厚い印象を受けますが、その恩恵を受けられるのはほぼ正規雇用の労働者に限られるところが難点です。非正規雇用が拡大されていく中、社会保障のカバー率は下がる一方となり、「国民皆保険」ならぬ、「国民半保険」に成り下がってしまっています。非正規ゆえにセーフティーネットから取りこぼされてしまっている人たちのために保険制度・社会保障制度の抜本的な見直しと改革が緊急課題と言えるのではないでしょうか。

オリジナルのデータベースに興味のある方はOECD Tax Databaseをご参照ください。

なお上の表はhttp://www.compareyourcountry.orgのサイトから引用しました。こちらから直接ご覧になれます。項目ごとに並べ替えることもできます。


ドイツ・アイフェルの片田舎を歩く

2016年04月10日 | 日記

今日はアイフェルの片田舎に住む友人を訪ねたついでにそのご近所を散歩してきました。

アイフェル(Eifel)とはドイツ西部からベルギー東部にかけて広がる標高の低い山地。ノルトライン・ヴェストファーレン州の南西部、ラインラント・プファルツ州の北西部、ベルギーのドイツ語共同体の南部にまたがる広範な地域を指します。私の友人が住むところはアイフェルでも北部の方になり、ヘレンタール(Hellenthal)というベルギー国境に近いところです。ボンから西へ約70㎞。アウトバーンを使わずに1時間ちょっとのところです。特に観光客が来るようなところでもなく、別荘やホテルが密集している地域から外れた片田舎で、見渡す限り森と牧草地が広がるのどかなところです。標高は300-350mくらいのところが多く、気温はボンやケルンなどの低地都市部と比べて2-3度低いことが多いです。

 

もう10年以上前のことですが、初めて自分で車を運転してヘレンタールまで地図を頼りに行った時、残念ながら友人宅にたどり着くことができず、ベルギー国境を目の前にして初めて道を間違えたことに気付き、慌てて来た道をちょっと引き返して、近くのスーパーの駐車場に車を止めて友人の旦那さんに迎えに来てもらったことがありました。当時はカーナビがなかったので大まかな方向は標識を頼りに走ることができても特定のお宅を訪問するのには随分苦労したものです。

友人宅は森林に隣接しており、裏庭を抜けるとすぐに道ならぬ道が森・牧草地へ向かっています。

 

森と牧草地に挟まれた整備されていない道を歩いていくのはなかなか骨が折れます。幅30㎝位の小流があったり、ぬかるみがあったり、はたまた鹿のふんや兎のふんなどがあったりして、油断できません。

緩やかとは言え傾斜があるので、散歩というよりはハイキングに近い感じです。

その道なき道を上り切ると、若干舗装された道に出ます。道沿いによく植えられているのが柳の一種ザールヴァイデ(Sal-Weide、学名Salix caprea)で、ちょうど花が開きかけている所でした。ザールヴァイデは別名ケツヒェンヴァイデ(Kätzchenweide、子猫柳)と言いますが、私が知っているネコヤナギとはまた違うようです。

その舗装された道から見える景色はなかなか見渡しが良く、なだらかな丘陵地帯が広がっています。発電風車も珍しく全機回っていました(いくつか止まっていることが多い)。写真では遠くてあまり分からないかもしれませんが。

てくてくと村の方に向かってまた歩いていくと十字路があり、お約束のごとく十字架が…

その数メートル先はもう村の入り口で、黄色い標識が立っています。

さて、村に入るとちょっと花が咲いていて、春を感じることができました。気温は12度くらいでしたが。

 

村のチャペル。正面から見ると正方形のように見えますが、後ろ(祭壇部分)は半円形に丸く外にせり出していました。

よく手入れされた庭が羨ましいですね。

地価が安いせいでしょうが、どこも広々とした庭があり、ゆったりとしたテラスやバルコニーやガラス張りの温室(ヴィンターガルテン、Wintergarten、「冬の庭」という)があったりして、「いいなあ」とため息が出るほどです。

こうして小一時間ほどのハイキング的散歩を終えたのでした。


ドイツ:世論調査(2016年4月8日)~EU・トルコ間難民協定に7割近くが疑念

2016年04月09日 | 社会

1回分跳んでしまいましたが、ZDFの世論調査ポリートバロメーターが4月8日に発表されましたので、以下に結果をご紹介いたします。

脱税問題

『パナマ文書』が徐々に明らかにされ、脱税に関する議論が盛んになっていますので、この件に関する質問から。

「ドイツでは脱税が広まっている」:

はい 59%
いいえ 37%
分からない 4%

 

「脱税は高所得者の方が多い」:

はい 85%
いいえ 12%
分からない 3%


「脱税防止のために十分な対策がなされている?」:

はい 22%
いいえ  69%
分からない 9% 

 

難民問題

次はお馴染の難民問題です。

「メルケル首相の難民政策をいいと思う」:

はい 55%(前月比+6)
いいえ 40%(-4)
分からない 3%(-2)

メルケル首相の評価は年末年始に「いいと思わない」が「いいと思う」を上回っていましたが、また逆転して支持率が上がっています。

 

「ドイツはたくさんの難民を受け入れることができる」:

はい 56%(前月比+1)
いいえ 40%(-2)

ここでも逆転現象です。2月19日の世論調査では「いいえ」と答えた人が54%で、「はい」と答えた人43%を上回っていました。
バルカンルートが実質上閉鎖され、難民たちは主にギリシャとトルコでやりとりされることとなり、ドイツには1日あたり平均100人くらいしか到達しなくなったので、「大丈夫」感が強まってきたのかも知れません。ただ、受け入れキャパシティーを拡張してしまった後なので、現在ほとんど使われなくなった臨時収容施設にコストだけがかかっているという問題もあるにはあります。


「難民の社会統合のための措置は…」: 

やりすぎ 17%
適切 37%
足りない 38%
分からない 8%


「難民たちは自分たちの社会統合のために努力している?」:

十分 25%
足りない 51%
分からない 24%

この質問は結構答えるのが難しいと私は思います。努力している人たちはすごく努力していますし、してない人は全くしておらず、犯罪に走る場合もあります。どっちを向くかで違う答えが出るような質問です。「分からない」という回答の多さがそれを如実に示しているようです。

 

「難民たちは労働市場に統合できると思いますか?」:

はい 38%
いいえ 58%

「いいえ」と答えた人たちの支持政党ごとの割合:

CDU/CSU 50%
SPD 50% 
左翼政党 67%
緑の党 46%
FDP 62%
AfD 89%

 


「EU・トルコ間難民協定についてどう思いますか?」:

いい 12%(前月比-4)
悪い 69%(+5)
分からない 8%

 

「トルコは信頼できるパートナーだと思いますか?」:

はい 9%
いいえ 82%
分からない 9%

トルコを信頼できないという人の多さに驚きを禁じ得ません。その信頼できないパートナーとの協定だからEU・トルコ間難民協定も7割近くの人がいいと思っていないのでしょう。トルコが信頼できないと思っている人の中にもトルコとの協定が他に比較的短期間で実現可能な選択肢がないために、やむを得ず良しとする人たちが1割くらいいるようです。

 

「EU・トルコ間難民協定によって難民が減ると思いますか?」:

はい 38%
いいえ 58%
分からない 4%

 

経済問題

随分長いことあまりニュースにはなっていませんが、ギリシャ財政問題もまだ健在です。

「ギリシャ債権の新たなヘアカットは?」:

正しい 34%
間違い 62% 

 

「一般的なドイツの景気は?」:

いい 60%(前月比+1)
どちらとも言えない 34%(変化なし)
悪い 5%(-1)


「自分の経済状況は?」:

いい 66% (前月比+1)
どちらとも言えない 28%(-1)
悪い 5%(-1) 

 

ドイツは随分と好景気に沸いているようです。難民関係での特需(プレハブ住宅建設やケータリング業界など)もありますが、それ以外の業界でもおおむね堅調のようです。

 

政治家重要度ランキング(スケールは+5から-5まで):

  1. ヴィルフリート・クレッチュマン(バーデン・ヴュルッテンベルク州首相、緑の党)、2.4、初トップ10入り
  2. フランク・ヴァルター・シュタインマイアー(外相)、2.2(前月比変化なし)
  3. ヴォルフガング・ショイブレ(内相)、2.1(+0.2)
  4. アンゲラ・メルケル(首相)、1.8(変化なし)
  5. マル・ドライアー(ラインラント・プファルツ州首相、SPD)、1.6、初トップ10入り
  6. トーマス・ドメジエール(内相)、1.0(+0.3)
  7. グレゴル・ギジー(左翼政党)、0.8(+0.1)
  8. ウルズラ・フォン・デア・ライエン(防衛相)、0.7(-0.1)
  9. ジーグマー・ガブリエル(経済・エネルギー相)、0.7(変化なし)
  10. ホルスト・ゼーホーファー(CSU党首・バイエルン州首相)、0.2(-0.1)

初トップ10入りを果たしたバーデン・ヴュルッテンベルク州首相及びラインラント・プファルツ州首相。州議会選挙で勝って、注目を浴びたようです。この二人にはじかれるようにハイコ・マース(法相)とザーラ・ヴァーゲクネヒト(左翼政党)はトップ10落ちしました。

 

連邦議会選挙

「もし次の日曜日が議会選挙ならどの政党を選びますか」:

CDU/CSU(キリスト教民主同盟・キリスト教社会主義同盟) 36%(前月比+1)
SPD(ドイツ社会民主党)  22% (-1)
Grüne(緑の党) 12%(変化なし)
FDP (自由民主党) 7%(+1)
Linke(左翼政党) 7%(-1)
AfD(ドイツのための選択肢) 12%(変化なし) 
その他 4% (変化なし)

 

1998年10月以降の連邦議会選挙での投票先推移:

 
 
政権に対する満足度(スケールは+5から-5まで): 1(前月比+/-0)

因みに2月は0.5でした。、歴代政権の満足度を見ると、現政権は随分高評価です。
 

この世論調査はマンハイム研究グループ「ヴァーレン(選挙)」によって行われました。インタヴューは偶然に選ばれた有権者1.261人に対して2016年4月5日から7日に電話で実施されました。

次の世論調査は2016年4月22日ZDFで発表されます。

 

参照記事: ZDFホイテ、2016.04.08の記事「ポリートバロメーター

 

急な喉の痛みにはDolo-Dobendanとセージティーなど

2016年04月08日 | 健康

火曜日の午後、急に肩が凝るなと思っていたら、夜にはお茶や水を飲むのが苦痛なほど急にのどが痛くなり、痛みで寝れない程でした。翌朝医者に行ったら、「風邪ですね。リンパ腺かなり腫れてます」と言われ、会社に届けるための金曜日までの診断書(正確には「労働不能証明書」、Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung)を出してもらいました。うちの会社は3日までの病欠は診断書なしでも構わないことになっている(電話連絡だけでOK)なのですが、まあ念のため。

薬の処方はなく、まずはカモミールティーの吸入(ティーバッグ3個を1ℓのお湯に入れ、その蒸気を口から吸入)とセージティーでのうがい、さらにDobendan akutというのど飴(薬局にしか置いてないもの)を奨められました。さて、薬局に行ってそのDobendan akutとやらを求めると、「こちらのほうが良い」とDolo-Dobendanなるものを奨められ、私にはどっちがいいのやら分からないので、ひとまず薬局の人の勧めに従ってDolo-Dobendanを購入しました。

有効成分はCetypyridiniumchloridとBenzocain。と言われても私には何のことやらさっぱりですが。味を調えるためにライムオイルやシトラスオイルそれにグルコース・スクラロースという甘味料が入ってます。のど飴、と言うと私はすっきりする系統のもの(はっかなどが入っているもの)しか使用したことありませんでしたが、このDolo-Dobendanはそういうすっきり効果は皆無で、レモンやライムの味もかすかで、甘みもほとんど感じない、何とも物足りない代物でした。解ける瞬間に少し「しゅわ」と酸が発生するようでした。さて効果の方はどんなものかとこの刺激皆無ののど飴を全部で6錠なめてたのですが、のどの痛みは翌日にはほぼ退いていました!

こののど飴の他にやったことは、医者の勧めに従ってカモミールティーの吸入を2回。セージティーでのうがい1回。セージティーを普通に飲むこと1杯。

近所のスーパーで買ってきたBio(オーガニック)のセージティー

更に生姜湯1杯(生のしょうがを摩り下ろし、お湯を入れ、アガベシロップを少々)。普通の食事はできなかったので、リンゴと人参とレモンをミキサーにかけてムース状にしたものとメロン3切れほどを食べました。

アガベシロップと生しょうが

翌日の木曜日はのどの痛みはほぼ退いたものの、まだリンパ腺の腫れが触れれば分かる程ありました。でも、飲み込むたびに走る痛みは気にならない程に緩和されていたので、食事はほぼ普通にできました。若干食欲は後退していましたが。この日は生姜湯とセージティー一杯ずつ飲みました。のど飴は4錠。

そして3日目の今日、金曜日にはそのリンパ腺の腫れも殆どなくなり、多少のだるさを除けばほぼ全快。こんなに急に症状が出た風邪も初めてでしたが、これほど早く治った風邪も初めてでした。

春とはいえ、日中最高気温は12-14度、最低気温は2-5度くらいで、まだまだ油断がならない感じですので、体調を崩す方も多いようです。どうやら珍しく私もその一人となったようで。。。

拙ブログを読んでくださっている方々、体調を崩さないように気を付けてください。


書評:孫崎享著、『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)

2016年04月03日 | 書評ー歴史・政治・経済・社会・宗教

孫崎享著『アメリカに潰された政治家たち』(小学館、2012年10月28日、第3刷)は221ページで同氏の『戦後史の正体』や『日米開戦の正体』に比べると小ぶりな本です。

目次は以下の通り。

序章 官邸デモの本当の敵

第1章 岸信介と安保闘争の真相

    1. 安保闘争神話の大ウソ
    2. 岸信介とCIAの暗躍
    3. メディア・官僚の対米追随体制

第2章 田中角栄と小沢一郎はなぜ葬られたのか

    1. 田中角栄が踏んだ「本当の虎の尾」
    2. 最後の対米自主派、小沢一郎
    3. アメリカにNOと言った政治家たち

第3章 戦後最大の対米追随政権

    1. オスプレイが示した野田政権の本性
    2. 日米地位協定という不平等条約
    3. TPPで日本経済が崩壊する
    4. 尖閣問題で得するアメリカ

特別鼎談 2012と1960 国民の怒りが政権を倒す日

終章 本当の「戦後」が終わるとき

特別付録 アメリカと戦った12人の政治家
(鳩山一郎、石橋湛山、芦田均、重光葵、岸信介、佐藤栄作、田中角栄、竹下登、梶山静六、橋本龍太郎、小沢一郎、鳩山由紀夫) 

 

大まかな内容は同氏の『戦後史の正体』の焼き直しで、焦点が多少対米自主路線の「潰された」政治家に移行している程度なので、ロッキード事件やリクルート事件や小沢一郎逮捕に関しては詳しくなっているものの、『戦後史の正体』を読んだものからすると、この本を買うだけの価値があったのかどうか疑問に残るところ。また、領土問題に関しても、同氏の『日本の領土問題―尖閣・竹島・北方領土』との内容的重複は否めません。
しかし、孫崎享x長谷川幸洋x高橋洋一の特別鼎談「2012と1960 国民の怒りが政権を倒す日」(初出:「週刊ポスト」12年8月17・24日号)は興味深い内容で、読み甲斐がありました。でも、この記事も週刊ポストで読んでしまっている人にはこの本を買って読む価値はないのではないでしょうか?

どれも読んだことない方のために、踏んではならないアメリカの「虎の尾」とは:①米国抜きの日本の独自外交、特に日中関係の強化や、②日米軍の削減・または撤退、③冷戦後は日本の経済的繁栄(これを崩すためのプラザ合意、米国債買い、TPP)です。アメリカに都合のよくない政権は短命になります。その為に活躍したのがGHQであり、CIAであり、親米派の官僚やマスメディアです。

こうして50年間放置されてきた日米地位協定という不平等条約ですが、さすがに50年間の歪みが噴出しだしているようで、SNSの普及に伴って草の根的な民衆運動が活発となってきています。1960年のいわゆる≪60年安保闘争≫と違う点は、デモの参加者たちが組織されていないということ。個人個人の判断でSNS情報を元にふらっとデモに参加しており、イデオロギーとは別に自分で考えた意見を発言しています。そして多くの人たちが政府の背後にアメリカを見ており、政治家の言うこともメジャーメディアの言うことも、少なくとも盲目的には信頼していないということも特徴的です。そうした動きを「プロ市民」だとか「中核派」だとか根拠もなく中傷する向きもあるようですが、純粋に日本の国益を考えるならば、米軍関係者が日本国内で起こした犯罪に対する日本の裁判権を放棄させ、民意と関係なく基地を設置させ、事故の危険性の高いオスプレイを好きなように配備させるのを許しているような日米地位協定に賛成できるわけがありません。日本は米軍に多大なる譲歩をしていますが、アメリカには日本を守る義務などないのですから。モンデール駐日大使は、1986年にニューヨーク・タイムズ紙で、「米国は(尖閣)諸島の領有問題にいずれの側にもつかない。米軍は(日米安保)条約によって介入を強制されるものではない」とまで明言し、その後事実上解任されています(孫崎『アメリカに潰された政治家たち』、p164)。これがアメリカの本音であるにもかかわらず、尖閣問題が緊張するたびに在日米軍必要論が浮上するのはおかしな論理です。日米安保条約第5条に従えば、日本領土が攻撃された場合、「自国の憲法上の規定及び手続きに従って」、米議会の承認が得られれば米軍の出動をするが、承認がなければ出動しなくてもいいことになっているのです。そして中国が仮に尖閣諸島を実効支配してしまった場合、そこは「日本国の施政下」でなくなるため、安保条約の適用範囲外となり、米軍出動はもっとあり得なくなります。つまり、アメリカは日本でやりたい放題で、犯罪を犯しても裁かれることなく、多発しているレイプ被害者たちは泣き寝入りするしかなく、仮にオスプレイが民家に墜落したとしても、米軍はオスプレイの残骸の撤収のみを素早く済ませ、被害を受けた民家や犠牲者などは放置することが火を見るより明らかなのに、日本が攻撃を受けた場合に防衛を支援する義務すらないのです。米議会にかけさえすれば、アメリカ側の義務は終了です。その事実を踏まえた上で、なお「アメリカが守ってくれるから日米関係は重要」と信じるなど愚鈍以外の何物でもありません。

TPPも、日本にメリットは殆ど無く、デメリットの方が大きいです。真に国益を考えるならば、TPPに反対すべきですし、「投資家保護」条項による民主主義のこれ以上の空洞化を許すべきではありません。

「投資家保護」条項はEUとアメリカ間の自由貿易協定TTIP及びEUとカナダの協定CETAにも含まれており、またその交渉の秘密性も厳しい批判の対象となっており、ヨーロッパ中で反対署名運動が活発になされています。にもかかわらずEUは加盟各国議会の承認がなくても両条約を仮批准するというのですから、とんでもない話です。そこまで非民主的に強行する理由は何なのか、一般市民はその真意を厳しく問いただすべきだと私は考えます。TTPもTTIPも米企業・米投資家のためのものであって、参加国の国民のためのものでないことは明白です。米国民のためですらないのです。そのため、アメリカにも反TPPの市民運動が存在しています。

原発も米企業のためのものです。世界中の脱原発の動きはアメリカにとって不都合なのです。アメリカ国内ではとっくに原発が不経済であることが認識され、再生可能エネルギーへの転換がとっくに動き出しているにもかかわらず、日本にそれをやられるのは困る、という勝手な言い分をぶちまけ、日本に様々な圧力をかけて、日本の原子力マフィアをたきつけ、原発再稼働のための工作をしているわけです。その事実を踏まえた上で、なお原発再稼働が日本の国益のためであると信じられる人はやはり愚鈍であるか、または自身が原子力マフィアの一端を担い、自分の利益しか考えていないかのどちらかでしょう。

そうした背景を踏まえて、私は元外務省国際情報局長である孫崎氏の啓蒙活動を100%支持しています。この本はちょっと外れでしたけどね。まあ、孫崎氏の活動のため資金調達にちょびっと貢献した、ということで納得するしかないですね。


 

書評:孫崎享著、『戦後史の正体 「米国からの圧力」を軸に戦後70年を読み解く』(創元社)

書評:孫崎享著、『日米開戦の正体 なぜ真珠湾攻撃という道を歩んだのか』(祥伝社)

書評:孫崎享著、『小説外務省 尖閣問題の正体』(現代書館)

書評:孫崎享著、『日本の国境問題ー尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)

書評:孫崎享著、『小説外務省2 陰謀渦巻く中東』(現代書館)


訃報:ドイツ元外相ハンス・ディートリヒ・ゲンシャー(89)

2016年04月01日 | 社会

ドイツ元外相ハンス・ディートリヒ・ゲンシャー(Hans-Dietrich Genscher)が昨夜ボン南部にあるヴァハトベルク・ペヒの自宅で89歳でお亡くなりになられました。死因は心不全、とボンのゲンシャー事務所は1日に公表しました。

ゲンシャーは、生まれはザクセン・アンハルト州(旧東独 Sachsen-Anhalt)の都市ハレ・アン・デァ・ザーレ(Halle an der Saale)でしたが、いわゆる「ボン共和国(Bonner Repubrik)」、すなわち西ドイツ共和国連邦を象徴する大物政治家でした。
法学と国民経済学を修めた後、1952年に西独に移り、1965年に自由民主党(FDP)議員として西独連邦議会入り。 1969年には既にヴィリー・ブラント首相の下、内相に就任。1974年にはヘルムート・シュミット政権で外相に就任し、18年間外相を務め、東西ドイツ統一の実現にも多大な貢献をしました。外交では個人的なコンタクトを重視したために「旅行外交」と言われ、国の大小にかかわらず常に相手を尊重しつつ自分の目標を果たそうとする彼の姿勢は「ゲンシャー主義(Genscherismus、ゲンシャリスムス)」と呼ばれました。外相18年の記録は未だに破られていません。ドイツで最も人気のある大政治家の一人で、長期間外相として、またはFDP党首としてまたは顧問としてドイツの政治に多大な影響力を発揮していました。個人的には親しみやすく、ユーモアたっぷりなことで知られていました。トレードマークは黄色いセーターヴェスト(黄色はFDPの色)。特に東西の緊張緩和政策で知られています。

ゲンシャーは外交史上もっとも有名な不完全文でも知られています。1989年9月30日、プラハの西独大使館に集まっていた東独からの「難民」たち約4500人に向けてバルコニーから発した言葉は大歓声の中最後まで続けることができませんでした:「Wir sind zu Ihnen gekommen, um Ihnen mitzuteilen, dass heute Ihre Ausreise ...(私たちはあなたたちのもとに次のお知らせをするために来ました。本日あなたたちの出国が…)」
このシーンはベルリンの壁崩壊、東独の崩壊、東西ドイツ統一に続く一連の政治的動きを外交的に決定づけた歴史的な瞬間でした。ドイツ外務省発表の当時のビデオはYouTubeでみられます。この不完全文は1分21秒辺りです。それ以降は、西ドイツ政府の決断が外交努力の元になされたことや、西独大使館に逃げ込んだ東独市民たちが乗るべき電車が何時に来るなどの事務連絡などに続き、ゲンシャー個人が同郷出身者として彼らを歓迎するし、西独政府も彼らを西ドイツで歓迎するなどと発言しています。暗くて映像は分かりずらいですが、ところどころで入る「ゲンシャー!ゲンシャー!」というゲンシャーコールで、東独市民たちの熱気は十分伝わるのではないでしょうか。
この大使館のバルコニーは以来「ゲンシャーのバルコニー」と呼ばれています。

1990年の東西ドイツ統一のための契約、いわゆる『2+4契約(2+4-Vertrag)』はゲンシャーの外相としての歴史的偉業と言われています。冷戦時代のゲンシャーは、米ソ両国の外交官から「掴みどころがなく、油断ならない」と評されていましたが、それでもこの両国を『2+4契約』に合意させ、ドイツ統一を外交的に成功させたのですから、大した外交手腕です。

1992年に外相を辞任しましたが、1998年まで現役の連邦議会議員でした。1986年当時、真っ先にミハイル・ゴルバチョフのグラスノスチ政策に外交的チャンスを見出した彼でしたが、2013年末にはそのゴルバチョフの恩赦を求めてプーチン大統領と個人的に交渉しました。

ゲンシャーは、つい先日若くして亡くなったFDP党首ギド・ヴェスターヴェレのメンターでもありましたが、ヴェスターヴェレは期待通りの成長(?)はしなかったと見られていました。亡くなった方をどうこう言うのはあまりよくありませんが、このボン出身のヴェスターヴェレは、いかにもぼんぼんという感じで、全くの小物政治家でした。博士号を持っているのが不思議なくらいのおちゃらけた印象しか残っていません。一応、一時期外相を務めていましたが、務めていただけ、とも言えます。

2013年の連邦議会選挙でFDPが得票率5%に達せず、連邦議会入りを果たせなかったことについて、ゲンシャーは「党の歴史の最も暗い時間」と言い、党の人材と政策の不協和音について批判的な発言をしました。

昨年は、メルケル首相の難民政策に人道的見地から支持を表明していました。

政治の第一線から引いた後も生涯現役を体現するかのように、政治的発信を続けていました。ヘルムート・シュミット元首相に続き、また一人党派を超えて尊敬される大物政治家が失われました。この場を借りまして、ご冥福をお祈りいたします。

参照記事:
ZDFホイテ、2016.04.01付けの記事「ハンス・ディートリヒ・ゲンシャー死去」 
ARDターゲスシャウ、 2016.04.01付けの記事「ハンス・ディートリヒ・ゲンシャー死去」 (記事は3か月経つと自動的に削除されますのでご注意ください。)
シュピーゲル、2016.04.01付けの記事「ハンス・ディートリヒ・ゲンシャーの死に際して:ドイツ政治のマラソン走者

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